待ってくれ!
大便を投げないでくれ!降参だ!
俺はただダークソウルをやっていただけなんだ!あれがなけりゃ、SSを投稿していた!
それにあんた達もフロム信者ならわかるだろ?ノーカウントだ!ノーカウント!
な?わかるだろ?同じリンクス、レイヴン、不死、狩人じゃないか?
濃霧が周囲を包み込み、視界と太陽光をさえぎる荒野
相も変わらず肌寒く赤褐色の荒地が目立つここ"カッツェ平原"にて、俺を含めたフォーサイトは仕事にいそしんでいた。
本来今日は休日としてすごす予定だったところを頼み込み、俺が宿屋のテーブルを粉砕したことにより発生した臨時出費に対する補填のために急遽仕事を作ったと言うわけだ。
私情で申し訳ない限りだったのだが、アルシェのある提案によってメンバーの目の色が変わる。
俺を利用したある実験。
アルシェやロバーデイクまでもが悪い笑みを浮かべていたことには正直引いたのだが、彼女の提案には素直に賛同し現在に至る。
「250-260-270-…っと、ひとまず剣の"収納"は終わったぞー」
「りょーかいっす。西側も今持ってる分である程度回収終わった感じっす」
「ーー北側同じく回収終わり。アンデットも出なかったからスムーズだった」
地面に半分埋もれた廃墟の柱に腰かけ、錆び付いた剣を"アイテムインベントリ"へとしまっていく。
ヘッケランとアルシェはそれぞれ両手と〈
ソレを適当に革紐で縛ると、インベントリへとしまっていくという単純作業をひたすらに行っていた。
そう、アルシェの提案というのは俺のアイテムインベントリを利用した物資運搬だったのだ。
最初はアイテムインベントリにしまうことが可能か不安があったのだが、問題なくしまうことが可能な上に、一定数を一くくりにすることでスタックすることも可能であるということがわかった。
異世界における初仕事と言うことでモンスターを狩りまくるような仕事を期待していたのだが、これはこれで確かに俺にしか出来ないことであることには違いない…が、やはりどこか戦いや血を求める何かを体の内に感じる。
「しかしこんなこと全く思いつかなかったな。ユグドラシル側の視点じゃ当たり前すぎて中々気付けるものじゃない素晴らしいアイデアだ」
「ーーど、どうもです」
「確かにこれは盲点だよなー。武具の輸送に荷馬車を借りる必要も無ければ、それ以上に大量に運ぶことも出来るうえに重さの負担もない…なんかストレイドさんのソレずるくないですか?」
「確かに誰もがその…アイテム…インベントリ?っていうのが使えたって言うのはずるいわね。と、言うわけでただいま」
「南、東共に回収終わりました。欠損が少ないパイクが数本あったので分けておきますね」
そうこうしているとロバーデイクとイミーナの二人も戻ってくる。
二人も同様に風化した武具に加え、比較的美品のパイクを一箇所にまとめて置く。
そもそもカッツェ平原には何故これほどまでに武具がうち捨てられているのか?
ヘッケランが言うには毎年この地でバハルス帝国とリ・エスティーゼ王国という国が、小競り合いのような合戦を行っているとのことだ。
正直この時点でリ・エスティーゼ王国はまだしも、バハルス帝国というのが自分がいる帝国だというのにも気がつけなかったのだが、その辺の不足知識に関しては適当に相槌を打って流していた。
ともかく、その戦争によって多数の兵士が死亡し、装備や遺品は大抵回収されるのだが、アンデットが出没するという性質上全ての装備が回収されると言うわけではないようだ。
しかも風化によって錆び付いた武具は殆ど使い物にならないため、回収するものは少ないとのことだ。
やっていることは追い剥ぎのそれに近いのだが、放置すればアンデットがソレを使用することによる危険性の増加を未然に防ぐという大義名分の下に回収にいそしんでいるというわけだ。
「280-290-300っと、大体錆びた剣だけで300本は回収できたな」
「そんな量普通に帝都に持ち込もうとしたら確実に止められるな…いやそれどころか衛兵に捕まるかもしれないな」
「ーー関所での検査をスルーできるうえに大量搬入の税を取られることもない。我ながら完璧」
「完全に密輸なんだが…まぁ私だけの特権と言うわけでありがたく試金石として使わせてもらおう。ところで疑問に思っていたんだが、こんな風化した武具に値段なんてつくのか?」
「さっきのパイクはともかく、やっぱり折れてたりボロッボロになってる武具は売り物にはならないっすね」
「なら何故だ?さすがにアイテムインベントリの実験のためだけにやっているというわけじゃあないだろう?」
「ーー武具として売るんじゃなくて、練成所でインゴットに精錬してから売る。武器の大量売却というリスクを回避した上で、ボロ武器を売るよりも素材に還元してから売るほうが利益を増やすことが出来る。これは大量輸送が出来るが故の方法」
「なんだか凄まじくいきいきしてるなアルシェ」
「ーー…自分のアイデアでお金を稼げると言うのはうれしい…です」
先程までちょっと引くぐらいギラギラしていたアルシェなのだが、俺の一言で少し我に返ったようだ。
しかしまぁ俺の利点は暴力装置だけだと思っていたのだが、アイテムインベントリ一つでココまで考えつくアルシェはやはり頭がいいのだろう。
それとも彼女の後ろでギラギラとしたオーラを出しているヘッケランとイミーナのように、金への執着があればここまでのことは出来てしまうのだろうか?
この世界で生きていく以上そのハングリー精神は見習っていかなくてはいけないなと決意を固めながら、最後の武具をアイテムインベントリにしまい終える。
「よっし、とりあえずジャンクと美品は分けて収納が終わったが…どうするんだ?まだ探索を続けるか?」
「そろそろ日も傾き始めますし、これで一区切りで帝都帰る予定です」
「そうか。みんな疲れていないか?もし疲れているようなら四人まとめて担いでやるぞ?」
「さすがに絵的にそれはどうかと…それじゃ撤収ー!」
「「「ハーイ」」」
とは言ったものの特別何か道具を出していたりしたわけではないので、各々アンデットへの警戒のために武器に手を置いたまま帰路につく。
年老いた俺の外見とは裏腹に、肉体的疲労が殆どないこの体の足取りは軽い。
疲労無効や食事不要の効果を持った指輪があったような気がするが、あえて装備しない。…というかおそらくインベントリに入っていない。
地を踏みしめた際の体重による血液の停滞、剣を数える際の首筋への筋肉疲労、殆ど肉体へ蓄積することのない疲労なのだがソレを感じ取ることが出来るということがどうしようもなく生きていることを実感させる幸福であった。
食事もまた同様であり、それらを不要とする指輪は生の実感を得た俺にとっては無用の長物であった。
「そういえばストレイドさん今日は昨日と違う服というか鎧?を着てるわね。昨日の服より…細身?っていうのかしら」
「確かに、よく似てますけど帽子の鍔も破けていませんね。何か理由があるんでしょうか?」
「気付いてくれるのは何やら嬉しいな。私の着ているこれは狩装束と呼ばれるものなんだが、私は趣味でよく着替える。まぁ対策が必要な時はそれに順ずるものを着るんだが、今日は完全に気分だな」
例を挙げると毒とか炎…呪とかだな…と付け足す。
この狩り装束一式なのだが、俗に言うヤーナム装備一式を身に着けている。
この世界に渡ってきたときから着用していた狩人シリーズとは見た目に若干差異があり、三角帽子は枯れた羽を模しておらず、飛沫を避ける短いマントが取り払われている。
自分が所持している狩り装束は…というか殆ど狩装束しかもっていないのだが、外装データに殆ど手をつけておらず、見た目は既存のものとなっている。
しかしそれでは面白くないと言うことで、装備に使用できる全てのデータ容量を食いつぶした視覚エフェクトが組み込まれており、これがこの世界においても効力を持っているのかどうかも気になるところではある。
ギルドメンバーには一部では良いセンスと、一部では悪趣味と、双方共に大絶賛の自慢の装備なので無くなっていればショックの一言に尽きる。
「そのうちストレイドさん七変化が見れそうね」
「七変化どころじゃ収まらんぞ?まぁ中にはどう見ても変態にしか見えないような狩装束もあるからこの世界では着るのがはばかられるものもあるな」
「ヘンタイ…例えばどんな感じの?」
「体に得体の知れない触手を巻きつけて、上からぼろいマントを羽織っただけというものがある。組み合わせ一番人気一番は全裸にアルデオだな」
「…え?触手と全裸って…それホントに装備なんですか?」
「前者は普通に優秀な装備だ…後者は完全に悪ふざけだな。一時ユグドラシルの一部ではアルデオが流行ったな」
「流行ったって…ユグドラシルって怖いな。ところでアルデオって何ですか?もしかして全身を覆える何かだから服を着ていないとか」
こんなの、と言った具合に頭部を黄金の三角コーンのような兜へと変更する。
のぞき穴が見受けられないこの三角コーンだが、どういうわけか周囲を見渡すことが出来ている。
四人は「うわぁ」といった具合に苦笑いしているが、見た目とは裏腹にかなり優秀な装備だ。
"金のアルデオ"…かつて殉教者ローゲリウスが率いた処刑隊の、奇妙な兜。
輝きと熱望の名を持つ金色三角のそれは、処刑隊の象徴であり、穢れに対する不退転の覚悟、黄金の意志を見せつけるものである。
と、しっかりした由来に反し、変態御用達コスプレアイテムになってしまっている。
おかげでフォーサイトの面々にはユグドラシルは変態の巣窟のようなイメージを植えつけてしまったようだが、あながち間違いともいえない。
ギルドの仲間はもちろん、知り合いの殆どが悪癖を持っていたのもまた事実。
逆に変態の印象が強すぎて他が記憶に残っていないだけかもしれない。
改めて考えるとフォーサイトの面々には"ユグドラシル=呼吸できないほど汚染されつくし、神の如き力を振るう変態が跋扈する世界"という認識になっている。
アルデオを被って変人扱いされるのもあれなので、被っていたアルデオをかぶせやすい位置にあったアルシェの頭にそっとかぶせる。
「ひょわっ!?」
「アハハッ、アルシェのそれ中々似合ってるわよ」
「ス、ストレイドさんですか!?突然何をs………?周りが見えて…もしかしてマジックアイテム?」
「マジックアイテムと呼んでいいのかどうかはわからん。マジックアイテムで思い出したんだが、このアルデオにしたって私は驚かれるようなアイテムを色々と持っているよな?」
「そうっすね。俺らは俺らで驚いてるけど、どの程度すごいのか理解しやすいアルシェは毎度凄まじく驚いてますね」
当のアルシェはと言うと頭のアルデオをぐらぐらと揺らしながら〈
魔法によって仄かに光を放っているアルデオはまさに輝きである。
「それはまぁ…毎度すまんな。そういうわけで俺の異常性を隠すために必要なことを少し考えてみたんだ」
「あぁ、確かにソレは考える必要あることかもしれませんね。ストレイドさんのアイテムや力と言うのは国の目にとまってもおかしくありませんし」
「うむ。そういうわけで聞いてほしいんだがいいか?」
「「「どうぞどうぞ」」」
打ち解けている反応に小さく会心を覚える。
アルシェは相変わらずアルデオをぐらぐらと揺らしながら隣を歩いているが、様子から察するにアイテムの鑑定に集中していて話を聞いていないようだが、微笑ましいので話を進める。
「まずは俺の持つアイテムについてなんだが、武器は一応全てお前たちに確認してもらおうと思う。中には見た目がエグイ故にあまり表に出すべきじゃないものもあるかもしれない」
「あぁー確かにストレイドさんが初見で戦っていたときも何だかすごい武器を使ってたわね。伸びる鉈に…銀色の大弓?」
「うむ。そのうち武器の自慢会のようなものをするので我慢して付き合ってくれるとありがたい。そして武器以外のアイテムに関してなんだが、余裕があれば使う前に確認しようと思う。情けない話私自身全ての所持アイテムを把握できている自信が無いので全てを取り出して説明することは出来ない」
あまりにこの世界の常識と乖離したアイテムを使用してしまえば、それこそどこの誰から狙われるかわかったものではない。
昨晩アイテム整理を行ったのだが、〈スキル=スロット〉に使いやすくアイテム配置を行い武器を確認した程度だったので、自分がどの程度ユグドラシル時代のアイテムを所持しているのか正直まだ把握できていない。
ユグドラシルの金貨を一枚も所持していない辺り、それほど多くのアイテムを持っているとも思えないが、どこかで本格的に整理をする必要がありそうだ。
「次に、この世界の知識についてだ。正直少し恥ずかしくて黙っていたんだが、私はこの世界の字は読めないようだ」
「え…あ、あぁ~なるほど、あの屋台でのやり取りは字が読めなかったんですね」
「別の世界ってことは読めないのは当たり前かぁ」
「それに私は文字だけではなくこの世界の一般常識に関してもだいぶと知識が不足している。さっき話しに出てきた帝国や王国の話でようやく自分がいる都市がバハルス帝国という国に属しているということをさっき知ったぐらいだからなぁ…仲間内では問題ないかもしれないが、他の人々とコミュニケーションを取る際に不審に思われるかもしれない」
「確かにそういう場面はあるかもしれないっすね。ストレイドさんがワーカーとして仕事をする以上冒険者程ではないにしろ必ず注目を集めますし…何かしら対策が必要ですかね」
「でもそういうのって急ごしらえでどうにかできることでもないし、とりあえずは私たちが日常生活の中で教えていくしかないんじゃないかしら?」
ソレしかないか~と一様に頷いていると、アルシェがようやく輝きを止めアルデオを脱ぐ。
「--ストレイドさんの知っている文字と私たちの知っている文字の対応表を一緒に作れば覚えやすいと思う」
「なるほどそれは妙案だな。だが面倒をかけることになるがいいのか?」
「いっぺんに作れば大変かもしれませんが、それぞれ時間が空いたメンバーと作れば問題ないでしょう。そのほうがストレイドさんも記憶しやすいと思いますよ?」
「それもそうだな。ではよろしく頼む」
「了解です。それにしても今日のアルシェはなんだか冴え渡ってますね」
「ーーうん。最近刺激が多すぎたからそのせいかもしれない……あ、ストレイドさんこれ返します。相変わらずすごいアイテムで良い経験になりました。ありがとうございます」
「この装備でもすごいのか…こちらこそ良い提案ばかりで脱帽だ」
特別な効果もなければただ各種属性への耐性を上げるだけの装備なのだが、それでもこの世界ではすごいアイテムであることには変わらないようだ。
そんなすごいアイテム認定されたアルデオを受け取り、そのまま流れるようにヘッケランへと被せて次の話へと移る。
「うおわっ!?なにこれ!?…って周りが見える!?」
「次の問題なんだが…私は目立つことになるという話だったな?」
「まぁ間違いな目立つわね。私たちとしても普段は受けられないような難易度の高い依頼を受けるだろうし、そういう界隈では噂にはなるでしょうね」
「なるほどな。そこで発生する問題なんだが、私はどの程度の力で戦うべきなのだろうか?」
「「どの程度の力?」」
彼らの話では推定ユグドラシルのプレイヤーはかつてこの地に現れ、その行いは御伽噺や英雄譚として語り継がれているとのことだ。
そして俺はまさにそのプレイヤーである訳で、そんな俺が暴れまわれば下手すれば伝説として語り継がれる可能性もあるのだ。
それだけなら俺が歴史の教科書に載るレベルの恥をかくだけでいいのだが、問題は"何か"目をつけられる可能性があると言うことだ。
国や軍隊、はたまた犯罪組織…一番最悪なのは他のプレイヤーが存在して敵対してくることなのだが…まぁ日本人ならいきなり切りかかってくることもないだろう。
首輪をつけられない程度に自由を得るのが一番と言うわけだ。
「最初の時のように暴れすぎるのもよくないだろう?」
「…確かに初見のときに見せてもらった戦いぶりなら間違いなく目を引きますね」
「ん~でもアダマンタイト級の強さとして考えるなら、多少派手なことをしても問題ないんじゃないかしら?注目を集めてしまうのは避けられないし」
「ふぅ~む、そんなものか…確かにせっかくこんな素晴らしい世界に来たのだから能力は最大限生かすべきだな」
細かいことを気にして羽を伸ばせずにいてはもったいないというのも最もな話だ。
せっかくの二度目の生なのだ。
首輪をつけるようなやつがいれば食いちぎってやればいいだけの話。
今の俺にはそれが出来るのだ。
後悔のないように全力で謳歌するほうがいいに決まっている。
…そうなれば…いずれ彼らには…
「まぁ考えすぎもよくないか。また後で考えるとして、今は今を謳歌することの方が重要だな!」
「そうですよ!嬉しいことにストレイドさんのおかげで生活の余裕は出来そうだし、考える時間なんて今後いくらでもありますよ」
「そうだな。生活基盤という点では幸いにも皆のおかげで宿屋を追い出されることもなかったからな」
昨日の今日なので未だに床に穴が開いている宿屋を忍びなく思う反面、あれはあまりにひどかったと皆一様にカラカラと笑い談笑に花を咲かせる。
しかしさすがは戦いのプロといったところだろうか?会話中も目の動きから周囲へ気を配っていることは見て取れる上に常に武器から手を放すことはない。
俺の感覚や敵性探知のスキルを利用すれば済む話ではあるのだが、彼らの戦いへの姿勢は感心するばかりだ。
だが警戒は稀有に終わり、終ぞアンデットに遭遇する事もなく、霧の終わり目、カッツェ平原の終わりが見えてくる。
そして平原を抜け、帝国近郊都市が遠巻きに見えてきたところであることをひらめく。
「せっかく大した荷物もなく外に出たんだ。さっきの強さの度合いの話とは少し違うんだが、ちょっとした提案がある」
「「「?」」」
「何かするんですか?」
"露払い"で服を一度払うと、ヤーナムの狩帽子を被りなおして四人へ向き直る。
「訓練だ。我々にはそれが必要だ」
柵の中にコメントを投げ入れてください。
喜びます。
続きは明日か明後日に!