ここはミクラと聖達が初めに出会った場所。
そこには獣道が一つ。
その場所に二本の尾を生やした狐が一匹いた。
その狐は、まるで「付いてこい」と言ってるかのように歩きだした。
それに続き聖達はついていった。
◇
「何処に行くのでしょうかあの狐は」
「此処は……」
「どうかしたかご主人」
「いや…しかし、でも……」
「ご主人どうかしたのだ?」
「あ、すいませんナズ。前まで此処は不思議な結界で入れなかったはずです。それが解かれている」
「そうだったんですか星」
彼女らは、そんなことを喋りながらついていく。
急に周りが明るくなった。
いつの間にか先頭の狐が消え、狐火が浮いていた。
狐火の奥、そこには寂れた社が一つ。
屋根に尾も髪も真っ白な色をした妖狐が一人。
そう彼女は…
「貴女はミクラ…さんなのですか?」
「いつか、いつか話そうと思ってたんだ。星は分かってたんでしょ」
「なんとなくでした、ミクラさんが少し神力を持っているのがわかったのは」
「なら、ミクラさん貴女は神だったんですか」
「そうだよ。
私は
星が言うとおり、此処には最近まで結界が張られていたよ。でも、もうその必要はなくなった。
人間は信仰しなくなってしまった」
「………っ!私が……私が信仰を奪ってしまった?」
「それは違うよ。星の集める信仰と私の集める信仰は、全くの別物。
私の信仰の元は、自然への感謝ただそれだけ。
人間がこの自然が普通だと思ってきてしまっているから」
「から……?」
「私はこの土地の加護を消す。そのために此処に来た。
でも此処で貴方達に出会った時、未来を視た」
「聖達が封印される未来を」
「!?」
「でもこの未来は、絶対ではない。私が視たのは複数ある未来の内の一つだけ。必ずしもそうなるわけではない」
「助けてほしい?」
「そうですか。薄々ですが、村の人々が隠し事をしているのは知っていました。
気づいているんですね村の人々は、私達が妖怪を匿っていることを」
「そう。どうする、助けたほうがいい?」
「助け…ですか。今すぐには決められません。けれど、助けを求めた場合ミクラさんに被害が出るのではないですか?出るのであれば、私達は私達だけでたたかいます」
「そう、なら私は助けないよ。でも助言だけはしておくよ。『神と神に遣える者は救われる』よ。この言葉には言霊も加えてあるから確実なのは確か。
あと、助けが必要ないなら『一つだけ願いを叶えてあげる』」
「一つですか……………なら、ミクラさんの
「
私はそう言い、札を剥ぎ包帯を取った。
でも取ったのは片目だけ、もう片方は隠したままに。
彼女らは私の血のように真っ赤な目を見ているのだろうか。
私も出来るだけ視線が合わないように、ただそこにある岩を見ている。
少しするとナズーリンが尋ねてきた。
「…………その目に宿しているのは、狂気なのではないか…?」
もう隠していい?と言いながら答える。
「ナズーリンの言うとおり、これは狂気だよ。
生き物と視線が合えば、狂いもがき最悪は死となる。両目で岩を見つめれば、亀裂が入り黒ずみ最終的には岩ではなくなってしまう。
そう、例えばさっきまで見ていたあの岩も黒ずんできているだろ」
そう言いながら指差す方向の場所、先程まで見ていた岩は黒ずんでいた。
私はその黒ずんだ岩に、目に使っている物と同じ札を飛ばし張り付けた。
また、包帯も巻き終わったのでこちらも札を張った。
「願いは一つ叶えたよ。私の用はこれで済んだ。だからそろそろ帰らないといけないんだ…」
「ミクラさんの事が少し知れてよかったです。でも何でそんなに急いでるんですか?」
「家族が待ってるから……かな」
「家族ですか……なら早く帰らなければいけませんね。封印される身でまた会いましょうと言うのはあれですが、また会えたら」
「うん、聖、星、ナズーリンまたね。寺のみんなによろしく」
そう言って、分社と共に私はその場から消えた。
◇
その後、風の噂で『とある妖怪を匿っていた寺の