一騎達は中に入ると困った。何故なら事前に得ていた部屋の配置とは違ったからである。事前に得ていたといっても、昔に建造された艦なので見取り図を知っていたからである。しかしデッキにある唯一の扉から入るとすぐに階段があり20段ほど降りた後扉があった。その先にはもうフェストゥムと水晶体があったからである。
【初めまして、皆さん】
いきなりの挨拶に焦るが、代表として文彦が挨拶を返す。
「あ…あぁ。初めましてでいいのかなフェストゥム」
【えぇ。それで構いませんよ。後私達は、いえ私はウラヌスと名乗っています。しかし私は既に分岐している存在、他の仲間…あなた達の言うフェストゥムとは話はできますが、意思の疎通は既に断たれていることをお分かりください】
「なっ…フェストゥムが自ら仲間と別れたと言うのか⁉︎」
【そうですよ一度私達の方に来た者よ。しかし私は居なかったそうでしょう?】
「そうなのか?総士」
「あぁ。確かに俺が行った時には居なかった。そもそも痛みを教えた時から居なかったはずだ」
【えぇそうですね。私は、私達がこの星に降りる前に別れました。私達は最初、あなた達の言う天王星…ウラヌスに居た生命体と同化しました。その時既に荒廃した生命体は残り僅かなもので同化した個体も私だけです。その際に言われたのです。『私達を同化してくれてありがとう。私達という存在が消えることはありません。次に同化する者と共に生きてください私達の分も』とね。】
これを聞いてほとんどが驚いた。嘗て真壁紅音が祝福して存在を得たと思われていたのだが、そうではなかったからである。そうなるとある意味では無駄死にということになる。しかし今までの敵は個としての存在を持ったものは目の前に居るフェストゥム以外だと真壁紅音の同化後しか居なかったのである。その矛盾ともとれるべき謎について考えていると
【今あなた達のは何故その時に分岐が始まらなかったと、考えているのでしょう。その時に私は自らを異質の存在と認識しました。その時に決めたのです。私達の側からの通信には今まで通りにし、自らで考えようと。そしてこの星に来た時に同化したのが彼です。…彼のことはカノンさん貴女ならわかるでしょう】
「そうなのか?カノン」
「カノンおねぇちゃんわかるよね?」
「わかるような気がしているんだ。でも思い出せない。」
【貴女を庇って同化された者ですよ。嘗てまだ貴女が人類軍に入る前に、今の私と同じ翡翠と蒼色のフェストゥムが一度だけ現れたはずですよ。】
その言葉に固まるカノン。思い出したのか1人の友を思い出した。嘗て小型のフェストゥムを拾った銃で戰い守り続けてくれた者を
「まさか…
『漸く思い出したか
「死んだと思ってたんだからな」
「死んだ?同化されたんじゃないのか?」
「同化されずに死ぬのとただ死ぬのとは違ってくるぞ一騎」
「私を庇って右腕と両腿の半ばの下を消されて、それでも敵を引きつけて居たんだ。それに子供の遺体を回収したと
カノンは思い出した。フェストゥムに追われている際ニュクスが自らを犠牲に私を逃がしてくれたこと。その後人類軍に拾われたこと。そこで人類軍の会話の中で“両足の無い”子供の遺体を回収したということを…それがニュクスだと思い込んでしまったことを。
『そろそろ出たいな。体は治ってるんだし出ていいよな。』
【貴方はあの後ずっと歩いてないのですよ?歩けるわけ無いでしょう。今は彼らに運ばれておきなさい。また話の続きはいずれいたします。】
「いいだろう。溝口彼が出てきたらメディカルルームまで運んでくれ」
「えぇ⁉︎俺かよ。はいはいわかりましたよ」
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ニュクスを運ぶ溝口、美羽、弓子はそれに伴って帰ったが、文彦は気になっていることをフェストゥムに尋ねた
「ウラヌスだったな?この下にある機体はなんだ?」
とりあえずここまでで