こんにちは、ジムの中ではあまり好きなのがないアルファるファです
強いて言うならホワイトディンゴ隊仕様の機体かな・・・
今回はアイアンフィストを襲った連邦部隊の事情に焦点を当てた話になります
地球連邦軍基地
機体整備用の大型格納庫
無数のモビルスーツがところ狭しと並べられ、厳かに装甲に照明を反射させるその様は、地球圏を統べる絶対統治組織の力を誇示していた
その規模はとても恐ろしいものがあったが、この基地は辺境のモノだ
これ以上の代物も、うじゃうじゃ存在するのだ
ティターンズやエゥーゴによる内乱や、度重なるジオンの成れの果てからの攻撃を、連邦が退けることができたのも、納得である
かの一年戦争を除いて、この巨大すぎた化け物軍隊が大怪我を負った事例はない
そう、彼らは敗北することはない
敗北しないので、余裕が出てくる
余裕が出てくると、組織の腐敗が始まってくる
この基地は、地球連邦の腐敗の象徴だ
政府や軍の高官たちが、手に負えなくなったり隠し立てしたい自らの実子を預けるための基地
出来の悪い保育園と化してしまっている
別にそのために作られたわけではない
だが、現状ほとんどそのような状況になっている
送り付けられたボンボン連中『クラウン隊』
もともといた叩き上げのノンキャリ集団『基地所属戦隊』
この二つが一つに纏まっていることで、ギスギスした雰囲気が基地全体に蔓延っていた
だがそんな最悪な状況の基地でも、ジオン残党など赤子の手を捻るように対処できる
それはなぜか
彼らが地球連邦軍だからである
基地の防衛設備は非常に堅牢
新旧入り交じったモビルスーツ部隊数十機
極めつけに、用済みになった強力な兵器を横流しされてある
こうなってくると、もうこの基地だけで戦争を起こせそうだ
だが彼らはそれができない
テロリストではなく正規軍だからだ
基地所属戦隊はともかく、クラウン隊の士気は落ちていく一方だった
だがこの度、見事ジオン残党が現れてくれた
臭いものに蓋をされた形のクラウン隊にとって、極上の退屈しのぎが見付かった瞬間である
ボロボロになった数機のジムを見上げ、地球連邦大尉ブルース・ウェインは眉をひそめた
彼の部下、レクス・ケイロンはその隣で冷や汗をかきながら唾を飲む
「ケイロン少尉」
「はッ、ハイッ!」
ブルースの視線を食らったケイロンは、即座に敬礼した
その顔を睨むように眺めながら、ブルースは続けた
「敵は本当に単機なんだな?」
「その通りであります!」
「・・・ふむ」
溶けた切断面に視線を移し、ブルース大尉の顔に皺ができる
ありえない、と感じた
いくら最新型に劣ると言えど、ケイロンは自分を含め四機のモビルスーツで戦った
それが、こてんぱんに負けてしまった
「申し訳ありません大尉、ジムをこんなにやられてしまって・・・」
「いや、撤退できただけでも良かった・・・あのまま無駄死した方が損失が大きかった」
「お気遣いありがとうございます・・・」
「モビルスーツなら直せばいい、パイロットまではそうはいかん、この失敗は次に活かせ」
地上でモビルスーツ四機にたった一機で立ち向かい、勝つ
そんなことが本当に可能なのか?
できないわけではない、が、とても難しい
機体性能か、パイロットの腕のどちらかが怪物的だった場合、できなくもない
「敵は、どんなヤツだった?」
「ハイ!白くて、関節が輪になってて、音速に匹敵するスピードで地上を走り、白色のビームサーベルを使用していました!」
「なるほど」
そんなモビルスーツ聞いたことがない
出鱈目すぎる
と、いうわけで、正解はモビルスーツにあるようだ
強力な敵機
恐らく一筋縄でいかない相手だろう
ブルース・ウェインは考えた
どうやったらそんな奴を倒せるのか
相手が兵器を持っているのなら、相応の対応を取らねばならない
例えこちらの開いた戦端であっても、巨大兵器を所持する以上、排除の必要がある
つまり、叩くのだ
「ふむ・・・さて、そろそろと言ったところか」
「どうしました、大尉?」
「呼びつけた相手が来るのだ」
腕時計を見て、それからブルースは格納庫のゲートを睨んだ
ぱっくりと口を開くゲートの向こうに、複数の人間が見えた
クラウン隊だ
過度な装飾や色染めの髪を揺らしながら、どうしようもないパイロット達がゾロゾロと入ってくる
先頭の一人がブルースの目の前に立った
「やあブルース大尉、何か用かな?この僕を呼びつけるなんてさ・・・」
「ご機嫌はいかがですか?ケイド・ヴィラン『特務』大尉」
皮肉混じりの一言に、ヴィランの取り巻きが激しく反応した
「お前ぇ!ヴィランさんに舐めた態度を・・・!」
拳を握る取り巻きを見て、ヴィランは手を横に広げた
「うっ・・・」
ヴィランに制せられた取り巻きは、そそくさと後ろに回った
それを見ることもなく、ヴィランがブルースに聞く
「潰しに行くんだろう、敵を」
「ええまあ、そんなところです」
「そうか、まあパパが『例の』をくれるまで実戦はしたくなかったけど・・・」
勿体ぶった調子で呟きながら、ヴィランは上を向く
そこにはやはり、中破したジムがあった
「リフレッシュ、しようか」
クラウン隊がのたのたと引き上げた後、ケイロンはゲートに向かって唾を吐いた
「あのボンクラ共・・・」
それを見ないようにして、ブルースは電子端末を弄り始めた
端末に表示されていたのは、この基地の保有するモビルスーツだ
0079から0084のものしかない基地所属戦隊のものと、ジムⅡやらネモやらのいるクラウン隊
その両方を見て、よく吟味する
連邦にいる以上は、どんな連中でも味方なら背中を預けるし、どんな連中でも敵なら撃つ
それがブルースの矜持だった
「妙な気分だ・・・」
ブルースは思わず口走った
あの正体不明機に対して、大きな恐怖を感じた
一年戦争からモビルスーツパイロットをしていたブルースにさえ、あの正体不明機は恐ろしいものに写った
いや、それは長年研ぎ澄まされたカンかもしれない
どちらにせよ、自分の中の何かが警告している
「フッ、正体不明機か・・・」