東方白狐録√A【完結】   作:白狐さぐじ

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第三十話「白と黒」

紫のスキマを通り目的地の近くに出た。

山の中腹あたりだ。

そこから見える景色は、とても綺麗だった。

しかし、その景色の端の方にまだ日が差しているのに真っ暗に見える森があった。

たぶんあれは…………あの森だ。

出来れば思い出したくない場所。

確かあの森は、イズナの()()()()()が殺された場所。

今はどうなっているのだろうか?調べないとな。

ふと、紫は私がとある一点を見つめたまま動かないことに気づき疑問の顔を浮かべていた。

私は空間を稲荷大社に繋げ、死清を呼ぶ。

少しすると空間から出てきて、紫を見て驚いた。

 

「あれ、何で紫さんが?というか此処は何処ですか?」

 

紫も紫で驚いてる。

 

「ちょっとさ、死清。あの暗闇のある森を調べてほしいの」

 

「え…あ……うん。了解!行ってくるね」

 

突然の事なのに承諾してくれた。

死清は、暗い森に向かって走っていった。

 

「そういえば紫って死清と知り合いだったの?」

 

「(色々と質問したいことが増えたのだけど………今は止めとくわ。)まあ、貴女を探すときに会ったことがあっただけよ」

 

「なんか言った?」

 

「な、なんのことかしら」

 

ウフフと何か誤魔化したのはわかった。

何を誤魔化したのかは分からないけど。

 

 

 

山道…いや、獣道かな。

獣道の先、そこには古びた家が一つあった。

紫が戸をノックする、すると中から声がした。

紫は戸を開け入っていく。 私はそれに続いて入る。

中は薄暗い、相手の顔もよく見えない。

 

「おお、すまんな暗かったか。明るくしよう」

 

彼はそう言うとランプを取りだし火を付け吊り下げる。

そこでふと、私は疑問に思った。

何故彼は私が暗いと思ったのが分かったのか。

もしや読めるのか?心が。

 

「流石だ、御名答だよ」

 

「!?」

 

「おや、驚かせてすまなかったね。あと紫ご苦労様」

 

やっと目が慣れてきた。

目の前には歳をとった老人が一人座っていた。

私も近くにあった椅子に座る。

 

「ワシは此処等で昔、山ノ神をやっていた者の内の一人じゃよ」

 

「私は「ミクラじゃろ?」……え」

 

「ワシは何でも知っているよ。お主の産まれた場所、親、住んでいた洞窟。なぁ、御倉神」

 

親…私の親……。

 

「そうじゃな、そこから話すとするかのぅ。お主の親は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

……と、まあこんな風じゃ」

 

そんな、私はこの毛の色で棄てられたんじゃなかったのか。

話したかった、一緒に寝たかった、親を見てみたかった…。

あれ?目の前が滲んで歪んで……

 

いつの間にか私は泣いていた。

堪えていたすべての思いが外に解き放たれる。

 

少しすると涙は止まった。

 

「…復讐はしないのか?」

 

「しないよ。私はそんなことはしない、したくない」

 

「そうか、わかった。さて、どうするかの。話したいことは話した。これからすることがないのぅ」

 

「な、なら、私の眷属に為らない?」

 

「ふむ、それもいいな。じゃが、今ワシには名がない」

 

「だったら私が決める!」

 

「そうか、よき名を望むよ」

 

「うん…………。かむい…神威はどう?」

 

「気に入った。神威か、よき名じゃな!」

 

そう言うと、神威は白い鹿になった。

まるで元々鹿だったような気がする。

紫は口を金魚のようにパクパクしている。

 

「ふむ、紫に嘘がバレてしまったか。実をいうとワシは人間ではない。元は鹿じゃ。ついでに言うとワシの能力は『読む程度の能力』じゃよ。よろしくな、ミクラ殿」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆───────────◆

 

 

暗い暗い森。

死清は、白骨化した者を見つけた。

その骨は、呪いを放ち続けていた。

 

 

 

神威を紫に預けた私は、古代の大鷹『(いにしえ)』を呼んだ。

古の脚に乗り、あの森の真上に向かう。

 

「ご主人よ、あの森は何なのですか?」

 

「ん、あの森?呪われてる森かな。やっと真上だね。私は飛び降りるから、古は帰っていいよ」

 

「え!?あ、了解しました?」

 

そんなことを言いながら去っていった。

私は重力を操り着地する。

やはり、あれからそんなに変わっていない。

 

 

 

 

やっと死清を見つけた。

あれは……あの鬼の残骸か。

死清も此処に居続けるのは危ない。

やはり帰らせるか。

 

 

 

 

死清を神社に帰してから少し経った。

そんなとき、目の前に黒いものが動いて見えた。

 

『あんたは何者だい?』

 

後の方から声が聞こえた。

次の瞬間、彼女は私の目の前に居た。

真っ黒な髪、黒みがかった紺色の目の少女。

 

「私は黒鬼、それか蠱毒って言ったかな。私は呪われた存在。殺されたくなかったら今すぐ立ち去りな!」

 

「……ふふふ」

 

「何が可笑しい!」

 

「いや、生憎私は殺せないよ死ねないからね。貴女、この森に居るってことは、行く宛も無いでしょ」

 

「………………」

 

「貴女に名前をあげるよ。そうだね…『(つみ)』なんてどう?それと、貴女の呪いも抑えてあげる」

 

「!?呪いを?名前……私の名前は罪。良いの?」

 

「もちろんいいよ。でも眷属にする約束も「良いよ、眷属になっても」わかった」

 

 

 

 

 

やっと私をちゃんと見てくれる者が現れた。

名前もくれた。

呪いも抑えてくれた。

嬉しい、とても嬉しい!

一生ついて行きたい。

ミクラ様に!

 

 




誤字・脱字等ご報告よろしくお願いいたします!




今回はミクラの眷属が二人増えました。
今、出ている眷属と今のところの設定を載せときます。




 ◆ (つみ)
・黒鬼(こっき、くろおに)
・年齢 8000以上
・能力 (わざわい)をも たらす程度の能力


・性別 女
・身長 110cm位
・見た目 黒髪、紺目、着物は黒に近い緑(濃い緑)、額に二本の白い角
・力を込めた部分は少し大きくなり真っ黒になる(禍を纏う)。



 ◆ (いにしえ)
・妖獣 -怪鳥-古代大鷹
・年齢 10万以上
・能力 不明


・性別 男
・身長 170~175cm
・全長 3m
 羽長 6m
・見た目 黒目



 ◆ 死清(しすめ)
・妖怪 狂骨(後天的)
・年齢 20万(生前合わせて)
・能力 伝える程度の能力
 心を読むの反対的

・性別 女
・身長 130cm
・見た目 想像にお任せ



 ◆ 神威(かむい)
・妖獣 白い鹿(元神)
・年齢 200万
・能力 読む程度の能力


・性別 男
・身長 170cm
・全長 2m
・見た目 白髪、薄紫目



こんなところでしょうか。
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