機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
ゲルググが大好きなアルファるふぁです

今回もアウラメイン
しかし、前回の〆に出たゲルググが、ようやっと活躍する予定です


アウラ、猛る

 

膝をつき、胸から地にふせるザクⅠ

胸部に空いた穴からは、高温による湯気が立っていた

撃ち抜かれて倒れる様は、銃殺刑を受けたかのようであった

「あっけないものだな、旧世代の英雄もここまでか」

土埃にまみれるモビルスーツの死骸に、マーヴェルは一瞥をくれた

乗っていた男は、生きてはいまい

胸部へビームが直撃したのだ

メガ粒子に包み焼きにされあの世へ旅立っただろう

「だが貴様の強さが衰えていなかったのは事実・・・まったく、恐ろしい男であった」

両肩を黒く塗られたネオジオンのモビルスーツ・ズサは、落ち着いた戦場を見回した

今倒した敵パイロットによって撃破されたツバイノワールの機体は決して少なくない

中には虎の子の高性能重モビルスーツもあった

たった一人のパイロット、たった一機のザクにこうもやられたのである

戦力差を考えれば、こちらにとって最悪な結果だ

だが、戦いは終わった

かなり暴れたザクⅠは墜ちた

アイアンフィストの残りの戦力はオアシスの伏兵によって足止めされていることだろう

もう、目障りな大集落に戦力はない

「さあ、もう障害は皆無である・・・踏み潰し、焼き払え」

マーヴェルによる攻撃命令

目標は、アイアンフィスト

幾つものモビルスーツが、武器を手に進む

だが、三歩進んだところで全軍の動きが止まった

「マーヴェル大佐、レーダーにモビルスーツの反応が」

「アイアンフィストはしぶといな・・・陣形を固めろ、迎撃してから町を破壊しよう」

マーヴェルのズサが足を止め、モノアイを左右に動かす

カメラアイが揺らめく

「前方、来ます!」

別のモビルスーツに乗るジオン残党兵が叫んだ

その瞬間、彼はビームに呑まれて消えた

胸部にぽっかりと大穴を空けて、一機のザクが倒れた

「ロックオンの外から攻撃だと」

もう一度レーダーを見る

敵の位置はけして近くない

レーダーの範囲ぎりぎりの場所だ

「アレイン、ヘクスがやられた!」

「ぐわぁああっ!」

「遠すぎてロックオンができない・・・」

「敵は正面なんだろ!?」

そのレーダーの表示から、味方の識別がどんどん消えていく

この距離から、ロックオン無しで、動いているモビルスーツに当ててくる

「何者なんだ!」

マーヴェルが毒づいたそのとき、正面からビームが伸びてきた

ズサのブースターを全力にして、転がるように横へ避ける

すぐそばを通り抜ける光線

マーヴェルは応射をしなかった

手がその場でこちらを狙撃しているとは考えられなかったからだ

「あの動きの激しい、小娘か!」

オアシスにいる部下の報告の情報と、さっき倒したザクⅠのパイロット

情報を整理すれば、残ったアイアンフィストのパイロットは、マーヴェルが前回撃破したザクⅡのパイロットであるはずだ

名前は知らないが、あのパイロットはやたらと動いていた

全力の速度で突き進んでいく

味方の殆どは付いてこれていない

ビームを避けるのに精一杯で前進できないのだ

「あれか!」

マーヴェルは目を見開いた

敵をついに見つけた

オレンジ色に染められた、ゲルググの姿を

 

【挿絵表示】

 

「ジオンの絞りカス!ここで終わりだっ!」

「おのれぇええええ!」

オープンチャンネルによる罵倒を無視して、マーヴェルはコクピットのボタンを押した

ズサの全身の装甲が開き、中から無数の弾頭がせり出した

ミサイルである

大量のミサイルが全て一気に発射される

噴煙により一瞬ズサの姿が消えた

「来た・・・!」

ゲルググのスカートアーマーとレッグアーマーが開くと、スラスターの噴射口が現れた

吹き出す炎がモビルスーツに推進力を与え、宙に飛ばす

アウラはミサイルの弾幕へ自ら飛び込んでいった

最初に現れたミサイルの先端を、体勢を捻ってかわす

二発目や三発目もどうように

時折横へ大きく逸れて進路を変える

一瞬前までゲルググがあった場所へミサイルが殺到し、墜落した

まだ全部いなしきれていない

「当たるか・・・!」

ミサイルが後ろへ来る方向へ動いた

背中を襲わんとすぐ近くに迫る弾頭に対し、アウラは上へと素早く飛んだ

そして大きく速度を落とした

進路変更をできなかったミサイルは、先程とはあべこべに背中へ標的を迎える

肩のガトリングが回転をして、弾丸を吐いた

いくつもの弾は寸分たがわず、ミサイルの群れを蜂の巣に変えた

ミサイルはダメージに耐えきれず爆散した

破片も爆炎も無視して、アウラは進路をマーヴェルへ向けた

「うぁああああーっ!」

フルスロットル

ゲルググのブースターの炎が、一際大きく輝いた

ミサイルを撃ち尽くし、その全てを叩き落とされたズサには、両手のビームライフルしか武器はなかった

あんなに恐ろしかった火力が、消えた

「そこだ!」

二度引き金を引く

ビームは正確にアウラのゲルググへと向かった

だが、ゲルググは最初からどう避ければ良いかを知っていたかのように攻撃を回避した

さらに幾度もライフルを撃つが、ゲルググは苦もなく避ける

ズサに迫るゲルググ

迎撃は当たらず

「行けぇっ!」

アウラのゲルググが左手を突き出した

腕上部にはグレネードランチャーが内蔵されていた

放たれる二発が、ズサの装甲を捉える

「ぐ、ぉおおお!?」

飛んできたグレネード

ビームライフルへ一発が突き刺さり、二発目は機体の肘を砕いた

爆発

ズサの片腕は無くなっていた

ゲルググの攻撃は素早く、正確だった

たった二発の実弾武器に狼狽えていると、ゲルググはマーヴェルの頭上を一瞬で通り抜けた

「く、おのれ」

残った右腕で、背を見せたゲルググにビームライフルを放つ

だがゲルググは後ろ向きにビームライフルを避けた

「バカな!」

視界外の攻撃を避けられたマーヴェルは、慌ててブースターを起動した

 

 

 

 

 

ブースターで地上を進みながら、ゲルググがビームサーベルを手に取る

ガトリングで敵モビルスーツを攻撃

弾を避ける相手に、サーベルの切っ先を叩き付ける

腰を切断された哀れなグフを捨て置き、アウラは別の目標に躍りかかる

目前には敵部隊

弾丸の雨を潜るように抜ける

マシンガンを撃ってくるドワッジへ右手の銃を向けた

トリガーオン

ビームマシンガンの弾が敵を抉り抜く

ビームの輝きが辺りを焼いた

「でりゃああっ」

すれ違い様、近くにいた奴にビームサーベルで切りつけた

煌めきがドムトローペンを通り抜けた

切り裂かれた一機が転がる

ツバイノワールが橙色のゲルググを追う

ロックオンが終わり次第、次々と一斉射が飛んだ

ビーム、マシンガン、バズーカ、ミサイル、ロケット、キャノン

ありとあらゆるモビルスーツ用武器が放たれた

アウラはそれら全てを回避した

弾道を予測してミサイルをかわし、弾幕の穴を避けてマシンガンをかわし、直感に任せてビームをかわした

そして反撃にビームマシンガンを撃つ

無数に吐き出された光線が両肩を黒く塗ったモビルスーツを破壊する

空からビームが飛んできた

ネオジオンの可変モビルスーツ、ガ・ゾウムのものだ

変形したガ・ゾウムは空中を飛行できる

普通ならそんな相手には手も足も出ないだろう

「・・・行くわよ!」

だが、アウラは迷いなくスラスターを動かした

推力に身を任せ、ゲルググが、飛ぶ

可変モビルスーツのビームライフルがゲルググに向けて放たれた

メガ粒子は肩に当たるか当たらないかの位置を通り抜ける

オレンジのゲルググはビームサーベルの刃を出した

「おりゃあああっ!」

ツバイノワールのガ・ゾウムとアウラのゲルググ

二つの影が空中で交差した

片方が上下に分かれた

腰にビームサーベルを戻して、ゲルググは着地した

遅れて、ガ・ゾウムの残骸が地に落ちる

可変モビルスーツの成れの果てが爆散した

炎を背に立つアウラのゲルググ

その姿に、ツバイノワールのパイロット達は浮き足だった

「追い付いたぞ・・・!」

だが、アウラの独壇場へ緑色のモビルスーツが滑り込む

ズサだ

マーヴェル・クミクスの機体がビームライフルを向けてアウラに突貫する

「この数相手にそう長く持つまい、終わりだ小娘!」

ライフルの銃口にメガ粒子が集まり、マーヴェルが引き金を引こうとした

その瞬間であった

「・・・ネクスト?」

 

「デュワァッ!」

一個の流れ星が、ツバイノワールの陣形の真ん中に落ちてきたのは

 

【挿絵表示】

 

 

地面に落ちたそれは、地面から大小の破片を撒き散らさせた

衝撃波もしくは破片を大量に食らったモビルスーツが、一機また一機と粉々になる

土煙を振り払い現れたのは、威風堂々とした闘士であった

「な、な、な、なん、何だ!?あれは?!」

いつも余裕綽々な態度をとっていたマーヴェルが、この時ばかりはとてつもなく慌てふためいた

震える操縦レバー

そんな様子を、彼女の部下達は気付かない

新手に視線を奪われていたからだ

「て、撤退!」

ウォルター・コバックによる大打撃、とんでもないエース級のゲルググ、そして今現れた新手の敵

歴戦の指揮官であるマーヴェルが逃げの一手を選択するのに、そう時間はかからなかった

あるいは、強敵に恐れをなしたか

「全機、撤退だ!」

マーヴェルの命令を聞き、ツバイノワールのモビルスーツは我先にと踵を返して逃げ去っていった

いくつものブースター光を見送るように睨み付けていたゲルググの横で、新たに現れた闘士はその姿を変えた

光に包まれたあとに出たシルエットは、ナガレボシであった

通信機から声が聞こえた

「遅い、でももうすぐ来ると思った」

「どうしてそれがわかったんだ、アウラ?」

少女の一言に、ナガレボシのパイロットが問う

「カンだよ」

アウラは何気なくそう答えた

そして微笑んだ

二人は勝利した

アイアンフィストを、守り抜いたのだ

その喜びを、少しだけ噛み締めた

 

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