ガンダム つきのはね   作:なかのあずま

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第二話 Avenir

 クロード、いや、ザクの姿があった。

インダストリアからの使者はクロードが現れたことよりも彼の搭乗する物に息を呑んだ。

「貴様!そいつはどうした!」声が動揺している。

「気になるか?教えてやるからこっち来い」

クロードは敵の胴体に思い切りザクの右腕を突っ込んだ。

「このままザクごと頂く!」

「それで結構」

ザクの体が沈んでいき、右半身が完全に飲み込まれた。クロードの行動の真意がわからない彼らはただ眺めるしかなかった。

 

 フィリアスは後に続こうと参戦しようと搭乗機体を選んでいた。

「クロードさんも無茶をする…地盤が沈下したらどうするつもりだったんだ…それにしても2、3発の発破で空が見えるとなるとここはだいぶ上の方だな。これにするか」独り言が多い。

「片方だけ立派に巨大な爪、全体的な装甲のつき方を見るとまるで甲殻類、色は青いがシオマネキだな」

シオマネキのコクピットに座るとクロードがザクに乗った時と同様の手順があった。

「これは…操縦方法か。一つはこのままだとして…脳と……立って操縦するのか?どちらにしろ疲れそうだ、このままいこう」クロードと同様のパネルを選ぶとシオマネキが起動した。フィリアスはその鼓動を身体中で感じた。

 「はあああぁぁぁぁ…」アドレナリンとリビドーがフィリアスを満たしてゆく。

キュイーン———メインカメラの発光音がなると快楽の津波が押し寄せフィリアスを包み込んだ。

 

 ザクは殆ど飲み込まれていた。

「カント、インダストリアに『標的回収』って送って」ともう一つの球体のパイロットに通信した。

  ガシイィン

 コクピットでもある球体本体が何かに掴まれた。「それは送っちゃあダメだ」

クロードがお肌のふれあい回線で忠告するとザクの背面スラスター、フットバーニアのタービンの回転速度があがっていきフルスロットルでブーストを噴かせた。

 ヒトガタを崩し歪になった化物は全面が大きく膨れ上がった。閃光がほとばしり爆発とともにザクが現れ、マニピュレーターには球体ががっしりと捕らえられていた。

「アラクネじゃパワー不足だったな。じっくり話を聞かせてもらうぞ」この時クロードには小さなひっかかりが、違和感があった。

「させるか!」

もう一体の球体、化物の腕が触手とかしザクに、ザクの抱える球体に迫っていた。

「ウラアアアァァァ!!!」

 シオマネキがクロードから開けた穴から飛び出しもう一体めがけ蹴りを食らわせた。化物が姿勢を崩した隙を狙いレフトアームの巨大な爪を突き刺した。

「ハハハハハハハッこのままえぐり出してやる!」

 それは空振りに終わった。化物は爪が突き刺さるとほぼ同時に操縦者のカントが球体と繊維をつなぐ神経回路を切断、爪を回避し脱出しており肉塊と化していた。

「逃がすかぁっ」フィリアスは球体が逃げたであろう方向に無造作に荷電砲を放った。三本の爪の開閉によって磁場を発生させてから放つため装填に時間がかかってしまい連射は出来ず、球体を墜とせずに終わった。

「落ち着けフィリアス!ゴミを片付けたいからそいつで焼いてくれ」

「わかりました!跡形もなく消し炭にします!!」

彼には関係なかった。狙いを肉塊に定めると爪を開き粒子のチャージを始めた。

「一部だけサンプルとして回収しあとは焼き払う、これ以上汚したくない。よろしく頼…ん?」

クロードがアラクネ部隊への指示を終えフィリアスの方を見ると粒子の固まりがシオマネキの体長の3分の2に匹敵する大きさまで肥大していた。

「フィリアスやめろ!!」

アラクネ部隊は一目散に逃げ、クロードが止めにかかろうとした。

「微粒子一つ残すかよぉ!!消えろぉっ!!!」

 

山の一角を見事に削り取り極小規模のキノコ雲が出来、おかげで埋没していた船の一部が露になった。フィリアスは果てていた。

 一昨日の戦闘からエブリオ一族はさらに慌ただしくなった。移民船の全体像すら把握出来てないまま球体の解析、ザクやシオマネキを含む機体群の識別、インダストリアに対する防衛策の立案会議、

そしてクロードは

「さーて今日は君に聞きたいことが山ほどあるんだ。まず…きみの乗ってきたあのポッドについて教えてほしい」

 球体のパイロットに尋問をしていた。素性は彼女の所持していたマイクロチップから極わずかに、No 2569という番号とレプリという名前がわかった。外見に関してはエメラルド色の髪と瞳をしておりロシア系の顔立ちをしている。レプリは中々口を開こうとせず黙っていた。

「名称なり教えてくれないか?」彼女は黙している「全くの企業秘密か・・・きみ自身もかな?」

きみ自身という言葉にかすかな反応を見せた。

「どういう意味?」

「なんだ喋れるんじゃないか。いやね、きみ自身なんというか機械的なところを感じてね」

レプリはまた沈黙した。だがその表情にはどこか困惑の色があった。クロードが機械的と言ったのは己の勘と彼女の目だ。殆ど瞬きをせず、したと思えば瞬きというよりコンマ1秒目を瞑るといった具合で、何より眼球自体も通常のそれとは違っていた。それはエメラルド色をしていることではなく瞳孔と光彩の境目のないエメラルド一色で、病気でなければ人為的としか考えられなかった。

「質問を変えよう、インダストリアは今何をやろうとしているのか、それとリペアジオジウムについてだ」

「私は、一介の兵士に過ぎない。わかることは殆どない」

「では誰の要請でここまで来たのかな?」

「要請…?わからない。上からの命令ならともかくそれ以上は…」

クロードはこの後何を聞くべきか迷った。

「あ」

ふと戦闘がフラッシュバックし、ひっかかっていた違和感を思い出した。

「何であれをザクっていったんだ?」

「えっ?」レプリが初めて人間らしい反応を見せた。

「確かにアレのことをザクと読んでいるが、そりゃここにいるマオという子が名付けたからそう言ってるだけなんだ。名付けたというかアレ見てザクって言ったんだよなぁ」

「名前もわからずに乗っていたのか?」

「ああ」

レプリはつらつらと喋りはじめた。

「旧世紀時代の、というより古代のモビルスーツ」

「モビルスーツ?」

「ザクみたいなものをそう呼ぶ。人間は大昔からモビルスーツを使って何度も戦争してきた。地球からの独立戦争だったり、帰還だったり、思想家が人類を革新へ導こうとしたり…そしてその度に現れる白いモビルスーツがいるんだ。名前くらいは聞いたことあると思う。

ガンダムっていう……聞いてる?」

「あぁ、急によく喋るからさ」

マオを思い出し神妙な顔になっていた。

 

「さっき、マオと言う子がザクと呼んだっていったな」「あぁ」「その子にあわせてくれないか?」

 

「マオー、あれ?マオは?」

クロードが部屋に戻るとナユタがぽつんとしていた。

「立ってどっか行っちゃった」

 

クロードがマオを探している間フィリアスがレプリを見張っていた。

「クロードさんを狙ったからにはインダストリアによっぽどの隠し事があるらしいな。君を向こうへ返す気はない。吐いてもらおうか」

レプリは何も言わず無表情を貫いた。しかしその姿はフィリアスにとって微かな癒しとなり更なる好奇心への種となった。

「綺麗な人だ」

見とれていたせいか溜め息とともに言葉がさらりと流れ出た。レプリは目を見開きフィリアスの方を見つめた。

「あ、いや、何でも」

レプリの視線はフィリアスよりも後ろの方を見ており、右から左へと目線が動いた。フィリアスはどことなくもどかしくなった。紛らわすため仕方なくレプリの視線を追うとマオがいた。

「またお前かぁっ!ん?」

マオの様子がおかしいと気づくまで2秒かかった。感情をまたしても邪魔されたせいもあるが普通に見ればなにもおかしくないからだ。ただ歩いているだけなのだ。マオが背筋を伸ばして足で立って歩くなど普通のことではない。「お、おいっどこ行くんだ!」

「あの子は…?」

「あれがマオだ!」

フィリアスはマオを止めようとしたがマオの姿は勝手に歩くというより何かに導かれているようだったので後をつける事にした。レプリも後に続いた。

「すごいなぁ…何でもあるなあここは」

アキラはラボに来て球体の解析を見学していた。

「えぇ…」

レトは球体のデータを読み取りながら大きく3つのことを考えていた。

球体、この建造物、卵の中の青年、謎が謎を呼んでいた。決してアキラに冷たくした訳ではない。

「あれ、マオ?どうしたの?あ、フィリアスさん、と…えと…」

「それのパイロットのレプリだ」

アキラが見たことのない女性に戸惑っているとフィリアスが投げつけるように言った。

「どうしたんです?」

何故そんな人をここに連れてくるのかというニュアンスもあった。

「マオに聞いてくれ」

こっちが聞きたいと言わんばかりだった。

「マオちゃん、ここはあぶないから戻ろう、ね?」

レトは手を止めてマオに言い聞かせようとしたが声は届かず球体の前まで来てしまっていた。

 ヴウゥゥゥ—————ン

起動音がした。その音は球体から発せられ、次には触手がマオへと伸びた。

 《こいつがマオを導いた!》

直感と疑問と得体の知れない危機感渦巻きながらフィリアスの体はマオを球体から遠ざけるべく動き出していた。

マオを即座に抱え一気に球体から離すと目標を見失った触手は動きを止め、朽ちて砂になり、球体の機能も停止した。マオは正気を取り戻しフィリアスを見つめていた。

 

「一体あれはどういう物なんだ!」

先ほどの部屋で尋問が再開されフィリアスはいっそう強く責め立てた。この『綺麗な人』にしか聞き出す術がないもどかしさがあった。

「私は乗せられただけで詳細は知らない。ただあれは、人の脳波を感知して作動する、多分」

「よくそんなわからない物に乗る!」「仕方ないだろう・・・任務だ」

「そうやって自分をもてあましてなぁっ」

「クールダウンだフィリアス、話はだいたいわかった。今聞き出せることはその人自身のことだ」

クロードが部屋に入り場を制した。

「さて、教えていただこうかな」

 アラウダは一人あの場所で青年を眺め、未だ卵の中で眠っている青年にみとれていた。「きれい…ガラス細工みたい…」

 自然とつぶやくと突然、中の液体が次第に光を帯びてきた。みとれるあまりの幻覚かと思うがそうではない。帯びたと思えば消え、また帯び、蛍の光のように点滅を繰り返し、その度に光が強くなっていく。アラウダは茫然と光の点滅を見ていた。

「うっ…」

目がくらむ程の閃光になり思わず目を覆った。しばらくして光が消え、辺りを見ると卵の中の青年がぼんやりと光を帯び、眼を開けてこちらを見ていた。卵の中の液体はなくなっていた。

 

卵の前面に穴が空き青年が生まれたままの姿で露になった。青年はアラウダをしばらく観察すると微笑みを浮かべ

 

 「わたしはイオタ・アベニール」

 

と言った。

 

 課題は多かった。しかしアベニールの存在はここの大きな手がかりになり得るかもしれない。クロード、メイ、フィリアス、レト、アラウダらがアベニールを囲んでいた。

「記憶が断片化してしまって、どこから話せば良いか…」

「この建造物について、いつからここに埋まっていたのか、そして目的は、これらについて教えてくれ」クロードはとりあえず尋ねた。

 「この船の名前はスリチュアン…帰還船…いつからここに…500年くらい前から…かな」

「帰還船?」

 「地球外から還ってくるための船…この船の乗組員は帰ってきたんだ…」

「ちょっと待って、あなたは少なくとも500年はコールドスリープしてたって事よね?他の乗組員はどうしたの?」メイだ。

 「この船を出て各地へ…子を産んで、育てて、次の世代へ…それが繰り返されて…君たちがいる…」

「つまり私たちは何世代ぶりに戻ってきたのね、どこから還ってきたの?」

アベニールは少しうつむいて、「ずいぶん昔のことだから、どこかに記憶があるんだけど…」

「どういう意味?」

妙な言い方にひっかかった。

 「何百年眠るかわからない、コールドスリープが失敗したら、それで何十体かの記憶、記録媒体を造った」

「記録?」

 「何百年眠るかわからない、その間にも万物は流転し続ける……眠りから覚めた時のため。ぼくがカプセルの中で眠っていたのを誰か見たようだけど、あれは500年分の情報を観ていたんだ。」

「その記録媒体とはどういった物だ?」フィリアスが聞いた。

「人の形をした機械。君たちの知っているネオ・カンブリアがそう」

メイとレトは目を合わせ、メイはやれやれと一息ついた。

 「ぼくはネオ・カンブリアのリバイバルなんだ」

アベニールは無邪気な笑みを浮かべた。

 

 ドルドレイはカントの持ち帰った映像を見ていた。

「成る程、インディファイン・ギアは脆いな、試作品だから仕方ない、ところで…被験体2569は登録抹消そして処分で」

「お待ちください」カントが反射的に遮る。「彼女を潜入捜査員として活用してみては?」

「ならん、たいした情報は与えてないはずだが機密漏洩は避けなければならない」

「私と彼女は一人の人間を素体にしています。従ってこちらからリンクを仕掛け彼女の視覚聴覚をジャックしリークが可能です。さらには彼女を操作する事も出来ますが」

「………ふむ、ではしばらくそれで様子を見るが、もしもの時は貴様共々処分する」

 カントは幸運だった。脳波のリンクが可能な事は二日前にわかったばかりなのだ。レプリとカントは元々一人の人間をベースとして造られ、彼はそれをヒントに探ってみたところレプリの視界をぼんやりと捉えたのだ。次第にそれは鮮明さを増し、周囲の音も聞こえてきた。まだ遠隔操作は試してないが出来る自信があった。

 

 アベニールを中心にクロード、フィリアス、レプリが機械巨人の間にいた。

「この機械は何なの?」「モビルスーツ、宇宙世紀時代から使われ始めた戦争の道具」

「私からも一つ聞きたい。いくつか見覚えのある…このザクとかは当時の物か?」

「ここにあるオリジナルはシガテラ、ゼルム、アラクネ、アルサザー、ヴェルポットとあとは…」「オリジナルじゃないのは?」

「そのザクとデナン・ゾン、ゲドラフ、ベルティゴ、ビギナ・ゼラと」

「リバイバル?」クロードが拾って聞いた。「データを元に復元したもの、中身は違うけど」

「あの片腕がでかいのはなんて言うんだ?」「シガテラかな?」

「シガテラというのか…」フィリアスは俯いた。

クロードが聞かねばならない事を思い出した。

「この船の動力源、エンジンはどこにあってどうやって作動させるんだ?そもそも飛ばせるのかな?」

「飛ぶだけならミノフスキーに限界はないよ。でもこの船を帰還船、即ち恒星間移民船として使うなら今のままじゃ」

「ちょっと待て、恒星間と言ったのか?今」フィリアスの眉間に皺が寄った。

「そうだよ」

「ロストテクノロジーと聞いた事はあるが…」

「二つめの西暦で大きな手掛かりがあった、でも実現させるのは大変だったみたい」

「それでその…足りないとは?」レプリが聞いた。

「主動部についてきて」

アベニールは一同をエンジンへと案内した。そこはアベニールが眠っていた空間のさらに深層部にあった。

「まるで鍾乳洞だな…本当に船の中なのか?」

「500年も動いてなかったからね」

草原から深部に下るにつれ、地球を体現しているかのような構造にマントルまであったらたまった物じゃないとクロードは思った。

「ついた」

 ひらけた場所に出た。仄暗い空間、壁がぼんやりと薄明かりを灯す空間はネオ・カンブリアのドームを思い出させる。アベニールは壁に手をかざすと何かを唱え始め、三人は耳を澄まして聞いたが覚えのない言語だった。

 《きっと旧世紀時代に使われていたのだろう》

彼の邪魔をすべきでないと無意識下で思い、一人として疑問を口にはしなかった。

 —————————アベニールが唱え終えると空気が震えた。スリチュアンの五百年ぶりの鼓動であった。

 壁一面に蝶の羽脈のような模様がオーロラの如く光だし、脈は壁から地面へ、そして空間の中心へと伸びていった。脈が集まると光がオーロラから血の色に変わり、地面の中心部が浮き上がり樹根が姿を現した。何が出ても驚かない自信はあったが不可能だった。

「ここをみて」

アベニールが樹根のそばへ行き、根の先を指差した。「幾つか見えると思うけど、この根が丸まっているところ、ここに小さなエンジンをセットする。すべてのエンジンをセットする事でこの船の全出力が出せる。現状だと…準亜光速が出るか出ないか」

「亜光速だと!?しかもフルパワーじゃなしに!」

フィリアスの声は裏返っていた。

「今ここに納まっているのは2つだけ。あと十個、計十二個のエンジンが必要」「どこにあるんだ?」「記録媒体の中。何百年も動かすにはこれを原動力とするしかないから」

 「ということは…」

「各地に散らばっている記録媒体を見つけ出して集める」

「場所はわかっているんだろうな」フィリアスの声が尖る。

「少し待ってね」

アベニールがまた唱えると樹根は元に収納され空間にホログラムが浮かんだ。南アメリア大陸の地図だ。

 「範囲を地球全土に」ホログラムの地図が地球全土へと規模を広げた。

「言語プログラムを変更したから君たちにも使えるようになったよ」

 現在地に2つ、チベット、オセアニア、ジブラルタル、ヤーパンに1つずつ、そして北アメリア大陸東海岸部に3つの反応があった。

 「九つしかないな」「太陽系全土に」

火星に2つ、そして木星に3つの反応があった。

アベニールはしばらく黙り込み、北アメリア東海岸部を指した。「………ここには何があるのかな?」

 

「ここは…!」クロードは一瞬にして奈落の底へ突き落とされた思いだった。

その表情を読み取ったアベニールは口元が歪み静かな笑みを浮かべ

 

「どうする?」甘い声で囁いた。

 

 

「そもそもあなたの目的は違うでしょう!エンジンを集める必要などない!」

フィリアスが珍しくクロードに牙を剥けていた。

「しかし仮にインダストリアに奇襲をかけたところでこの戦力じゃ…」

「ザクやシガテラ、他にも強力な兵器がこっちにあるんですよ!それでもか!」「うるさいよ!黙りな坊や!そう簡単に決められるわけないだろ!」

 クロード、フィリアス、メイを中心に話し合いの場が設けられていた。そこにはネオ、もといアベニールの側近や各役割の代表も参加していた。アベニールは動力室で待機中である。

「クロードの言う通り現時点では奇襲を掛けるべきじゃない、インダストリアを敵にするってことは一国を相手にするのと同じだ。それに何が出てくるかもわからん」

ハンターの首領ペイジの意見は荒くれ者達のトップに似つかわしくなく冷静だった。リーダーまで荒くれ者では組織として成り立たないのだ。

「とにかく今俺たちに出来るのは戦力を増やすことだ。そのためにどうだろう、エンジンついでに同士を探すのは?」

「同士?」

フィリアスの額から青筋が消えた。

「クロードさんのようにインダストリアに対し疑問をもった奴は他にもいるはずだ。そんな奴らを集めて仕掛ける」

この提案に、殆どが一つの質問にたどり着いた。

「どうやって見つけだすのさ?インダストリアに目を着けられた以上易々といかないんじゃない?」「片っ端から集めていたら時間もかかりますしね」メイとフィリアスが言い返した。

「では、こうしてはいかがでしょう?」

僧正のクルバルカが初めて口を開いた。

「まずここを本拠地とし各地へ少数部隊を派遣、そして回収次第ここへ戻ってくる。少人数で行動すれば敵の目を搔い潜りやすくなりますし時間も大幅に短縮出来ます。」

「移動手段は?」「これだけ大きな船ですから小型の飛行艇なり潜水艇があるはずです」

「なるほど、それで話を進めよう。というわけだ!ネオ様」クロードが決断した。

「了解、じゃあ今から小型艇のドックへ案内するから待っててね」

話し合いの様子をホログラムで見ていたアベニールは動力室をあとにした。

 

 

「この4カ所を重点的に見張っていればクロードを捕らえることが出来るんだな?」

「おそらくですが、私がレプリを通してわかったことは彼らがその4カ所にあるエンジンの回収に動き出すであろうという事、ここで待ち伏せておけば…」カントのリンク精度は早くも上達していた。そしてさらに地図上のエンジンの反応がこのインダストリアにも三つある事を告げた。

「三つか…」ドルドレイはしばらく思考を巡らせ、やがて一つの仮説が浮かび

 

 「プレアデスの解析を急げ」

 

と命じた。

 

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