日本の都市の一つ、横浜。
そこのとある街にある30階立てのビル。
このビルを所持しているのは、最近急成長している企業。名称は『ムラクモ・ミレニアム』と言う。
…どっかで聞いたような名前だが、スルーでおk。
そのビルの25階にある社長室。
中は窓際に大きめのデスクと黒色のシンプルだが、高級感を漂わせる椅子がある。
因みに、中には誰もいない。
デスクの上には、何かの資料が何枚か置いてある。
よく見ると、幾つかの単語が見て取れる。
『メタトロン鉱石』
『時空管理局の最近の動向』
『ネスト、アーセナル、ポート、ベースの内部構造』
『鬼械神の記述が掲載されている魔導書の捜索』
『ドミナント』
『遺跡調査隊の妨害または排除』
『各国、特にアメリカ、中国の現在の動向』
『武器弾薬その他兵器の追加発注』
…内容からして、平和的な商業関連の資料ではないらしい。
‐ガチャッ‐
しばらくして、部屋に2つの人影が入ってきた。
一人は、眼鏡をかけ、スーツを着た黒髪の男性。
見た目は20歳以上だろうか…
もう一人は、紅いジャケットに黒のジーパンを着た、首まで伸びた金髪に糸目の青年。
一見穏やかそうな印象だが、青年が発する゛人外゛の気配がそれを否定する。
「さて゛アラン゛、例のものは…」
「えぇ、しっかりと持ってきましたよ。」
アランと呼ばれた青年は、内ポケットから数本のUSBメモリを出し、男に手渡す。男はそれを受け取って、満足そうに笑う。
「確かに、゛デバイス゛と゛リンクス゛、゛MT(マッスルトレーサー)゛、゛戦術機゛のデータ、受け取らせて貰った。これで゛彼女の願い゛に貢献できる…。」
「それにしても、あなたが彼女の願いを理解してくださって助かりましたよホント;」
「寧ろ、彼女の願いを理解出来ない奴らの考えを私は理解出来ん。彼女の願いこそが、゛全ての世界゛を救済することが出来るたった一つの方法だというのに…」
「仕方ないですよ。゛今の人類゛には、彼女の願いは到底受け入れられないものですからね。」
男の疑問に、アランは悲しそうに微笑みながら、答える。
「…では、僕はここで失礼させてもらいます。」
アランは、そう言うと部屋から出て行く。そして、出るときに振り返り、こう告げる。
「これからも仲良くやっていきましょう。…黒柳(くろやなぎ) 颯斗(はやと)社長…」
+とある管理外世界+
見渡す限りに広がる砂漠…その中にそびえ立つ金属でできた忌まわしい遺跡…
ダーク達は『ネスト』と呼んでいる。
そのネストの入り口の前に夥しい数の死体が散乱していた。
服装から見て、゛時空管理局゛の魔導士とその調査隊のようだ。
どの死体にも、何本もの゛銃剣゛が刺さっていた…。
その中を平然と歩く影がいる。
よく見ると、モスグリーンのロングコートをはおり、コートの下にコンバットスーツを着た、黒い髪の青年?だった。
なお、左目は青で、右目は赤のオッドアイである。
青年?は近くにあった魔導士の少女の死体を掴むと、その首にかぶりついた。
じゅるっ じゅるっ じゅるっ
そして、血を美味そうに啜り始めた。
‐数分後‐
青年?が血を吸い終わると同時に、入り口から一人の男が出てきた。
黒いマントをたなびかせ、黒い鎧を纏った、黒い髪の男だ。
背に『ヒートグラディウス』と呼ばれる無骨な大剣を背負っている。
「おやおや、゛グラン゛。もう終わらせたのですか?」
青年?が男‐グラン に気づき、話し掛ける。
「あぁ、中に入り込んだ60人全部片付けた。あとは奴らの戦艦だけだ。」
「そちらはあの三人に行かせました。もうカタが着く頃ですよ。」
青年?のその言葉に、グランは顔を歪める。
「゛ロウザン゛やっぱり彼奴等も戦わせるのか…」
「…えぇ、あの三兄弟が望んで…ね」
グランの問いに、ロウザンは当たり前のように答えた。
「では、私は中に戻ります。暑いのは苦手ですので。」
ロウザンは、そう言うと遺跡の中に入っていった。
残ったグランは雲一つ無い空を仰ぎ見る。
「…結局、こうなる運命だったのかよ…スッキリしねぇ…。」
彼の顔には、後悔の念がありありと浮かんでいた…
+今回の登場人物+
『オリジナル』
◇アラン・ブロード
◇黒柳颯斗
◇ロウザン・グレイス
◇グラン=レオニクス