緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第159弾 シャーロックホームズ

「カナ!カナ!」

 

キンジがカナを抱き締めて叫んでいる。

信冬は無事だがカナは防弾制服を貫いた。

信冬の弾丸は跳弾で威力を弱めたか……

恐らく使われたのはアーマーピアス

 

「伏せろアリア!俺たちは攻撃されてるんだ!撃たれたいのか!」

 

キンジがアリアの腕を掴んで引き上げる。

アリアは放心状態でぺたんと尻餅をつく。

無理もないか……

普通1854年生まれのシャーロックが生存していきなり前に現れるなんてな……

 

その瞬間、二つの爆音と共に船底から突き上げるような激震がアリベール号を襲った。

 

「きゃあああ!」

 

白雪の悲鳴を聞きながらパトラの黄金柩が横倒しになるのを見ながら舌打ちした。

魚雷か!

 

白雪がキンジに言われて救命ボートに走る。

同時にパトラが蓋を蹴り上げてカナにかけよると悲鳴をあげながら治療を始める。

パトラを拘束する余裕はない。

キンジと俺は冷や汗をかきながらこちらに歩いてくる男を見る。

 

ごすんと音がしてイ・ウーと接舷したらしいアリベール号が揺れる。

シャーロックは間にある火災をパキパキと凍らせながら歩いてくる。

氷のステルスか……

 

「もう逢える頃と推理してたよ」

 

その言葉だけでびりびりと圧倒される感覚を覚える。

なんだよこいつ……沖田や姉さん並の化け物

一言だけで分かる。

 

「卓越した推理は余地に近づいていく。僕はそれを『条理余地』と呼んでいるがね。つまり僕はこれを全て予め知っていたのだ。だからカナ君……いや、遠山金一君。君の胸の内も僕には推理できていた。」

 

カナ……いや、遠山金一が何かを言おうとして喀血した。

 

「さて、遠山キンジ君、椎名優希君。君達も僕のことは知ってるだろう。こう思うことは決して傲慢ではないことを理解してほしい。なにせ、僕は君に、こう言わなければならないのだ。今ここには僕を紹介してくれる人が一人も……いや、いたかな?」

 

シャーロックは微笑みながら姉さんを見る。

恐らく、この場で唯一互角かそれ以上の力を持つ化け物わ見て……

姉さんは腕を組んだままだったが

 

「そいつはシャーロック・ホームズだ。私と唯一、互角に戦える存在さ」

 

冗談だろう……姉さんクラスとは思ってたが世界最強と互角の存在……

 

「アリア君」

 

はっとして見るとシャーロックがアリアを呼んで目があう

 

「時代は移っていくけど君はいつまでも同じだ。ホームズ家の淑女に伝わる髪型を君はきちんと守ってくれてるんだね。されは初め、僕が君の曾お婆さんに命じたのだ。いつか君が現れることを推理してたからね」

 

アリアのツインテールを見ながらシャーロックが近づいていく。

 

「っ!」

 

右手で紫電掴む

 

「用心しないといけないよ。鋭い刃物を弄んでるといつかはその手を怪我することになるからね」

 

べレッタを抜きかけていたキンジと俺に向かいシャーロックはこちらも見ずに警告してきた。

 

隙がない……

 

「アリア君。君は美しい。そして、強い。ホームズ一族で最も優れた才能を秘めた、天与の少女、それが君だ。なのにホームズ家の落ちこぼれ、欠陥品と呼ばれその能力を一族に認められない日々は、さぞかし辛いものだっただろうね。だが、僕は君の名誉を挽回させることができる。僕は君を僕の後継者として迎えにきたんだ」

 

「……ぁ……」

 

完全に言葉を失っていたアリアが小さく声をあげた。

 

「おいで、アリア君。君の都合さうよければおいで。悪くてもおいで、おいで。そうすれば君の母親は助かる」

 

アリアがカメリアの瞳を見開く。

まずい、アリアにその言葉は……

 

「さあ、アリア君」

 

シャーロックがアリアに手を伸ばした瞬間白刃が二人の間を切り裂く。

 

「ああ、やはり君はその選択をするのかい?」

 

「……」

 

俺は黙ってアリアの前に立ちふさがると紫電をシャーロックに向ける。

 

「ゆ、優」

 

戸惑ったような声を後ろから聞きながら

 

「アリア、騙されるな。こいつはお前の母親を嘘の犯罪者にした張本人だ」

 

「で、でもその人は私の……」

 

駄目だ。アリアのやつ混乱してる。

なら、やることは一つ

 

「シャーロック、アリアは渡さない」

 

「では少し荒々しく行こうか」

 

ゴッと衝撃が走り、体が痺れる感覚を受けて後ろに飛ばされる。

 

「ぐっ……」

 

見えなかった……

右膝をつきながら舌打ちする。

紫に光っているあれは……

 

「雷化といってね。オリジナルには会ったことはないが水無月希を通じて教わったステルスだ」

 

紫電の雷神か……

噂には聞いている。

Rランクの最強クラスの武偵の技……そんなものまで使えるのかよ。

 

「さあ、アリア君」

 

「くそったれがぁ!」

 

地面を蹴ってシャーロックに紫電を薙ぎ払う。

バチバチと音を立てて陽炎のようにシャーロックが消える。

 

「何!」

 

「なるほど、数年のブランクがあるとは思えない剣技だ。だが、僕には当たらないよ」

 

ズンと衝撃が走り宙を舞った。

アリベール号を越えて……

俺は意識を薄くしながら海に投げ出された。

 

 

(アリア……)

 

ゴボゴボと空気の泡をはきながら俺は意識を失った。

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