機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
好きな戦艦はイサリビなアルファるふぁです
特攻前提とかすっげえロマン溢れててもう開発者に心から賛美を送りたいです

今回はツバイノワールとの戦闘後のアイアンフィストのアレコレです



満開の戦禍

 

酷い有り様だった

周辺はスラスターの噴射炎で焦がされ、流れ弾がいくつかの建物を粉砕していた

倒されたモビルスーツはそのまま放置され、屍を晒している

「酷いわね、これ」

一人の少女が、屋根を失った豚小屋を見て呟いた

「ここまで攻め込まれたのは、今回が初めてだ・・・連中、かなり厄介だぞ」

一人の男が、その言葉にそう返した

「早く叩かないと、本当にやられる」

「専守防衛をやめて、こちらから攻撃を仕掛けるということ?」

「そうだ・・・不本意だが、な」

シワだらけの軍服を羽織り、アイアンフィストの用心棒ウォルターはため息をついた

つり目の少女、アウラが首を横に振る

「やられる前に、やるしかないわね」

「あぁ」

二人はしばらく、そこで剣呑な面持ちをしていた

 

 

 

 

「連邦の攻撃からかなり経ってようやっと持ち直した矢先にこれだ、嫌になっちまうぜ」

アイアンフィストの町長代理、ビーン・ゴーンバックは呻いた

積み上げられるモビルスーツの残骸、ズタボロにされた故郷

幸い、あらかじめ襲撃に備えていたために死者は出なかったものの、ツバイノワールがアイアンフィストにもたらした被害はけっして少なくなかった

なにせ、中心部でモビルスーツが暴れまわったのだ

なるべく早く撃退できたとはいえ、ダメージは計り知れない

「面目ない・・・」

レイゼンが謝罪を口にする

彼にとっては、役目を充分に果たせなかったことが残ったのだろう

落ち着いた雰囲気が崩れ、悔しさがにじみ出ていた

「いいや、君らがいなきゃもっと酷くなっていた・・・気にすることはないとまでは言えないが、よくやってくれた」

レイゼンの肩に左手を乗せて、ビーンが続けた

「ありがとう」

だが、レイゼンは口を引き結んだまま俯いた

彼の頭の中では、ネガティブな計算が進んでいた

「アイアンフィストは甚大な被害を出した・・・その上モビルスーツを一機やられた」

「・・・あぁ」

「次の攻撃には、耐えられない」

歯軋りをしながら、ドムトローペンのパイロットは声を絞り出した

圧倒的な戦力差

戦闘の只中に立つ彼だからこそ、わかること

「ツバイノワールは・・・強い」

己の拳を見つめる

負けるつもりはない

だが、勝てる保証はない

「・・・俺達には、アンタらだけが頼りだ」

ビーンが煙草に火を付けた

煙を立ち上らせたニコチンの塊を、口に持っていく

「勝ってくれ、それ以上は望まん」

口にくわえる前に、一言を付け加えた

「そして帰ってこい」

「・・・あぁ」

ビーンは力強く言った

レイゼンは空返事を返した

「・・・煙草が不味いなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

緑色のテントにて、五人の人間が向かい合う

ウォルター・コバック

グレックリー・ベン

レイゼン・ハウゼン

アウラ・ドレインバーグス

そして、ネクスト・ブレイク

この五人は、全員アイアンフィストにおいて戦力として数えられている人間である

敵を武力によって倒し、アイアンフィストを防衛するための存在である

そんな彼らが一同に会している理由はたったの一つ

アイアンフィストを脅かす敵を倒すためである

「ツバイノワールの潜伏拠点の候補だが」

まず、リーダー格のウォルターが口を開いた

「このオアシス周辺に簡易キャンプを作っていると推測される」

「まあ、そこ以外はロクな物もないしな」

地図で指差された地点を見て、グレックリーが軽口を叩いた

アイアンフィストや連邦基地ならともかく、この周辺には土と砂と石が大半を占める土地しかない

そこで拠点を作るとするならば、必ず水のあるオアシスに停留するはずだ

「ですが大尉、ツバイノワールがオアシスを放置してギャロップ等の中の物資だけで拠点を作っている可能性もあります」

「その通りだ、オアシスが外れな可能性もある」

レイゼンの意見に、ウォルターが言う

「長い、早く進めて」

「つまり、戦力を二つに別ける」

アウラに急かされたウォルターは、バリトンボイスを響かせながら次の言葉を紡ぐ

その間に地図にペンを走らせていく

「ブレイクとベンとハウゼンはオアシスへ向かってくれ、ツバイノワールがいたら叩くんだ」

地図上に引かれた赤いライン

楕円の上にオアシスの文字が記入され、次の瞬間その楕円にバッテンが書き込まれる

「俺とアウラは留守番だ」

「ちょっと待て、アウラのザクはやられた・・・何に乗るんだ?」

「ゲルググが残ってる」

グレックリーの質問を、ウォルターが受け流した

しかしグレックリーは食い下がる

「あれ、アナハイムの奴らが動力系に簡易サイコミュ積んだせいで動かなくなったんじゃ・・・」

その言葉に、アウラの表情が暗くなった

「どうとでもなる・・・問題はない」

ウォルターがそう苦笑した

だがその笑顔がヤケクソ気味なのを、その場の誰もが感じ取った

ゲルググは使えないのでアウラは戦力外、しかし防衛のためにモビルスーツがいなければいけない

ザクⅠでアイアンフィストを守りきると、ウォルターは言外に宣言したのだ

ツバイノワールを倒すために、自分以外の戦力を攻撃組に回したのだ

「メインはお前たちなんだ、頼むぞ」

攻撃組の三人に視線を巡らせ、ウォルターは頷いた

そして宣言した

「作戦開始は明日午後二時!各員の奮闘を期待する」

 

 

 

 

 

 

一人残ったネクストは、テントの外から夜空を見ていた

それから、自分の手を見つめた

自分は、ジオンが嫌いだ

自分は、連邦が嫌いだ

双方ともにエゴイストだった

自分のためならか弱い一般人を踏み潰すこともいとわない連中だった

そんな奴らが、ネクストは大嫌いだった

だから、アイアンフィストの人達に襲いかかる連邦とジオンを、両方とも相手してきた

しかしそれは、それこそがネクストのエゴではないかと思った

ネクストの嫌いな二組織は沢山の支持者に恵まれた

しかしネクストの考えは、その両方を否定する孤独なものだ

連邦からもジオンからも袋叩きにあうだけ

そんな結末すらあり得た

ネクストが、正しいこととは何かを想ったとき、空が白んできた

日が開けていたのだ

作戦まで、十時間を切っていた

 





次回、戦闘回!
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