東方白狐録√A【完結】   作:白狐さぐじ

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今回は少し長いです


第三十六話「話は其々で」

 

 

 

 

「んー?ここ…何処?」

 廻りは木の壁、扉が一つも無く、窓も無い。

 寝ていた布団をたたみ、端に片付ける。

 部屋は結界で閉じられている。

 無理矢理壊せば此処から出られるけれど、外がどうなっているのか分からない。

 もしかしたら、外も破壊してしまうかもしれない。

 

「あらあら、大人しいのね」

 

 突然声が聞こえた。

 この声は…知っている。

 

「この声は……紫?」

 

「貴女は………何処まで知ってるのかしら」

 

 ……。

 

「何の事?」

 

「知らばくれてもダメよ。貴女、幽々子の寿命が何れくらいか知っているわね?」

 

 それなら、幽々子に会った時点で分かった。

 会った瞬間、幽々子の未来が見えたから。

 

「私が倒れて2日位なら、あと3日かな。紫が幽々子をその後どうするのかは知ってるし、西行妖をどうするかもしってるよ?」

 

「知っているなら貴女には大人しくしてもらうわよ」

 

 そう来たか。

 

「勿論良いよ」

 

「あら、いさぎが良いわね。まあ簡単に言うと、貴女の身体ごとこの部屋に縛り付ける結界よ。無理矢理壊せば私に伝わる」

 

 伝わるのは厄介。

 

「……うん」

 

 でも、此処で出来ることはあるのだから…。

 

「なら、私は行くわ」

 

 紫の声が出ていたスキマが閉じる。

 

 空間を開き、()()()()に居る火月を呼ぶ。

 火月に事を伝え、行動してもらった。

 後は……

 

 

 

 

 

◇──────────────────◇

 

 

 

 

 

 

 軒先で庭を眺める少女が独り。

 庭に生えている木々は弱々しく、幾つかは枯れ落ち葉が舞っていた。

 目には正気が感じられない。

 「もう、生きる気力が無い」そんな風に感じられる。

 

 突然風が吹き、落ち葉が舞う。

 舞った落ち葉が纏まり、燃えた!

 だが、燃えたのは一瞬だけ。

 次の瞬間には、尾が4本で耳が生えている少女が一人立っていた。

 

「貴女は……誰?」

 

 ミクラとは全く違う。

 耳と尾が焔のようにユラユラと燃えている。

 

「貴女は…ミクラ?」

 

 火の粉が飛ぶ。

 

「…違うけど、違わない」

 

 首を振り頷く。

 

「どういう……事…かしら」

 

「貴女は、幽々子は生きたい?それとも死にたい?」

 

 首を傾げ聞く。

 

「っ!……分からない。生きたいのか、死にたいのか」

 

 驚き悩み悲しくなる。

 

「生き続けたい?死んで生きたい?」

 

 それでも聞く。

 

「…………………死んでも生きていけるなら、それが良いわ」

 

「でも、それは罰がある」

 

 そう、天罰がある。

 

「罰って?」

 

「…今まで生きた記憶を失う」

 

「それは……

 

 悩み悩みで、答えを出すか出さぬか。

 それは本人の出すものであり、出したならば、それを叶えるのが我が使命なり。

 哀しき使命なり。

 

 

 

 

◆──────────────────◆

 

 

 

 

 

 此処は西行寺家の庭。

 

「紫殿、質問とは?」

 

 此処には紫と妖忌だけ。

 

「あのの話よ」

 

「ミクラ殿のですか?」

 

「そうよ、あのについて何か知っているのでしょう?」

 

「ええ、まあ、少しなら」

 

「なら、話しなさい」

 

「我が一族には、古くから教えられている事がございます。

古くからの言い伝えで『夜に口笛を吹いてはいけない』という物があります。これは、『善からぬ者を惹き付け喚んでしまうから』と言われています。

 それと同じような物で『紅い目は、相手も自らにも不幸が振りかかる』というものがありました」

 

「何故……過去形なのかしら?」

 

「我ら一族が滅ぼしたと言われていたからです。滅ぼした後、一族はその紅い目の生まれ方、原理を研究していました。

 その結果、紅い目は、負の感情から生まれる事が判りました。

 『怒り・憎しみ・妬み』そんな感情がある一定の条件が揃うと目が赤くなり、最悪自我を失い暴れ、土地一つ滅ぼすことになります」

 

「…………」

 

「ミクラ殿は、その『怒り・憎しみ・妬み』が一切感じられませんでした。しかし、『羨まれる事・褒められる事・称えられる事』を毛嫌っている節がありました。

 誰もが嬉しくなる事を嫌い、自慢をしない。それがミクラなのです。

 先程、紅い目と言いましたが紅い目の正式名称は『狂気』。狂った気です」

 

「狂…気」

 

「ミクラ殿は、まだ自我があります。ミクラ殿の能力が何なのか知りませんが、その能力を使って抑えているのだと考えています」

 

「………そうだったのね。何故話さないのかしら、そんな大変なことを…」

 

 

 




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Lv七星剣様、毎回誤字報告ありがとうございます。

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