機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
ガンダムの楽曲ではByondTheTimeとめぐりあいが好きなアルファるふぁです
なので私はアムロ贔屓

今回も戦闘はありません、ごめんね



奇々怪々機々械々

 

【挿絵表示】

 

「うーむ・・・モビルスーツ?だよなぁ?」

グレックリーはポツリと呟いた

荒野にポツンとある大きめな集落、アイアンフィスト

ここはその最南端

そこに一つの隕石が落ちた

割ったら中から巨大な人型の何かが現れた

宇宙世紀に生きる人間なら、それはモビルスーツだと考える

だが実際にモビルスーツを駆る人間からすれば、それはモビルスーツとは程遠い代物のように見える

「・・・アレがモビルスーツに見える?目玉機能してないんじゃないの?」

グレックリーの独り言に、アウラが容赦ない一言で返した

そう、アウラの言う通り、隕石から現れたその巨大な人型物体はモビルスーツと呼ぶには余りにも形が歪だった

関節は輪状で、中身はスカスカ

片手の指は六本、人間より一本余分に多い

頭部の形相も禍々しい

 

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全体的に生物的で、機械の塊であるモビルスーツとはデザインからして根本的に違う

ネクストがウォルターに質問を投げ掛ける

「これ、隕石から出てきたんだよな?」

「ああ、そうだ、間違いなくコイツは隕石の中に埋まってたんだ」

「そんなことする意味は?」

「普通ないな」

出自も、かなり異常だ

何故か宇宙から隕石の中で降ってきた

最早この不思議な物はモビルスーツである方がおかしいように思える

「ところで、腕が若干削れてないか?」

「ああ、修理の連中が材質を調べるためにサンプルを取ってったんだ」

見れば、右手の上腕に引っ掻いたかのような傷痕があった

多分削った後機械にかけて分析しているのだろう

「五分前に作業を終わらせたそうだが・・・来たか」

ウォルターが振り向くと、数人の作業服姿の男が歩いてきた

彼らも、アイアンフィストの住人だろう

恐らく彼らこそ、この人型の何かの材質を調べている者達だ

「ウォルター大尉、分析結果が・・・」

「おう、ご苦労だったな」

ウォルターが作業服の一人に話を聞こうと向きを変えた、その瞬間だった

「お、おおおおおお?!」

ネクストの驚愕の叫びがその場の全員の鼓膜を叩いた

「ど、どうした!」

グレックリーがそちらへ走って行った

「何が・・・」

「コバック大尉!こちらへ・・・!」

怪訝な顔をしたウォルターを、レイゼンが呼ぶ

やがて、作業服の団体を全員連れたウォルターがその場に到着した

そこは、謎の人型の右側

ちょうど、削れた上腕が見える位置である

「バカな・・・トリックか・・・?」

ウォルターがポツリと呟く

その声音には驚きが含まれていた

「そんな、あんなに削ったのに・・・」

作業服の男の一人も呟く

その声音には恐怖が込まれていた

ネクストが、その状況を一言で表す

「・・・腕が、綺麗に直ってやがる!」

ついさっきまで引っ掻き傷が痛々しく付いていたモビルスーツモドキの右手は、もはや傷の面影もなかった

元からそうだったとばかりに、光沢のある文字通り無傷の表面を晒している

「再生してるのか・・・?」

「わからんが多分そうだ、それもさっきの数分間でだ」

「不気味だ・・・」

グレックリーとレイゼンが憶測を語り始める

モビルスーツのパイロットである彼等が恐れる程、状況は異常だった

「コイツ、生きてるのか?」

恐る恐る声を絞り出したネクスト

その質問に答えられる者は、いない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ暗い空間

その入り口が、モビルスーツモドキの首もとにあった

ちょうど胸部の中身にあたるその空間は、モビルスーツ的に言うならばコクピットだろう

座席が無いように見えれば操縦のためのレバーも無いように見えるが

「誰が入る?」

ウォルターが聞いた

首周りに、複数人の人間が、落ちないような体勢でその入り口を眺めていた

ウォルターはその複数人に聞いたのだ

誰もが、先程の光景と騒動ですっかり怖じ気づいていた

目を離したら傷が完全回復するような代物のコクピットなのだ

いやコクピットではなく内部と言った方が正しいのだろうか

とにかくその空間に入るのに積極的な人間は一人もいなかった

かなり得体の知れない、とんでもなく不気味な物体の中に突入せねばならないのだ

彼等の反応も無理ない

「・・・私が」

それを見かねて、一人の少女が片手を挙げた

アウラ・ドレインバーグスだった

「私が行く」

「いや、俺に行かせてくれ」

静かな決意と覚悟を宿したその目を見て、つい数秒前までへっぴり腰だったネクストが声をあげた

「何で」

「俺は・・・」

「アンタ、モビルスーツに乗ったこと無いじゃん」

「だからだよ、わかんないのか」

睨み付けるアウラと、それに答えるネクスト

見かねたウォルターがネクストに質問をする

「アウラの言う通りブレイクにはモビルスーツの操縦経験はない、お前がコイツに乗る理由はあるのか?」

凍てついた視線で見てくるアウラから目を逸らし、ネクストはそれに答えた

「コイツのコクピットに入ったら何が起こるかわからない、アンタ等モビルスーツパイロットに万が一が起きたらアイアンフィストは困るんだろ」

「そうだ」

「なら根無し草で何もできない俺が一番適任だ」

視線を暗闇に移す

正直、この中身に恐れはある

しかしネクストは、自分の恐怖よりアイアンフィストの不利益を重く見た

「お前男気あるじゃん!すげえぜ!」

「大丈夫か?気を付けろよ」

「・・・すまないな」

グレックリーが褒め、レイゼンが心配する

そしてウォルターが謝罪する

時刻は既に夕方、陽は西にゆっくりと沈む

夕焼けに照らされて、ネクストの爽やかな笑顔が光った

「もしもの時は助けてくれよ!」

そう言うが早いか、ネクストは首もとに大口を開いて待つ暗闇に飛び込んだ

「あ、待て!」

アウラが止めようとする

しかし、ネクストの姿はすでに無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇へ落ちたはいいが、足が地面に付かない

落ち続けてるとしたら、自分は飛び降り自殺したのと同じだ

「こ、ここは・・・」

しかし、現実はそこまで非情ではなかった

手首足首、そして首に圧迫感を覚える

 

【挿絵表示】

 

その瞬間に周りが一気に明るくなった

「なんだ・・・これ・・・」

ネクストは足下を見た

正確には、足の下を

「浮いてる!」

足が地面に付かなかった理由が判明した

コクピットの中らしき球体の中心で、ネクストが浮いていたからだ

周りを見渡すと、それはアイアンフィストの景色だった

「ぜ、全天周囲モニターか?」

聞いたことがある

第二世代のモビルスーツから導入された、コクピットに機体の外部の景色を360度写し出す全天周囲モニターというものがあると

「どーやって動かすんだ・・・?」

動作できるかを確認しようと、ネクストは周りを見回した

「わわっ!」

「うおっ!?」

「ひゃあっ!」

「ぐッ!?」

恐らくまだモビルスーツモドキの首周りにいたのだろう、仲間達の悲鳴が聞こえた

「や、やべっ!?」

慌てて動きを止める

動きを止めた瞬間、ネクストは体に違和感を覚えた

どうやら首の圧迫感の正体は、首に付けられた首輪のようだ

ネクストが首を動かすとこの人型の何かの頭部が連動して動くようになっているらしい

これ以上首の近くにいる皆に迷惑がかからないよう視線だけを動かして自分自身の体を見ると、両手両足にリングが嵌められているのがわかった

「これも、連動するのか?」

ネクストがそう言いながら指を軽く動かす

すると、人型の何かの片手がゆっくり持ち上がったではないか

首とは違い、腕は指で動かせるようだ

だんだんと楽しくなってきた

ゲーム感覚だ

「さーて、次はどこを・・・」

「ブレイク!」

ウォルターの声が、コクピットに雪崩れ込んだ

ネクストは上に視線を向けた

外に繋がる穴から顔を覗かせたウォルターが、真っ直ぐネクストを見ていた

「よく動かせたな!」

「お、おう」

突然の称賛の言葉に、ネクストも言葉が詰まってしまう

正直、子供が遊ぶバーチャルゲームのような感じだったのに、褒められてしまった

「すっげえなネクスト!隕石から出てきたゲテモノを自由自在に動かすなんてよぉ!」

「モビルスーツパイロットの才能があるな」

グレックリーとレイゼンも、穴の縁に手を引っ掻けてネクストに顔を見せる

「どいて」

「おっと、すまん」

「あ、ごめんなアウラ!」

「落ちるなよ」

そして全員が穴から離れると、今度はアウラの顔が現れる

やはり凍てつく視線でネクストをじっと見てきた

「よ、よぉ・・・」

「・・・立派よ」

「えっ?」

「それじゃ」

それだけ言うと、アウラも去ってしまった

「あー・・・」

ネクストは、一瞬だけ褒めてくれた彼女の表情を思い出した

「・・・可愛かったなァ・・・」

「よーし、ロープ垂らすぞ」

「あ!頼む!」

身体各部のリングを外し、ネクストは穴から降ろされた綱を掴んだ

それに掴まって持ち上げられる最中、ネクストはコクピットの方を、つまり下を見た

「なんなんだろうな、コイツは・・・」

その一言に答えられる者は、いなかった

 

 




挿し絵はタイトルの絵と同じく水底のオッツダルヴァさんにお願いしました!
この場を借りて感謝です!
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