(雄大)
「俺達がどうしたって?」
「あ、、、いや、その、、、」
俺から目をそらして赤みがかった髪のその子、西木野真姫ちゃんは言葉に詰まる。
そこで口ごもってしまったら陰口を叩いていましたって言ってるようなもんだろ。はぁ、、、この子たちはまた俺達に一悶着起こさせに来たらしい。会話の内容まで聞こえてこなかったが、こんな簡単なカマ掛けに引っかかるならそれくらい予想もつく。
「まぁ、それは置いといて、君たちは一体何の用事があって来たのかな?」
まごついている真姫ちゃんから目を離しそこに集まっていたメンバーに目をやる。μ'sって言ったかな、新入生歓迎会の日にライブをした2年生が3人の女子とその隣にいた一人の男子に目が行った。確かこの男子はライブをやった三人といつも一緒にいたな、確かライブ本番にも来ていたはず。
その四人の内、リーダー格と思われる茶髪をサイドテールにまとめた子が答えた。
「私たち、ラブライブにエントリーしたいんです!だから、学院の許可を頂こうと思いまして!」
「ラブライブ?」
「スクールアイドルにとっての最高の舞台、ラブライブ。雄大、あんたには前に話したことがあったでしょう?」
横から会話に入って来たのはにこ。、、、ああ、そういえば結構前に前ににこが話してたっけな。でもそのときはまだ計画されているってだけで実際に開催されるなんて聞いてなかったけどなぁ。
「今年の夏に、そのラブライブが開催されることが決まったんです。そして、その予選としてインターネット上で人気投票を行いその上位二十組が本選に出場できるんです」
俺の疑問に答えるように話し始めたのは西木野さんの近くにいた、まだ幼さの残る顔をした、あまり背の高くない男子生徒だ。制服を見る限り一年のようだが、なるほど。彼が今年唯一入学したという男子生徒か。
今までの話を総合すると、この子達はそのラブライブという大会に出場する許可を取りに来た、ということか。確かに部活動の学校への申請、許可は生徒会を通す決まりになっている。なっているが、、、
「今、絵里も希も理事長に定期報告に行っていていないんだよなぁ」
「え!?」
まぁ、タイミングが悪かったということだな。
、、、
いや、待てよ。定期連絡って部活動の申請の許可を出す出さないを決める場でもあったよな、、、
「うーん、まぁ、さっさと済ませたほうがいいか、、、なら、行くか」
「え?え?先輩、行くってどこにですか?」
「ん?理事長室だよ。そこで絵里と理事長の二人の意見を聞こう」
アイドル研究部のメンバーはそろって驚きの声を上げた。
*☼*―――――*☼*―――――(雄大→大輝)
ゴクリ、、、
また、誰かの唾を飲む音が聞こえた。
「さらに入りにくい緊張感が、、、」
眼鏡男に連れられて理事長室の前まで来たオレ達だったが、連れてきた張本人のそのデカ眼鏡は『自分たちの事だからな、自分たちの口で話せ』とか言って今は後ろの方でただ突っ立てるだけだ。
っていうか連れてきたんなら中まで案内しろよ!これじゃ、さらにハードル上がっただけじゃねぇか!!
「穂乃果、ここまで来たらもうやるしかないぞ、、、」
「大輝くん、、、うん。、、、すぅ」
穂乃果が深呼吸をして、まさにその木製の重苦しい雰囲気を醸し出だすドアをノックしようとしたとき
ガチャ
「おぉ、おそろいでどうしたん?」
ドアが開いて顔を見せたのは希先輩だった。と、言うことは、、、
ギィイ
「うあぁ、生徒会長、、、」
ドアの奥から現れたのは金髪の三年生。生徒会長その人だった。
「何の用ですか?」
生徒会長は挨拶も無く、冷たく、感情のない声で聞いてきた。いや、感情がない、というよりも少しイライラしてるって感じか?そんな生徒会長を前になんと切り出したらよいか迷っていると、真姫が穂乃果を追い越して生徒会長の前に出てきた。
「理事長にお話があって来ました」
「各部の理事長への申請は、生徒会を通す決まりよ」
生徒会長はまたあの冷たい声で真姫の言葉を否定する。生徒会長は生徒会が無下にされたと感じて怒っているのか?いや、それとはまた少し違う感じがするな、、、
この時、オレは生徒会長が以前あった時と雰囲気が微妙に変わっていることに気が付いた。どこが、と言われると断言できないが、、、
「生徒会なら、一度通してるぞ~」
後ろの方からあの眼鏡男の呑気な声が聞こえてきた。
「雄大、それは一体どういうことかしら?」
「どうもこうも、絵里と希が理事長に定期報告に行ってるときにこの子たちが来たんだよ。で、話を聞く限り内容もシンプルだったから直接理事長室まで来た方が早いと思って」
コンコンッ
「どうしたの?お話なら、中でしましょう?」
気が付くとドアの所に理事長が立って優しく微笑んでいた。
*☼*―――――*☼*―――――(大輝→圭)
理事長はアイドル研究部全員を部屋の中へ招待したが、流石に理事長室とは言えども全員で入るには狭そうだったので、僕ら一年生は外で待ってることにしたそして、隣には、、、
「先輩は中に入らなくて良かったんですか?」
「ん?まぁ今回の最終決定は理事長がするだろうからなぁ。俺がいても特にする事も無いだろうし」
、、、背の高い眼鏡の先輩も一緒に外で待っていた。って言うか凛ちゃん先輩を警戒し過ぎでしょ!そんな睨んだら駄目だって、いや、さっきから真姫ちゃんと話してるのは確かに気になるけども、、、
「で?君とはどこかであったかな?さっきからずっと見てるみたいだけど」
ああ、いよいよ先輩気付いちゃったじゃん!!もうどうすんのさ!!チラッ、先輩の顔を見ようとするけどそれは思ったよりも高い位置にあって視界の端に入るくらいしか見えなくて、しかも眼鏡のせいで表情もよく分からなかった。
怒ってる、絶対怒ってる。初対面で睨みつけてたんだもん、、、この人絶対怖い、、、もう帰りたい、、、同じようなことを思ったのかも、花陽ちゃんも隣で自分の体を抱いて微かに震えていた。
「にゃあ!?え、ええっと、そのー、先輩と真姫ちゃん仲がいいなーって思ったり、、、アハハハ」
凛ちゃん、上手く取り繕ったつもりかも知れないけど、顔から冷や汗が出てるからね、、、
「ん?ああ、まぁ入学式の時から会ってたからなぁ」
「そう言えば、私が音楽室使ってたの生徒会長に知らせてなかったんですか?」
「ん?まぁ別に個人的に使う分にはいっかな~って思ったからさ。そんなのも一々生徒会に回されたら俺達、過労になっちまうし」
にゅ、入学式の時から2人は交流があったのか、、、再び二人だけで会話を進めてしまう先輩と真姫ちゃんはやはり何かを特別な関係が、、、いやいやまさかそんな、、、
ガチャ!! カッカッカッ
僕の思考が堂々巡りを始めようとした時、理事長室のドアが開いて中からさっきよりも一層機嫌の悪い表情をした生徒会長が足早に出てきてそのまま歩いて行ってしまう。
「お、おい!絵里!あーもー!悪いな!俺はこれで失礼するから。じゃあ!」
生徒会長を追いかけて、背の高い先輩も行ってしまった。残された僕らは何があったのか、と理事長室の中を覗いてみる。
「但し、ラブライブのエントリーには条件があります」
理事長が穂乃果先輩達にそう告げるところだった。良かった。条件付きとはいえ、何とかラブライブのエントリーまで漕ぎ着けたみたい。
「学生の本分は学業にあります。それが疎かになってはいけません。今度の試験で一人でも赤点を取った部員がいたらエントリーは認められませんよ」
あれ?条件ってもしかしてそれだけ?なんだそんなのあって無いようなものじゃないか。
ズサァ、、、
あ、あれ?隣で何かが崩れ落ちるような音がしたなぁ、、、それに先輩、、、具合でも悪いのかなぁ?何人か手をついてるし、、、
あ、あれぇ?