ちょこちょこ書いてはいたんですが私生活が忙しくありがたい感想も頂き執筆しました!
続きをどうぞ
「私のことは忘れてください」
そう言って背を向けるあの子
待ってくれ・・・
そう言おうにも体が動かない。
ちくしょう・・・
「・・・」
武田信春の冷徹な目が俺を見る。
俺の力がもう少しだけでも強ければ・・・
あいつを・・・信冬を守れたのだろうか?
いずれにせよ・・・手遅れだ。
俺に出来ることは何もない・・・
俺は怒りと悲しみを押し殺し目を閉じた。
†
はっとして目を開けると飛び込んできたのは木の天井。
体が痛むが布団をどけて上半身を起こす
「ここは・・・」
「目が覚めたようだな」
声の方向に目を向けると月明かりを背に浮かぶ影
その声を俺はよく知っていた。
「土方さん・・・」
公安0を率いる俺の知り合い・・・姉さんの仲間
そうだ俺は武田信春と戦っていて・・・
「っ!信冬は?」
あいつはどうなった?
「武田信春と行った。あいつの足でな」
その言葉に怒りと悲しみを感じる
ちくしょうやっぱりかよ
「行く気か?」
無理矢理立ち上がろうとしたがその声に体が止まる。
「行けば死ぬぞ」
分かってるさ・・・力任せに突っ込んでも信冬は救えない・・・
それは犬死だ。
敵は武田家そのもの・・・
武田信春にたどり着くことすら危うい
だが・・・
「土方さん・・・信冬はこの後の人生は幸せだと思いますか?」
「・・・」
土方さんは何も言わない。
「信冬はこの後歩む人生は不幸です。それは断言来ます。だから・・・」
「だから、行って死ぬのか?信冬は何一つ救われねえな。それどころか責めるだろうな。自分のせいでお前が死んだとそれこそ、死ぬまで」
それは・・・結局何もできないのか・・・
突っ込んでもそれは信冬が苦しむだけ・・・
俺一人じゃ無理だ・・・
それができるのは・・・
「土方さん。お願いします力を貸して下さい」
頭を下げて心の底からお願いする。
公安0に力を借りれないことは100も承知だ。
だが、土方さんには独自の人脈もある。
決して無力ではないはずだ。
力を貸してくれれば・・・
「信冬は雪羽の妹、つまり俺にとっても妹、家族だ。可能なら俺も助けてやりてえとは思ってる」
「じゃあ」
「優希。お前に力を貸すことはできねえ。この問題は鈴雪土月花と過去の信春との約束から来るものだ」
「約束?」
「俺達は昔、武田信春と雪羽の自由をかけて戦った。その後、互いに戦わないことを約束してる。その約束を破るという事は戦争を仕掛けるも同義だ」
そんな約束が・・・
土方さん達は動けない。
手づまりなのか・・・何もかも終わりだって言うのかよ・・・
いや・・・
「俺は行きます」
「同じ話をさせるつもりか?
俺を見る土方さんの目は冷徹だ。
普通の人なら泣きだしてしまうほどの・・・
だが、俺はこの人の目を真っすぐに見て言う
「俺は死にません。生きてあいつの信冬を救う!それが・・・」
土方さんの後ろにある掛け軸のその言葉
「俺の誠の意思だから」
「・・・」
力づくで止めると言うなら俺は振りはらってでも行く!
敵がどんなに強大でも絶対に諦めねえ!
その意思を押し通す
「ふっ」
土方さんが静かに笑う
「誠の意思か?それを言われちゃ阻めねえな」
「じゃ、じゃあ」
「負けですよ歳さん」
スっとふすまが開き雪羽さんが入ってくる。
その姿は防弾スーツネロの黒い装束だ。
「そう、歳も昔、同じことを言っていた」
鈴さんが雪羽さんに続いて入ってくる。
「ああ、言ってたなぁ確かに」
そして・・・来てくれたのか・・・
「姉さん」
「よ!」
軽く手を上げて姉さんは笑う。
絶望の中の光明
「うるせえぞ希。今はそんな昔話はいいんだよ」
「ハハハ!照れるな照れるな」
バンバンと土方さんの背中を叩く姉さん
「力を貸してくれるんですか?」
鈴土雪羽花の全員が力を貸してくれる・・・だがそれは
「俺達が力を貸すのは内部突入までだ。武田信春やその近辺はお前らがどうにかしろ」
「つまり、信春と直接、戦わなければ約束には抵触しない」
鈴さんの言う事は分かるけど・・・
「お前ら?」
他に力を貸してくれる人が?
土方さんが薄く笑ってふすまを更に横に押す
そこにいたのは・・・
「アリア・・・お前ら」
「随分待たせてくれたわね。優あんた後で風穴よ!」
ようと困ったような顔のキンジに無言のレキ
そして、軽くウインクしている理子
体のあちこちに包帯を巻いているが秋葉が立っていた。
「話は聞かせてもらったわ!優!あの子を助けに行くわよ!」
「いや、いいのか?武田と暁に逆らうってリスクちゃんと考えてきたのかお前ら?」
「知らないわよそんなこと!武田信春は未成年略取。れっきとした犯罪者よ!」
だからって逮捕できる相手じゃ・・・
「いざとなったらみんなで国外脱出ってのもいいよね!」
いや、そんなに可愛く言っても理子
「帰っていいか?」
「駄目に決まってるじゃないキンジ!あんたも来るのよ!」
なんかすまんキンジ・・・巻き込まれたなお前
「私も行きます」
レキが短く言うがお前らしい。来るなと言ってもついてくるなこれは
だが・・・
「秋葉、お前は月詠から武田と戦うなと言われてるだろ?」
「私は優君の近衛です。行くなと言われてもついていきます」
ここにも頑固者がいたか・・・
しかし、お前ら・・・本当に
「ありがとう」
心のそこから頭を下げる。
どうにかなるかもしれない。
そんな気がしてならない。
「さて、お前ら座れ」
土方さんの言葉に全員が座り俺を囲むような感じになる。
「知っての通り信冬の結婚式は明日の14時に行われる。場所は暁本邸。外は数百の警備の連中に中には武田の風林火山の連中やお前らで言うSランク級が数人いると思われる」
明日!?俺はそんなに長く寝ていたのか?
「暁本邸は一言で言うと城もみたいな構造になってる。突入できるのは陸からだと4つの門からだけ」
「警備の連中をどうやって突破するかよね。空から強襲が一番楽そうだけど」
「まともには無理だ神埼。暁邸宅には対空ミサイルが配備されてる」
「た、対空ミサイル!?」
キンジが驚いたようにいうが俺も驚いたよ。
ミサイルなんて自衛隊しか持てないはずだろ
「驚くのは分かるが暁だ。それぐらいできる。無論世間一般には認知されてない話だがな」
「でもそうなると陸の警備の人達をどうにかしないと・・・」
理子から見ても難しい話らしい。
そうだなぁ・・・地下からとかないのかな?
「正面突破だ」
「え?」
土方さんが紙を出して簡単に略図を描いて正面突破と書きこんで
「一番警備が厚そうな南門でこいつが暴れる」
「殴り込みだな!任せておけ」
ああ・・・そうでした。警備の皆さまちょっと、かわいそう・・・
南門からは姉さん
「少し時間をずらして東門から俺達が警備の連中に襲撃をかけて暴れる。おそらく、これでいくらかの警備が南と東に集まるだろう。その隙にお前らはヘリで暁本邸に突入しろ」
「ヘリは使えないのではないのですか?」
「問題ない。希と私がいる」
レキの問いに鈴さんが答えた。
「・・・」
「・・・」
互いにこくりと頷く鈴さんとレキ。
何か通じあったらしいぞ
「問題は突入後だ。ヘリで可能な限り信春の場所まで接近する予定だがどうなるか正直わからねえ。直接信春の場所に突入できなければSランク級の連中との戦闘も覚悟しておけ」
Sランク級か・・・
暁や武田で知ってるのは2人だがあいつらとの戦闘も想定するべきか・・・
「で?優希?お前信春と次はどう戦う予定だ?」
「そうよ。優、聞いた話だとあんた手も足も出なかったらしいじゃない」
「そもそも、俺達が束になって勝てる相手なのか?」
アリアキンジの問いはもっともだ・・・
俺の最大の攻撃も信春には通じなかった。
「それは・・・」
「まあ、そこは新必殺技だ弟」
そういいがら姉さんが自分の腰から震電を抜くと鞘をこちらに差し出してくる。
ん?
「お前の紫電の鞘を渡せ」
「あ、うん」
言われるままに鞘を渡し震電の鞘を受け取る。
「紫電をその鞘に納めてみろ」
「?」
言われるがままに収めてみるが特に変化はない。
一応抜いてみるが特に変化は・・・
「何か意味あるの?」
鞘を交換してなんか意味あるのか?
まあ、この鞘自体特殊なものであるのはそうだけど俺や姉さん以外に抜けないって事以外の意味はないはずなんだが・・・
「内緒だ」
にっと姉さんは笑う。
何か意味はあるのだろうが・・・
「信春に接触したら勝負を申し込め。信冬の自由をかけてな。性格上正面から言えばあいつは絶対に乗ってくる」
確かにそんな感じの性格っぽかったもんな・・・
「考えたくないが負けたら?」
おいおい!そんな弱気じゃ困るぞキンジ!
「信冬のことは諦めるんだな。空に信号弾を撃ちあげろ。希がお前らを救出に行く」
「一時撤退ってことですか?」
「いや、チャンスは今回限りだ。2度目は絶対にない。それと今回お前らに言っておく。武田信春を倒せ」
「倒すって戦闘不能に追い込めってことですよね」
「ああ、信冬だけを救出して出ても武田信春が無傷なら今回と同じように連れ戻されてしまうだけだ。そのためには武田信春に勝って認めさせる必要がある」
「雪羽と時と同じ」
鈴さんが付け足してくれるがなるほど・・・今回みたいなことが昔にあったんだな・・・
道理で確信めいて話すわけだよ
「あの時は花音がいたから勝てましたが今回は優希君が鍵になるわ」
「緋刀ですね?」
俺が切り札ってことはそれしかないだろ
「希が渡したその鞘は紫電の元の鞘だ。鞘に納めて力を増幅させることができる」
緋光剣を出した状態で増幅させて撃ちだすってわけか。
姉さんが新必殺技って言ってたのもそれか・・・
力を増幅できるなら新必殺技のオンパレードになりそうだが・・・
明日決戦と考えると試し撃ちの時間はなさそうだな・・・
増幅して風林火山大砲を打ち破る・・・
「つまり俺達は優を武田信春の所まで送り届け可能なら援護しろってことですね?」
「そうだ遠山。できるだけ温存させて無傷で対峙させるのが望ましい。ヘリで突入出来たら全員で信春と戦え」
「分かりました」
簡単に言うがキンジよ・・・これは相当ハードな作戦だぞ・・・
姉さん達は敷地内には突入しないようだし当然屋敷内に突入となれば警備の連中と戦闘になる。極東戦役と関係ないうえに問答無用で殺しにかかってくるだろうから信春の元にたどり着くのも一苦労だ。
中に突入したら6人だけで戦わないといけないんだ
「・・・」
「やめるか優希?」
土方さんが俺を見ている。
俺は・・・
「行きます。みんな力を貸してくれ」
当然というようにそれぞれ返答してくれるみんなを見て俺は決意を固めた。
絶対に信冬を救うと・・・
†
サイド??
暗い・・・闇の中にいた。
信春に連れて来られこの部屋に閉じ込められて数日が経つ。
座敷牢と言われるだけあり畳がありその上で私は目を閉じてひたすら時を待った。
私に自由はない。
今日の午後、私は暁竜馬と婚姻を上げ暁のものとなる。
後悔はない。
信春は約束通り優希を見逃したし私を救おうとしてくれたものの罪を許してくれた。
ジャンも命に別条はないらしい。
雪村も東京で入院し生きてはいるとのことだ。
そして・・・優希も無事にあの人に・・・土方歳三の鈴雪土雪羽に保護された。
大丈夫だもう・・・憂う事など何もない・・・
これからの自分の人生は暗いものだろう。
人としての幸せは望めない地獄のような時間・・・
幸せは望めない・・・
幸せ・・・
その言葉を思えば彼のことを思い出してしまう。
「優希・・・」
座敷牢の空間に響く大切な言葉
彼に会う事はもう、生涯敵わないだろう。
もし、会えても話すことは許されないはずだ。
「っ・・・」
それだけが・・・ひどく悲しい・・・
ズキッと胸が締め付けられるように痛い・・・
こんなに・・・あの雪が振る日にあった少年の存在は大きくなっていたと思い知る。
そうだ・・・私は彼に恋をしていたんだ・・・婚約者なんて関係ない生涯を歩みたい本当の恋を・・・
だが、それを伝えることは2度とできないのだ。
「今さら・・・ですね」
2度と会えなくなって自覚するなんて・・・
好意に近いものは持っていた。
でもそれを素直に表現できずに今に至る・・・
彼は助けに来てくれるだろうか?
いや、それはない。
あの日、雪羽姉様に私は頼んだのだ。
優希が無茶をしようとしたら止めてほしいと。
雪羽姉様は拒まなかった。
鈴雪土月羽と信春の間にある約束がある限り姉様が助けてくれることもない。
水月希がお婆様と戦う事態にならない限り救いなどこない。
優希だけでは死んでしまう・・・
それは嫌だった。
2度と会えなくても生きていてほしい・・・生きてたまにでいいから思い出してほしい・・・
私を・・・武田信冬がいたという事を・・・
「・・・」
静かに顔を上げる。
座敷牢の鍵が開きににやけた男が手を差し出してきた。
「さあ、行こうか僕のお嫁さん」
「は・・・い」
暁竜馬の手をとろうとした瞬間突然飛んできた足に飛ばされ座敷に倒れる。
「う・・・」
「なんだその嫌そうな顔は?お前はもう、僕のものなんだ。つまり、奴隷みたいなもんだ。ご主人様が迎えに来てやったんだから笑顔で尻尾をふれよ!」
「・・・」
この男の妻になる・・・
「申し訳ありません」
「ふん、式が終わったらさっそく使わせてもらうからな。今は武田の名がついてるから手が出せないが暁に姓が変わったらいやってほど可愛がってやる」
「ありがとうございます」
嫌だ・・・こんな男のものになりたくない。
ズキズキと心が痛む。
だが、逆らってどうなる?
暁竜馬の後ろを歩きながら思うのだ。
不幸な姫を助けに来る英雄などいない。
自分が死ぬと分かってくるものなどいないのだ。
だが、それでも思うだけなら自由だ・・・
優希が助けに来てくれる。
そんな奇跡のような未来があるならどれだけ幸せか・・・
私は奇跡なんて信じない。
でも、奇跡は起こって欲しい。
それが暁竜馬と式を上げる前に許された自分の最後の…誠の願いなのだから・・・
というわけでぼこられた優希と攫われた信冬のお話でした!
もちろん主人公優希は諦めません。
一人でも特攻するつもりがアリア達や限定的に鈴雪土月花と奪還作戦することに!
しかし、あくまで敷地外限定の助け。
内部に突入すれば絶望的な状況に変わりはないんですけどね、
外ではかつてソ連軍を壊滅させた連中と対峙する警備部隊。
無双をご期待下さい。
代わりに中は大変だと思いますが…
そういえば原作も最新刊でましたね。
以下ネタバレ
伊藤マキリなかなかやっかいそうなのが出てきましたね!
キンジはキンジで厄介な状況になりそう…
そして、次回はレキとセーラがメインに入りそうですね!
個人的にはセーラをちょっと掘り下げて欲しかったから期待大です!
それではまた次回!