こんにちは
ファーストの戦闘ではエルメス戦が好きなアルファるふぁです
まだまだ続くツバイノワール戦。アウラも脱落して、どうなるアイアンフィスト
ビームライフルの銃口が煌めいた
発射された細い閃光
それは目標のザクを貫くことはなかった
「ブレイク!おい、ブレイク!」
ウォルターが通信機に吠える
「起きているなら返事をしろ!」
「ク・・・あぁ、無事だ・・・」
呻くような声音で、ネクストが応答する
彼の乗機であるナガレボシは、ズサのミサイルで全身黒焦げた
装甲は傷付き、凹み、抉れている箇所が散見される
それでも、ネクストはまだ無事だ
「ブレイク、母艦をやれ」
「なんだって?」
ウォルターの指令に、ネクストは思わず呆けた声を出した
だが、構わずにウォルターは続ける
「マーヴェルは強敵だが、母艦を叩かれても戦闘を続けるほど蛮勇じゃない」
そう言う間にも、ザクⅠにミサイルが迫り来る
だが、反復横飛びのような器用なステップで、それらはあっさりとかわされる
「俺が抑えてるうちに、ギャロップやらダブデやら適当に潰してこい!」
続いてウォルターのザクがマシンガンを撃つ
複数の弾丸がズサのすぐそばを通りすぎた
つまり、避けられる
「よし・・・任せろ!」
「北西にギャロップ、北北西にダブデ、南の上空にガウだ!頼むぞ!」
くるりと向きを変えて、トリコロールの異形が走り出した
ナガレボシが地を踏む度、土煙と岩とが巻き上げられる
そちらへビームライフルを向けたマーヴェルのズサだったが、足下に転がるザククラッカーに気付いてすぐに飛び退いた
爆炎に隔てられた向こう、赤いモノアイが強く光る
「お前の相手は俺だ、マーヴェル・クミクスッ!」
クラッカーを投擲した左腕に大振りの斧を握りながら、旧ザクがスラスターを噴かした
視界の向こうに、先程見ていた景色が飛んでいく
高速で流れていく景色は、何かしらの映画を見ているようだった
が、移動しているのは風景ではない
ナガレボシは両足をとてつもない勢いで振り回していた
地に足を着ける度、強く踏まれた荒れ地がさらに荒れる
既にアイアンフィストは後方だ
ウォルターの指示通り、北北西の地上戦艦を叩く
「このままビームサーベルでやるか?いや、無謀か・・・」
ネクストはナガレボシの火力を嘆いた
ビームガンでは大ダメージは期待できず、ビームサーベルはそもそも届かない
「こいつがもっと威力あればなあ・・・」
そう言いながら、ネクストは背中に手を伸ばす
ネクストの動作に合わせて、ナガレボシも背中に付いたビームキャノンを触った
そのとき、ビームキャノンが稼働し始めた
ひとりでに動き出し、砲口を振り回す
だが、砲自体の位置が、いつもと違う
ビームキャノンが、頭の上に乗っていたのだ
「腰だめじゃなくて、地面と垂直・・・?いや、これは・・・」
背中と平行になったビームキャノン
その用途に気付き、ネクストが止まった
「こうか!」
そのままナガレボシが四つん這いになる
ナガレボシの頭部に乗っていたビームキャノンは、そうすることで初めて地面と平行になった
ネクストが狙いを定める
「・・・見付けた!」
キャノンが向く先、ずっと向こう
四角い本体に平たくした卵形のブリッジが乗った、ジオンのダブデ級が見えた
その周りには、アイアンフィストへ向かってくるモビルスーツ
あれを近付かせるわけにはいかない
「一般人殺して自分の恨みを晴らすのが正義なら・・・」
視界の向こうの存在を睨み付ける
それはモビルスーツか
それともダブデか
はたまた、ジオン残党という概念それ自体か
「俺は、悪人のがマシだぁッ!!」
ネクストがピストルの形にした右手の人差し指を曲げた
トリガーは引かれ、ナガレボシの背中のビームキャノンから、光線が放たれる
それは、ナガレボシを包み込めそうなほどのサイズのメガ・ビームだった
通過点の大地は蒸発し、空気は焼け、石はたちまちドロドロになる
巨大な光の奔流が、地上戦艦を捉えた
「すげえ・・・」
瞬きする暇もなく、ダブデ級は本体後部を残して消え去った
ナガレボシのビームキャノンが、本当の姿を見せたのだ
ネクストはその威力に恐怖すら覚えた
「取り巻きのモビルスーツもいなくなってる・・・」
ネクストは目を凝らした
ダブデ級周りで動いていたモビルスーツが見当たらない
ダブデの残った部分に隠れているのか、それとも先程のビームに巻き込まれたか
「・・・戻ろう!」
敵の撃破を確認し、ネクストはもう一度走り出した
ジオンの戦闘機ドップが、ザクマシンガンに貫かれて散った
ナガレボシとの空中戦を制したドップ部隊がマーヴェルのズサを援護しに現れた
が、ウォルターはそれを軽くあしらう
マシンガンを別のドップに向けようとしたザク
ズサがそれに斬りかかった
「ウォルター、我々と共に連邦を倒さないか!」
「0079くらいなら、OKだったんだがな!」
ビームライフルの先端、銃剣として取り付けられたヒートナイフが、真っ赤になって熱を発した
「なぜ断る、私達の手でスペースノイドの未来を掴むのだ!ウォルター・コバック!」
ザクに迫る、銃剣の一振り
だがウォルターは、大型ヒートホークで銃剣ヒートナイフを受け止めた
二つの刃がぶつかり合う
「俺はもう、この場所を守ることしか考えていないッ!」
ザクがスラスターを噴かした
ジャンプした橙色の影が、ズサのメインカメラにドロップキックを叩き込んだ
仰け反るズサ
着地するザクⅠ
「推進材が!?」
コクピットの計器の一つがゼロを表示した
これでウォルターのザクⅠはスラスターを使えない
だがズサは、頭部を左手で庇いながら後退りした
「ダブデが・・・まさかこれほどやられるとは・・・ウォルター、この勝負預けた」
ズサの後方から、ゲターが飛んでくる
マーヴェルはズサを空中に飛ばし、サブフライトシステムに着地した
空を飛んでいくズサに、残りのドップが随伴した
「二度と、来んじゃねえ・・・」
心から安堵しつつ、ウォルターは毒づいた
ネクストはやってくれた
総大将のマーヴェルが逃げ帰るのだ、残りのツバイノワールも引き返すはずだ
ウォルターはコクピットシートに身を深く沈めた
大きなため息が出た
「後片付けと、次回来たときの対処・・・いや、打って出るべきか・・・」
やることは山積している
アイアンフィストの平穏なあのときはまだ来ない
遠ざかっていく元戦友の機体を睨みながら、ウォルターは次のことを考えていた
戦う度に目に見えて色々増えてくるナガレボシ
戦闘の度に進化する機能がついてるんでしょうか