アイドルマスターシンデレラガールズ~花屋の少女のファン1号~   作:メルセデス

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第二話

渋谷と遭遇してからの翌日。今は学校に登校する途中だ。

まだ春先で、桜が満面に近い状態で登校するこの登下校の道を俺は気に入っている。桜が特別に好きってわけじゃないが、何かの花が咲いているのを見るのはいいものだ。

結局、あの後は特に何もなく、課題を終わらせ、余った時間でひたすらテレビを見ていた。内容はニュースだったりドラマだったり歌番組だったりで色々だった。昨日はテレビだけ見てたから、今日はゲームでもするか、と今日の家に帰ってからの予定を決めた頃には、学校はすぐ目の前だった。

 

「芳乃、俺は昨日数学の課題をやると言っていたな。あれは嘘だ」

「そうか。俺は今度はやらなかったら課題を見せてやらないと言ったな。それは本当だ」

「そこを何とか、何とか頼むよー!!」

教室に入って席に着いたと同時に、クラスメイトに手招きされ、何用かと思い近くまで行くと、頭を下げながら懇願するクラスメイトを目の当たりに、俺はゆっくりとそいつの席の隣に立った。…いや、俺は彼に言ったのよ。自分で課題を取り組んで、わからなかったら教えても良いと。ただし、絶対にやってみろと。何も考えなくて答えだけ写すなんて愚の骨頂だ。自分で考えた後だからこそ、どこがわからないかの要点が掴めて、次回似たような問題に直面した時に解答に近づくんだから。何も手つかずだったらどこがわからないかわからないだろうに。………課題をやらなかった理由は、まぁ予想がつく。

「部活動から帰ったら、765プロ出演の歌番組があったんだって!見るしかないだろ。課題とか手につかないだろ?仕方ないだろ?」

近藤直斗、こいつは恐らくクラスで一番765プロが好きなのだ。なにせ始業式の終わった直後にあった、クラス全員が初めて集結した際の自己紹介の時に堂々と765プロのファンと恥ずかしげもなく断言するほど765プロが好きなのだ。その時のクラスメイトの反応は…無言だった。担当の先生も数秒固まってたくらいだ。ただ、性格も明るいし、リーダーシップがある。数日でクラスの人気者となるほどだ。しかも、サッカーは相当上手いらしく、上級生を凌ぐ勢いで、レギュラー候補ともなってるらしい。

 

「流石に連日だと俺も呆れるぞ」

「頼むって!今日は俺、絶対に当てられるんだよ!」

「………次は絶対にやってこいよ。次は本当に知らないからな」

「すまん!何か恩を返せるものがあったら絶対に返すから!」

「期待せずに待ってる。ま、この前も言ったけど本当に一回解いてみろよ。わからない時は教えてやるから」

 

こっちとしては、やってきた課題を見せるだけなので特にデメリットはない。根は悪い奴じゃないから、その内自分で課題は取り組むだろう。課題の回答が書かれたノートを手渡した後、自分の席に戻ろうと顔を自分の席に向けたところで、彼女と目が合った。近藤直斗の後ろの席である、渋谷だ。

 

「…おはよう」

「お、おはよう、渋谷」

「…どうしたの?」

「別に。ちょっと考え事しててな」

「ふーん…。ま、いいけど」

声を掛けられるとは思ってなかったから油断してた、とは言えない。言ったら恥ずかしいしな。と、朝の始業を知らせるチャイムが鳴ったところで、じゃあ、と声だけ掛けて自分の席に戻る。さて、今日も1日の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばさ、芳乃は昨日765プロの出る歌番組見てないのか?」

「見た。確か、如月千早さんの出る番組だったな」

「そう!いやー素晴らしかったよなー!絶対彼女は海外で通用するレベルだよな!」

 

午前中の授業が終わった昼飯の時間。近藤を含めたクラスメイトと一緒に昼飯を食べる。TVはそれなりに見てるつもりだが、見てない日もあったり課題をしながらBGM代わりにすることもあるため、内容が頭に入ってない日もある。

基本的に近藤やクラスメイトが話を振るため、話を振る必要がなく、基本的には受け答えをすることが多い。

 

「如月千早もそうだけど、ミキミキだってハリウッドにいるんだぜ?765プロも凄くなったよなぁ…」

「ミキミキはかわいいし、ハリウッドで彼氏作って、そのまま結婚ってことも…」

「おいやめろ、飯がマズくなるだろ」

 

今日の話は昨日TVに出ていた765プロが話題のようだ。と言っても数日の間に765プロの話題になったのは二度目。

ウチのクラスの男子の765プロ好きはそれなりにいるらしい。それに筆頭するのが近藤だろう。それを考えると、今後も765プロに関係するアイドルの話が出てくる可能性はあるかもしれない。まぁ、特別変な話題じゃないから大丈夫だろう。

 

「近藤って、765プロの中で誰が一番好きなの?」

 

ふと、近くの席の女子が近藤に声を掛ける。後藤亜由美、近藤の所属するサッカー部のマネージャーだ。彼女は黒髪の短髪で容姿は整っており、マネージャーでありながらもサッカーは上手らしい。近藤がそう言っていたから間違いないだろ。

 

「そうだなーみんな好きだけど…やっぱあずささんかな」

「あずささんかー。綺麗だよね…すっごく」

「容姿だけじゃない、歌声も綺麗だしな。あの人と結婚出来たら幸せだと思うんだよな」

 

近藤の一番好きな765プロのアイドルは聞いたことがなかったから新鮮だ。残念ながら俺はあずささん、と呼ばれる765プロのアイドルとしては知ってる。が、今ひとつ容姿を想像することしか出来ない。確か大人っぽかったとは思うけど。歌声自体は聞いたことはあると思うが。

 

「やっぱりアイドルと結婚したいとかって思うの?」

「思うね。まぁ、本当に出来るなんて思ってないけどさ。そういうお前はどうなんだ?ジュピターとかさ」

「カッコイイとは思うよ。でも、結婚したいかって言われると…微妙かな」

「そんなもんなのかね…。よくわからん…」

「簡単に言うと、実際に会ってみないと判断できないってことよ。カッコイイってことだけが、人を好きな理由になるわけじゃないもの」

 

 

近藤はどうもピンとこないらしく、唸っていた。ま、人を好きになる理由なんて色々あるだろうしな。確かに、カッコイイやかわいい、というのは男女問わず人に好意を持つ理由の一つだ。ただ、あくまで一つに過ぎないってだけだ。もちろん、それだけで良い人もいるだろうが、それだけじゃ良くないって人もいる。…かくいう近藤も、先ほど容姿だけじゃないと言っていた気がするけど、自分では気付かないって言うのがなんともだが。ま、俺が偉そうなことを言える立場じゃないから何も言わないけど。

 

 

 

 

今日の授業も終わり、放課後となった。今日も課題が出てるので、消化してゲームをしよう。

 

「あ…しまった」

 

…と思ったのだが、攻略に関して詰まってるんだった。

ネットで調べたら良いけど、攻略本的な何かを買うのが昔からの習慣となってる。本屋に買いに行くしかないか…。

攻略にもう数日は詰まってる上に、そろそろ先に進めたいし買いに行くか。

 

本屋の中に入ったところで、攻略本コーナーに行く前にふと雑誌が目に入った。それは数年前からアイドル事業を始めた美城プロの雑誌だ。美城プロダクション、歌手や俳優を多く輩出しているプロダクションで元々有名なプロダクションだ。会社の規模も相当に大きいと聞いたことはある。聞いたことがあるだけで見たことはないけども。

そして表紙に写っているのは城ヶ崎美嘉というピンク髪の………ギャル…? カリスマ、と書いてあるからギャル達の中でカリスマなのか。そうするとファッションの流行とかも左右されるのかもな。…まぁ、男の俺には関係ないが。

って、攻略本買いに来たんだったな…危なく忘れるところだった。さっさと買ってゲームクリアしよう。




というわけで、二話でした。
まだまだ探り探りやってる感じです、というかアイドルが表紙だけの登場やん…申し訳ありません…。
相変わらずの亀更新ではあると思いますが、暖かく見守って頂けると助かります。

ではでは
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