機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは、ジオンの戦艦ではザンジバルが好きなアルファるふぁです
大気圏内外両用と知って、「ジオンのホワイトベースだ!」と思ったのですが、大気圏内で活躍したの少ないですね

今回は前回の続きです
戦いの後始末を描いていきます



傷だらけの戦士たち

 

転がる残骸

落ちていく夕焼け

胸に穴を開けたザクⅠの前で、ゲルググがひざまずいていた

手のひらにはパイロットを乗せ、ザクの胸に近寄る

「ウォルター!」

文字通り掌の上、パイロットの少女が叫んだ

アウラは確信していた

何かの直感のままに、ウォルターは生きていると感じていた

近付くにつれて、胸の風穴が広く見えてくる

夕焼けに照らされたせいで、オレンジの装甲がよく見えない

「ウォルター、生きてるんでしょ!返事して!」

ゲルググの掌の上から旧ザクの上に飛び乗ったアウラは、ウォルターの名を必死に呼びながら見回した

ザクの胸部に穿たれた穴は広く、その部分だけ装甲はドロドロだった

もしや、自分のこの直感は正しいものではないのではないか

本当は、ウォルター・コバックは死んでしまったのでは

「ウォルター・・・まさか・・・」

その可能性が頭のなかを支配して、アウラは顔面を青ざめさせた

その直後だった

「おい、そこにいるのはアウラか」

妙に落ち着いた、呻き混じりのバリトンボイス

素早く首をそちらに向ける

「助けてくれ、出るのに少し手こずってる」

「ウォルターっ!?」

生きていた

ウォルターは、死んでなどいなかったのだ

急いで旧ザクのコクピットへ向かうアウラ

だがその時、再びウォルターの声がした

「そっちじゃない、下だ」

アウラはその場から、倒れた旧ザクの下を覗いた

そこには、旧ザクの下でうつ伏せになっている、古軍服姿の男がいた

 

 

 

 

 

 

目を開けると、コクピットではなく、露天の下だった

その隣に、見慣れた顔が二つ

「グレックリー、大丈夫?」

リーア・カストレルが、自分の頭に冷えたタオルを置いた

病人のような扱いだ

夕焼けに染まる大空を見上げて、パイロットはため息をついた

しくじった上に仲間の足を引っ張っている

情けない、と自分をなじった

「腕が足りねえなぁ俺」

グレックリーが悔しさ半分の調子に言った

彼の愛機は、ヒートロッドによる電流攻撃でダウンしていた

彼自身、協力な電流の余波を受け先程まで意識がなかった

「そんなことはない、お前はよく頑張ったさ」

リーアの反対側で、相棒のレイゼンが言う

「奴等の戦力が大きかっただけだ」

レイゼンの頭には包帯が巻かれている

確かこの男のドムトローペンは穴を開けられてやられたはずだ

被弾の衝撃でどこかにぶつけたのだろう

「そうだ、ツバイノワールは・・・?」

慌てて起き上がる

自分が生きているなら戦闘は終結したのは明らかなのだが、目を覚ましてすぐのグレックリーにはその思考にたどり着くことはできなかった

痛む頭を振り、視界を巡らす

心配したリーアを無視して見回すと、モビルスーツっぽい何かを見付けた

リング状の関節、色鮮やかなトリコロール、あれはナガレボシだ

アイアンフィストの貴重な戦力のひとつ、宇宙から降ってきた謎の兵器は、グレックリーのグフカスタムを担いでいる

輸送をしているつもりなのだ

「ネクストが、やったのか」

アイアンフィストへ運ばれていく愛機を見送り、グレックリーは一人ごちた

彼もレイゼンも動けないなら、残るナガレボシがあの状況をなんとかしたのだ

恐らく、敵戦力をなんとかした

なにも言わずにレイゼンを見ると、彼も頷いた

「ナガレボシに、新しい能力が発現したそうだ」

「そうか・・・」

その新しい能力には興味を示さず、グレックリーは再び空を見た

「頑張らなきゃなあ」

夕焼けに染まる大空を見上げる

「こら、怪我人は大人しくする」

リーアの一言に従って、グレックリーはもう一度寝転んだ

 

 

 

 

 

 

 

「なんとかなったか・・・」

土と皺だらけの上着をはたき、ウォルターは呟いた

その右腕は、肘と違う方向に曲がっている

「ウォルター・・・」

「ビームが当たる前にコクピットから飛び降りた・・・マーヴェルがわざわざ通信して来てくれて、飛び降りるタイミングと隙ができた」

左腕で奇妙に曲がった右腕をさする

心配そうに見るアウラに、彼は笑いかけた

「問題ない、落っこちたときに手足は折れたが命はある・・・暫くモビルスーツには乗れんが安いもんさ、息子が一人立ちするまで死ぬつもりはない」

肩をすくめて冗談混じりにそう言うウォルター

しかし痛みに脂汗を垂れ流す姿は、いまいち様にならない

それよりも、と前置きをして、ウォルターは懐から何かを取り出した

「ツバイノワールは上手いこと追い払えたようだな、よくやった・・・が、ここからが正念場だ」

「正念場・・・戦いが終わったわけではないってことね」

「そういうことだ、敵と決着を着けなくちゃならない・・・そのための準備を進めよう」

無事な左腕を使って、ジオン軍服のポケットをまさぐる

そこから取り出したのは、艶と光沢のある高級そうな通信機器であった

裏側にはAEの文字

ウォルターはそれで電話をしようとし、手を止めた

先にアウラに色々と伝えることを優先した

「いいかよく聞け、そろそろ連邦も力を戻す」

いつになく真剣な面持ちで言うウォルター

眉間には皺が寄っている

「ツバイノワールもこのまま黙っていることはない」

だが、だんだんと面構えが穏やかになり、最終的に笑みを浮かべた

なかなかに悪そうな笑みを

「奴等はまた必ず、アイアンフィストを襲撃するだろう・・・俺たちが打って出ることはできない」

「つまり待ち伏せ?それとも籠城戦?」

「どちらでもあり、どちらでもない」

片手で器用に通信機を操作しながら、ウォルターはアウラに話し続ける

時折折った手足が痛むが、構っていられない

時間は有限だ

怪我人の手も借りなければ

「さあ準備だ」

 

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