僕達の女神   作:Isaac 1,92

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それを知って、、、

(大輝)

 

「と、言うわけで希先輩がμ 'sに加わりました〜!!」

 

「どういう訳よ!!」

 

 オレの言葉ににこ先輩が流石の速さで突っ込んでくる。オレ個人としてはにこ先輩にはアイドルよりもお笑い芸人になって欲しい、、、

 

「にこ先輩、説明すんの面倒なんで前の話見直してきて下さい」

 

「前の話って何のことよ!」

 

 うんやっぱりいい。

 

 放課後のアイドル研究部で、練習が始まる前にオレは希先輩の事をみんなに話した。にこ先輩を始めとしたμ 's、圭とオレのアイドル研究部全員(幽霊部員が一人いるらしいがそこはノーカン)そして今日から新たに加わる希先輩の計10人がいる。

 

「まぁまぁにこっち落ち着いて。ウチが説明するから、な?」

 

「でも、本当にどうして急に希先輩がμ 'sに加わるなんて話になってるんですか?」

 

 ことりがもっともな質問を希先輩にしているが、

 

「え?オレに聞かないの?」

 

 話してたのオレだよね?うん。にこ先輩だってオレに聞いてきたし、、、なら、何故あえてことりは希先輩に?

 

「え?あ、大輝くんは、、、」

 

「話がねじ曲がったり誇張したりしそうだから、ことり先輩はしなかったんでしょ?」

 

「あ、真姫ちゃん、そんなストレートに、、、」

 

「ことりもせめて否定してくれよぉ!」

 

「あ、ご、ごめんね大輝くん」

 

「しょうがないわよ、事実だから」

 

 ぐぬぬぅ、真姫めぇ。優雅に髪の毛クルクルしやがってコンニャロウ、、、

 

「それで、本当に突然どうしたんですか?希先輩」

 

 海未が脱線しかかった話を元に戻してしまう。オレ個人としては真姫に仕返しするまでもう少し引き伸ばしていたかったが、、、しかし、海未が真面目に質問したのに対して希先輩は

 

「ふふふ、カードがウチにそう告げたんや。『μ 'sに入るべし』って」

 

「またそんな、占いでそこまで具体的な結果になるとは思えませんが、、、」

 

「信じたもののみ、救われるんよ。海未ちゃん」

 

 希先輩のいつもの言い訳にμ 'sのみんなと圭は半ば呆れつつ、それでも希先輩なら有り得なく無いという反応を見せるが、真実を知ってるオレとしては希先輩が何故、本当の目的を隠してしまうのかが気になった。

 

 

 ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

 

 

 希先輩を新たに加えたμ 'sは放課後の練習を滞りなく終わらせた。これは意外だったが希先輩は運動神経が結構いい。流石に凛には遠く及ばないが、それでも体力トレーニング無しで現段階のことりやにこ先輩くらいは動けていた。

 μ 'sの中の運動能力を順番にいうと、運動が苦手な部類に花陽と圭。中間にことり、真姫、にこ先輩と希先輩。かなり動けるのが海未と穂乃果で、頭一つ飛び出てと凛と言ったところか。オレはだいたい凛と同じかそれよりも体力面で少し上、と言ったところか、、、穂乃果は元々のセンスが良かったので、最近では階段ダッシュのタイムも海未に追いつく勢いだ。

 

 そんなμ 'sもオープンキャンパスに向けて今日から新曲の練習に入る。海未と圭の2人がかりで作詞された、困難に立ち向かう時に、そばにいる友達への友情を歌ったその曲は『友情ノーチェンジ』と名付けた。

 まだ、音楽はピアノしか完成していないが、リズムがわかれば動きの合わせは出来る。ワンフレーズずつ区切って動きを確認、時には変更も加えながら形作っていく。

 

  一番の振り付けがおおよそ完成したところで時間は午後6時を回るところだった。長くなった日がまだ、高い位置にあるように感じたが、あまり無理しすぎてもよくない。しばらく毎日ずっとこの練習を繰り返すことになるので疲れを残しても良くない。今日はそこまでとしてメンバーは着替えしに練習場所の屋上から部室に戻り、圭は飲み物の片付けや屋上の施錠の準備を始める。オレは少し急ぎ足でメンバーを追いかけ、その中から今日入ったばかりの一人に声を掛ける。

 

「希先輩」

 

「ん?あ、大輝くん。なぁに?何か用事?」

 

「今日一日やってみてどうでしたか?」

 

「うん、すっごく楽しかった。やっぱり見ているのとやってみるのとは全然違うんやな。ちょっと大変なところもあったけど、それよりも、みんなで踊るのつて楽しいな」

 

「そっすか。なら良かったっす。それで、、、」

 

「わかってる。なんでμ 's入った理由を誤魔化したのか、やろ?」

 

「分かってるならなんで。昨日も言いましたけど、何かを変えるならまず自分からじゃないと、、、」

 

「分かってる。分かってるつもりよ。でも、急にって言われてもウチも周りのみんなも困ってまうやん。だから、少しずつ、な?」

 

「、、、希先輩がそれでいいと思うならいいですけど、、、」

 

「うん、ウチはウチのペースで頑張って見るから、大丈夫や」

 

 小動物をのような可愛い笑顔で希先輩はそう言うが、オレは何となくそれがまだ、何かを隠すための盾に見えてしまった。しかし、希先輩本人がこう言っている以上、オレには他に出来ることもない。焦りすぎてるのかもな、と一人思うだけだ。

 

 会話が切れたところで希先輩は着替えに部室に戻ろうとして振り返るとそこには既に着替えを済ませた海未が、少し怖い顔をして立っていた。

 

「大輝、希先輩、、、少し話したいことがあります」

 

 

 

 *☼*―――――*☼*―――――(大輝→海未)

 

 

 

 希先輩の着替えを待って、私と大輝、希先輩の三人は学校をあとにしました。

 

「立ち話もなんやから、どこが座れる場所があるとええんやけど、、、海未ちゃん、どこか知らない?」

 

 希先輩がそう私に尋ねてきた時、私が思い出したのは生徒会長と話したあの公園でした。これから一昨日そこであった出来事を話すのに、なんとも皮肉なものです。ですが、他にいい場所も思いつかなかったので結局私たちはその公園で話すことにしました。座ったのはあの時とは違いブランコに座りました。私と希先輩がブランコそのものに、大輝は近くに設けられた囲いのような柵に適当に寄りかかっって落ち着きます。

 

「それで海未、話ってなんだ?」

 

「ええ、実は一昨日、偶然にも生徒会長と話す機会がありましたので、その、聞いてみたんです。生徒会長が私たちμ 'sの事をどんな風に思っているのか」

 

「生徒会長と話す機会って、サシでか!?」

 

「サシ?大輝、サシとはなんですか?」

 

「『サシ』は『一対一』って意味だよ海未ちゃん。でも、ほんとなん?エリチと話したって」

 

「ええ、途中までもう一人、生徒会の背の高い男の先輩もいましたが、私がそのことについて生徒会長に尋ねる前にどこかに言ってしまいましたが、、、」

 

「雄大くんもいたんや、、、」

 

「それで海未、生徒会長はなんて言ってた?」

 

 少し落ち込んだ風な希先輩、真逆に続きが気になって仕方ないという感じの大輝。

 

「生徒会長は、、、私たちのこと、いえ、スクールアイドル全体のことが素人にしか見えないと言っていました。あのA-RISEでさえ、素人だ、と」

 

「素人!?あのA-RISEが!?」

 

 大輝が驚きをしていて通り越して呆れたように言います。

 

「私だって驚きましたよ。でも、その時の生徒会長は当てずっぽうを言ってるような感じてはありませんでしたし、、、どこが悪いのかと聞けば答えられるくらいの自信があるような雰囲気でした」

 

 そう、あの時、A-RISEを素人と言い切った生徒会長からは虚勢を張っているような雰囲気は無く、むしろそれが当然の評価だと言った感じでした。

 

「まぁ、エリチにはそこまで言えるモノがあるからな」

 

「「えっ!?」」

 

 希先輩の突然の発言に私と大輝の声が重なります。

 

「話すより、見てもらった方が早いね。ちょっと待って、、、」

 

 そう言って希先輩は自分のスマホを操作し始めます。しばらくして差し出されたその画面にはどこかのステージが映し出されていました。舞台中央には何かを待つように佇む金髪の少女が一人。続いてクラッシックが流れ始めるとその少女はそのサファイアのように澄んだ青い眼を開き、流れるような動作で手足を動かしていく。真っ白な衣装を身にまとったその少女バレリーナは繊細で美しく、年相応のかわいらしさとともにどこか神秘的な雰囲気もまとわせながら、舞う。何もないはずの背景に湖や森といった自然物が見えるような気がして、その少女はそこで踊る妖精を思わせました。

 

 しばらくして、動画が停止終了しても私と大輝どちらも何も言い出せません。私自身、日舞を習っているため先程の少女の技量などがおおよそですがわかるので、その技術、表現力の高さがを痛感します。またそれを抜きにしてもおそらく今の大輝のように方針したことでしょう。それほどまでに、画面の中の金髪碧眼の少女バレリーナの演技は素晴らしいものでした。

 

「これが、エリチの自信の源なんやと思う」

 

 希先輩の言葉に私も大輝も何も言えません。そう、さっき見た金髪碧眼の少女バレリーナこそが、ことあるごとに私たちの前に立ちはだかった生徒会長、綾瀬絵里先輩、その人でした。彼女の目から見た私たちは本当に『素人』にしか見えなかったのでしょう。私たちμ'sの中に彼女以上の踊りのできる者は誰一人としていないのだから。一番運動のできる凛でさえ、あそこまでの表現は不可能でしょう。

 

「なぁ、二人とも。今日はもう帰ろう?もうだいぶ日も落ちてきたで」

 

 希先輩の声に我に返ります。学校を出たときにはまだ薄橙色だった空はすでに茜色から鮮やかな青紫に変わり始め公園には私達以外の人影は見えませんでした。

 

「夏が近くても、夜は冷えるよ?」

 

 希先輩に促されて私たちは別々の岐路に着きます。しかし、家に帰ってからあの映像が頭から離れません。学校の復習にも手が付かなくなってしまい。行儀は悪いですが私はそのまま床にあおむけに倒れこみました。

 

 私たちの今までの努力は、生徒会長の足元にも及ばなかった。

 

 その事実が鉛のように私の思考を押しつぶします。今の私たちのままで本当に学院を廃校から救えるのか?所詮思いつき。結局は無駄だったのか?考えたくもないのにネガティブ考えが次から次へと湧き出てきます。その夜。私はそれらから逃げるように体を布団に潜り込ませ、頭から掛け布団をかぶりました。

 

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