水鬼の視線 ー完結ー   作:電動ガン

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file1 大嵐の捜索

『提と・・・これ・・・じょうは、いくらなんでも!!!』

 

「くそっ・・・!!榛名!周囲に敵影は!!」

 

『重巡2、空母1、戦艦3・・・倒しても倒してもきりがありません!!』

 

「暁・・・!!」

 

『電が被弾!中破です・・・!』

 

「・・・撤退!撤退しなさい!榛名、青葉、加古は殿!川内は中破した電と響を抱えてちょうだい!」

 

『よーそろー!』

 

『し、司令官・・・待ってください!』

 

「電・・・」

 

『電は・・・電はまだ動けます・・・!海流の流れを見ても、この先にお姉ちゃんがいるのは間違いないのです・・・!』

 

『そうだよ・・・暁はもっと大変な目にあっているかもしれないのに・・・私達が・・・』

 

「・・・ちっくしょおおおお!!榛名!!力尽くでも電と響を連れ帰るのよ!」

 

『司令官・・・!』

 

「電、響・・・この嵐じゃあもう無理よ・・・暁も、はぐれてから3日以上経ってる・・・もう・・・!」

 

『う・・・うわぁぁぁぁん・・・お姉ちゃぁぁぁぁん・・・・』

 

『・・・姉一人救えないのか・・・私は・・・』

 

「提督!これ以上は司令船も敵の射程に入ります!」

 

「榛名達を回収したら反転!最大船速で離脱よ!砲雷長!援護射撃用意!」

 

「よーそろー!」

 

「よーそろー!!」

 

・・・こうして、暁の捜索は失敗に終わった。

 

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暁が艦隊とはぐれたのはマーシャル諸島に棲まう深海棲艦を撃破し、海域を開放する私主導の「M作戦」中の出来事だった。見たこともないような大嵐に巻き込まれ、右も左も分からず、羅針盤の妖精も怯えるばかりで役に立たない・・・そんな作戦だった。

 

『提督・・・聞こえますか・・・?』

 

「ばっちり聞こえるわ。どうしたの霧島?」

 

『水偵の妖精から連絡が途絶ました・・・私に積んだ水偵はこれで最後です。』

 

「わかった・・・一度司令船に戻って補給してちょうだい。」

 

『了か・・・敵艦見ゆ!!!』

 

「霧島!敵の編成は!?」

 

『戦艦3!重巡1雷巡1駆逐1です!!』

 

「空母はいな・・・」

 

『敵機来襲!!対空迎撃用意!!』

 

「ばかな!!」

 

『きゃああっ!!』

 

『うわぁーっ!!』

 

『くぅ速い・・・うあああっ!?』

 

『お姉ちゃん!!雷ちゃん!!川内さん!!』

 

「霧島!!状況を説明して!!」

 

『て、敵の航空機による攻撃です!川内、暁が小破、雷が大破です!しかし、周りに空母無し・・・どうし・・・あれは!!レ級!!戦艦レ級です!!!』

 

「そんな・・・霧島!逃げるのよ!なんとか振り切って!!」

 

『了解!電ちゃん響ちゃん!暁ちゃんと雷ちゃんを曳航して!川内は私の後ろに!!』

 

『これはやば・・・』

 

通信機から聞こえる声は絶望に染まっていた。他の提督に助けを求めようにもこの嵐の中ではお互いの位置を伝えるのも難しい。どうすれば・・・

 

『っああ!!弾丸夾叉!!距離を測られました!!』

 

「逃げて!!!お願い・・・逃げて・・・!!」

 

『たっ、高波注意ーーーっ!!!ザーーーーーーーーーーーーー』

 

「霧島っ!?霧島返事をして・・・!!」

 

『ザーーーーーー』

 

「そ、そんな・・・」

 

『こちらショートランドの日向だ。戦闘中の艦隊はどこか。』

 

「!ら、ラバウル!うちの艦隊よ!!」

 

『承知した。目視で確認している。すぐに援護する。』

 

「お願い・・・急いで・・・!」

 

この後、ショートランドの日向達がなんとか深海棲艦を追い払うことに成功し、大破した霧島達を抱えて私の司令船まで送ってくれた・・・しかしそこには、いるべき子が一人足りなかった。

 

「すまない・・・一人だけ、どうしても見つからなかった・・・」

 

「そんな・・・」

 

「波にのまれて大型の私以外は転覆・・・すみません・・・提督・・・」

 

「手を・・・手を繋いでた筈なのに・・・目を開けたらいなくなってたのです・・・ごめんなさい司令官、ごめんなさい・・・!」

 

「す、すぐに探さないと!!!」

 

「この嵐では無理だ!!ラバウルの・・・それくらいわかるだろう・・・」

 

「くぅ・・・!!!」

 

「ショートランドの私の提督も、作戦に参加した他の提督も貴方の命令を待っている・・・先ほどの戦艦レ級は追い返したが、次がないとは限らない。」

 

「・・・。」

 

「し、司令官・・・!お姉ちゃんは・・・」

 

「全司令船に、通達、艦娘を回収したのち、これより作戦海域を離脱・・・いそいで・・・」

 

「・・・了解、私達は自分の船に戻る・・・暁は、見つけられなくてすまなかった・・・」

 

「いいえ・・・援護感謝します・・・ありがとう。」

 

「しれ、司令官!お姉ちゃんは、お姉ちゃんは置いて行くのですか!?まだ敵がいっぱいいるのに!」

 

「電ちゃん・・・この嵐の中じゃ探せない、探しにいった子も同じ目にあってしまうわ・・・」

 

「そんな・・・」

 

「霧島、簡易ドックにみんなを連れて行って・・・技術長に伝えておきます・・・」

 

「了解、提督・・・」

 

「お姉ちゃんは・・・お姉ちゃんはどうなるのです・・・!?」

 

「ラバウルに帰投した後、すぐに捜索隊を結成し暁を探しに出ます・・・マーシャルでは島に流れ付く海流が多いから・・・きっと、どこかの島に流れ付いてるはず・・・」

 

「・・・私も、探しに行くのです・・・」

 

「わかってるわ・・・」

 

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「司令官!話が、話が違うのです!!!お姉ちゃんを!お姉ちゃんを探すって・・・」

 

「ごめんなさい・・・」

 

「謝らないで欲しいのです!高速修復材を使ってすぐにでも探しに・・・」

 

「電・・・やめるんだ・・・」

 

「響ちゃんは悔しくないのですか!?」

 

「電・・・!」

 

「響ちゃんは後から来たから、ほんとうはお姉ちゃんのこともとっくに諦めているに決まっているのです!」

 

「なんだと・・・!」

 

「やるのです!?」

 

「二人ともやめて!やめなさい!」

 

電と響がとっくみあいの喧嘩を始めてしまった。お互い先ほどの戦闘でボロボロの体なのに・・・

 

「響ちゃんはッ・・・お姉ちゃんのことを・・・お姉ちゃんだと思ってないのです・・・!!電は知っているのです!!前にいた鎮守府のお姉ちゃん達と連絡を取り合っているのを!ここの電たちのことを、本当は姉妹だと思っていないのです!!!」

 

「っ・・・」

 

「やぁっ!!」

 

「ぐぁっ・・・!?」

 

「電は諦めないのです!!!一人でも捜しにいくのです!!!」

 

「待て!電・・・行かせるものか・・・!」

 

「うるさいのです!」

 

「電ちゃん!!待ちなさい!!一人でいくなんて許可しないわよ!?」

 

「司令官も・・・どうして捜索をやめちゃうのですか・・・お姉ちゃんはきっと生きているのです・・・どこかで、助けを待っているのです・・・なのに・・・どうしてやめちゃうのですか・・・どうして・・・」

 

「電ちゃん・・・」

 

「高速修復材、使わせてもらうのです・・・」

 

「待ってくれ電・・・私から・・・私から姉妹を連れて行かないで・・・お願いだ・・・暁もいなくなってしまったのに・・・電まで、いなくなってしまったら・・・」

 

「・・・まだ、雷ちゃんも、いるのです・・・」

 

「電ちゃん・・・くっ・・・もしもし、技術長・・・?艦娘の艤装は今から全て停止させて・・・お願い・・・誰も外に出さないで・・・お願いよ・・・?」

 

「司令官・・・どうしよう・・・」

 

「響ちゃんは簡易ドックに行ってて・・・?電ちゃんは、なんとかするから・・・」

 

「・・・わかった・・・電を頼むよ・・・」

 

「もしもし、榛名、聞こえる?」

 

『はい、なんでしょうか?』

 

「電ちゃんを止めてちょうだい・・・あの子一人で出ようとしてるの・・・!」

 

『こ、この嵐の中でですか!?わかりました!榛名、全力でいきます!』

 

「ありがとう・・・」

 

電はこのあと榛名に押さえ込んでもらって事なきを得た。大分暴れたようで、悲しい顔をした榛名が報告に来た。暁を探すには、もっと大がかりな準備が必要だ。そしてこの嵐、どうもおかしい。ずーっとあの場所に居座っていて治まる気配も動く気配も無い・・・マーシャル諸島を奪還出来たはいいがあの嵐がある限り深海棲艦にすぐ制圧されてしまう・・・時間がかかればかかるほど暁は・・・お願い暁、生きていて・・・

 

 




小ネタ

一方その頃暁は

「見てパクチー!キレイな泥団子でしょう?砂を使って磨くとキレイに磨けるのよ?」

「わたし、手が、大きい。泥団子、アカツキ、よりも、おおきく、なった。磨く、の、難しい。」

「パクチーサイズだと圧巻ね・・・私も手伝うからぴかぴかの泥団子作るわよ!」

「おー」

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