少女は英雄に憧れた。
自分が英雄の子孫であるという事実と自分が持っている神器『黄昏の聖槍』は神滅具は13個ある中でも最強の神器。
その最強という言葉が少女にとってはとてもたまらなかった。
一族の中でも体が弱く周りから見下されていた彼女にとって最強とは憧れていたものだったから。
だが、誰かに言われた。
神器が最強でも女のお前が持っていてもどうにもならないと。
そこからは簡単だった。
そんなことは無いと少女は叫び。
その誰かは、ならば証拠を見せろと言った。
そして、この辺にいるはぐれ悪魔を全て討伐してみせると少女は宣言した。
この辺にはそこまで強いはぐれ悪魔や悪霊は居なかった。
居たとしても聖なるオーラを使えるようになっている少女の敵ではなかった。
だから、油断した。
最後のはぐれ悪魔を見つけた時こいつもすぐに倒せると踏んでいた。
だが相手がいや、相性が悪かった。
ミノタウロスは怪物ではあるが、伝承通り人を殺しすぎて神格がほんの少しが持っていたのだ。
神格を持っているものには聖なるオーラは効きにくい。
そのために聖なるオーラの攻撃は効かず槍で殺そうとした。
だが、今までオーラで倒してきた少女には戦い方などわからなかった。
間合いのとり方、抄きの見つけ方。
それが解らずただ槍を刺せばいいだろうと。
だが相手は怪物であり考えるケモノであり化物であった。
少女が近づいた事をすぐに認識してその手に持っている棍棒で少女の槍を弾き腕をつかみ頭から食べようとした。
少女は思った。
私は強くないと。
今まで勝てたのは神器のおかげであって自分の実力ではなかったと。
このままでは死ぬ。
恐怖が体を支配してガタガタと震える。
歯が噛み合わずカチカチと音が出る。
涙が出る。
「うっ、うわぁぁぁぁあ!」
何処からか人間が現れた。
その手には肉厚な鉈を持っている。
この化物を殺しに来たのだろうか?
急に腕を離されて地面に落ちた。
腰に痛みが走る。
希望が見えた。今なら逃げれるかもと。
あの鉈でこいつの頭をたたき割ってくれ私をここから開放してくれ!
心の中で叫ぶが現実は非情だった。
人間が持っていた鉈は根元からポキリと折られ人間は上半身と下半身を握られ引きちぎられた。
生暖かい血が少女の頬にべちゃりとついた。
目の前で人間が殺されて恐怖が加速しまた体が震え出す。
クチャクチャと肉が咀嚼されている。
その時だった俺は急に誰かにだき抱えられた。
「ブモォッ!」
それを逃す化け物ではなくすぐにバレてしまう。
「ふっ」
誰かは地面を蹴り自分を抱えたまま大きな木の枝に飛び上がった。
☆
こんなところに子供とは迷い込んだのか?
まあそれよりも下にいるミノタウロスをどうにかしないといけないな。
正直勝てるが方法が面倒だ。
「この木に捕まっていろよ」
子供に言うとその子はこくりと頷いた。
よし。
相手は化け物。
ならば、化物を倒すのは英雄だ。
木から少し離れた場所に飛び降りる。
「ブモォッ!」
「ミノタウロスよ、その心臓」
ーIam the bone of my sword
「もらい受ける!」
あの、聖杯戦争で俺のライバルのような存在であったあの男の真紅の槍。
「刺し穿つ(ゲイ)!」
右手に握られているのがわかり闘気ではなく魔力が俺の体に溢れ小さな魔力の奔流ができる。
狙うは相手の心臓。
既に心臓を貫いたという結果は出ている。
後はこの槍を放ち、名前を開放するだけ。
「死棘の槍(ボルグ)!!」
バシュン!
槍は真っ直ぐミノタウロスの心臓を貫いた。
ドサりと倒れたのを見届けると俺は先ほど子供を置いていた木まで飛んだ。
☆
綺麗な槍だった。
自分のやりとは違う輝きを放つ槍とそれを扱う男に少女の心は奪われた。
この子供の名前は曹操、別の世界では我が道を歩こうとした者である