東方白狐録√A【完結】   作:白狐さぐじ

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失踪はしてません。
ちゃんと生きています!





第三十五・五話「太古の封印、火の狐」

 

 

「ん~?誰だいアンタ」

のそのそ動きながら、そう彼女は言った。

「…………」

何も喋らない。

無口な者は4本の尻尾と頭の餓えに耳を生やしていた。

妖狐であるが、他の狐とは違っている。

耳の先や尻尾の先が火のような模様で出来ていた。

 

「何も喋らないなら食べちゃうよ」

 

涎を滴ながら言ってくる。

 

「……食べないで」

 

とても小さく弱々しい声だった。

 

「ようやく喋ってくれた。アンタ名前は?どうやって此処に?」

 

「……私は、火月(ひづき)って呼ばれてる。主が此処に連れてきた」

 

「主ってのはミクラの事か?」

 

首を傾げながらそう問う。

 

「…そう」

 

コクッと頷く。

 

「ふーん。じゃあ火月ちゃん、暇だから私の昔話を聞いてほしいな」

 

「…昔話?」

 

「そう、昔話。私が生まれて200年頃の話だよ」

 

懐かしそうに、悲しそうに、少し怒りが混ざっていて、最後に後悔

 

 

◆

 

 そうだね、あれは私が産まれてから200年、ミクラが500歳の時だね。

私はいつも通り村を荒らし回り、人間を喰って過ごしていた。

 その日も村を襲うため、その村に向かっている途中だった。

 その途中で4本の尾を持つ白い狐に出会った。

それがミクラとの出会い。

 

 ミクラは私を睨み付けた。

私はミクラを叩きつけて、退かしてから、そのまま村に向かおうと考えていた。

 けれども、そんな考えは無理だった。

 動こうにも体が動かなかった。

 私は彼女(ミクラ)の目に囚われたのだ。

 次の瞬間、私は宙に浮いていた。

 植物の蔓で手足を縛られていたのだ。

 ミクラが何をしたのか、何故動けないのか未だに分からない。

 

 少しして私は目が覚めた。

 私はいつの間にか寝ていたのだ。

 立ち上がり、私を倒した張本人を探すと……居眠りをしていた。

 不意討ちで倒す気を起きなかったよ。

 

 ミクラは起きてから、「許す」と言ってどっかに行っちゃったのさ。

 

◆

 

「これが私の昔話さ」

 

「それだけなの?」

 

「ん?分かるのか。まだ、話は終わっていないさ」

 

◇

 

 それから私とミクラは仲良くなったのさ。

 ミクラは暇なときは私の所に、こっそりと来て話していた。

 「また今度も話そう」って最後は約束して別れてた。

 

 でも、そんなことは続かなかった。

 

 

 私は、人間の悪知恵で封印されてしまった。

 その封印ってのは、厄介だった。

 土地に縛り付け、空間に閉じ込める封印。

 そんなの封印は、鬼の力で破壊することも破ることも出来なかった。

 

 たぶん、「ミクラはもう来ないだろう」って思ったさ。

 でも、そんなことはなかった。

 突然、目の前が歪んだと思ったらミクラが現れたからビックリしたさ。

 

 ミクラは、私を閉じ込めている封印を解こうとしてくれた。

 でも、解けなかった。

 

◇

 

 「たぶん、今でも解こうと思っているさ。私が此処に居る理由はこんなところかな」

 

頭をポリポリ掻きながら言った。

 

「……そう…だったんですね。………!」

 

突然、火月の尻尾が揺れる。

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「主が…呼んでる」

 

「そうか。また此処に来れたら何か話してやるよ。じゃあな」

 

(コクッ)

 

 

あの時とは逆で、火月は歪んでいき、気がつくともう居なくなっていた。

 




誤字・脱字等ご報告よろしくお願いいたします
















諸事情により更新がとても遅くなってしまいました。
すみません!
やはり今後は月1、2回投稿になるでしょう。
書けるときに書いていますが、なかなか進まないのが現実。
出来るだけ早く投稿していきたいと思っています。
ご了承ください。
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