こんにちは
極端なジオニズムも正義気取りの地球連邦も大ッ嫌いなアルファるふぁです
よく色んなとこで議論するジオン信者と連邦支持家に一石を投じてみたくてこの作品を書いています
何がなんだかわからないままに、ネクストはテントに連れてこられた
このテントは、アイアンフィストの二回目の戦闘の前においてネクストが待機していた場所だ
今は解体せず、仮組の作戦室として置いている
そしてこの作戦室には、ネクストとビーン、そしてアイアンフィストのモビルスーツパイロット全員がいた
ただ事ではないことは、戦争素人のネクストにも察することができた
「さて単刀直入にいこう、あまり長ったらしいのは嫌いだ」
ウォルターが早速切り出した
「五分ほど前、大規模なジオン残党連中が俺に通信を送ってきた」
その場の全員の目付きが険しくなる
ジオン残党
一年戦争において地球連邦軍と争った当時のジオン公国軍の一部が、ジオンの敗北という形で終わった戦争終結を認めず、当時からの戦力を以てテロ活動をしているものの総称である
無論、戦争終結後ジオン公国から姿を変えたジオン共和国の関連はなく、むしろ残党は共和国の存在を否定する始末だ
ジオンの創設者の故ジオン・ズム・ダイクンが掲げたジオニズムなどを理想として執念の限り聖戦という名のテロを続けている、危険な存在だ
地球連邦を眠り続ける人食い虎とするなら、ジオン残党はさしずめ永遠に暴れ続ける毒蛇だ
そんな奴等が、このアイアンフィストに接触してきたという
それも大規模な、という注釈がつくレベルの部隊が
「俺の同僚だ・・・ソイツがリーダーの、ツバイノワールという部隊だそうだ」
ウォルターは全員の反応を見て、言葉を続けた
「あいつらの要求は、アイアンフィストとの協力関係を結ぶことだが・・・」
「戦力に任せて服従させてくるつもりだろう」
腕組みをしながらレイゼンがウォルターの話を切った
現実的な意見だった
「だが従わなくては本格的に磨り潰される」
「そうだ」
「最初から逆らわない方が、待遇はいい」
レイゼンとウォルターが二人で話を進めていくと、グレックリーが大袈裟に手を上げて制止した
「で、最初から従ったときのメリットは?」
「そうだな、今この近くの連邦軍は力を溜め込んでいると思う・・・そいつらを確実に始末できるだろうな」
あ、とネクストは呻いた
来なくなってから大分経つが、連邦軍部隊の攻撃が終わったわけではない
今までは地方の部隊らしい貧弱な装備で攻撃してきたが、アイアンフィストに叩きのめされた後にぱたりと来なくなったのは、確実にアイアンフィストを仕留める準備を進めているだからだろう
それに気付かずにのほほんと暮らしていたネクストは、恥ずかしくなってきた
何故そのくらい思い付けなかったのだろう
「んで、従ったときのデメリット」
「このアイアンフィストはツバイノワールの奴隷になり、煮るも焼くも奴等に委ねられることになる」
グレックリーの二度目の質問に、ウォルターは肩をすくめて答えた
実際相手はそれしか望んでいないだろう
たまたま連邦と敵対した町があり、そこに大量の物資があり、さらにそこが自分達より小さな戦力しかなかったなら、利用するのが上策だ
ミリタリーパワーが拮抗しているならともかく、自分達より下なら取り込んでしまうのは当たり前だ
その場の全員の視線がビーンに集まる
この男の決定が、アイアンフィストの決定だ
服従か死か
ビーンは傍らのウォルターに視線を向けた
「おいウォルター」
「なんだ」
「ぶっとばしてくれ」
「了解した」
たった三秒に満たないやりとりで、それは決まった
徹底抗戦
アイアンフィストの自由を奪わせない
連邦ジオンまとめて相手取る
それがビーンの出した結論だ
ネクスト以外の全員が頷く
「やるだけやってみよう」
「妥当だな」
「俺もそう思ってたんだよ!」
「どうやって蹴散らそうかしら」
血気盛んなモビルスーツパイロット達の姿を、ネクストは眺めていた
だが同時に思い出した
ジオン残党というのは、いわば理想を掲げたテロリストなのだ
かつての栄光にすがり、自分達の意見こそ正しいと思っている、エゴイスト
連邦とは真逆だ
連邦は間接的に殺し、ジオン残党は直接的に殺す
だから、許せないと誓った
奴等、ジオニズムの旗の下に人をいきなり殺すだけでは飽き足らず、この平穏な集落を食い潰すつもりだ
ネクストの頭は怒りで染まった
「あぁ、やるぞ」
ネクスト・ブレイクの一言に、その場の全員が首を縦に振った
「また戦闘だよ」
会議の後、ネクストはナガレボシの足に寄り掛かっていた
生憎の空模様で星は見えず、星明かりでナガレボシを見ることはできない
「ごめんな、何度も何度も殺し合いさせてさ」
水筒の中身を口に含みながら、ネクストはナガレボシに話しかける
その視線には、二つに割れた巨大な隕石があった
「宇宙からの長旅だったのにな、災難だったな」
一つ、大きなため息を吐く
これは一人言となんら変わりない
ナガレボシは話さないし、ネクストを含めた人間の言葉にリアクションすることもない
機械か生物かわからないこの存在だが、話を投げ掛けるのは無駄と言っていい
だがネクストは話し続けた
「だけどさ、もう少し力を貸して欲しいんだ」
水筒の中身はウイスキーだ
「俺、アイアンフィストを守りたいんだ」
仲間と飲んだ酒は、旨かった
「だから、力を貸してくれ、ナガレボシ」
最後の一滴を飲み干すと、ネクストはナガレボシから離れ、立ち去った
「俺も頑張るから」
ネクストがナガレボシから視線を外した時、ナガレボシの眼が一瞬光った
それは星のように、夜の曇り空に輝いた
ネクスト君とナガレボシ君は相棒なのだ
次回はジオン残党が登場するのだ
ついでに色んな機体が出てくるのだ
多分