ソードアート・オンライン 《SpecialStory》 作:ЖセイキチЖ
それでは、どうぞ!
フィールドに居た俺達は青い光に包まれてはじまりの街へ強制転移させられた。
「何だ?!」
「うおっ?!」
「なになに?!」
3人とも同時に叫んだ。
この現象はβテストの時には全く経験の無いことだった。というより、初めてだったのだ。
おそらくであるが、はじまりの街にログインした10000人のプレイヤーがいるであろう。全員強制転移させられたと考える。
「なぜログアウトできないんだ!」
「バグなら早く直してくれよ」
と言ったような様々な文句が飛び交っている。
それらの声を押しのけ、叫んだ。
「上を見ろ!!」
俺達3人はその声と同時に上を見た。
しばらく見ていると赤いフードを被った全長20mはあるであろう巨人な人の姿が現れた。
いや、フードを被っているが、顔が無いので人とは言えないかもしれない。
「あれがGMか?」
「顔がねぇーぞ。」
誰もが思っていることを皆が口々にする。
「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。」
フードを被った巨人が言った。
俺はその言葉を聞いた時に疑問に思った。《私の世界》とはどういうことなのか。確かにGMだったらゲームの中では神と同じような立場なのでそういう意味では正しいのかもしれない。だが、俺にはもっと深い意味があるように思える。
「私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。」
「な、、に?」
俺は咄嗟のことにびっくりした。いや、びっくりしたのは俺だけではないだろう。
この名前は誰でも知っている有名人なのだから。このゲームのゲームディレクターであると同時に、ナーヴギアの基礎設計者であるからだ。
俺はこの人に憧れていた。将来はこのような男になりたいと真剣に思ったこともあった。
だが、次の言葉を聞いた瞬間に俺は息を飲んだ。
「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅している事に気づいていると思う。しかしこれはゲームの不具合ではなく仕様だ。繰り返す。これは《ソードアート・オンライン》の仕様だ。」
「し、仕様?」
「そ、そんな…」
ユウキとクラインは乾いた声で囁いた。
「諸君は今後、この城の頂にたどり着くまで自発的にログアウトすることはできない。」
俺はまた疑問に思った。
いくら広いとはいえこの層のどこに城があるというのだ。
「また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除は絶対にありえない。もしそのような試みがあった場合…」
少しの間。
1万人全員が息を飲んだ。
「ナーヴギアな信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる。」
詳しい意味は全くわからなかった。
1つわかったことは、実際に死ぬということ。
「ふっ、そんなことありえるわけないだろ?
誰も信じねぇーよ」
「そ、そうだよね。ボクも全く信じられないよ」
2人とも全く信じた様子は無かった。
俺は考えた。ナーヴギアの構造を考えれば不可能なことではないからだ。
「………原理的には可能なんだよ。ナーヴギアに大容量のバッテリが内蔵されているから。」
自分自身が発した言葉に衝撃を受けた。
そして2人も同じような状態だ。
だが、茅場晶彦は止まらない。
「具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回路切断、ナーヴギア本体のロック解除または、分解または、 破壊の試み
以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行されるこの条件は、すでに外部世界では当局および、マスコミを通して告知されている。現時点で警告を無視して死んだ人の数が…213名のプレイヤーが現実世界から永久退場している。
そしてもう1つ言うことがある。
このゲーム《SAO》はただのゲームではない。…今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。そして、HPが0になった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に…
ナーヴギアに脳を破壊される。」
「馬鹿馬鹿しい…。」
俺は低い声でつぶやいた。
「諸君がこのゲームから開放される条件はたった1つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第100層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームクリアをすればよい。倒した瞬間に生き残ったプレイヤーのログアウトは保証しよう。」
さっきの頂を極めるまで。という意味がやっとわかった。アインクラッドの頂点を目指せということなのだ。
「クリアできるの100層?!
無理に決まってんだろ!
βテストの時はろくに上に上がれなかったんだろ!?」
クラインが怒ったように、吐き捨てるように言い放った。
その言葉に俺は納得した。
実際にβテストの時は10層程度までしか登れなかったのだ。
俺はこの状況を自分なりに理解しようとした。
2度とログアウトはできない。HPが0になった瞬間に死ぬ…
だが、無理がある。誰もこの状況を納得できる者はいない。
「それでは、最後に諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントを用意した。確認してくれたまえ。」
急いで俺はメインメニューからアイテム欄を開いた。そこにあったアイテムは《手鏡》だ。
なぜこんなアイテムを配ったかはわからない。
意味を考えてるいると俺を含めて周りが青い光に包まれる。青い光が消えて隣を見てみると全く知らない人がそこに立っていた。
「お前だれ?」
全く同じ言葉が目の前の男からも聞こえた。
「誰だよ、おめぇ。」
この言葉を聞いた瞬間に手鏡で自分の顔を見た。現実と変わらない顔がそこに映っていた。
「お前は、クラインか?!」
「おめぇがキリトか?!」
2人の声が重なった。
「あれ?クライン。ユウキはどこ行った?」
「いねぇーな」
2人が探していると俺より2~3歳年下の美少女がそこにいた。
「そこにいるのはキリトと、クライン?
ボクがユウキだよ~」
元気な声で言った。
「ゆ、ユウキなのか?!」
「こっちの方がいいじゃねぇーか」
俺は驚いていたが、クラインは何故か驚く様子はなかった。
周りを見るとさっきとは景色が全く違った。
女性プレイヤーが6割程度だったのに今は2割程度になっている。
「……以上で《ソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。
全プレイヤー諸君の健闘を祈る。」
「出せよぉー!」
「お願い。現実世界に戻して。」
様々な悲鳴の声が俺の耳に入ってくる。
「クライン。ユウキ。ちょっと来てくれ。」
俺は2人を人がいない所に移動させた。
「俺はすぐに次の街へ向う。2人とも一緒にこい。
今の話がすべて本当なら、生き残るためには自分自身をひたすら強化していくしかない。
《はじまりの街》の周辺のモンスターはすぐに狩り尽くされるだろう。今のうちに次の村を拠点にした方がいい。俺は危険な道も知っているから、レベル1でも安全に行くことが出来る。だから、俺について来い。」
ユウキはすぐに答えを出した。
「わかった。ボクはキリトについて行くよ。」
クラインは何か考えながら俺に対してつぶやく。
「他のゲームで仲が良かったやつとこのゲームを買ったんだ。きっと今の広場にいるはずなんだ。俺らはそいつらを探さなきゃならない。だから俺はキリトについていけねぇ。」
俺は簡単に頷くことが出来なかった。
「いや…。おめぇにはこれ以上世話になるわけにはいかねぇーよ。戦闘の指導をしてもらったしな。俺の仲間にもその指導を伝えるよ。」
クラインは無理やり笑ったような顔で俺に言った。
「そっか。わかった。」
俺は渋々頷いた。
「ならここで別れよう。何かあったらメッセージでも飛ばしてくれ。」
「いつでもボクとキリトを頼ってね。」
俺とユウキはクラインに言った。
「キリト!ユウキ!
……2人とも可愛い顔してやがんな!結構好みだぜ俺!」
俺とユウキは苦笑し言った。
「お前もその野武士ヅラの方が10倍似合ってるよ!」
「ほんとだよ。んじゃまたねクライン!」
俺とユウキはクラインに別れの挨拶をした。
俺はこの世界で数少ない友人を背に向けたまま走り出した。
はじまりの街の街の北西ゲート、その先にある小さな村に向かって俺とユウキは必死に走り続けた。
次からは戦いのシーンも入ると思います。
多分ですが今まで以上に変になると思いますのでその変はご理解頂けると幸いです。
誤字脱字、アドバイスがあればよろしくお願いします。