魔法使い、神、悪魔。
ファンタジーとして、実在しないものとしてされてきた存在たちが世に現れ出てから十年余。
一般的な人間が持ち得ない特殊な技能、もしくは技術。それを持った人間、そして神魔と呼ばれる存在たちとの共存は概ね成功している。
魔法使いや神魔たちは一般社会の秩序を遵守する努力をし、段階的な交流を行い、一般社会に受け入れられつつある。
それでも火種は存在する。
個人の資質に強く左右される神秘の技術、魔法。殆どの人間が学ぶ事さえ出来ない技を持って選民意識を持っている愚者たちの存在。
宗教に語られる神魔たちの姿を実際に目にし、それを認められない原理主義者たち。
神秘と現実の共存は、火種を抱えつつも、少しづつ形になっていた。
この異なる世界の融和と言っても過言ではない偉業、その中心となったのは魔術師たちが異空間に作り上げた学び舎、通称『学園』、マジシャンズ・アカデミィと云う。
そんな火種の中に一つ、学園と各国首脳、何れにとっても頭の痛い問題が存在した。こう、色んな意味で。
それは一柱の天使だった。彼は博愛主義者であり、平和主義者であり、世の誰よりも善意に溢れた存在である。
国と国が合い争えば、指導者たちの仲を取り持ち平和を齎した。
夫婦が喧嘩をすれば、怒りを収めさせる。
話だけを聞けば、彼ほど世の平和に貢献している者はいない。だが、多くの者は彼を恐れる。多くの者は彼に慄く。それは人間、魔法使い、殊神魔さえ。
その名をハプシエル。天子の階級に於いて能天使、すなわちパワーに位置する天使。人は彼を『福音を告げてしまう者(エヴァンゲリスト)』と呼ぶ。
重ねて繰り返す。彼は博愛主義者であり、平和主義者である。
そしてバイセクシャルであった。マゾヒストであり、あらゆる攻撃を快楽に転化する。
ボディビルダーの如き肉体美、角刈りの黒髪、パンダのタトゥー。口に出す事さえ憚られるアレなファッション。善意の悪夢を撒き散らす汗と筋肉の化身。
「君に幸あれ」
ささやかな(本当にささやかな)幸運を齎す祝福の言葉と共に、彼の目に付く全ての者に送られる、暑苦しい抱擁とディープキス。全ては愛と平和の素晴らしさを広めるために。
だがその暑苦しくマッシブ、かつアレなファッションと言うコラボレーションが生み出す、侵食するような嫌悪と恐怖。それは精神の崩壊すら招きかねないものだった。
故に、多くの心弱き者は己の精神を守るため、彼と同じ趣味に走った。平たく言うとハードゲイに。まあ、女性の場合、百合に走っても見た目悪くない。寧ろ筆者は大好物です。
ちなみに某国と某武装勢力の指導者たちはハプシエルの『愛と誠意の篭った仲裁』により、今では仲睦ましく毎晩フンッ!ハッ!ってする関係になっている。
各国首脳は困っていた。戦争を仲裁する事自体は良い。一部国家の利益にとっては損失が出ているだろうが、『お前が戦争止めるとこっちが儲からないんだよ』とか言える訳もないのでまあ良いだろう。
問題は神魔関係者が各国の法律や国際法に縛られずに勝手をしているという事で、各国首脳にとっては非常に面子が立たない、神魔に対して弱腰と見られることだった。
無論、ハプシエルの事は神魔、魔法使い側にとっても頭の痛いことだった。彼ら超常の理に生きる存在が現代社会に受け入れられるまで、容易ならぬ努力があった。魔法使いたちには中世の魔女狩りが苦い記憶として残っているし、神魔も種族によっては畏怖と排斥の対象となってきた歴史があるのだ。
つまり、一般社会と超常側はハプシエルに対する認識は完全に共通していたと言える。即ち「こいつ早く何とかしないと」と。
少女、織斑千冬が手にした、復讐の為の力。彼女の身に纏われる白い機械の鎧。狐の面を思わせるフェイスユニットの下で、少女は瞑目していた。親友、篠ノ之束の造った魔導コア搭載型パワードスーツ、インフィニット・ストラトス。それは白い騎士にも、九尾を携えた白狐にも見えた。
織斑千冬の家族は、弟の一夏一人だけ。血の繋がった両親は数年前に蒸発した。残された弟は心の傷から逃れるために記憶を封じた。女性の好意に異常に鈍感になるオマケ付きで。
切欠はただの夫婦喧嘩だった。お互いに二三の罵声を浴びせあい、次の日には元の鞘に戻っているような、そんな他愛ない喧嘩。にも拘らずヤツは現れた。愛と平和の精神を広め、喧嘩という不毛な行為を止める為に。
その汗臭い抱擁と、どれだけやっても吸引力の変わらない唯一つのディープキスによって悲鳴を上げることすらできずに倒れていく両親。怯えて逃げる事もできない弟。そして何よりも、そんな家族を見捨てて逃げ出してしまった自分。自分に何ができたかは分からない。いや、何もできず、自分と言う被害者が増えただけだろう。理屈はそうだ。だが所詮は理屈、肉親を見捨てた理由にはならない。少なくとも千冬には。
「聞こえるか束、機体の状態は万全だな?」
少し硬い千冬の声、それは通信機を通じ、機体を造った親友に届けられる。篠ノ之束、最早天災的と評すべき頭脳を持った、千冬の同世代の友人である。
『もっちろんだよ、ちーちゃん。各グラフ全て適正値、束さんたちの仕事に間違いはないよ!』
通信から聞こえる親友の声が頼もしい。網膜に直接投影されている、半透明のグラフが幾つも映っていたが、千冬が理解できるのはまだ少数だけ。千冬がISの複雑な機構を理解するには、時間が足りなかった。
それでもその性能を疑いはしない。束に協力する魔法使いたちがいた。ハプシエルが邪魔なのは向こうも同じだった。どこか一本ネジが足りていないような、そんな残念な印象を与える美形の魔法使い。それに付き従う犬耳のメイド。超合金生命体や、美少年のような魔力人形。その何れも、魔法に詳しくない千冬にも分るほどの実力者だった。
「そうか。……やつが来るのは、まだなのか?」
『もうすぐだよ、ちーちゃん。絶対あいつを封印しようね』
対神魔用パワードスーツ、『インフィニット・ストラトス』。後に『IS』と通称される兵器。その戦闘能力は如何なる現代兵器をも凌駕する性能を持つ、超科学技術の結晶である。わりと上位の神魔とも互角に渡り合い得るその性能も、開発者の束には不足に感じられた。
神魔と渡り合えるだけでは足りないのだ。原則として死という概念を神魔は持たない。故に殺すことは不可能。ハプシエルの愛溢れる凶行を止めるには、彼を封印する他ない。だが如何に天災篠ノ之束でも、天使を科学的に封印する手立ては無く、何らかの魔法的アプローチを必要とした。
そう、この時点のISにはハプシエルに『勝てるかも知れない戦闘力』はあったが、『どうにか処理する』力は持っていなかった。そんな時、束の前に現れた魔法使い、佐久間栄太郎。彼は言った。
『科学で出来なきゃ魔法を使えばいいじゃない』
魔法が専門外だから科学でやってるんだ、と束にフライングクロスチョップされた。
この時から束と栄太郎の奇妙な共同研究が始まった。ついでに栄太郎の使い魔である犬耳メイドが二人の身の回りの世話をし、魔界から時折郵送されてくる妹を送り返していたりした。
そして栄太郎の伝により集う協力者たち。神魔と人類の諍いを防ぐ為に動き出した者。個人的な思惑でハプシエルを除かんとする者。
そして彼らは造りだした。ハプシエルに有効な魔法的封印を施す為に、大型魔力炉並みの魔力生成量と、当時最高のスパコンなぞ軽く凌駕する演算能力を持ったコアユニットを。
親友の弟であり、愛する妹の想い人、織斑一夏。その異常なまでの鈍感さ故に思いを遂げられない妹の姿。その姿に萌え……もとい心を痛め続けてきた束。その悲しみを怒りと変えて、彼女はハプシエル打倒を誓った。
そしてISは、科学の天災と、魔法の変態の英知の結晶として完成する。ちなみにコアの中身であるが、これは実は栄太郎がメカ少女オタクの神魔を口先で丸め込んで、半封印措置を施した物だったりする。
今ならメカっ娘のパートナーになれると。まあ、コアとの通信機能はないのでコミュニケーションは取れないが、一応嘘は言ってない。当然、相手はパートナーAIポジションを考えていただろうが。
そして運命の日、後に『白騎士事件』、『薔薇感染警報の終焉』、『愛と平和が本来の意味を取り戻した日』と呼ばれる事件が起きた。
全身を白い装甲で包んだISの、カメラから送られてくる映像は、束たちの拠点にも届けられていた。篠ノ之家の地下に、束が勝手に造り、栄太郎たちによって更に手が加えられている。科学的な面でも、魔術的な面でも、個人が持つには異常に高度なものばかりである。
この場にいるのは束を除き、達人級の魔術師としてその筋では『いろいろな意味で』有名な佐久間栄太郎がいる。更には金髪碧眼の美少年の姿をしたサイコパペットに意識を宿した、魔法工学の権威である寒河江教授。そして本業のキメラ関連の技能では活躍の機会はなかったが、魔法と科学技術の融合に於いて献身的に補助に回ったフランクラム・シュタイン教授。
何れも魔法使いが世に出るより以前、『学園』時代からの友人と言う間柄である。
そして一番後ろにそっと控える、栄太郎の使い魔である犬耳メイド、エーネウス・バージェスト。
今、ハプシエルを目指し空を駆ける千冬。
ある意味世界最大の災厄に立ち向かう者達。
『センサーに感有りだ。間違いないな』
モニター越しに送られてくる通信。
「魔力波長は一致、間違いない。奴だ」
「ハイパーセンサーは物理的にも霊的にも完璧だよ。隠蔽術式も無しで隠れるのは不可能なのさ、ちーちゃん」
千冬の纏うISから送られてくる各種観測データを解析し、栄太郎と束は答える。
『……そうか。サポートは任せた、突貫する』
高額的な観測には至らずも、複合センサーであるハイパーセンサーの捜索範囲に存在する目標へとスラスターを全開にする。
急速に動き出す視界。そしてGPS上にて日本海に出た所で、目標は視界に現れる。
ボディビルのポーズを取りながら華麗に空を舞う、テカテカ光る色白な筋肉の塊。
『不思議だな。アレを目にすればもっと熱くなると思っていたのだがな』
「精神状態が悪い方に向かないように、機能を作っている。真っ当な感性では、目から思考を侵されるからな」
応えたのはシュタイン教授。かつて二度に亘りハプシエルと戦った経験の元、軽度の脳内物質の制御と、魔法的な感情制御を持って、心情に一定の抑制効果を齎している。
近付く間合い。ISに気付く筋肉達磨。
『あっら~ん?初めて見る子かしら。こんな所まで迎えに来てくれるなんて我輩、感激♡』
真にめでたい言葉を、カマっぽい言葉を吐く。千冬はそれを無視して剣を構える。そして雄叫びと共に剣を突き出す。
『あっ、キクっぅぅ~~!』
防御力場を突き破り、剣はハプシエルに届く。上体を捻ってポージングしていたハプシエルの乳首に。衝撃によって吹っ飛んでいく筋肉天使。気色悪く甲高い恍惚の声と共に。
本来彼に対する攻撃は、その全てのリアクションが精神攻撃となる。だが、ISの機能により千冬の精神は保護されている。
栄太郎たちの経験あっての対策だった。だが盲点があったとすれば……
「「「うおえぇぇぇぇ~~」」」
アシスト陣にはそれが施されていない事だった。気色悪いマッチョ野郎の嬌声は一同の精神を蝕んだ。
『ど、どうした束、栄太郎さん?』
通信越しに響いた悲鳴は千冬にも届いた。僅かばかりの動揺が声に宿っている。
「な、なんでもないよ、ちーちゃん。束さんたちのことはいいから、あ、あいつを……」
『あん、もう、いきなり激しいアプローチ。我輩感じまくり♡』
「「「おうふ!?」」」
吹き飛ばされながらもすぐさま復帰するハプシエル。相変わらず筋肉を強調するポーズを続けるハプシエル。ただそこで普通にしているだけで(ハプシエル基準)周囲に精神ダメージを撒き散らし続けるのだ。
精神を保護されている千冬もそれを察した。早く終わらせねばいけない。
『んも~、綺麗な子ねえ。我輩堪んないわん』
頬を桃色に染めて、両手を広げて飛び掛る筋肉。それを高度を下げる事で回避する千冬。そしてすれ違い様に切り上げる。
『あうんっ、イイっ!』
切り上げた剣は、ハプシエルの股間を打ち上げる。見るだけでも男を悶絶させる攻撃も、彼ほどの変態にはイイ刺激のようだ。
千冬の攻撃を受ける度、ダメージと快楽を蓄積させていくハプシエル。そして人として大切なものを削られていくバックアップ陣(ちゃっかり耳栓つけてるエーネウス除く)。
ハプシエルはISを纏った千冬を抱擁しようと迫り、千冬はそれをすり抜け、剣で斬りつけていく。
『んもう、焦らすのが上手ねぇ』
画面の中のハプシエルが、アンニュイな表情を浮かべ、小指を唇に当てる。やる者が妥当なら破壊力のあるこのポーズも、ハプシエルが行えば違う意味で破壊力抜群だった。
そして次にハプシエルは大胸筋をピクピクと振動させながら、ピンクっぽい色のオーラと共に数を増やしていく。その様子は正に分身の術、と言うのは忍者に失礼だろうか?
『ラァヴ・テンプテーション……』
発音だけ、色っぽさを乗せながら発せられる技の名乗り。分身したハプシエルは千冬を取り囲み、大胸筋を肇とした筋肉を振動させ続ける。
「ハーハッハッハッハ!ラァヴ・テンプテーション……は既に見切っているわ!当然対策済みゲブハっ!」
この『ラァヴ・テンプテーション……』という技は、筋肉の振動で音の共鳴現象を引き起こし、相手の三半規管を攻撃し動きを止める技である。
かつて栄太郎とシュタイン教授にとって二度目のハプシエルとの戦いの際、とある白虎とハーピーが無数のハプシエルの筋肉に揉みくちゃにされるという惨劇があり、その対策は当然施されている。
ISの周囲に展開された防御力場が、操縦者に有害な影響を、機能が可能な限り排除する。筋肉のピクピクによる振動程度なら、その振動のみを選んで相殺することは造作もなかった。尤も勝ち誇っていた栄太郎は長時間ハプシエルの筋肉ピクピクを視界に納めてしまい、計り知れないダメージを被った。
千冬とハプシエルの戦いは続く。尤もハプシエルに害意はなく、攻撃されているという認識もない。目の前の相手に愛と祝福のキッスを与え、打ち付けられる攻撃はそういうプレイ程度の認識である。受けてるダメージはそんな生易しいものではないのだが。
そんな理由もあり、戦いは変則的な鬼ごっこの様相になっていく。そして無数に増えたハプシエルの一体に掴まってしまう。ISコアとなっている神魔はハプシエルの接触そのものを攻撃と判断し、防御力場の出力を上げる。防御力場越しに抱擁し、唇を防御力場に押し当てる。「君に幸あれ」の祝福の言葉と共に。
それは凄まじい光景だった。ISの防御力場は出力を上げた結果、半透明のバリアとして視覚に映る。そしてそこにぴったりと体を押し付け、少しずつ押し込んでくる。
モニターに送られるその映像により、アジトは阿鼻叫喚の地獄と化す。
想像して欲しい。汗に塗れた、男の中の漢と評すべき肉体美(しかも結構美白)を。そしてその肉体の上に化粧をした角刈りのカマ野郎(言動や表情を無視すれば造形そのものは事態は悪くない)の顔が乗っかっている。
そんな物体が目を細め、ムチューとする顔をガラスに押し付け、ぴったりと潰れている。しかもそれが少しずつ近付いてくるのである。
しかもハイパーセンサーにより360度の視界を持つ千冬に限っては、より多くのハプシエルが迫ってきているのが見えた。
ISの感情制御を超えた恐怖が千冬を襲った。
千冬の手に持っていた剣が変形し、ライフルとなる。そして放たれた光の奔流が、ハプシエルを弾き飛ばした。
この戦いは数時間に及び、ついにハプシエルの封印処置に成功した。本人は『また放置プレイなのねぇぇぇぇっ!』と悶えていたが。
兎に角これで戦いは一応の決着を見せた。束はこの結果を全世界に公表した。世界は歓喜した。束が何気に全世界同時電波ジャックをしたという事実がスルーされるほどに。
世界はまた一つ、融和へと向けて進んでいった。
ハプシエルが封印され、ISと云う存在は世界中の注目を浴びた。それまで魔法使いや神魔に対するカウンターは同じく魔法使いや神魔、もしくは彼らより齎されたアイテムを用いた人間に限られていた。
そこに初めて、純粋な科学兵器ではないとは言え、魔法使いでない人間でも(動力機関兼演算装置であるコアを除く)造れる魔法に対するカウンターが生まれたのである。
各国はISを求めた。一般社会との融和を善しとする魔法使いと神魔たちはこれを支持した。
そしてロボっ娘萌えの変た……もとい紳士の神魔が有志で集い、最初の一つも合わせてまずは二百個程のISコアが造られた。
やがて『魔法使い及び神魔による犯罪に対する制圧装備』としてのISの試験運用が決められる。
それと同時にISの構造と運用、更には対魔法使い、神魔戦闘の教育と研究を目的とした機関が設けられる。篠ノ之束を肇として魔法使いや神魔の協力の下、設立されたそれはIS学園と名付けられ、一般社会側と魔法側の新たな交流の場となる。
余談であるが、ISには一つ欠点があった。ISコアが有志で集まったロボっ娘萌え紳士な神魔であるため、一定水準以上の美少女でないと力を貸そうとしない事だった。そのため、IS操縦者には高い資質や能力以外にも外見や萌え要素が重視され、IS本体も機能性に加えデザイン性が重要視されるようになる。
何せこの部分によってはカタログスペックが全く意味を失う事例も出た。プラスに働く事例もあればマイナスの場合も、である。
結果としてIS操縦者たちの勇姿は多くの紳士たちを萌えさせ続ける事になり、高じて競技としてのIS同士の戦闘の世界大会が開かれるに至る。
更に余談であるが、ハプシエルの抱擁からなる一連のアレにより精神を病み、自我を守る為にあっちの趣味に走る人間は少なくなかった。
それから操縦者を守る為にISには精神に干渉する機能があるが、それは操縦者以外は守ってくれない。故にハプシエル戦ではバックアップ陣は多大な精神ダメージに晒された。
だが、この機能の盲点はもう一つあった。それはコアとなっている神魔の精神も守ってはくれないということである。
この時点では誰も予想できなかった。ISの生みの親、篠ノ之 束も、協力者である魔法使いたちにも。
まさか一番最初のコアが、『ノンケでも逝けるコア』になってしまった事に。そして十年後に千冬の弟、織斑 一夏を巻き込んだラブコメ騒動を巻き起こし、栄太郎を大いに喜ばせることを。
まだ、誰も知らない。