僕達の女神   作:Isaac 1,92

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楽しみは、まだまだこれから!

(圭)

 

放課後の屋上、長かった雨が去り、さっきまでの曇天が嘘のように晴れ渡る空の下にμ'sのメンバー『7人』の声が響く。

 

 

「にっこにっこにー!!、、、はい」

 

「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」」

 

「声が小さい!にっこにっこにー!!、、、はい!」

 

「「「「「「にっこにっこにー!」」」」」」

 

にこ先輩が加わった直後に雨が上がり、そのまま練習を開始したμ'sを見ていた僕たちだったが、、、

 

「なぁ、圭、、、ありゃ一体何の練習になるんだ、、、?」

 

「まぁ、にこ先輩流のアイドルの魅力らしいですよ?」

 

「『よ?』って、、、」

 

呆れながらに大輝先輩は言うが、聞かれてもこんな展開になるとは思っても無かった僕は苦笑するしかない。

 

「ま、これでオレ達は正式な部活になれて、無事にこ先輩も入ってくれたわけだからよしとするか。

 

にしても圭、よく説得できたな」

 

「え、ええ。まぁ、何とか、」

 

「謙遜する事ないと思うぞ、それで、なんて説得したんだ?」

 

「ええっと、、、それは、、、

 

 

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

 

 

「アイドルの魅力について、教えてください!」

 

 

雨の降る音が響く階段の暗い踊り場で、僕がにこ先輩に語った事は紛れもない本心だ。流石に本人たちの前で同じことを言うのは恥ずかしくて出来ないけど。

 

「、、、そんなの、自分で調べなさいよ、、、」

 

にこ先輩はわざとらしくそっぽを向くけど、目だけは僕の方を見て、様子を見ているって感じだ。

 

「調べた結果がこれですよ」

 

「いちいち面倒な言い方ね。希みたい」

 

今度はウンザリすると言いたいような表情に変わるにこ先輩。だが、その表情には何処か淋しいような感じがした。

 

 

「確かに分かりにくいですけど、本当の事です。

マネージャーになるに当たって僕はスクールアイドルについて色々調べました。最近、急激に発展してきた芸能ジャンルで、今ではテレビで活躍するグループもあるとか、その中でもA-RISEと言うグループが群を抜いてトップな事とか」

 

これは紛れもない事実だ。以前の僕はA-RISEについても知らなかった。花陽ちゃんと見に行った時にはそもそもスクールアイドルなんてものがあるなんてのも知らなかった。

 

「でも、分からないんです。知識は手に入っても。心の底から憧れる人がどんな風に感じているのか。本気で目指す人は一体どれほどの情熱を持っているのか。そんなにも人を引きつけるアイドルの魅力が何か、、、

だから、教えて下さい。にこ先輩。僕があこがれる、情熱を注ぐようになるアイドルになって。μ 'sに入って!!」

 

ジッとにこ先輩の目を見て、話す。自分でも不思議な感じだが。僕は恐らく生まれて初めてこんなにも熱心になれたかもしれない。そう思えるくらい僕はμ 'sのために、にこ先輩を説得しようとしていた。

 

「、、、言ったでしょう?にこはあんた達のことをアイドルとして認めてないの、そのグループになんで、にこが入らなきゃ行けないのよ、、、」

 

「だからこそですよ」

 

「はぁ?いよいよ訳が分からないわね。何が、だからこそなのよ」

 

「μ 'sはまだアイドルになりきれてない。にこ先輩の心を動かしきれてないから。

だからこそ、僕に、皆に教えて下さい。アイドルとは何か、アイドルの魅力とは何かを、一番詳しいにこ先輩が」

 

「、、、あんた達はそれでいいの?あんた達に散々言ったにこで」

 

にこ先輩は初めて僕に目を合わせて聞いてきた。その顔には先ほどまでの強気な様子は感じられない。不安が支配していた。

 

「にこ先輩でいい、じゃないですよ。にこ先輩がいい、僕らを散々に言える位、アイドルに熱心なにこ先輩に教えて欲しいんですよ」

 

そこまで言うと、にこ先輩の目に一筋の光が走った。

 

にこ先輩はその目の煌めきを隠すように、後ろを向いて一つ、長いため息を付いて言った。

 

「、、、しょうがないわね!!そこまで言うなら教えてあげるわよ!アイドルの先輩として、その魅力を!!」

 

窓に移ったにこ先輩の頬を最後の雨粒が流れ落ちた。

 

 

 

 

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

 

 

 

「ははっ。にこ先輩も素直じゃないッスね。初めから入れて欲しいって言えば良かったじゃないっスか」

 

「う、うるっさいわよ!それに、にこは、圭に説得されて、仕方なく、入って上げたんだから!!」

 

一単語毎に切って語気を強めてにこ先輩は言うけど、それが嘘だってバレバレなくらい表情は穏やかだ。

 

僕がにこ先輩を説得した経緯を大輝先輩に話し始めると、みんな興味津々な様子で練習を中断してまで僕の話を聞きに来た。あの海未先輩でさえ聞き入っていた。

 

「にこ先輩、不器用キャラは海未と真姫でお腹いっぱいなんでちょっと自重してもらっていいっスか」(笑)

 

「あんたゼッタイバカにしてるでしょ!!何よ不器用キャラって!!」

 

「そうです大輝!真姫はまだしも、私まで不器用とはどういう事ですか!?」

 

「海未先輩!?もう、どうして私が不器用キャラなのよ!」

 

「いやぁ真姫ちゃんは不器用キャラにゃー」

 

「不器用っていうか、、、ツンデレ?」

 

「凛!ことり先輩まで!?あーもう!イミワカンナイ!!」

 

「真姫ちゃん、落ち着いて、、、ほら、おにぎりあるから一緒に食べよ?」

 

「あ、花陽ちゃん!穂乃果も食べる!」

 

もう、僕には見慣れた日常が広がる。大輝先輩が誰かを弄ってそれに波及するように心地よい賑やかな会話が繰り広げられる。誰かが口を開き、誰かがそれに乗って、そして、みんなで笑い合う。花陽ちゃん達一年生が入ったのがほんの1週間前だとは思えないほど僕らの仲は急速に縮まって行ったのだ。そして、にこ先輩もこの輪に加わるのだろう。

 

そんな僕らを見てか、にこ先輩の目に再び煌めきが浮かぶのが見えた。

 

「ふふっ、にこ先輩、泣いてるんですか?」

 

「な、泣いてなんかいないわよ!」

 

言葉では強がっているが、先輩は目を上着の袖で拭う。

 

「にこ先輩、こんな事で泣いてたら後が持ちませんよ。だって、」

 

そう、だってこれは僕らの、μ 'sのほんの一部でしかないし、にこ先輩が加わることで更に変化があるだろう。だから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しみは、まだまだこれからですから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、あったりまえよ!

なんて言ったってこの宇宙No.1アイドル、にこにーが入るんだから!」

 

 

にこ先輩は自信満々に胸を貼って堂々と断言して見せた。

 

、、、

 

「にこ先輩、無いものは張ったとしても無いッスよ」

 

「うっさいわよ!!大輝!!いい所だったのに!!」

 

僕らは揃って笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にっこにっこにー!あなたのハートににこにこにー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




きりがよいので、以上を持って二章完結とさせていただきます。


二章は前半が一年生。後半はにこをメインとした物語の展開でしたかね。それと圭の視
点が中心となってることが多かったので大輝のふざけてる様子も多めに入れられたかなぁって思ってます。





また、三章を投稿するにあたって、今まで敷いてきた伏線の確認と、わかり辛いところなどの修正をするつもりなので、次話投稿が遅れると思いますが、気を長くして待っていただけると幸いです。

今後とも、ご愛読の程よろしくお願い申し上げます。
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