(大輝)
「申し訳ございません」
再びオレは深く深く頭を下げる。いっそ床で土下座した方がいいかとも思ったが、μ's+希先輩という女子に囲まれた中で頭を腰より下に下げるとその先にユートピアと社会的な死が待ち受けているのでやめた。
「あれぇ?大輝くん椅子に座ったまま謝るなんて誠意が足りないんやない?全教科まずいんやろ~う?」
希先輩がやけに抑揚の利いた声で話すのでそちらに目をやるとすっごい意地の悪い目でニヤニヤしていた。
「の、希先輩、、、?」
分かってる。オレにはもうわかってる。希先輩が今の俺の思考を完璧に理解して話してるって。それと同時にやってきた危機感に背中に寒気が走るのを感じた。
「せやなぁ、、、土下座くらい、した方が、ええんとちゃう?」ニヤァア
「んな殺生な!!?」
やっぱりそう来たか!だが今ならまだ、敵は希先輩ただ一人!目標確認、大輝、全力で脅威の排除に向かいます!!
「希先輩!、、、」
「確かに、大輝の場合、凛や穂乃果以上に教える側の負担が大きくなるのでそれ相応の誠意が必要ですよね」
「海未!!?」
あ、新手だとぉ!?くそ!ここにきて海未の天然が炸裂するなんて、、、最悪だ、ミルド〇ースとエ〇タークに同時にエンカウントした並に最悪だ。目の前に闇の帝王二人なんて、、、
横に目をやると状況を飲み込んだらしいことりとにこ先輩がスッと俺から離れていくのが見えた、ことりなんかは若干顔を赤くしながらそれでも俺に向かって手を合わせてる。それが『ごめんなさい』なのか『ご愁傷さま』なのかはわからなかったが。
「そんな事どうでもいいから、さっさと勉強始めません?試験までの時間もないですし」
「、、、真姫、今、オレの目にはお前が天使に見える、、、」
「、、、大輝先輩、どっかに頭ぶつけました?」
話題をそらしてくれたこの恩はデカい(真姫にはドン引きされたが)、、、希先輩、そこで悔しがらないでください、、、
「まぁ、でも、真姫ちゃんの言う通り、試験対策するには少し遅れてるくらいだし、少し急いだほうがいいね」
「え?でも圭くん、試験っていつあるんだっけ?そんなにすぐじゃなかったはずだけど」
「穂乃果先輩、何言ってんですか?試験までもう二週間切ってますよ?」
「なーんだ、脅かさないでよぉ圭くんったら、まだ二週間もあるんじゃん」
「、、、は?」
「、、、え?」
穂乃果と圭がお互いを見ながらポカンとしてる。いや、圭のは信じられないって顔だな。若干顔が引きつりだしてるし。それと比べると穂乃果の表情が物凄くアホに見える。いや、アホに見えるけど穂乃果はそんなにおかしいこと言ってないよな、だってまだ二週間もあるし、、、
「穂乃果が勉強できない理由の片鱗が見えましたね、、、」
「ええ!?海未ちゃん、どこ?どこでそんなの見えたの!?」
「見えたっていうか、自分から掲げてたようなものだったわよ」
「ふつう、二週間前になったら、試験勉強始めると思うよ」
「「「嘘!?」」」
真姫とことりの言葉に三人の声が重なる。ちなみに三人とはオレ、穂乃果、にこ先輩である。
「さすがの凛でも二週間切ったら始めるにゃ~」
「凛!貴様、裏切るのか!?」
「そうだよ!見損なったよ凛ちゃん!こんな時に仲間を売るなんて!!」
「大輝!穂乃果!変なところで仲間意識を持たない!!成敗!!」ドゴォ!!
「「ぐはぁ」」
海未の奴、、、なんか日に日に成敗の威力が上がって来てる気がするぜ、、、(バタッ
「まぁ凛ちゃんは英語以外ならこの前のお迎えテストでそこそこ点数取ってたもんね」
「へへーん、圭くんの言う通り!凛はこう見えてもできる子にゃ」
「ま、今回はその英語を頑張ってもらうわけだけど」
「に゛ゃ、、、真姫ちゃんの鬼、、、」
「はいはい、ほら先輩達も勉強始めますよ」
「「うえぇ」」
くっそ、真姫の鬼め、、、
「大輝、穂乃果、へ、ん、じ、は?」
「「はいぃ!!」」
ぐっと拳を握った海未に震え上がるオレ達だった。
*☼*―――――*☼*―――――(大輝→圭)
僕らはアイドル研究部の活動を一時停止して、全員で試験勉強を始めて二日目になる。進捗状況はと言うと、、、
「穂乃果ちゃん、起きてー!!」
穂乃果先輩は既に夢の中、ことり先輩が一生懸命に起こそうとしてるし
「あ、あんな所に白米が!!」
凛ちゃんはどうしても英語が嫌いらしくなんとかして花陽ちゃんの気をそらそうとしてるし
「に、に、にっこにっこに〜?」
にこ先輩は訳のわからないこと口走り出すし
まぁ、芳しく無い。と言うか予想していたより遥かに悪い。
「真姫ちゃん、僕、軽く頭痛くなってきたかも」
「圭、耐えなきゃダメよ。耐えなきゃ、、、」
そう答える真姫ちゃんも眉間にはグッとシワが寄っている。ふと目を外すと大輝先輩が目に入った。全教科不安とか言ってたからか流石に机に向かって集中していた。
「ほら、みんなも大輝先輩を見習って下さい。集中してますよ?」
「嘘!全教科不安とか言ってた大輝が!?」
「にこ先輩、聞こえてますよ。だからこそ焦ってるんでしょ。もう、、、」
「でも、大輝くんさ、昨日からずっと世界史ばっかりやってない?」
ことり先輩の言葉にビクッ!!っと大輝先輩の肩が跳ねる。
「大輝先輩?もしかして」
「うう、こ、今回の数学の範囲、計算めんどくさいんだもん」
ああ、そういうことか。大輝先輩が全教科怪しいって単に好き嫌いしてるからか、、、
「めんどくさい、じゃない!!」
ダンって両手を机に叩きつけながら真姫ちゃんが怒った。
「大輝先輩!!面倒だからって避けてたらほんとに赤点になるわよ!」
「わ、分かったよ、明日、明日からやるからさ、、、」
「い、ま、か、ら!!」
真姫ちゃんが大輝先輩の歴史の教科書を取り上げながら凄んだ。大輝先輩は面白いくらいしゅんとなって渋々数学の試験勉強を始めた。
テスト勉強はおおよそこんな感じで進んだ。穂乃果先輩は海未先輩が、海未先輩が兼部している弓道部に行った時はことり先輩か教えながら。凛ちゃんは真姫ちゃんと僕が。にこ先輩は助っ人に来てくれた希先輩が教えた。大輝先輩は全教科危ういと発言から一番厄介かと思われたが、やはりは勉強の偏りが激しいだけだったのでたまに真姫ちゃんと海未先輩が様子を見る限りは特に手がかからなかったのでむしろ一番楽だった。
僕はいつもとは違う緊張感を味わいながらテスト本番を迎えた。
*☼*―――――*☼*―――――(圭→穂乃果)
「ふぅ」
最後の答案を受け取った私はため息を付いた。
二つ折りにして鞄のサイドポケットの中にしまうと身の回りの筆記用具や教科書を片付ける。1日の終わりのホームルームが終わると席を立って歩き始める。階段を上り部室の前に着くとドアノブに手をかける。
ガチャ
部室に入った私をμ'sのみんな、それに大輝くんと圭くんさらには希先輩までいて、みんなジッと私を見てきた。
「穂乃果先輩、どうだった?」
真姫ちゃんが敬語も使わないで聞いてくる。このテストが私たちにとってそれほど重要だということが改めて実感した。
「今日で全教科返ってきましたよね」
「凛はセーフだったよ!」
「オレとにこ先輩もだ。希先輩サマサマだな」
「ウチにかかれば万事オッケーや」
「後は穂乃果だけよ!あんた、私たちの努力を水の泡にするんじゃないでしょうね!!」
にこ先輩の言葉をきっかけに全員が私に再び視線を集めた。
「もうちょっといい点だとよかったんだけど、、、」
カバンのサイドポケットからまとめてしまっていたテストの答案を全てのテーブルの上に広げた。
全教科50点以上!!赤点ナシ!!
その瞬間、部室が爆発した。そう錯覚するくらい大きな声でみんな一斉に歓声を上げた。希先輩まで一緒になって喜んでくれて、私たちはすぐに理事長に報告するため部室を飛び出した。
飛べそうなくらい軽い足を動かして、あっという間にもう理事長室の前に着いた。興奮した気持ちを落ち着けるためにスーハー、深呼吸をして、そのドアをノック使用と手をあげたら、、、
『どういう事ですか!説明してください!!』ダンッ!!
中から生徒会長の大きな声と何かを叩く音が聞こえてきた。そぉっとドアを少しだけ開けると中には理事長と生徒会長、それともう一人背の高い生徒会の先輩がいた。生徒会長が理事長の机に手を突いていてそれを隣で立っていた先輩に窘められている。私は何度も生徒会長と対立してきたと思っていたけど、あそこまで激しく感情を表す生徒会長を見たのは始めてだった。生徒会長が手を戻した所で理事長が口を開いた。
「綾瀬さん、気持ちは分かるけど、これは決定事項なの。
音乃木坂学院は来年度の生徒募集を止め、廃校とします」
個人的なイメージですけど、なんとなく凛ってそこまで壊滅的に勉強出来ないわけじゃない気がするんですよね、、、なんでだろ?英語だけはからっきしダメだけど、ほかは全部平均点前後してそうな感じ?
それにひきかえ穂乃果とにこちゃんは全部センスで解きそうな感じ。結果的に数学が撃沈していく的な、、、
大輝に関してはめんどくさがってサボってるだけです(笑)本気出せばそこそこ取ります。(そうは言っても真姫や圭の足元にも及ばない)