緋弾のアリア -その紳士、変態につき-   作:ローアングラー探偵団

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第4弾

いよいよ魔法学の授業が始まった。

…………それにしても何でこんなに真っ暗にしてあるんだろう?

 

「皆さんお揃いですか?それでは始めましょう」

 

先生(?)が僕たちに声をかける。なぜ(?)が付いているかというと、先生と思われる人の服装がローブにとんがり帽子、杖と、あまりにもステレオタイプな魔女の格好をしているから、ではない。それだけなら魔法学の授業なんだからそういうものか、となっただろう。

ではなぜ先生と言い切れないのかというと、

 

「シールケといいます。子どもっぽいのは見た目だけなのでご安心を。魔法学の入門として、直感や体感で理解できる要素の多い魔術の分野からはじめる、とのことで、魔術師の私が魔法学の担当をつとめます」

 

そう。僕たちの目の前にいたのは齢12位の幼j…………もとい女の子だったのだ。

 

(まあ、トチ狂った武偵校だ。そんなこともあるだろう)

 

すっかり武偵校に汚染された彼らの頭は、この程度では動じないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早速始めましょう。まずは皆さんおひとつずつこれを取ってください」

 

といいつつ、シールケ先生は瓶の入った箱を持ってきた。言われた通りに手にとってみると、香水瓶のようだった。

 

「さて、今回の授業の内容として、まず『魔法』というものを実際に『視て』ほしいと思います。己の内側から溢れ出す、『魔力』というものを」

 

(おおっ、なんかよくわからないけどドキドキしてきたぞ!)

 

「まあ、論より証拠といいますからね。説明は後にして、やってみましょう。手もとの香水を振りかけてください」

 

香水瓶を開けると、何やらなつかしい香りがひろがった。そう、まるで古の森の奥の…………

 

「ええと、橘さん……?であってますか?どうしましたか、蓋を開けたっきり固まってしまって…………」

 

「あっ、すみません!まるで、どこか森の奥の家の日だまりのようなイメージが湧いてきたもので…………」

 

そう言うなり、先生の顔が、懐かしむような、哀しむような、そんな表情になった。

 

「…………そう、ですか…………。いえ、何でもありません。…………貴方には大きな魔術の才能が眠っている。いいえ、封じられているのかもしれませんね」

 

先生は、そう言って教卓に戻っていった。

僕は何か、シールケ先生の触れてはいけないところに触れてしまったのだろうか。

 

(…………今はとにかく授業に集中しよう)

 

そう思い、香水を振りかけてみた。振りかけた香水は、体に着くと僅かな熱を持つような感覚がし、その後から、今度は体が軽くなるような感覚がやってきた。

 

「あの、先生。これは一体?」

 

と、実はずっと同じ部屋にいた絢辻さん(同じクラスだから当然なんだけど…………)が質問する。

 

「これはトリカブトをはじめとした数種類の薬草をブレンドした、オリジナルの香水です。簡単に言っちゃうと、軽い毒薬です」

 

生徒たちが何か言う前に、シールケ先生は続ける。

 

「まず、皆さんが存在するのは、私たち魔術師が呼ぶところの『現世(うつよ)』という場所です。皆さんにも解りやすく説明すると、かのアイザック・ニュートンが確立した古典力学の通用する世界です」

 

…………まさか魔法学の授業で物理の話が出てくるとは。

 

「もうひとつ、現世と表裏一体となっている、死んだ人間の魂や伝説上の動物などが住まう精神世界、いわゆる『あの世』である、『幽界(かくりょ)』が存在します」

 

にわかには信じがたいでしょうが、と先生は続ける。

幽霊とか魂とか言われても、と頭では一瞬思ったが、どこかで納得している自分がいた。

 

(いや、納得というより体感かな…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ここからが本題です。皆さんが普段存在しているのは現世の方ですが、さまざまな系統はあれど、魔法の源である魔力は幽界に属するモノです。すでに絢辻さんなど、魔法を使っている人にはわかっていることだと思いますが…………

 

 

(ちょ、ちょっと待ってくれ!絢辻さんは魔法が使えたのか!?)

 

僕はまずそこから驚いてしまう。

絢辻さんは衛生科なのに、魔法を使う…………?

 

(あら、知らなかったの?橘くん。医療の現場でも魔法は使われているのよ?そもそも、古来より魔法が医療に

使われるのは珍しいことではなかったのよ)

 

声をおさえながらも丁寧に教えてくれる絢辻さん。絢辻さんは物知りだなあ…………

 

(そんなことないわ。衛生科の授業で習ったから知っているというだけよ。探偵科の橘くんが知らないのも無理はないわ)

 

そうなのか…………

というか、どうして僕が考えていることがわかったんだろう?

 

 

 

 

 

…………………ということですね」

 

おっと、シールケ先生の話を全然聞いてなかった。

 

「さて、そろそろ頃合いでしょう。みなさん目を閉じて下さい」

 

僕は、よくわからないまま先生のいう通りにした。

 

「リラックスして下さい。深呼吸しましょう。3つ数える、息を吸う。3つ数える、息を吐く」

 

3つ数える、息を吸う。

3つ数える、息を吐く。

 

「呼吸を落ち着かせたまま片手の手のひらを上に向けて開いて下さい」

 

「そのまま手を握って」

 

「さあ、最後の行程です。私の合図で目を開き、同時に手を開きます。そのときに、手の上に火が灯るようなイメージをして下さい。くれぐれも心を乱さぬように」

 

 

…………少し緊張する。

だけど、なぜだろう。不思議と不安はない。

 

 

「いきますよ。

………………………………さあ、今です!」

 

 

 

 

 

 

その直後、

 

 

 

 

 

世界が、色づいた。

 

 

 

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