水鬼の視線 ー完結ー   作:電動ガン

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page5 テンゴクッテナンナノヨ

「うぇ・・・!」

 

「この、艦娘、うごか、ない。死んでる・・・?」

 

「・・・腐ってる・・・ごめんね・・・見つけられなくて・・・」

 

コンテナを砂浜に持ってきてアカツキに中身を見てもらった。やはり艦娘らしい。

 

「・・・空の缶詰とポリタンク・・・うぇ・・・それに壁のひっかきあと・・・大分漂流してたのね・・・制服は・・・うぷ・・・睦月型の誰か・・・ひぃ・・・髪の毛・・・汚れてて元の色がわからないわ・・・」

 

「アカツキ・・・」

 

「お願い、パクチー・・・手伝って・・・!」

 

「わかっ、た。なに、すればいい?」

 

「穴を掘って・・・埋めてあげましょう。レディーは・・・仲間思いなのよ。」

 

「仲間・・・思い・・・わかった。」

 

「砂浜じゃだめよね・・・どこかキレイな場所がいいわ・・・」

 

「キレイな・・・場所・・・アカツキ・・・こっち、だ。」

 

コンテナの扉をしめて、アカツキを肩に乗せる。艤装君はお留守番だ。

 

「パクチーどこいくの?」

 

「キレイ、な、場所。」

 

「そんな場所があるの?」

 

「わから、ない。でも、キレイ、な、場所、みたいな、とこ、ある。」

 

「そうなんだ!いいわね。」

 

島の中央にある山の東側。そこに前に見て、気になった場所がある。資源は取れないが見てて気持ちが良い、というのか、そんな気分になる場所だ。

 

「ここ・・・」

 

「わぁ・・・すごいお花畑・・・!」

 

「ここ、資源、出ない。けど、不思議、落ち着く。」

 

「そうね・・・ここにしましょう!」

 

「わかった。」

 

アカツキを降ろして花畑にむかわせると良い具合の場所を見つけたのかここだここだと小さな体を大きく飛び跳ねさせている。

 

「ここ、か。よし・・・」

 

「ひゃぁ!そんなに深く掘らなくていいわ!」

 

「そう、か・・・これ、くらい?」

 

「そうね・・・それくらい。じゃあコンテナを置いてちょうだい?」

 

「わか、った。」

 

「よい・・・しょ・・・う・・・待っててね、すぐ、ちゃんと弔ってあげるからね・・・」

 

「・・・アカツキ、これは、いったいなにを、している?」

 

「これはね・・・お墓を作ってあげてるのよ。」

 

「お墓・・・?」

 

「そうよ。死んじゃった人はね、天国に行っちゃうからお墓を作って忘れないようにするの。」

 

「テン・・・ゴク・・・?」

 

「あー・・・えっとね・・・天国っていうのは、死んじゃった人がたどり着く場所で、幸せになれるところなんだって。」

 

「幸せ・・・?資源、いっぱい、か?」

 

「うーん・・・パクチーの幸せがそうなら・・・そうなんじゃないかしら?」

 

「私も、深海棲艦、の、私も、行ける、か?」

 

「・・・大丈夫よ!きっと行けるわ!」

 

「そう、か・・・!」

 

「よいしょ・・・崩さないように・・・そーっと、そーっと・・・うう・・・感触がぁ・・・」

 

「・・・テンゴク、か・・・」

 

「パクチー、お水を汲んできてもらえる?」

 

「わかっ、た。」

 

手に掬った水を持って戻って来ると・・・アカツキがコンテナに入っていた艦娘の艤装を使って十字の何か作っている。

 

「アカツキ・・・水・・・」

 

「・・・ふぅ。これでよし。パクチーお水・・・って手で掬ってきたの!?・・・まぁいいわ。お願い水浴びさせて?どろどろだもの。」

 

「わか、った。」

 

アカツキは私の手の中で服を洗い、体を洗い、掬ってきた水はあっというまに真っ黒に汚れてしまった。アカツキぱんつだけ・・・風邪ひくわ。

 

「ふぅ・・・あとは埋めてあげるだけよ。」

 

「・・・。」

 

「パクチー?一緒にやるわ。」

 

「一緒、に・・・」

 

私がやれば一掬いで終わるが・・・どうやら二人でやることに意味があるらしい。

 

「終わったわね。最後はね、両手を合わせて、お祈りしてあげるのよ。ちゃんと天国で幸せになれますようにって!」

 

「テン・・・ゴク・・・幸せ・・・」

 

花畑のすみっこに鉄のオブジェのお墓・・・私にはわからないが・・・私の知らない、艦娘の、人間の弔いというやつなんだろう。・・・不思議だ。

 

「・・・名前も知らない誰か・・・ゆっくりおやすみなさい。」

 

「・・・。」

 

「さぁコンテナを片付けて戻りましょう。」

 

「なぁ・・・アカツキ。」

 

「うん?なぁにパクチー?ひゃわっ!?」

 

アカツキを掴み上げて、よく見えるように持ってくる。アカツキは、今、間違いなく、幸せではない。私は、この初めての友達を、幸せにしたい。

 

「アカツキは、幸せか?友とはぐれて、幸せでは・・・ない?」

 

「パ、パクチー?」

 

「アカツキ・・・私、は、アカツキに幸せになってほしい。死ねば、幸せ、に、なれる?テンゴク、行ける?」

 

「ぐっ・・・が・・・パ、パクチー・・・違うわ・・・!」

 

「違う?」

 

「私も、ぐ・・・詳しく、は知らないわ・・・でも、パクチー・・・!でも天国に行く前でも幸せになれるわ・・・!」

 

「・・・。」

 

「パクチーは、私のこと心配してくれているのね。・・・あのねパクチー、誰もが天国に行くことの幸せを望んでいるんじゃないわ。」

 

「なぜ・・・?幸せは、嬉しい、だろう?」

 

「パクチーにとって資源に囲まれているのが幸せだけど、私は友達や姉妹と楽しく過ごすのが幸せなの。一人一人幸せは違うのよ、パクチー。だから間違っても誰かを死なせて天国に行ってもらおうとするなんてダメよ。」

 

「・・・わかった。」

 

「ふぅ・・・ありがとうパクチー。さ、帰りましょ。」

 

「・・・難しい、のね・・・いまま、で、こんなこと、考えたこと、なかった、のに。」

 

「ずっとひとりぼっちだったのよね?仕方ないわ。だから私が教えてあげる。ね?少しずつ学んでいけばいいのよ。」

 

「アカツキ・・・ごめん・・・」

 

「いいのよ。暁はレディーだからちゃーんと許してあげるわ!」

 

「・・・ありがとう、アカツキ。」

 




小ネタ

「私とパクチーの大きさの差ってどれくらいあるのかしら?」

「まか、せて・・・計算、は得意・・・むむむ・・・わかった。」

「おぉ!それしってるわ!指の長さで距離を・・・ってそれ違うやつじゃない!」

「およそ、わたし、は、アカツキ、の20倍、の、大きさ・・・」

「・・・適当言ってない?」

「言ってない(流暢)」

「ファッ!?」

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