どうだぁあああ!!
では、どうぞ!!
「はぁ!!」
「力まない=力を抜くじゃねえぞ!!」
「はい!!」
妖夢ちゃんは、きっと才能があるのだろう。
しかし、その才能に振り回されている。これが、何度か打ち合って出た俺の考えだった。
様式美か何かは知らないが、無理に形を作っているのも良く分かった。
「腕だけを使うな!!体全体を使え!!重さがねえぞ!!」
ガキンッ!!
と、金属がぶつかり合う音。妖夢ちゃんの右斜め下からの攻撃を受け止め、受け流す。刀が擦れあい火花が散る。
「今のじゃ精々中級を殺れるかぐらいだな。だがまあ、速さは上がってる。後は骨を断つ重さ。速く、そして重く。自分の殺りやすい様にやってみろ。流派の技なんてものは二の次だ」
「はいッ!!」
妖夢ちゃんはバックスッテプで距離を取り、大地を蹴った。
常人であればそれが消えたように見えるだろう。常人であれば殺されたことも分からないであろう一撃が俺に迫る。しかし、生憎とおれは常人ではない。化物だ。そして、彼女の想定している相手は俺以上の化物共だ。
真っ正面からの突き。まあ、防がれにくい攻撃ではあるよな。だが……、
「相手が格上相手なら突きは悪手だな。簡単に弾き返される」
妖夢ちゃんの刀を、無造作に下から上へ弾く。少女の身の丈よりも少し長いくらいの刀はクルクルと宙を舞い、妖夢ちゃんの右隣へと突き刺さった。
「自分の速さに自信があるのは良い。だが、上には上が居ることを忘れるな。まあ、瞬発力ならあの天狗よりも速いんじゃないか?まあ、その瞬発力を伸ばしていけば本当の一撃必殺なんて直ぐに手が届くだろうよ」
・
もうすぐ日が沈む。あまり日が差さない竹林の中にも西日が差していた。
「はぁはぁ……さすが、です。師匠」
「いや、師匠になった覚えは……。まあいいや。ほら、立てるか?」
「あろがとうございます、師匠」
地面に突っ伏している妖夢ちゃんに手を差し出す。
「よっと。大丈夫か?」
「はい。少し手が震える程度です」
「それは大丈夫なのか?」
少し疑問をもつ。いや、本当に大丈夫なのかこれ?
「大丈夫ですよ。これぐらいへっちゃらです!!」
むんっ!!と、両手を胸の前で握り締める。が、額の脂汗。プルプルと震える腕。明からな作り笑い。
「……なあ、お前はなんの為に刀を握る」
「みょん?そんなの決まっています。幽々子様、我が主の為です。私は、あの方と一緒にいる時間が好きです。私は、あの方の姿が好きです。だから、私は刀を握ります。あの方との一緒にいたいから」
「そうか。その妖夢ちゃんはその主人の事が好きなんだな」
「はい!!大好きです!!案外、この気持ちが恋なのかもしれませんね。まあ、叶わぬ恋ですが」
そう言うと、妖夢ちゃんは笑った。
その笑顔は、叶わぬものに恋い焦がれる笑顔ではなく、とても幸せそうな笑顔だった。俺にはそれが理解できなかった。だが、そう言う恋も有るのか。と、不思議と納得してしまった。
「……あれ?」
「どうした?」
『妖夢~妖夢~』
「やっぱり!!幽々子様!!」
え?来てるの?
さっきまでの疲れはどこへやら、走りながら声の元へと向かう妖夢ちゃん。
「やっぱり、どうして幽々子様が此方に?」
「あ、妖夢~お腹空いた~」
俺は驚きを隠せなかった。
そして、同時に妖夢ちゃんの『叶わぬ恋』が何を指していたのか、理解できた。
「女かよぉおおおおお!!返せ!!俺の変な感動を帰せよぉおおお!!」
余談だが、その日の永遠亭の厨房は大忙しだったらしい。
お読みいただき有難うございます!!
いやぁ~死ぬかと思ったよ……
主に精神面で……
誤字脱字報告、感想、アドバイスあれば、よろしくお願いします。
もう……ゴールしても、いいよね……?
では、また次回~