東方白狐録√A【完結】   作:白狐さぐじ

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第二十六話「寺との別れ」

ここはミクラと聖達が初めに出会った場所。

そこには獣道が一つ。

その場所に二本の尾を生やした狐が一匹いた。

その狐は、まるで「付いてこい」と言ってるかのように歩きだした。

それに続き聖達はついていった。

 

 

 

 

「何処に行くのでしょうかあの狐は」

 

「此処は……」

 

「どうかしたかご主人」

 

「いや…しかし、でも……」

 

「ご主人どうかしたのだ?」

 

「あ、すいませんナズ。前まで此処は不思議な結界で入れなかったはずです。それが解かれている」

 

「そうだったんですか星」

 

彼女らは、そんなことを喋りながらついていく。

急に周りが明るくなった。

いつの間にか先頭の狐が消え、狐火が浮いていた。

狐火の奥、そこには寂れた社が一つ。

屋根に尾も髪も真っ白な色をした妖狐が一人。

そう彼女は…

 

「貴女はミクラ…さんなのですか?」

 

「いつか、いつか話そうと思ってたんだ。星は分かってたんでしょ」

 

「なんとなくでした、ミクラさんが少し神力を持っているのがわかったのは」

 

「なら、ミクラさん貴女は神だったんですか」

 

「そうだよ。

私は宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)。此処は私の神社の分社だった所。

星が言うとおり、此処には最近まで結界が張られていたよ。でも、もうその必要はなくなった。

人間は信仰しなくなってしまった」

 

「………っ!私が……私が信仰を奪ってしまった?」

 

「それは違うよ。星の集める信仰と私の集める信仰は、全くの別物。

私の信仰の元は、自然への感謝ただそれだけ。

人間がこの自然が普通だと思ってきてしまっているから」

 

「から……?」

 

「私はこの土地の加護を消す。そのために此処に来た。

でも此処で貴方達に出会った時、未来を視た」

「聖達が封印される未来を」

 

「!?」

 

「でもこの未来は、絶対ではない。私が視たのは複数ある未来の内の一つだけ。必ずしもそうなるわけではない」

「助けてほしい?」

 

「そうですか。薄々ですが、村の人々が隠し事をしているのは知っていました。

気づいているんですね村の人々は、私達が妖怪を匿っていることを」

 

「そう。どうする、助けたほうがいい?」

 

「助け…ですか。今すぐには決められません。けれど、助けを求めた場合ミクラさんに被害が出るのではないですか?出るのであれば、私達は私達だけでたたかいます」

 

「そう、なら私は助けないよ。でも助言だけはしておくよ。『神と神に遣える者は救われる』よ。この言葉には言霊も加えてあるから確実なのは確か。

あと、助けが必要ないなら『一つだけ願いを叶えてあげる』」

 

「一つですか……………なら、ミクラさんの()を見てみたいです」

 

()……か。良いよ、でも絶対に視線を合わせないで」

 

私はそう言い、札を剥ぎ包帯を取った。

でも取ったのは片目だけ、もう片方は隠したままに。

彼女らは私の血のように真っ赤な目を見ているのだろうか。

私も出来るだけ視線が合わないように、ただそこにある岩を見ている。

少しするとナズーリンが尋ねてきた。

 

「…………その目に宿しているのは、狂気なのではないか…?」

 

もう隠していい?と言いながら答える。

 

「ナズーリンの言うとおり、これは狂気だよ。

生き物と視線が合えば、狂いもがき最悪は死となる。両目で岩を見つめれば、亀裂が入り黒ずみ最終的には岩ではなくなってしまう。

そう、例えばさっきまで見ていたあの岩も黒ずんできているだろ」

 

そう言いながら指差す方向の場所、先程まで見ていた岩は黒ずんでいた。

私はその黒ずんだ岩に、目に使っている物と同じ札を飛ばし張り付けた。

また、包帯も巻き終わったのでこちらも札を張った。

 

「願いは一つ叶えたよ。私の用はこれで済んだ。だからそろそろ帰らないといけないんだ…」

 

「ミクラさんの事が少し知れてよかったです。でも何でそんなに急いでるんですか?」

 

「家族が待ってるから……かな」

 

「家族ですか……なら早く帰らなければいけませんね。封印される身でまた会いましょうと言うのはあれですが、また会えたら」

 

「うん、聖、星、ナズーリンまたね。寺のみんなによろしく」

 

そう言って、分社と共に私はその場から消えた。

 

 

 

その後、風の噂で『とある妖怪を匿っていた寺の()()()()()が封印された』と聞いた。

 

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