ー体は剣で出来ている。
ー俺は刀だ。
ーunlimited blade works!
ー虚刀流奥義!
なぜ俺は転生をしたのだろうか。
今となっては若さゆえの過ちとしか言いようがない過去を振り返り何故あの二つの世界を選んだのか。
一度は正義の味方に憧れ最終的には斬首された英雄のなりそこないになった。
二度目は完全に刀となるために惚れた持ち主を目の前で殺された主人公となり。
こうして3度目の転生で俺は、ようやくまともな職につき落ち着いた人生を送っていた。
ー今日は姫島さんの家に行く日だったか。
昔を思い出し懐かしむ俺に声がかかった。
「おーい。天城、今日空いてるか?」
俺に声をかけてきたのは俺よりも2歳年上の兵藤さん。
住んでいる場所が近く所詮幼馴染みというやつだ。
「すいません。兵藤さん、今日は用事が」
「いや、気にするな。まあ空いていたらまた家に来てくれないか?君が来ると一誠が喜ぶんでな」
そう言って兵藤さんはカバンを持って早足で帰っていった。
・・・・相変わらず親ばかだな。
最近、息子が釣り竿を壊してしまって責任を感じているだのなんだの飲みに付き合わされたがどうやら中は戻ったようである。
俺は姫島さんの家へと急ぐため少し早歩きで向かった。
☆
「運動不足かな?」
神社の階段を登り終わった俺は軽く息が上がっていた。
日頃の運動不足のせいだろうか?
かいた汗をタオルで吹きつつ溶けてねぇたろうなぁと右手に持った箱を見て俺は、居るであろう巫女さんを探す。
「そんなにキョロキョロして何を探しているのかしら?」
真横から声をかけられ俺は手に持っていた荷物を落としそうになる。
「っ!」
俺を驚かせた本人姫島朱璃さんは、いたずらが成功した子供のような笑顔になる。
「いきなり、驚かせないでくださいよ」
「ごめんなさいね」
悪びれない彼女に俺は頭を抑える。
「ったく、子供も出来ていい年だってのに」
ザクッ!
俺の足元に姫島さんが、持っていた箒が刺さった。
「何か言ったかしら?」
「イイエナニモ」
怖い笑顔を浮かべられてはこちらが折れるしかない。
「姫島さん。これどうぞ」
俺は持ってきた物を姫島さんに渡す。
「あら?何かしら?」
「ケーキアイスってやつです。この前朱乃ちゃんとテレビを見た時に食べたそうにしてましたので」
「あら、悪いわね」
「いえいえ、こちらもバラキエルさんからいい釣り場の情報を貰ったりしているので」
本当にあの人にはいい釣り場を教えて貰っている。
最近は会えていないが仕事が忙しいのだろう。
「貴方今年で何歳だったかしら?」
「25ですけど?」
それが何か?と言おうとしたら腰あたりに軽く衝撃が走った。
「兄様!」
衝撃の招待は姫島朱璃さんとバラキエルさんの子供の朱乃ちゃんだった。今日は赤色の着物を着ている。
「久しぶりだね朱乃ちゃん」
「うん!」
向日葵のように明るい笑顔を見せる朱乃ちゃん。
最近家からいなくなってしまった猫たちに寂しさを覚えていた心が癒されるな。
「今日はお泊まりしていくの?」
「いや、知り合いが家に来るから無理かな」
「えー」
俺が泊まらせたかったのか頬をふぐのようにふくらませる朱乃ちゃん。
「こら、朱乃。無理は言っちゃだめよ七花君だって予定があるんだから」
「わかってるもん」
だけど納得がいかないのか頬を未だに膨らませている。
「また近いうちに来るからさ。今日は勘弁してくれないかな?朱乃ちゃん。アイスケーキも持ってきたしさ」
アイスケーキという単語にピクッと朱乃ちゃんは反応した。
やはり女の子甘いものには弱いな。
「し、仕方ないよね。兄様にも予定があるんだもんね」
ふふっ、ちょろい。