異物(イレギュラー)の少年   作:堕ちた人間

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今回も話が進んでいません。どうしましょう


優等生の達観

【第一異能科高校資料室】

「うーん、やっぱりピンとこないわね。」

 

少女は気難しそうな顔をして唸っていた。少女、神舞葉子は昨日雪辱の敗北を受けた相手こと十六夜葉花についての情報を調べていた。本来はプライバシーの問題から1学生の情報を同じく1学生である神舞が閲覧できるはずはないのだが、実はこの学校、いや異能科高校の殆どには裏情報サイトというものがって、学校内の端末からなら手順を踏めば誰でも使用可能なのである。勿論教師たちもこのサイトのことは知ってはいるが、黙認している状態なのである。それで現在彼女は十六夜のことを調べてみて返ってきた情報に頭を悩ませているのである。

 

「十六夜葉花2065年度入学。入学テストにおいて筆記テスト全般においては6位、特に異能理論の分野では2位以下を10点以上も引き離しての1位を獲得した純理論派として入学当初噂になったが、実技分野においてはギリギリ合格ラインというもので、当初、基礎研修《インターン》終了後は技術科異能理論科への所属が確定的とされていたが、最も不適正とされる実務科戦闘技術科への所属を表明。その後10回以上にも渡る異能理論科への転属を打診されるも全て断り、現在総合ランク135位という地位に甘んじているが、本人のいい加減気味な性格と相まってか妙な噂がたつことが多いと思える、か。この情報から考えられることは、あいつが新しい異能阻害の技術を開発したということだけど、これも比較的ありえるかもと、思えるだけでやっぱり現実的じゃないのよね。それとも、占有妨害《ジャミング》だとでもいうの。でもあれが実用化されたなんて話聞いたことないし、やっぱりありえないか。あーもうどういうことなのかしら。さっぱり解らないわ。」

 

さんざん悩んだあげく、神舞は頭を抱え込んで机に突っ伏してしまった。しかし、彼女がこうなるのも仕方ないと言える。それ程十六夜がしたことは異常なのである。まず彼女が負ける直接の原因となった精神干渉攻撃自体はどうだっていい。何故かというと、精神干渉は使用するのに時間がかかりすぎてしまうため実戦ではあまり使われないだけで、取得するのは比較的容易、ましてや人一人を気絶させるくらいのものならば1週間もあれば誰でも取得できるからだ。問題の発動時間だが、話すことができるような余裕のある時間があれだけあれば、問題なしといえる。問題は自分の異能力が全く効いていなかった。正確にいえば十六夜自体にはだが。異能力の行使及び持続を邪魔する技術を異能阻害技術と言い現在技術的に確立されているものは計4つ、いや、研究施設等ならまだしも実戦で使えるものとなると計3つとなる。まず一つめが抵抗《レジスト》、精神子《ユネサス》をコードにぶつけることによって対象のコードを破損させコードの働きを阻害するものだ。二つ目は無効化《キャンセル》、精神子《ユネサス》を異能師にぶつけ相手の体内余剰精神子《ユネサス》のコントロールを阻害し、コードの作成を邪魔する技術だ。三つ目は存在固定《プロテクション》、対象物質内の精神子《ユネサス》の間に接着剤のような特性を持たせた特殊な精神子《ユネサス》を挟むように配置することで二つの効果を発生させる。そもそも、異能力とは体内の余剰精神子《ユネサス》を用いて対象物質の精神子《ユネサス》に働きかけその物質の存在状態を改変させる技術の総称なのだが、一つの物質に連続で干渉し続けると対象物質内の精神子《ユネサス》が遊動状態、物質内を自由に飛び回っている状態になってしまい、精神子《ユネサス》が定着するまで時間を空けなければ、干渉できない。それゆえ以前は継続的に物質に干渉し続ける異能力、持続性異能力はほぼ不可能と言われていた。しかし、存在固定《プロテクション》が開発されたことにより一部の人間には可能となった。何故かと言えば、存在固定《プロテクション》を行うことによって遊動状態になろうとする精神子《ユネサス》を固定状態にできるからだ。といってもそれによって連続干渉できる回数は使用者の技量に大きく左右されるので一つめの効果であるこれは極めて質にバラつきがあるのが現状だ。

 

二つ目の効果は使用対象となった物質内の精神子《ユネサス》がコードによって物質に変化現象を起こそうとするときそれを阻害するのだ。

 

最後に神舞が否定していた占有妨害《ジャミング》であるが、これはとてつもない力技といえる。それがゆえに現在実用化の目処はたっていない。これの説明はとても簡単で、自分の精神子《ユネサス》を対象物質の中にありったけ詰め込みその膨大な干渉値で他の異能力による干渉をはじき返すというものだが、そのはじき返す程の干渉値を創りだすには専門の研究所等に用意された特別で大型な精神子干渉値増幅装置《ブースター》を用いらなければならなく、実戦で占有妨害《ジャミング》を使用することは現在の技術では不可能と言える。そもそも占有妨害《ジャミング》は最も最初に開発された異能阻害技術でその実用性の無さから後に抵抗《レジスト》、無効化《キャンセル》、《プロテクション》の三つの異能阻害技術が開発されたのだ。元々100%特殊科に入らされるであろう程の非常に干渉値が高すぎる異能師が現れたことにより発見された偶発的な技術であるのだからそれを再現しようとするのが無理がありすぎるというものだ。彼女が最初に選択肢から除外したのも納得がゆけるほど実用化には無理があるのである。

 

「他に何か情報は無いのかしら。あいつの情報って流言飛語の類が多くてどうも節操が無いのよねー。うん?これはなにかしら。何々(これは以前とあるハッカーが某研究所のサーバーにハッキングをかけた時に手に入れた情報らしいのだが、かれの力あらゆる事象現象を打ち消す力というのだ。しかし、そのハッカー自身情報を流した直後に事故死しており真実かどうか定かではない)か。胡散臭い情報ね。でもこれが本当なら説明がつく………。ハアーーーやめよやめ散々調べて何も確証の得られる情報が手に入っていないんだし。ここは搦め手から少しずつ揺さぶりをかけてぼろが出るまで様子見としましょうか。」

 

そう言って神舞は資料室をあとにした。




異能力の仕組みがようやくはっきりしてきました。お分かりいただけたでしょうか?。
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