機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
エルメスのサイズに驚いているアルファるふぁです
ビグザムより大きいってあるんですけど・・・

今回はジオン残党ツバイノワールが登場です



火蓋は落とされた

 

旧ザクの中で男が一人

パイロットシートに身を沈め、視線を巡らせている

ウォルターは通信機のスイッチを着けた

「どうだ?」

「こちらからは何も」

「俺の方も、何も見えない」

部下二人の返答を聞き、ウォルターはもう一度ザクのカメラをズームさせた

 

先程地上レーダーに反応があった

旧ジオン公国の地上移動艦ギャロップ級とダビデ級の反応だ

こんなものをこの周辺で運用する者など、ウォルターには一つしか心当たりがない

ツバイノワール

アイアンフィストを手中に収めんとする、巨大なジオン残党組織

ついに彼らがやって来たのだ

だがアイアンフィストの内部での決戦はまずい

少し離れた所で迎撃することにした

 

が、一向に敵モビルスーツは来ない

陸上艦も見当たらない

「あんなに近付いてきて、まさか何もせず引き返すわけもあるまいが・・・」

視界を移しても、荒野が広がるばかりで何もない

レーダーは故障していない

ならばなぜ敵はこちらへ来ていないのだろうか

違和感だけが積もっていく

その時、オープンチャンネルで語りかけてくる者がいた

「ご機嫌はどうかな?ウォルター・コバック大尉」

「・・・マーヴェル!」

「頭上を失礼するよ」

その声と共に、ザクⅠの巨体を影が覆った

上からの何者かが、ザクへの太陽光を遮っているのだ

ウォルターは弾かれるように上を向いた

「・・・ッ!?バカな、ありえない!」

そこには、ジオンの飛行空母ガウがあった

敵は来ていた

地上用レーダーに捉えきれないはるか上空から

ダビデにギャロップ、それにガウ

戦艦をこんなに使用できる

ツバイノワールはそのような巨大組織なのだ

「おかしいだろオイ、これぇ!」

グレックリーが思わず叫ぶ

燃料馬鹿食いの空中戦力を、残党が涼しげな顔で運用しているのだ

その異常性は、実際にそれを使っていた彼らにはよくわかる

ウォルターはガウを凝視した

その前方、発進口から、板のようなものが次々と出てくるのを見た

サブフライトシステム

モビルスーツを上に乗せて飛ぶ戦力だ

「いきなりの訪問で悪いが、君のお宅へお邪魔する」

マーヴェルがわざとらしく、ゆっくりとウォルターに言った

「その後で交渉しようか」

「引き返すぞ!」

ウォルターはザクⅠのスラスターを全開にした

ランドセルから炎が放たれ、モビルスーツに推進力を与える

だが足りない

ガウには追い付けない

「大尉、アイアンフィストの外側に留まらなくては、向こう側にいるギャロップの接近に対応ができません!」

「だとしても今はアイアンフィストが先だ!」

レイゼンの申告に、ウォルターは吐き捨てるかのように言い放つ

「ガウからモビルスーツが出ている、奴ら空中から戦力を降ろしてアイアンフィストを直接叩くつもりだ!」

切羽詰まった表情でウォルターが捲し立てる

自分でも、こんな状況でよく舌が回るものだと思えた

まさか、ツバイノワールがガウを使ってくるなんて

「急げ!」

コクピットのペダルを精一杯踏み締める

今のアイアンフィストはがら空きだ、あっという間に制圧される

このままでは、帰る場所を人質にされてしまうのだ

 

 

 

 

 

 

 

ドダイから一機のモビルスーツが降りてきた

陸戦型ゲルググだ

他にも、アイアンフィストに次々とモビルスーツが降りてくる

そのどれもが、両肩を黒く塗り潰していた

それは彼らのパーソナルマークだろう

だが、同時に得体の知れない威圧感も伴っている

そのモビルスーツ達に囲まれながら、隙を見せないように立ち回る別の陣営のモビルスーツが一つ

アウラ・ドレインバーグスのザクⅡである

マゼラトップ砲を握り締め、振り回している

「この数・・・ウォルター達は何やってたの!?」

冷や汗が垂れる

敵の数が多い

どう見ても制圧するための戦力だ

質はともかく数が多い

アウラ一人では対処できない

勝つのは難しい

 

 

 

 

 

 

ペダルを踏み込んだウォルターの耳に、かつての戦友の女の声がする

「ウォルター、取引をしよう」

「取引だと?」

思わず通信機を睨む

だが、なおも通信機はマーヴェルの声をウォルターに届けた

「私達と共に、地球連邦を打倒しジオン再興を果たそう」

「嫌だと言ったらどうなる」

「君の愛した場所はメガ粒子に消える」

ザクのコクピットではを食い縛る

視線が揺れ、心臓が早鐘を打つ

従わなくては、アイアンフィストは滅茶苦茶にされる

「君達の立場は保証しよう、連邦を打倒した暁にはこの星で好きなように生きるのだ」

マーヴェルがここぞとばかりにウォルターへ話しかける

「この前まで連邦の攻撃に苦しめられただろう?それも無くなるのだ」

その言葉がウォルターの耳に入る度、ウォルターはアイアンフィストを想う

「一年戦争の頃はジオニズムに興味があっただろう?それをさらに探求するんだ」

マーヴェルの言葉を飲めば、アイアンフィストはまだ生き延びられる

「ここをさらに発展させるんだ、なぁウォルター」

断れば、奴は迷いなくアイアンフィストを叩き潰すのだろう

「さあ、ウォルター」

女はゆったりとした口調で迫る

ウォルターの心が揺れ始めた、その時

「・・・見付けた!」

ザクⅠのレーダーが、上空にいる大きな何かを写し出した

間違いない、ガウだ

再びペダルを踏み込む

ウォルターのザクは、スラスターで空中へ飛んだ

「これが答えだ、クソッタレ!」

脚部ミサイルランチャーが火を吹いた

レーダーが指し示した方の空へ、弾頭が向かっていく

しばらく飛んでいったミサイルは、どこからか飛んできた幾つかの閃光に貫かれ、爆散した

着地、レーダーを見る

グレックリーとレイゼンも着いてきているようだ

ウォルターはマシンガンを前へ向けた

そこにはドワッジがいた

敵のモビルスーツだ

そう、敵だ

かつて共に戦った元同志でも、取引によってできた新しい仲間でもない

「おおおおおぉあァッ!」

大型ヒートホークを振り抜き、突撃する

雄叫びをあげて、ウォルターはツバイノワールへ躍りかかった

 

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