反狂氾濫になりかけた幸村をなだめたのはやはり、信冬で落ち着きなさいの一言だった。
たが、それでもうるさいので
「幸村、頭が冷えるまで東京一周してきなさい」
「はい!頭が冷えるまで東京一周してきます!」
と幸村は飛び出して行ってしまったのだった。
忠実というか馬鹿かあいつ……
「すみません。幸村が迷惑かけて」
都内を一望できるであろう窓の前にある椅子に座りながら信冬が言った。
俺も座っていたので
「あいつはお前のなんだ?」
「気になりますか?」
フフと信冬は微笑み
「幸村は私の部下です。風林火山の将、林の幸村」
林?あいつがか?どちらかと言えば火じゃないか?
話には聞いたことがある。
現在の武田家には当主直属の部下がいるそうだ。
それが風林火山
それと、陰と雷
速きこと風のごとく
静かなること林のごとく
侵略すること火のごとく
動かざること山のごとし
知られざること陰のごとく
動くこと雷のごとく
この内容にあった連中との噂で戦闘力はSランク揃いとの噂だった。
Rランクこそいないが日本では相当な戦力を保有しているのだ。
「戦ってみれば分かるんですけどね」
そういいながら信冬は幸村が走っているであろう都内に目を向ける。
日本刀を背負ったまま都内走ったら捕まらないか?
あるいは信冬のお仕置きなのかもしれんが部下には容赦ない制裁だな……
「……?」
にこりとしている信冬だが、やはり気を抜けんな……
油断してたら主導権を何もかも持っていかれそうだ。
「信冬はいつまで、こっちにいるんだ?」
「名残惜しいんですけど明日には山梨に戻ります。アリアさんから逃げたいなら実家まで来てもらっていいですよ」
「いや、そこまではいいけど最近はどうしたてたんだ?」
「イ・ウーの潜入捜査が中心ですがすみません会いに行けなくて」
「いや、大変だったろ?いいさ」
イ・ウーへの潜入捜査ということは相当周りの状態にも気を配ったはずで数年単位で調査をしてたんだろう。
結果、イ・ウーは崩壊し、時間が出来たわけか。
「時間はそう、ありませんよ」
「え?」
俺の心の中を呼んだのか信冬が言った。
「知っての通り戦いの準備は始まってます。椎名も師団につくのでしょう優希」
師団?なんのことだ?
「信冬……師団って……」
♪♪♪
ん?携帯が鳴ったので取り出して見てみる。
「なんじゃこりゃ!」
と悲鳴を上げた?
「どうかしたんですか?」
信冬が聞いてくるが答える余裕はなく放心状態になる。
なぜなら……
『2年A組、椎名優希、専門科目アサルト、書類不備のため1単位不足』
ふざけるな!続きを読むと俺がクエスト受けるときに出した書類に不備があったらしく、単位が認定されないらしい。
しかし、本日午後2200までに書き直せば問題なしなんだが……
慌てて時計を見ると午後10時だった。
センターで止まってたみたいだ……
「お、おしまいだ」
いや、夏休みだからクエストブーストがある!なんとか明日から1単位稼がないと……
信冬には悪いが携帯で探すと丁度いいのを見つけた。
綴が引率する研修に1週間参加したら0.9単位もらえるらしい。
少し足らんが最後は東京見回りのクエストを受けよう。
研修はどうやら、県外の山奥でやるらしいな。
出発は3日後か……うお、参加〆切明日の23時じゃねえか!
参加申し込みをメールで送るとふぅと息を吐いた。
「単位不足なんだ……なんか、書類作成をミスったらしくて単位が認定されてなかったみたいだ……。で、研修受けて大半は補填する」
何もギリギリに送ってくることはないだろうに!
アリアから放れることになるが留年するわけにも行かないからここは土方さんにフォローを頼もう……レキにも依頼という形で頼んどくか?
信冬は……忙しいし……そうだ。
秋葉をつけといてもいいかな
「緋弾のアリアの護衛を考えてるんですか?」
「え?ああ、まあ……」
「でしたら幸村を貸しますよ」
「いいのか?」
ただならありがたいんだがな
「はい」
だが、あの馬鹿が役に立つのか?
「幸村はやれば出来る子です」
と信冬はお墨付きを出したのでとりあえず、信じて見るかな……
ちなみにこの後は汗だくになった幸村が飛び込んでくるまで談笑は続き、俺達は別々の部屋で眠ったのだった。
期待とかしてなかったからな!本当に
さらに、ちなみにだが幸村はアリア護衛を言い渡されて子犬のようにしゅんとしていた。
頭は冷えたらしいが犬かよお前は!
研修中の護衛が不安だ……
ところで俺のメールはセンターで止まっていたがメールは午後6時には単位不足皆に届いていたのだ。
学園島では優の知り合い二人が悲鳴をあげることになる。
「まじかよ!やべえ!」
一人はロジの武藤剛毅
「ぬあああ!しまったぁ!」
もう一人はレキ様の写真を整理していたレキ様ファンクラブ会長、村上正だ。
二人は優希と同じく、研修に申し込むことになるのだった。
ヒュウウウと生暖かい夏の風を浴びながら作りかけのスカイツリーの頂上でゴシックロリータの服を着た銀の髪の少女は赤い目を都内のホテルに向けていた。
わずかだが見える少年を見て少女は微笑んだ。
「帰ってきましたの優希。フフフ」
少女……ローズマリーはそういうと翼を生やしてその場から消えた。