MARVEL短編   作:ヒンキーパンク

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第4話

 

目、とは。

 

五感の中で1番受け取る情報量が多い器官だ。

 

つまり、この目が失われた場合、生物は動けなくなる。

端的に言うと、だが。

 

ちなみに、人間の体は欠損している器官の役割を果たす他が担う様に作られているという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、スパイダーマン。キミのような青年が、こんなスラムに来ちゃ危ないよ?」

 

「大丈夫だよ、マット。これでも力と柔軟さが自慢でさ。学校じゃ、運動音痴の振りをするのが大変さ。」

 

「それは大変そうだ、体力測定も碌にできないだろう。」

 

「あぁ、垂直跳びなんてやろうものなら天井に張り付いちゃう。」

 

「面白いじゃないか。」

 

 

 

夜のスラム…NYのヘルズキッチンの一角で交わされていた何気ない(ヒーロー特有の)会話。

そんな会話をしながら悪の組織の雑魚をなぎ倒していくのもまた、何気ないヒーローの仕事だ。

いやいや決して油断している訳では無い。いやいや決して…

 

 

「うわっ」

 

「ん?どうした?」

 

「油断しちゃった。」

 

「まったく」

 

「ごめん、逃げられちゃったね」

 

「いや、大本の目的はこの不思議なクリスタルの回収だ。それが達成できたんだから、良しとしよう。」

 

マットことデアデビルはそういうと、スパイダーマンにクリスタルを放った。

「ありがとう、じゃあ僕はこれ戻してくるよ。」

 

パシッと掴んだクリスタルを持ち、スパイダーマンは路地裏を上って夜の街を飛んでいった。

 

 

「ふぅ、年かな、前はもう少し疲れにくかったんだが。」

 

そう言いながらマットは各所の関節を鳴らしながら帰路についた。

 

 

 

マット・マードックは盲人である。

小さいころ核廃棄物を浴びて盲目になった。

放射能が影響し、彼はとても優れた視覚以外の感覚を身につけた。

耳では音の反射で物体の形・距離を頭の中で展開し、鼻では誰が来たか匂いで理解し、舌では舐めただけでどんな成分かわかる。

おまけにマーシャルアーツの達人と来た。

ここまで来ると視覚のハンデなんて無いようなものだ。

 

そんな彼が帰宅する。

 

 

 

「さて、冷蔵庫の中には…と、ベーコン、生クリーム、チーズか。パスタはあったかな?」

 

どうやら夕食をつくるらしい。

 

「それと、ガーリック。コレが無くちゃ刺激がないな。」

 

どうやらカルボナーラに決めたようだ。

 

 

 

数分して彼1人の食卓には美味しそうなカルボナーラとワインが並んでいた。

フォークでパスタをゴルフボール大の大きさに巻き込み、それを口に運ぶ。

口の中にはたちまち、クリームの濃厚な味わいと、ベーコンの香ばしい芳香がハーモニーを奏でる。

 

「うん、美味しい。」

 

そう言ってワインで口元を潤す。

 

それを繰り返していたらいつの間にか誰かが目の前に居るようだ。

 

「この匂いは…ブレイド、君だな?」

 

「あぁそうだ。ヴァンパイアハンターこと、ブレイドさ。」

 

「食べることに夢中になってしまってね。済まなかった。それより一体どうやって…」

 

そう言いマットは軽く舌を鳴らすと苦笑を浮かべた。

 

「なるほど、窓を焼き切ったわけだ。」

 

「あぁ、こちらこそ済まなかったな。なにせノックしても気づかないもので。」

 

「焼き切るのは勘弁して欲しいな。」

 

「それより、実は今、ヴァンパイア以外のやつに追われていてな。匿ってくれ。」

 

「あぁ、その様だ。さ、風呂にでも入ってゆっくりしていってくれ。逃げてるうちにゴミ箱にでも入ったろ?匂いでわかる。」

 

「恩に着る。」

 

そういったブレイドはリビングから消えた。

 

「さて、コレ直しておかないとな…」

 

 

ブレイドが入った窓からは焦げた匂いがした。

 

 

 

翌日、起きるとブレイドは買出しに行ってくれたようだ。

 

「何を買ってきてくれたんだい?」

 

「電池、鉄、その他もろもろ。卵が無かったので買っておいた」

 

どうやら殆どはマットの為では無かった様だ。

 

「紫外線装置でも作るのかい?それと卵ありがとう。」

 

「That's right.卵に関しては俺が食べたかったのもあったんでな。」

 

 

朝食を終えた2人はそれぞれ出勤する(1人は出勤と呼べるのかどうか怪しいが。)

 

「じゃあな。居心地の良い家だ。」

 

「まぁね。1人には広すぎるが。頑張れよ。」

 

「あぁ」

 

2人は別々の方向に歩き出した。

 




何のオチもなく終わってしまいましたが、デアデビルの日常の一つ、ということで大目に見てください(´・ω・`)

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