(大輝)
「あー!ことりちゃん!大輝くん!こんなところにいたー!もう!探したんだからね!」
階段を駆け上がってきてのは穂乃果だった。息を切らしながら様子から、かなり走り回ったのがうかがえる。
「海未ちゃーん!二人ともいたよー!!」
「ほん、とうですか?良かった」
姿は見えないけれど、海未が返事をする声が階段の方からした。一緒に探していたのだろうか?
「もう!二人とも勝手にいなくなっちゃダメだよ!皆であっちこっち行ったんだから!」
「ご、ごめんね穂乃果ちゃん」
ことりが隣で小さめの声で謝る。
「もう、次は気をつけてよ!ことりちゃん!それで、大輝くんは?」
「は?え、オレもか?」
穂乃果はオレを睨んで頬を膨らませていかにも怒ってますって感じだ。
「オレはちゃんと断っただろ」
「断っても、許してない!」
「はぁ?」
相変わらず無茶苦茶なやつだ。なんだよ、許してないって、
「はぁはぁ、二人とも、ここにいたんですか」
海未が遅れて階段を登りきってオレ達の前にやってくる。
「ごめんね海未ちゃん」
「大輝を見つけたなら見つけたで連絡を下さい!ことりが突然飛び出して皆、心配してたんですよ!」
ことりが海未に叱咤されるというのはちょっとレアな光景なんじゃないか?だいたいいつもならことりが海未の弱点を突くからなかなかない構図だな。
「大輝、あなたもですよ!勝手に出ていって!」
って、その矛先をオレに向けられても困るんだが。
「オレはちゃんと断って挨拶もして出てきただろ」
「いいえ!私たちが認めてません!」
、、、海未までもが屁理屈をこね始めた。なに?そういう年頃なのかな?反抗期?思春期?
「大輝くん!私たち、大輝くんにやめて欲しくないの!」
穂乃果も詰め寄ってくる。まるでオレの話を聞く気なしと来たもんだ。
「あのな、一旦落ち着けって」
オレは三人をなだめて話すことにした。確かにオレも端折り過ぎたところはあったかもしれない。それが今回の混乱ならオレもちゃんと説明責任くらいは果たさなきゃな。
「オレはな、μ 'sが今後の活躍のためにはオレがマネージャーをしているのはまずいんだ。オレみたいにワケありなやつがマネージャーをやってるとさ、難癖つけてくる連中がいるかもしれないだろ?だから、、、」
「そんなの関係ないよ!」
オレが説明している途中で穂乃果は遮った。じっとオレを見る穂乃果は、いや、穂乃果だけじゃない。ことり、海未も。三人とも、怒ってる?
「私たちは、μ 'sのためとかそんなことを話してるんじゃない!私たちは大輝くんにマネージャーでいて欲しい。ただそれだけなの!大輝くんがμ 'sのためを思ってくれてるのはわかってるつもりだよ、、、
でもね!
私たちは大輝くんと一緒に頑張りたい。大輝くんがやめちゃうなら、それはもう、μ 'sじゃないの!大輝くんは大切な仲間だから、μ 'sには、大輝くんが必要なの!」
穂乃果はオレに見たこともない表情を見せていた。それは激怒した顔。オレは穂乃果が本気で怒るところをこの時初めてみた。
「、、、穂乃果、何をそんなに怒って、、、?」
「わからない?大輝くん」
隣にいたことりが語りかけるように優しい口調で話す。
「μ 'sは結成した時からずっと大輝くんに支えられてきた。大輝くんがいなかったら、みんながこうやって集まらなかったかもしれない。私たちも途中で挫けてたかもしれない。私たちがここまで来れたのは、大輝くんのおかげなんだよ。
だから、
甘えかもしれないけど、私たちは大輝くんに支えられたい。それに、私たちも、大輝くんに恩返ししたい。私たちと一緒に楽しいこと、嬉しいことを分かち合いたいの。
それなのに、大輝くんは私たちのことばっかり考えて自分のことを犠牲にしようとした。そんなことをされて、そのまま続けるなんて出来ない。私たちにも、大輝くんのことを考えさせて?」
「、、、オレは別に、犠牲だなんて」
「嘘、じゃあなんで今日、ライブを見ている時、寂しそうな顔をしてたの?」
ことりと目を合わせていられなくなってオレは視線をそらした。もちろん。ことりがカマをかけた可能性もあった。けれど、そんなことに気がついた時には遅かった。
あの時、本気で楽しかったか?と聞かれたら、自身を持ってイエスと言えない自分がいた事を、オレはどこかで認めていたから。
視線をそらした先には海未がいた。静かにオレを眺めた後でふっと忍び笑いをした。
「、、、なんだよ」
「いえ、ただ。大輝は分かりやすいなぁっと思っただけです」
「、、、お前にいわれたくないわ」
「言い訳はかっこ悪いですよ?それに、あなたはただでさえ約束を破ろうとしているのですから。尚更です」
「、、、約束?」
「まさか、忘れたんですか?ファーストライブの後に言ったじゃないですか」
ファーストライブの、後、、、
『どうしたもこうしたもあるか!よし!決めた!お前らが続けるなら、オレも続けるぞ!!』
『『『本当(ですか)!!!』』』
『ああ、本当だ!最後までお前らをサポートしてやる!』
ああ、確かにそんなことを言ってたなぁ、、、
「懐かしいな、、、ファーストライブ」
そんなに時間も経ってないのにずっと前のことのように感じる。
『穂乃果、海未、ことり、改めておつかれさま!!』
『うん、大輝くんも、ありがとうね』
『おう!へへ、オレ達やったんだもんな、ライブ』
『一時はどうなることかと思ったけどね』
『傍から見たら完敗かもしれないけど。それでも俺達はやったんだからいいんだよ!』
完敗から始まったμ 'sが今やアキバで路上ライブだもんなぁ。
『大輝は出ていませんけどね』
『う、うるせぇ。オレだってお前らと準備してきたんだから出たも当然だろ!』
『ふふふ、そうですね』
なんだっけか、このあと穂乃果が何か言ったような、、、
『そうだよ大輝くんもμ'sの仲間だね!!
そうだ!!大輝くんはμ'sのマネージャー!!どう!?』
「、、、穂乃果の言いたいことが分かりましたか?」
海未がオレを見ている。ことりも、穂乃果も。
ああ、なんだよ。
オレ、めっちゃ恥ずかしいじゃん。自分で言ったことも覚えてないで、自分勝手に騒ぎを起こして、、、皆はただオレの仲間でいてくれようとしてくれてたのに、、、
「大輝、何か言うことがあるんじゃないですか?」
「ああ、海未、、、そうだな」
オレは三人にちゃんと正面から向かい合った。
「ごめん!皆。オレ、なんかひとりで勝手に焦っちゃって皆に迷惑かけた。μ 'sのためとか言ってたけど。結局、昔の自分から逃げてただけだった。ほんとごめん!」
「もー、しょうがないぁ。どうする?海未ちゃん?」
「そうですね、、、
練習をサボった罰として明日から一週間メイド服を着るというのはどうでしょうか?」
「あ、ちょっと可愛いかも〜」
、、、あれ?え?ちょっと待って?
ここは流れ的に許してもらってハッピーエンドじゃないの?オレの頭上でおっそろしい会話が飛び交ってるのは何故?と言ってもツッコミを入れられる状況でもないし。
「せっかくなので写真をとってホームページに載せますか?」
「う、海未ちゃん。それはちょっと、、、」
「あら?ことりは反対ですか?μ 'sがマネージャー一人の不始末程度でどうにかなってしまうようなグループではないと証明するには絶好の機会ではありませんか?」
「もうやめて!なんか大輝くんが可哀想になってきた!」
ナイス!ナイスだ穂乃果!この地獄のような時間をサッサと終わらせてくれ!
「まったく、しょうがないですね、、、ほら、大輝。顔を上げてください。今ので少しは懲りたでしょう?」
オレが音速で頷いたのは言うまでもない。
「ふふふ、なんだかやっぱりこの四人でいると、思い出すね」
ことりが急に笑って言う。
「ファーストライブの事だよね。懐かしいなぁ」
穂乃果はぼんやりと景色を眺めて言う。
「私達、いつまで、ずっとこうしていたいられるかな?あと2年で高校も卒業だし、、、」
ことりは不安そうな声色で言う。学校を卒業したら、こうして集まる機会も減るだろうな。
「大丈夫だよ!ことりちゃん!」
しかし、あくまで本心なのだろう。穂乃果は自信たっぷりにそういった。
「だって私、ずーっと皆と一緒にいたいって思ってるもん!」
ことりを抱きしめた穂乃果はそうなると確信しているように言う。
「だって私!みんなのことが大好きだもん!」
真っ直ぐ、素直に。だからこそ、穂乃果の言葉はこんなにもオレの中に染み込んで馴染むのだろう。
「私たちは、ずっーーーと一緒だよ!」
「穂乃果ちゃん、、、うん!ずっと一緒にいようね!」
ことり、穂乃果、海未、オレは並んで頷いた。
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「では、私は明日から大輝が着るメイド服を調達してきますので、今日はこれで」
「ちょっとまて、海未ぃ!それ、冗談じゃなかったの!?」
「それはそれ、これはこれ。罰はあくまでも罰です。大輝が練習をサボった事実は変わりませんので」
「そんなぁ!?」
日の暮れた神社に、四人の楽しそうな声が響いていた。
第4章、これにて完結とさせていただきます。
、、、なんでですかね、毎章誰かしら悲しい思いをしてる気がする。ほのぼのしたのも書きたいなぁってか考えながら書いてもこうなる。ギャグセンの高い文書を書く人は本当に尊敬します。
さて、アニメ一期の分で行くとちょうど半分位のところまで来ました。今後のイベントを考えると書く速度がさらに落ちる気がします、、、現状、1話/1~2週 のペースを考えると、、、
ついでに、宣伝をします。
Undertaleってゲームにはまりまして、その単発小説を上げました。原作をあまり知らなくても何となくわかるように書いてみたので、興味があれば是非読んでみてくださいねー。
それでは、ありがとうございました<(_ _)>