僕達の女神   作:Isaac 1,92

8 / 63
せっかく日曜なので頑張っちゃいました。たぶんもうこんな真似できません。

今回、ようやくあの技の登場です!!


(時間軸がわかりにくいですが、前回の終わりと同じ日の放課後からの始まりです)


私の音楽

(雄大)

 

講堂の使用の条件を穂乃果たちに伝えた翌日の放課後、雄大は校内を見て回っていた。

 

 

 

「、、、学校の施設自体はかなり充実していると思うんだけどなぁ」

 

最近、スクールアイドルの件で横にそれてしまいがちだが、ひとまず生徒会の(というか絵里の)目標は廃校の阻止だ。絵里はまだ資料からヒントを得ようとしているが、はっきり言って何も見つからないだろう。俺は施設を見てくる口実で実質サボリ中というわけだ。

 

そもそも俺が生徒会に入ったのだって合法的に学校の機械を触りたいからだし、特段この学院にこだわりがあるわけではない。あのスクールアイドルの子たちの件のように、生徒会の仕事となれば手を抜くことはしないが、今回は絵里が暴走してるだけな気がする。実際、理事長に止められているのだし限度があるだろから、ある程度で収まるところに収まるだろう。

 

 

 

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

 

 

 

~♪、、、~♪

 

 

音楽室の近くを通ったところでピアノの音が聞こえてきた。曲、、とは言えない断片的な旋律だ。中学時代パソコン部で音楽の編曲などをしていた俺には作曲作業のように聞こえた。

 

「また練習か?ここの鍵、かけ忘れないようにな」

 

音楽室の中でピアノを弾いていたのは入学式の日も同じようにピアノを弾いていたあの赤みがかかった髪をした一年生だった。

 

「っておい。聞いてるのか?」

 

「え?あ、ごめんなさい、集中してて。何ですか?」

 

ピアノの周りを手書きの譜面で散らかしていたこの子は集中するあまり周りが見えなくなっていたようだ。

 

「全く。使い終わったら、音楽室をちゃんと施錠しろよ。それと、作曲もいいが下校時刻は守れよ」

 

「え、どうしてわかるの?私が曲を作ってたなんて」

 

「どうしてって、そりゃぁ、、、」

 

ピアノの上には手書きの譜面、走り書きのようなメモ、それにさっきの短い旋律。いろいろ根拠はあるが、、、

 

「あなたも、作曲とかするの?」

 

返答に困っていると向こうから話を振ってきた。

 

「作曲ってほどじゃないけど、既存の曲を編集してアレンジかけたりするくらいなら中学の頃からしてはいるけど」

 

「編集?」

 

「ああ、パソコンに楽譜を打ち込んで音楽を作るやつ。自分で曲は作れないから他人の曲を変えるだけだけど。パソコンでやるから楽器が弾けなくてもできるからね」

 

「ふーん」

 

そのとき、部活動以外で、残留届の出していない生徒の、完全下校時刻を告げる鐘がなった。

 

「ほら、もう帰れ。鍵は俺が閉めておくから」

 

俺達は音楽室を出て、赤毛の子は玄関へ、俺は音楽室の施錠を確かめた後、絵里が書類と格闘しているだろう生徒会室に向かった。

 

 

 

 

*☼*―――――*☼*―――――(雄大→大輝)

 

 

 

 

「もうだめぇぇ~」

 

「足が動かないよぉ」

 

「ほらほら、後2周!ガンバ!」

 

放課後、海未とオレの指導の下、穂乃果とことりの体力トレーニングしていたのだが、二人は途中で弱音を吐きだした。穂乃果もことりも確かに体力が足りないな。

 

所の神社(希先輩のバイト先)の階段を10往復するのトレーニングの最中だったが、二人は八周したところで膝をついてしまった。オレにとっては少しきつい程度なのだが、こいつらはまるでこの世の終わりのような顔をしてやがる。しかも周回遅れ×2だ。海未は弓道をしてるだけあってオレとそこまで差がなく終えている。

 

「ほら、後2周ですよ!それともあきらめるのですか!?」

 

「も~、海未ちゃんの鬼!!悪魔!!」

 

なんて言いつつやるんだから穂乃果もことりもなんだかんだで根性あるよな。オレとしては、海未が予想以上に体育会系だったのが一番衝撃的なんだが。

 

 

 

 

「キャァ!!?」

 

と、突然、女の子の悲鳴が聞こえてきた。

 

「な、なに?いまの?」

 

ふいに響いた悲鳴に穂乃果も動揺しているようだ。

 

「ごめん、ちょっと見てくるわ」

 

今の悲鳴は確実に何かあったやつだ。ここは神社、この時期、参拝に来る人はまずいない。ということは、今の悲鳴が聞こえたのは俺達だけかもしれない。何かあったのならすぐにそれ相応のところに連絡しなくては、、、

 

オレは緊急事態を予想して悲鳴が聞こえたほうに全力ダッシュした

 

 

が、、、

 

 

 

 

 

 

 

「、、、、、、、、何してるんすか、希先輩、、、、、、」

 

「ん~~?なんやろねぇ?」

 

悲鳴の主犯はすぐに見つかった。というか隠れる素振りすら見せなかった。

希先輩があの歌のうまい一年生(確か名前は西木野真姫ちゃん)を後ろからホールドしていたのだ。悲鳴の原因はそのホールドの仕方だ。その、つまり、こう、後ろから胸をええーと、ガシッと、うーんなんか違うな。なんて言うか、、、あ!そう!

 

「ワシワシだ!」

 

「何叫んでんのよ!!」

 

「いやー、すっきりした。なんかうまい言い方がなくてさ」

 

そうかそうか、ワシワシか。要は真姫ちゃんが希先輩にワシワシされて悲鳴を上げたと。

 

「って、ジロジロ見ないでよ!あなたもいい加減放しなさい!」

 

「「えー」」

 

「えー、じゃない!!」

 

結局、希先輩はすぐに真姫ちゃんを開放した。(お、オレは変な事考えたりしてないからな!!神様ありがとうって感謝してただけだからな!!)

 

「んー、まだ発展途上と言ったところやな」

 

まぁ比較対象が希先輩じゃ、そうなるわな。希先輩の胸は年齢詐称物だ。

 

「でも希望は捨てなくて大丈夫や、大きくなる可能性はある」

 

「はぁ?」

 

すげぇ!?ワシワシってそんなことまでわかりのるのか!?

 

「恥ずかしいなら、こっそりという手もあると思うんや」

 

「な、なんのはなし?」

 

「わかるやろ?」

 

そういって希先輩は神社に戻ってしまった。残されたのは俺と真姫ちゃん、、、

 

「よかったな、まだまだ大きくなるってよ」

 

「、、、それ以上言ったら先輩でもぶちますよ」

 

「え゛、、、」

 

何この対応の差。むしろオレの方が優しくね?

 

さらに声を掛けようとしても真姫ちゃんはもう遠くの方に歩いて行ってしまってた。

 

 

 

 

*☼*―――――*☼*―――――(大輝→真姫)

 

 

 

 

『恥ずかしいなら、こっそりという手もあると思うんや』

 

「こっそり、か」

 

私、西木野真姫は自宅のピアノの前で考えていた。

 

将来は医者になって両親の病院を継ぐ、私にとって疑いようのない夢だ。

 

両親は病院を経営している。規模も結構大きな総合病院。両親の意向で地域に根差した医療を目指している。私はそんな両親を尊敬してるし、憧れてもいる。だけど、それでもやっぱり医者になるのは難しいこと。だから、高校に入ったときに医者になる夢に絞って音楽とは縁を切るつもりだった。なのに、

 

 

『私、西木野さんの歌声、大好きなんだ!!』

 

 

混じりっ気のない、素直な言葉。今日の放課後、今度は一人で私に作曲を頼みに来た、アイドルを目指すあの人がかけてくれた言葉。これまで数多くのコンクールに出たけども、そこでかけられた、どんなに考えつくされた賛辞よりも私の胸に深く響いた。きっとあの人は音楽のことなんか何も知らない人だろう。きっと思いつきで出た言葉なんだろう。

 

だけど、だからこそ。

 

何よりも透き通って私の心の中で未だにこだまし続けているのだろう。あの後、私が無意識的に作曲を初めていたのもその言葉のせいだ。

 

私に作曲を頼みに来たあの人、そして、その友人たちを思い出す

 

みんな本気の目をしていた。心の底から、廃校寸前の学院のために自分たちができることをしようとしていたのだ。

 

それを、、、私は無視した。

 

誰かのために努力している人を無視して自分のためだけに行動する、そんな奴がいい医者になれるのか。せっかく自分の音楽を認めてくれて、その上自分を頼ってきた人を無下にして、そのうえで、自分だけが夢を叶えるのが、本当に正しいことなのか。

 

 

 

、、、

 

 

 

そんなの私が夢見る未来じゃない。

 

 

その後は夢中で作曲に取り掛かった。一度ママが様子を見に来たけど私を一度見てうれしそうな顔をするとすぐにどこかに行ってしまった。

作曲は想像以上にはかどった。あらかじめ歌詞を決めておいてくれたのも確かにあるが。それよりもあの人たちの歌う姿、あの人たちがこれから活動していく、その一番最初の曲。あの人たちのスタートの曲。そう考えると不思議なことにメロディーが次々と浮かんだ。

 

気が付くと外は、もう真っ暗できれいな半月が空の高い位置にあった。あの人たちもこの月を見てるのかななんてちょっとセンチメンタルなことを思ったりして。

 

 

 

 

完成した楽譜を見ながら、私は肝心なことを忘れていたことに気が付いた。私に作曲を頼んだということはあの人たちの中で音楽の知識がある程度ある人はいない、ということ。そんな人にこの譜面を見せて果たしてちゃんと演奏できるのか、、、できないなら私が演奏し、録音して渡さなければならないが、、、

 

「録音って、どうすればいいのよ、、、」

 

私はただ茫然とするしかなかった。

 

 

 




前回の終わり、圭と花陽が音楽室の前で見た穂乃果は、一人で真姫の説得に来てたんですねぇ(補足)

もっとわかりやすく表現できるとよかったのですが、自分の文才ではここが限界でした。堪忍や~。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。