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暗い・・・そしてうるさい・・・何も見えないのに謎の喧騒が耳につく・・・
ここは・・・私は・・・
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「開いたクマァ!」
ゴリゴリと分厚い金属が歪む音がしてコンテナに光が差していく・・・ここは一体どこなのだろうか。私は何をしていたのだろうか。思い出せない・・・
「うわっ!!こりゃ大変だクマ!提督ゥーーーー!!!」
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「う・・・あれ・・・」
「気がつきましたか?」
「ここは・・・」
「入渠ドックですよ。ご自分の事はわかりますか?」
「はい・・・ラバウルの・・・暁、です。」
「わかりました。私はここ、ショートランド泊地の鳳翔です。暁さんはまだ完全に修復なさってないのでゆっくりしていてください。」
「はい・・・ってあの!大和さんは・・・!?」
「大和さんもいらっしゃいますよ。隣のドックでまだ眠っています。大破状態でしたからね・・・。」
「あっ・・・そう、ですか・・・」
暁はホッと胸を撫で下ろすとドックに浸かり直す、それを見た鳳翔はまたあとでと出て行った。
ふと自分に何があったのか思い出そうとする暁だったが頭にモヤがかかっているように断片的にしか思い出せない。ずいぶん長いこと漂流していたのだと察した
「・・・。」
大和のことも考えるが一緒だったということしか思い出せない。あとは・・・巨大な何か・・・
「あ、メガトラマン・・・」
大好きだったテレビ番組、長い事見ていない気がした。司令官が録画していたりしないかと考えていると隣のドックが騒がしくなる。
「大和さん、起きたみたい・・・」
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ショートランド泊地の宿舎に案内された暁と大和は提督である若林に状況説明と報告を行っていた・・・
「・・・以上です、後は暁さんから・・・」
「了解だ。でだ、暁。この瓶の手紙、覚えはあるな?巨大な深海棲艦について報告をしてくれ。」
「は、はい・・・でも・・・瓶で手紙を出したのも・・・うろ覚えで・・・巨大な深海棲艦についても・・・」
「ふむ・・・その辺も大和と一緒か・・・いったいどうなっちまってんだ・・・」
「すみません・・・」
「いや、いい。8ヶ月もの間音信不通の漂流状態だったんだ。どれだけ過酷だったのか想像も容易い。無理して思い出さなくて良い。」
「あの、若林提督、大和が同行する予定だった任務については・・・」
「それなんだがな・・・大嵐が消えると同時に深海棲艦もふっと消えちまった。横須賀の艦隊もとんだ空振りに遭ったもんだ。」
「それでは、大和はこの後横須賀に帰投でしょうか。」
「ああいや、横須賀の艦隊はラバウルに残ってる。大和が漂流した3ヶ月の間は嵐の深海棲艦再出現に備えて山尾中将が指揮を持ってる。大和は暁と共にラバウルに行ってもらうつもりだ。」
「了解。」
「いいか?まだタスマン海含嵐の深海棲艦と超大型深海棲艦の警戒中だ。休む時間もあると思うが、気を緩めるなよ。艤装の修理が終わったらすぐラバウルに出立する。それまで体を休めておけ。」
「了解!」
「大和の艤装が直るまでまだかかるからな。・・・艤装があんな状態なのによく生きて帰れたな。よく頑張ったな。」
「ありがとうございます・・・何か思い出したことがあればすぐ報告しますので。」
「おう、助かる。しっかり休めよ」