「ガンダムが既に動いている、用心してかかれ」
地球圏を遠く背にした殆ど未開拓の宙域で、東條は静かに言った。
ゼーレーヴェ隊は、連邦の物と見られる小型戦艦とガンダムタイプのモビルスーツ二機と対峙していた。
標的であるアウターの眼が獲物を捕らえたかのようにこちらに向いている。
『こいつ・・・なんだ・・・?』
アウターから来るプレッシャーには薄気味の悪い物があった。中身のない、まるで物に宿ったかのような圧の無いソレは、辺りに広がる暗黒物質をじわじわと侵食していくかのように手を伸ばしてきていた。
東條が進行をためらっていると、プロトR・ジャジャから回線が開き、ギュンターの声がコックピット内に流れてきた。
「隊長!ここはV字で行きますか!」
なぜこいつにはこうも緊張感というものが無いのかと蔑むも「あぁ、こちらもこの機体に慣れていないしな」と返した。
その傍らを、青紫色の機体が彗星の如く標的へ流れて行った。
「あっ!」それはクビツェクの乗ったガザDだった。「あいつ勝手に!!」
慣れぬ状況下、それも地球圏外ともなれば、モビルスーツ乗りですらない彼はただパニックを起こすしかない。彼が強運の持ち主であることを祈るばかりである。
「構わん、これで向こうの出方が見れるというものだ・・・!」
東條はクビツェク除く全機に回線を開き
「ガ・ゾウム二機は標的を挟むように大きくV字に展開、ギュンターはミノフスキーを散布しながら囮の後に続け!!」恐怖心を振り払うように叫んだ。
「「「了解!!!」」」
迫水とエヴァの乗る二機のガ・ゾウムが鈍角のV字を描きながら標的を挟むように向かっていき、プロトR・ジャジャが緩やかに進撃していった。
「さて・・・パトリシアを、そしてそのアウター・ガンダムをこちらに渡してもらおうか!」
ミノフスキー粒子の舞う宇宙で東條が唸り、べルドルフのモノアイが明滅した。
≠
不明瞭ながらも、タロには相手の言い分は聞こえて、いや、感じ取っていた。
≪ね~パトリシアって誰だと思う?≫
クシナの声がZ Mk-Ⅱからの接触回線に乗っかり聞こえてくる。
「さぁ・・・って、え?!」
≪可視光通信だよ、モールス信号。奥の方で小っちゃくピカピカ光ったの見えたでしょ?≫
タロとは違う手段でクシナも受け取っていた。それにしてもよく星の瞬きと見間違いそうな光の明滅を観察できたものだ。
とは言っても大気のない宇宙空間では星は瞬かないのだが。
「!?」
タロが蜘蛛の様に周囲に意識を張り巡らしていると、突然糸を掻き乱すような別の意識の波が、鉄砲水の如く押し寄せた。
それは、モビルアーマー形態に変形し、メガ粒子砲を連射しながら突貫してくる敵機体だった。
「くっ」
タロはなんとか躱した。が、それは不注意以外の何でもなかった。
青紫とピンク色の敵機体、ガザDがスラスターから尾を引きながら彗星の様にマイクロアーガマへ向かっていった。
「しまった!」
ガシイイイィィィン
すんでのところでクシナ、Z Mk-Ⅱが両アームで受け止め、そのままメガ粒子砲の砲身をマイクロアーガマから逸らした。
≪こっちはいいよ!それより後から来るやつ!!≫
ガザDのスラスターの尾に引きずり出されたように、白い敵機体、プロトR・ジャジャがアウターの全天周モニター前面をベタリと支配した。
左アームのマニピュレーターには、フェンシングソードのような円型の鍔のついた柄が握られ、その中心からそれらしくビームの粒子が型を成すと、一気にコックピットを抉る様に振り上げた。
「うあぁっ!」
間一髪、フットペダルを踏み後方へ下がり、サーベルの先端は機体を掠めることなく宙を斬った。
その隙にアウターは両前腕部からグリップを射出、二刀流の構えをとった。
R・ジャジャも後方へ下がり間合いを取ると、ビームライフルを構え引き金に指をかけ、粒子の球体を生成するとあらぬ方向へ打ち上げた。
「何だこいつ・・・?」
いくら戦闘経験がないとはいえそう感じるのは当然だろう。光の弾をこちらに向ければ隙ができるなりダメージを負うはずだ。なぜそれをせず上に、機体の向きから見て何もない上方向に打ち上げたのか
「!!!」
アウターを挟むように、両方向からミサイルが飛来した。あれはただの合図でしかなかった。
スラスターを瞬間的に最大出力にし後方へ避けると、目の前で先頭一対のミサイルが衝突し、爆発した。
しかし安堵する暇もなく、第二波のミサイルが自動追尾を開始、最大速度のアウターの後を追いかける。
撃ち落とそうにも、戦闘を全く想定していなかった装備のため敵機が持つようなビームライフルは持ち合わせていない。
かといってビームサーベルで斬ればダメージを被るのは必須、それに一つ斬り落としたところで次のミサイルが直撃するのみである。
もちろん、機体がそれを凌ぐ俊敏さを発揮すれば話は別なのだが。「そうだ!」
「さぁ逃げろ逃げろぉ!」
ギュンターが呑気に笑いながら目で追っていると、アウター・ガンダムがミサイルの集団に追いかけられながら大きく弧を描くように旋回し、こちらに向かってきた。
「血迷ったなぁっ!」
これを好機とし、迫りくる標的にビームライフルを乱射する。しかしアウターは両手首をドリルのように回転させ、光弾はシールド状になったビームサーベルに弾かれていった。
そしてコックピットの全天周モニター前面をアウターが支配したかと思うと瞬間移動したかのように消失し、かわりにミサイルの集団が姿を現した。
「あ…これってそういう・・・!!」
完全に油断していた。引き金を引き続けていくつか撃ち落とそうにも、直撃は免れることはできなかった
かに思えた。
ミサイルの塊は機体に接触することなく、はるか後方から電磁誘導で射出されたニードル状のルナチタニウムの塊に撃ち落とされた。
遥か前方で、東條がギュンター機に迫るミサイルの雨をべルドルフの180mm電磁砲で撃ち落とすと、迫り来るターゲットに照準を当てていた。
≠
その頃、マイクロ・アーガマのモビルスーツデッキでは一機のジム・セークヴァを出撃させようと、コロニーで中破した二機のパーツ換装作業が行われていた。
「まだか!?」
グランが今か今かと出撃を望んでいた。
いくらガンダムタイプが二機と言っても5対2の戦況ではいてもたってもいられないだろう。
「あのねえ、そんな簡単に終わるわけないだろ!プラモデルじゃないんだから!!」
彼の無茶な要求にメカニック班のオリガ・テラスが威勢よく返した。「ったくこれだから男は・・・我慢てことをもっと知れっての!」
人の生死がかかっているのに随分と呑気である。しかしそれも無理はない。
エゥーゴ、アクシズ、ティターンズの三つ巴の抗争もいよいよ総力戦という最中、偵察が名目の船出では殆ど必要最低限の人手しかいないのだ。
「はい換装終わり!ほらさっさと行け!」
「お、おう」
少し躊躇しながらグランがコックピット前まで差し掛かると
「ッさっさと入れ!!!」
後ろから彼女の全力の蹴りが入った。無重力じゃなかったら尾骶骨が砕けていることだろう。
グランの搭乗したジム・セークヴァがカタパルトデッキへ入り、出撃の態勢に入る。
「グラン・マックイーン、ジム・セークヴァ、出る!」
戦場に新たな戦力が加わった。その時、カタパルトデッキからモビルスーツデッキに流れる影があった。
「ふぅ~…さて、後はこっちで・・・ん?」オリガはノーマルスーツを着た『生身』の人間の姿を捉えた。「・・・・・・・は?」
ハッチを閉めようにももう遅く、とりあえずの手段として銃を構えた。
「あ、艦長・・・えーっと・・・敵の侵入を許してしまいました。すんません」
「敵が侵入!?」
オスカーが眼鏡の奥から素っ頓狂な声を出した。メカニック班からの通信を受けた彼ら、ジョブ・ジョン、オスカ、マーカーは何とか状況を整理していた。
≪はい、ジオンのノーマルスーツを着た人間が一人侵入してきまして・・・≫
「ん?一人?」
一人で白兵戦でもしようものならそれはただの自殺行為でしかない。休戦か?なら信号をあげるなりすれば済むことである。わざわざ生身の特攻をする意味はない。侵入者は何をしに来たのか皆目見当がつかなかった。
「装備は?」
≪一応銃は持ってるみたいですが・・・動く気配がありません≫
「・・・・・死んでるのか?」
≪確認してみます≫
「どちらにしろ独房にぶちこんどけ」
その時、Z Mk-Ⅱから回線が入った。≪ごめんなさい!≫
「ど、どうした!?」
≪いま敵機と交戦中だったんですけどパイロットが脱出してアーガマにっ・・・!≫
あいつか・・・
とオスカ、マーカー、ジョブ・ジョンの三人は一字一句違わず頷いた。
苦し紛れの末にパニックを起こした故の侵入であろうことは想像に容易い。とりあえずは放置しても問題はないだろう。
「ん?いま敵機と交戦中って言ったよな?」ジョブ・ジョンが何かを思いついた。
≪は、はい!≫
「とりあえずそれカタパルトからデッキに入れてくれ!ジムとパーツを換装させてもう一機出す!」≪了解!≫
メカニックのオリガがこれを聞いた暁には、真っ先にメインブリッジに首を絞めに向かうだろう。
「・・・・・・了解」
ところが意外にもオリガは素直にこれを受け入れ、煙草に火をつけ何もせず5分ほど経過した。
「パーツの換装終わりました」
≠
「あれ~?なんか増えてるよー?」エヴァだ。
ガ・ゾウムから射出したミサイルの軌道を目で追っていると、敵艦のあたりに新たな敵機体が出現していた。
「撃った方がいいのかなぁ」と眺めているとその新機体、ジム・セークヴァがこちらに狙いを定めた。
「ひっ!」と子ネズミのような悲鳴を上げながら照準を合わせビームガンを放つも、クモの糸を潜り抜けるように迫ってきた。
「こっちのもんなんだよ・・・あん中じゃなけりゃなあ!!」
カピラバストゥ・コロニーの慣性から解放されたグランは蝶のように舞い蜂のように刺す旧世紀のボクサーの如く体の自由を取り戻していた。
「ひぃっ!」
射撃を得意とする彼女はロールアウトされたばかりの試作機であるガ・ゾウムでの接近戦に耐え難い物があった。思わずもう一人のガ・ゾウム乗りに助けを乞うも・・・
「ほれほれぇ!接近戦ならこっちが上だからね!!」
マイクロ・アーガマを挟んだその反対側で、Z Mk-Ⅱと衝突していた。クシナの駆るZ Mk-Ⅱは軽く戦闘狂染みながらビームサーベルを敵機に叩きつけていた。
もう一人のガ・ゾウムのパイロット、迫水は自身のビームサーベルを盾に申し訳程度の抵抗をさせられている。
「・・・こんのやろぉ~ガンダムだからって調子に乗りやがって」
エヴァからの通信に応える余裕は無く、連撃を凌ぐ度に迫水は苛立ちを募らせじわじわとボルテージを上げていた。
これだけ馬鹿みたいに振り回していれば隙というものは必ずできる、と言ってもすでにほとんど隙だらけの状態ではあるのだが一矢を報いるにはまだ十分な余裕はなかった。
真っ向勝負は不可能と思ったエヴァは機体をモビルアーマー形態に変形させ、背後から飛んでいくビームを眺めながら敵機と距離をとっていた。その先に
「助けてぇ~!!」
「えぇっ!?ちょっ!ちょっと!!」
ギュンターの駆るプロトR・ジャジャの姿があった。先ほどアウターと交戦したものの、迫りくるミサイルの雨を東條に撃ち落してもらい結果としては死なずに済んでいた。
アウターを東條のべルドルフと挟み撃ちにしようとしていたところに敵機に追われるエヴァ機が突っ込んできたのでそうもいかなくなった。
エヴァと共にジム・セークヴァを相手にすることとなってしまった。
「ちぃっ!」
いつのまにか2対1の状況になってしまったグランは追撃を止め、相手の様子を伺うことにした。
ジム・セークヴァ
連邦軍の主力機の名を冠し、エスペラント語でNextを意味する“Sekva”とつけられたこの機体は、次期主力機開発競争の中でロールアウトされた物である。
しかし敵機も次期モビルスーツの試作型であり、機動力は互角と見える。それが二機もいるのだから侮ってはこちらが撃墜されてしまうだろう。下手に手出しはできない。
「こちらグラン、クシナ、聞こえるか」
≪このっ!このっ!!このぉっ!!!≫
彼女は絶賛交戦中の様だった。それもかなり一方的な。
「ちっ」
再び舌打ちし、正面の白い白兵戦型機と黒い射撃型機という正反対の機体を睨む。完全に弱点をカバーしあえる二機を相手にしては易々と手出しはできない。
お互い新型同士という点からか、場は膠着状態に入っていた。
さて、どう戦う
向かって右側、黒い射撃型がゆらりと両肩のウェポンユニットをこちらに向け、ミサイルを放つ
かに見えた刹那、白い白兵戦機がビームサーベルを構え、上半身を前のめりにし“突き”の姿勢で迫ってきた!
「なっ!?」
回避運動に移ろうとすると、ガ・ゾウムに機体を掴まれ動きを封じられてしまった。
『こいつ、心中する気か!?』
と思えばホールドが解かれ、ガクンッと背後から衝撃が襲った。
ガ・ゾウムがジム・セークヴァを背後から思いっきり蹴り、前へ押し出したのだ。
サーベルの先端が迫り、コックピット内に光が広がってゆく。後コンマ数秒でグランの身体は宇宙の海に溶けていく
事はなかった
白い騎士はいつの間にか姿を消していた。前面には雄大な宇宙が広がっているだけで、遠くに小さな光が瞬いていた。
呆気にとられていると、再び右肩をガシィンと掴まれ
≪よう≫
青紫にピンク色の機体からニロンの声がした。彼がプロトR・ジャジャを蹴り飛ばしていた。
タロは敵部隊隊長、東條と交戦中であった。
べルドルフの180mm電磁砲から射出されるルナチタニウムニードル弾を避けながら距離を詰める。しかし蜂のように舞いながら針を撃ち込んでくる相手だ、そうそう懐に入らせてはくれまい。
音速を超える速度で撃ち出されるニードル状のルナチタニウムを食らえば、いくらアウターの装甲と言えども無事で済むはずはない、この金属はモビルスーツの装甲に使われているガンダリウム合金でもあるのだから。
お互いつかず離れずの攻防が続いていた。長期戦は免れないかと思われた時
≪パトリシアをこちらに渡して頂ければ引き揚げます≫
敵機からの通信が入った。いつの間にか接触回線が取り付けられていたようだ。
「・・・・・・パトリシア?」
少なくとも数時間前マイクロ・アーガマ隊に加わったタロには聞いたこともない名前だ。
≪それと、そのガンダムの回収命令が出ている。パトリシアとガンダムの二つをこちらに渡してもらえば我々はすぐにでも引き上げる≫
その条件は飲むべきではない、タロは漠然と思った。それに敵機の男からはわずかに焦りが感じられた。押し殺した微弱な焦りが。
「パトリシアなんて人は知らない。それに、これを渡すことも出来ない!!」
≪・・・・なら用はない、死ね!≫
回線が切れると、敵機は人が変わったかのように電磁砲をマシンガンの様に連射し始めた。
「なっ!?」
最早乱れ撃ちであり相手がどこを狙っているか、いや、どこも狙っていないので弾道が全く読めなくなった。集中し直す隙も与えられなかったタロは無心で逃げるしかない。
激昂にも似た感情が東條を支配していた。
パスン
ニードル弾が切れるとバックパックから電磁砲を切り離し、そのままアウターの背後に廻り、ビームサーベルでコックピットを確実に狙う
空を斬った
アウターは“上”から来た。矢の様に鋭角に。
東條は間一髪で避けるも矢はコックピットをかすり、全天周モニターの中から映像ではない宇宙が顔をのぞかせ、彼の肝は一瞬にして冷えた。
「まぁいい・・・・」
本能的な恐怖を感じて機体の奪取任務の放棄を決めると、目的地であるコロニーを一瞥した。
べルドルフから信号弾が放たれ眩い光が辺りを照らし、戦闘がピタリと止んだ。しかしクシナはその明かりを視界に入れることはなく、Z Mk-Ⅱは相も変わらずビームサーベルで敵機を叩くことに夢中になっていた。
≪おい!!!≫
「なに!!」
コックピットの内部スピーカーからニロンの怒声が爆発し、彼女の手は止まった。
≪敵さんが停戦信号を出した。そこまでにしときなよ≫
「こいつまたっ・・・てあれ?」後方へ振り返ると先ほど一戦を交えかけた機体がいた。「ニロンだよね?どしたのそれ?」
≪変な奴が乗り捨てたのをパクったんだよ≫
二機の話し込む隙を見て迫水の乗るガ・ゾウムは撤収していた。
「あ!あいつ逃げたな!!」
≪停戦信号見落としたら家族共々死刑らしいぞ、やめとけ≫
「・・・・あいつら何しに来たんだ?」
突如襲来した敵部隊が引き上げていくとグランが呟いた。
≠
≪はぁ~!?取り逃がしたぁ~!?≫
ギュンター達隊員が帰還しメインブリッジ手前まで来ると、キューベルのチェーンソーのような金切り声が聞こえてきた。どうやら一足先に戻った隊長の東條がこっぴどくお叱りを受けているようだ。
≪あんた何やってんの!?両方取り逃がすなんてバカじゃないのこのバカ!アホ!!ノロマ!!!≫
決して彼自身はバカでもアホでもノロマでもないのだが、何一つ手土産を持たずに戻ってきたおかげで怠け者の烙印を押されてしまった。
「うわぁ・・・入りたくねぇ・・・」
こういう時ほど日常で面倒くさいことはない。ヒスを起こしたら冷めるまで待つしかなく、ギュンターが入るのをためらっていた。
「なにやってんだよ早く行こうぜ」
キューベルのチェーンソーボイスが鼓膜に届いていないのか、どちらか問えば彼のほうがノロマという言葉にはあっている迫水は、ぬるりと扉を開け修羅場の中へ突入した。
これで罵倒も少しはやむかに思われたが、彼女は一向に気にせず東條を切りつけていた。
「艦長」怒号の嵐の中で、東條が静かに言った。
「なに」
「アウター・ガンダムは捉えられませんでしたが、もう一つの標的の見当はついています」
「・・・・・どこ」
キューベルは態度を1ミリも変えず、キンっと凍った声で返した。
「確証はありませんが」と言って東條はモニターに映るコロニー、カピラバストゥを指さした。「私の見立てでは敵艦にパトリシアはいません」
「へぇ~、なんでわかるの」
「アウター・ガンダムのパイロットのおかげです」
「あ、あのぉ~」
場がシンとしてひと段落着いたころ、エヴァが今にも消え入りそうな細々とした声をあげてゼーレーヴェ隊全員の帰還を知らせた。キューベルはそれをちらっと見ると
「進路、依然変更なし!」
と舵を取った。