ひまさく物語   作:眉男

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前回の引き続きです。
年明けに書く予定でしたが、少し時間が出来たので書かせていただきます。


(4)

 

それから、また1週間が経った。

 

かれこれ3週間櫻子とは会っていないことになる。

 

別にいいのだ、櫻子には嫌われている。

 

周りには沢山の友達や先輩達がいる、だから私は寂しくない。

 

なのに、何でこんなにも胸が締め付けられるように痛いのだろう。

 

痛みが引いていくどころか日に日に強くなる。

 

胸が張り裂けてしまいそうだ。

 

これはまた胸が大きくなっているせいかもしれない。

 

そうだ、櫻子はいつも私の胸が大きいことにいちゃもんをつけてきた。

 

「おっぱいお化け!」

 

「おっぱい魔人!」

 

「おっぱい禁止!」

 

ふふ、また櫻子に馬鹿にされてしまう。

 

本当に困った子。

 

いつも何も考えずに突っ込んでいく。

 

良くも悪くも真っ直ぐで、前向きで。

 

思えばいつも櫻子と一緒にいた。

 

こんなに会わなかったことなんて今までにはきっと無かった。

 

いつもとは違う日々に何か物足りなさを感じる。

 

櫻子は寂しがってはいないだろうか?

 

………は、私ったら一体何を考えて!?

 

最近はどうも調子が悪い。

 

胸がズキズキする。

 

 

 

 

「あの、すみませんが、大室さんのお宅はどちらでしょうか?」

 

櫻子と最後に会ってから3週間が経ったとある休日。

 

読みたい本を買いに行こうと家を出たところで、小さな女の子を連れた若い女性に呼び止められた。

 

「えっと、あなた方は……?」

 

「申し遅れました。私は鈴木と言います。この子は娘です。先日、大室さんに娘を助けていただいたので、直接お礼をしたいと思いまして…」

 

「え、助けた?」

 

「はい、娘と歩道を歩いていると車がつっ込んできて…そこを大室さんに助けていただいたのです。」

 

!?

 

何だって!?

 

「そ、それは大室さんに間違いないと?」

 

「はい、助けてくださった方について聞き回ったのですが、それが大室さんであると分かり、リハビリを始めるほど回復していると伺ったので……。お詫びとお礼をと。」

 

櫻子の怪我はまだ完治はしていないが…

 

「その時の子は、胸の小さな女の子でしたか?」

 

「えっと、胸はちょっと…。ですがとても可愛らしい女の子でした。制服だったので中学生か高校生かと思ったのですが…。」

 

大室家は三姉妹、長女の撫子さんは高校生だがその日は制服を着ていなかった。三女の花子ちゃんは小学生で制服はまだ着ない。

 

間違いない、櫻子だ。

 

「大室家はここの目の前ですわ。」

 

大室宅を伝えると、私はその瞬間全力で病院へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

まだ上手く動かない…むごご。

 

自分の体なのに動かせないのがとてもイライラする。

 

友達にも看護師さんにも止められたけど、いてもたってもいられなかった。

 

少しでも考えることを止めたかった。

 

自分は馬鹿だから、馬鹿だと分かっているから、何もしていないと向日葵のことしか考えられなくなる。

 

向日葵のことを考えると、なぜか涙が出てくる。

 

それが嫌で、リハビリ始めたのに……。

 

リハビリの最中も向日葵のことばかり考えてしまう。

 

何で、どうして…!?

 

毎日毎日リハビリに専念しているはずなのにこんなに涙が出てくるなんて…!

 

「うわぁぁぁん、向日葵……グスッ」

 

 

 

会いたいよ、向日葵……

 

声が聞きたいよ、向日葵……

 

触れていたいよ、向日葵……

 

向日葵……向日葵………向日葵…………




読んでくださりありがとうございました。
次で最後となりますのでどうかよろしくお願いします。
今度は恐らく来年になります。
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