忘れていたわ。島の反対側、断崖絶壁じゃない。
「しかた、ない。艤装の、上、で、過ご、そう。」
アカツキは・・・どうして怒ったのだろうか・・・艦娘を倒したことだろうか・・・でもそれならアカツキも同じ筈。私と同じ深海棲艦を倒している・・・何がいけないのか・・・そういえば艦娘は仲間意識が強かったな・・・そのせいか・・・
「アカツキ・・・」
とりあえず、明日になるまで待とう。明日になればアカツキもまたおしゃべりしてくれる筈だ。
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「・・・パクチーは深海棲艦、でも私を助けてくれたわ。電じゃないけど、戦わないで済むなら、仲良くなれるなら・・・その方が絶対いいわよね。」
シェルターに置いてある艤装を背負って海に出る。直してもらってから海に出てなかったから少し不安だったが問題はないようだ。暁は背中の機関が唸り出すと海上を滑るように走りだす。
「ええっと・・・パクチーは島の反対側って言ってたわよね・・・か、かなり遠いじゃない・・・あら?」
暁の足下にただようビン。コルクで蓋がしてあり、中になにやら丸められた紙が入っている。
「へぇー・・・ここに流れ付いたのかしら・・・なになに・・・?ってなによこれ。何語かしら・・・?」
紙に書かれている文字は暁の知る文字では無かった。英語もドイツ語も判別がつく程度はわかるがそのどれでもない。全く知らない国の文字・・・
「・・・もしかして、これなら外にメッセージを送れるんじゃないかしら!?それなら早速パクチーに相談ね!!!急がなきゃ!!!」
暁は艤装の煙突から煙を吐き出すとスピードを上げ島に沿って走り出した・・・
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「・・・。」
私の目の前には岩にひっかかっている大きな小豆色のコンテナ。ボコボコに変形している様子を見ると嵐の中を抜けてきたらしい。
「・・・。」
そして開けて見ると中には黒いセーラー服のちっちゃな影が。艤装があって艦娘なのはわかるが既に動かないところを見るともう・・・どうするべきか。恐らく捕食しても資材は得られない。ならばアカツキに任せるか。
「前、は、こんな、時、すぐ、に、捨て、おいた、のに。」
手の中のコンテナを見つめて動けない私は、コンテナを崖の上に置いて艤装に座り、海の遠いところを見る作業に戻る。
「・・・。」
艦娘と深海棲艦、敵同士だ。なのに私はアカツキと、仲良くなりたい思っているのか。まぁ戦う気がないから・・・と言えば聞こえはいいが、以前までは無関心を決め込んでいた。
「・・・。」
「パクチーーーー!」
「アカツキ・・・?」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ここに・・・いたのね・・・岩礁が多くて大変だったわ・・・」
「アカツキ・・・私、は・・・」
「いいのよ・・・パクチーは深海棲艦だもの・・・私達とは物のありかただってきっと違うわ。」
「・・・。」
「仕方ない・・・とは言えないわ。でも、妹の雷だって言ってたもの、出来れば敵でも救いたいって。割り切る、とは違うけど・・・えーっと、わかりあうっていうのが大事だと思うわ。」
「アカツキ・・・私、は、深海棲艦、も、艦娘も、関わり、が、なかった、から、何も、知らない。でも、アカツキを、もっと、知りたい。」
「わかったわ。私もパクチーみたいな深海棲艦がいるなら仲良くしたいもの・・・で、でも私のことは食べないでね。」
「もう、艦娘、深海棲艦、食べない。」
「約束よ。パクチーはこれからね、良い深海棲艦になるの。この島から出ることが出来たならみんなと仲良く出来る様な優しい人になるのよ。」
「わか、った。」
「それじゃあ向こうに戻りましょ。こっちは風が強くて髪が乱れちゃうわ。」
「待っ、て、アカツキ、コンテナ、見つけた。」
「何か入ってたの?」
「・・・艦娘。」
小ネタ
「そういえば・・・艦娘を食べるって、体の一部になるのよね?もしかして近代化改修って・・・」
「知ってしまったか。君には消えてもらう。」
「!?」