異物(イレギュラー)の少年   作:堕ちた人間

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展開が急で無理やりだったと反省しています。


第五話知己の推測

ここは異能科高校の中にあるとある倉庫そこに居る少女はもがき苦しんでいた。まるで何かに脅えるように。

 

「いやーーー、やめて、やめっ……て。」

 

そして、彼女は死んだように倒れ伏した。

             

              【第六話知己の推測】

 

そこは何処にでもあるような一軒家だった。その一室にて十六夜葉花は目覚めた。その部屋はどうも変だった。一見すれば生活に必要な品だけを取り揃えた質素な部屋に見えるがもうすぐ夏休みという時期なのに、温度調節器具の類が一切ないのだ。これが21世紀初頭ならまだ節約のためとか、趣味嗜好等で説明がついたが日の当たる壁際に置いとけば10畳、20畳を自動調節できるうえ500円や600円で帰る温度調節器が普及している今では、それらの類が一切ない家ではなく部屋は珍しくなってきている。しかし、彼にはそれらは彼の異能力の性質上必要としていない。

 

「フー、朝か。やっぱり平和が一番だよ。」

 

十六夜はいつも通りの朝に感謝した後、いつも通り朝食を食べずに直ぐ制服に着替え家を出た。

 

【教室《ホームルーム》】

 

十六夜が教室に入るといかにも体育会系といったツンツン頭で銀髪の少年が近寄ってきた。

 

「なあ知っているか十六夜、また被害者が現れたらしいぜ。」

 

「四谷峰、被害者という言い方はおかしいんじゃないか。まだ事件と決まった訳ではないんだから。」

 

今十六夜と話している少年は四谷峰隼人(よつやみね はやと)、十六夜と同様に巳錠家の御家人家に当たる家の人間でその縁で知己の間柄に当たる。因みに彼自身銀髪という見た目からもわかるとおり北欧系の血が混ざっている。

 

「だけどよー、治維管は殆ど精神干渉系統の異能力による精神傷害事件だって断定しているみたいだぜ。」

 

四谷峰が異論をぶつけると、十六夜は四谷峰のそばに近寄り小さな声で話し始めた。

 

「解っているよ。精神干渉系統の異能力はどうかは別にしたとしても、俺自身異能師による犯行だってことぐらいは確信している。だけど、他の場所でならともかくここでそういう話は控えた方が身のためだぜ。」

 

十六夜の忠告に対して四谷峰はただ黙るしかなかった。今この学校で生徒が次々と襲われる事件が発生している。被害者は現在までに計5人。全員倉庫裏等の人気のない場所で襲われている。しかし彼らの体に特にこれといった外傷はなく、倒れているところを病院に搬送そしたところ、意識不明のまま目を覚まさないという状態になっている。ここで問題なのは異能科高校内で犯行が行われている点だ。異能科高校は国力を左右する程重要な未来の異能師を育成する場所であるからして、一般的な軍事施設並かそれ以上の防犯設備《セキリティー》が要求される。その高校の生徒であってもカードキーと指紋認証が要求される。教師の場合も同様だ。にもかかわらず、異能科高校内で傷害事件が発生してしまったことを高校の関係者は事件ではなく伝染病の類のせいだとして学校側の不備を認めようとしていないのである。

 

「場所を移そう。ここじゃ色々と不味い。」

 

【異能科高校第四用具室】

 

「この事件について少し考えてみよう。ここでまず疑問として提唱されやすい議題は三つ。

一つ、何故防犯設備の厳しさで定評のある異能科高校内で犯行に及んだのか。

二つ、何故わざわざ実戦に使用するには難のある精神干渉系統の異能力で襲撃したのか。

そして最後に何故異能科高校の生徒ばかりを狙うのか。

そしてここで一般人が真っ先に食いつくのは何故犯行が難しい異能科高校内で襲撃したのか。現にゴ シック紙の類には「異能科高校への挑戦か」とかいう記事が多く見かけるだが、これはそもそも話に ならない。たとえどれだけ実行の難しい場所であろうとそれに値する理由が有ればそれで問題は無い。現に米国ではこの学園より警戒の厳しい軍事施設で未遂も含めれば、半年に5,6件はテロ事件の 類が起きているじゃないか。まあこれについてはおまえも解っているみたいだが。」

 

「まあ、それぐらいはな。」

 

十六夜の確認について四谷峰は肩をすくめて頷いた。

 

「二つ目の議題については多くの異能師やそれに準ずる者、俺たち異能科高校の学生みたいなのが疑問に浮かぶことだが、お前も腑に落ちなかったのはこれだろ。」

 

「まあ、これでも技術部異能理論科の人間だからショートカットシステムとかも考えてみたけどどうしてもな。」

 

十六夜の問いに対して四谷峰は自分の考えた結果で返した。

 

「おまえの気持ちもわかるが、だがこれも問題にはならない。」

 

「どういうことだよそれは。」

 

十六夜の意外な答えに四谷峰は思わず声を荒立ててせまよった。

 

「おちつけ、まず離れろ。」

 

「す、すまない。それでどういうことなんだよ」

 

四谷峰は十六夜の冷静な真っ当な意見を受け入れて再び問いかけた。

 

「まずお前らは勘違いをしている。精神干渉系統の異能力が実戦向きではないのはあくまでも発動時間がかかりすぎる上、操作性能に難が有るからだが、これはあくまでも白兵戦や模擬戦等の話で今回みたいに特定の相手を暗殺のように行動不能にしたいだけならむしろ隠密性が高いうえ襲撃の痕跡が残りにくい精神干渉系統はうってつけと言える。」

六夜は自分の考察を論理的に話したが四谷峰はそれでは納得しなかった。

 

「そんなことはこっちだって判ってる。けどよいくら適してるたって、。異能科高校に易々と侵入できる上まったく痕跡を残さないような手練が精神干渉系統なんて使い勝手の悪い異能力を憶えるか。精神干渉系統は会得するのが比較的簡単な部類にはいるがそれでも昏睡状態にまでできるものとなると最低でも一ヶ月はかかるぜ。ならいっその事液体干渉技術の上達にでも使った方がよっぽど有益だとおもうぜ。」

 

四谷峰は現実的に見た上での矛盾を十六夜にぶつけた。しかし、返ってきた答えは更に彼を考えさせるものだった。

 

「それについての答えはお前も真っ先に頭に浮かんだんじゃないか。内部の人間の犯行、ていう答えがね。」

 

それは彼が最も指摘されたくない答えだった。

 

「けっ、けどよ、そもそも校内で異能力犯罪が起きたら真っ先に疑われるのは俺たち生徒、次に教諭やなんかの内部の人間だろ。なのにわざわざ異能科高校内で襲う理由がわからない。それならむしろ下校途中でも狙った方がよっぽど楽だろ。」

 

「だがそういうことにすれば大体説明がつく。それに俺はこの事件に切り込むヒントはむしろ三つ目のなぜ異能科高校生を狙ったかという点にあると考えている。」

 

十六夜は確信に満ちた顔でそう断言したが、それに対して四谷峰は怪訝そうな顔をした。

 

「お前何言っているんだよ。そんなの異能力排斥運動団体か諸外国の工作部隊かなんかの仕業に決まっているのだから何の不思議もないだろう。」

 

四谷峰はおかしなことを言っているといった口ぶりで十六夜に言ってきたがそれに対して十六夜は深いため息をついた。

 

「四谷峰隼人10点。」

 

十六夜の言葉に四谷峰は「はあ」と呆けた声をだした。

 

「お前なんだよそれ。」

 

「お前は馬鹿か?。」

 

「なにい。」

十六夜の軽口に四谷峰は乗って怒った。

 

「じゃなきゃ阿呆だ。いいか、まず異能力排斥団体の構成員の殆どは異能力犯罪の被害者やその遺族が下地になってできている。彼らが狙うのは現役の活躍している異能師が殆どだ。それに異能科高校を出たからといって全員が異能師になれるわけじゃない。国の異能師試験合格確率は年によってばらつきがあるが大体70%から75%が最も多い。要するに10人のうち7人ちょっとしか異能師になる人間はいないんだ。もしおまえの言うとおり外部の人間の犯行だとしたらさっきも言った通りかなりの手練がいることになる。それならいっそのこと国際異能師協会日本支部に爆薬でも仕込んだ方がよっぽど手っ取り早いだろ。忍びこんで襲うにしたってわざわざこんなちまちま襲う理由がわからん。こんなの捕まえてくださいといっているものだろ。その点、内部の人間の犯行、生徒がいじめなりなんなりしている。と結論付けた方がよっぽど自然だろ。」

 

十六夜はピシャリと言い放った。その言いぶりは自信が有る様にとれたが、四谷峰はやはり納得しなかった。

 

「でもやっぱり俺は得心がいかないぜ。そりゃ、お前が言っている話の方が論理的だということは認めるけどよ。お前だって全部納得しているわけじゃないだろ。そこんところどうなんだよ。」

 

「お前の言うとおり俺だって何から何まで納得しているわけじゃないが、内部犯であることは明白だ。気をつけろよ。」

 

「ああ、わかったよ。だけどよ、ミイラ取りがミイラになるんじゃないぞ。」

 

「ああ。」

 

 

 




この二人本当に仲が良いんですよ。
あと誤解されがちですが精神干渉系統はオカルトなどの類ではありません。微弱な電流によって相手の脳等の中枢神経にハッキングするもので、系統分類としてはスパーク(電撃攻撃)等と同じものとなります。電流のの細かいコントロールに手間がかかるので時間がかかりすぎるのです。
【補足説明】
治維管…治安維持管理局の略称です。大まかな役目は警察と変わりませんが、青少年育成とい    う名目で教育委員会の様なこともしています。他にも細かい点で警察と違っていま     す。
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