機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
ザンスカールのモビルスーツではリグ・コンティオが好みのアルファるふぁです
強そう!とにかくとっても強そう!

今回は、戦いの後の余韻を意識したお話になります



嵐は過ぎ去る物

 

「全滅・・・か」

グフカスタムの片腕を放り投げた後、ブルースは呟いた

辺りには、出撃時に五機いた部下の機体の、その残骸

四つある

敵部隊との接触前にやられたのを合わせれば、ちょうど五つ

ブルース機以外は、全て撃墜されたということになる

ジムクゥエルを反転させて、ブルースはもう一度呟いた

「・・・私では勝てない・・・」

そのままスラスターを噴射しながら、ブルースは撤退した

 

 

 

 

頭部を失ったドムトローペンが、首下に付いていたサブカメラで、ジムクゥエルの撤退を見守った

遠くなっていく青と白のツートンを確認し、レイゼンがため息をつく

「近辺に残存敵勢力なし」

「了解」

汗まみれになったウォルターが、気だるげに返答する

性能差やパイロットの腕の差があるとはいえ、三対一で押してくる化け物との戦いから解放されたのだ

「待たせた、今・・・ジムクゥエルは?」

隻腕の不思議兵器がこちらへ走ってくる

猛烈な土埃が足下から出ているが、加勢しに来たなら全速で来るのは当然なので、何も言わない

「帰ってったよ、尻尾巻いてな」

「そ、そうか・・・良かった」

ネクストの心底安堵したような声を聞き、ウォルターは苦笑した

未知の力であるナガレボシを手に入れても、増長することもなく、恐怖を感じている

そこに人間らしさが溢れているのを感じた

口にする余裕はないが

「作戦終了!全機、帰投せよ」

ナガレボシの後からアウラのザクⅡが向かってくるのを確認し、ウォルターは戦いの終わりを告げた

ウォルターの指示に、誰もがなんの反応もせずに従った

今回の戦闘が、なかなか凄まじかったのが原因だ

増援として後から出てきたアウラを除いて、戦闘に参加したパイロット達は一様に疲れきっていた

グレックリーのグフカスタムは片腕を持っていかれた

レイゼンのドムトローペンは頭部を破壊された

ウォルターのザクⅠはそんな二人をフォローするので精一杯だった

そしてネクストのナガレボシは、右手を切断され、トドメを刺されるところだった

それもこれも、一気のジムが、いや一人のパイロットがいたからだ

ブルース・ウェイン

恐ろしいパイロット

ウォルター、グレックリー、レイゼンの三人がかりでようやく足を止めたパイロット

そして、今まで連邦のモビルスーツ相手に大暴れし続けていたナガレボシを、一方的に叩きのめしたパイロット

もしあれが、またアイアンフィストに襲いかかってきたら

もしあれが、ガンダムのような高性能機に乗ってきたら

無数の可能性に、ネクストの背筋が凍る

「強かったの?ジムクゥエル」

「・・・あぁ」

「そう」

アウラの問いに、ネクストは曖昧な答えしか返せなかった

完全にトラウマとなっていた

存在が脳裏をかすめるだけで身震いしそうになる

明確に死にそうになったのは、ナガレボシに乗ってから何回かある

だが、圧倒的な力を叩き込まれたのは、これが初めてだ

性質による弱点を突かれたのでも、数に押されてしまったのでもなく、技量を使った一対一での敗北

すなわちタイマンでの力負けだ

それも、こちらは化物機体ナガレボシで、相手はロートルな旧式だ

その上で、殺されかけた

これが恐怖以外の何者か

だが主な原因はわかっていた

単純なことだ

まったく簡単なことだ

「腕が足りなかったんだよなぁ・・・!」

パイロットの腕、これがあれば、あそこまで追い詰められることもなかった

もしかしたら倒せていた可能性だってあった

だが、ネクストには絶望的に実力がない

それらはナガレボシの性能で補っていたからだ

三回の戦闘で腕を上げた可能性はあるが、それだけだろう

ほとんどにわか仕込みだ

ブルース・ウェインには通用しない

なら、通用するにはどうすればいいのか

ネクストは、真っ先に目の前の旧ザクの乗り手に求めることにした

「なぁウォルター」

「なんだ」

「強くなりたい」

「物理的にか」

「いや、コイツを乗りこなしたい」

即答するネクスト

それに対し、ウォルターはクスリと笑った

笑われたことに気付いたネクストが、口を尖らせて抗議する

「な、なんだよ、おかしいかよ」

「フフン、いや、これは頼もしいなと思ったんだ!別にお前を馬鹿にした訳じゃあない」

「そうかよ・・・」

自分の右手を見た

ナガレボシが切り落とされた右手

初めての敗北の証

またブルース・ウェインと戦えば、これ以上のダメージを食らい、今度こそトドメを刺されるだろう

ネクストは何となくわかっていた

「付き合おう、全力でな」

「・・・ああ、頼む」

強くならなければならない

連邦やらジオンに踏み潰されていく人達を、少しでも救いたい

それには、ナガレボシの力が必要で、そのナガレボシの力を引き出すには、自分の技術やらなんやらを磨かなくてはならない

ネクストは拳を握った

ナガレボシも拳を握るモーションをとるが、手首が無いのであの歪んだグーは作れなかった

「俺は・・・」

深呼吸をする

たった一言、独り言を言うための準備だ

独り言とはいえ、口に出すのは恥ずかしい類いの台詞だ

そして、口に出すのは勇気のいる台詞でもある

握り拳を胸に当て、ネクストは呟いた

「・・・俺は、強くなりたい」

目線を落とす

遠くまで続く荒野の上には、燦々と太陽が輝いていた

ネクストの胸に、決意が、覚悟が、勇気が、確かにあった

本人は、そう確信していた





結構バリバリ次話投下してましたね、こればっかりをね!

他の作品を待ってくださっていた方々申し訳ありません!次は別作品も進めていきますので!
それでは今回はこの辺で
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