ひまさく物語   作:眉男

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あけましておめでとうございます。
この話は今回で最終話となります。
よろしくお願いします。


(5)

ぜぇ…ぜぇ…

 

病気はまだ? あとどれくらい?

 

足が重い。

 

元々運動は得意ではない。

 

それなのに自然と足が動いている。

 

そう、その理由はたった一つ。

 

 

 

「櫻子に会いたい!」

 

 

確かに、あの日は本当に腹が立った。

 

櫻子の話をよく聞かず、自分の事しか考えていなかった。

 

結局、私には櫻子がいないとダメなんだ。

 

櫻子のことが大好きだから…!

 

その想いだけが今の自分を突き動かしている。

 

あの時、櫻子は小さな女の子を庇って怪我をしたんだ。

 

櫻子らしいじゃない、良くも悪くも真っ直ぐでひたむきで…

 

櫻子はただの馬鹿じゃないんだ、自分に嘘がつけない正直者なだけなんだ。

 

 

病院が見えてきた。

 

足がちぎれそうな程に痛かったが、櫻子のいる病室へ急ぐ。

 

病室が見えてきた、あそこに櫻子が…!

 

病室の扉を勢い良く開けた。

 

しかし、そこに櫻子の姿は無かった。

 

 

 

どうして?

 

なぜいないの?

 

しばらく病室で呆けていた。

 

櫻子がいるはずの部屋、早く会いたいのに櫻子はいない。

 

「どう…して…?」

 

呆けてばかりじゃいられない。

 

櫻子のあの足では病院の外へは出られないはず。

 

病院の中をくまなく探し回る。

 

診察室、待合室、受付所、トイレ…

 

しかし、どこにもいない。

 

何でいないの、どこかで入れ違えてしまったの?

 

病室に戻ってみたが、それでも櫻子の姿は無かった。

 

「さ、櫻子…?」

 

 

 

〈櫻子ちゃん、リハビリ始めたみたいだよ。〉

 

〈止めておいた方がいいって言ったんだけど…〉

 

〈言うこと聞いてくれなくて…〉

 

 

 

そうか、リハビリ室!

 

きっとそこに櫻子はいる!!

 

咄嗟にリハビリ室へと駆け出した。

 

無我夢中に。

 

道行く人や看護師さんに注意されていたが、全く気にしなかった。

 

一刻も早く櫻子に会いたかった。

 

 

 

リハビリ室…!

 

 

床に崩れ落ちて泣きじゃくる女の子の姿が、そこにはあった。

 

 

 

 

向日葵…向日葵……!

 

何で来てくれないのさ?

 

最後にあんなこと言っちゃったから?

 

あのね、向日葵…私、本当は……

 

会いたいよ、向日葵……。

 

 

涙が溢れ落ちる。

 

理由はもう分かっていた。

 

でも今の自分にはどうすればいいのか分からない。

 

もうこれから向日葵とは会えなくなってしまうのかもしれない。

 

仲直りできず、喧嘩したまま離れていってしまう…。

 

そんなの嫌だ!

 

向日葵…寂しいよ……

 

「ふぇぇえぇん、向日葵…私、どうしたら…?」

 

 

 

その時、扉を開ける大きな音が響いた。

 

顔を上げると、そこには憔悴した向日葵がいた。

 

向日葵は駆け寄ってきて、私を強く、優しく、暖かく抱き締めた。

 

 

 

 

「ひ、ひま…わ…」

 

「櫻子、櫻子…!」

 

「ふっ…うっ…グスン」

 

「ずっと来なくてごめんなさい!」

 

「うわあぁぁぁああぁぁん、向日葵~!会いたかった~!!」

 

耳元で櫻子が泣き叫ぶ。

 

ずっと声が聞きたかった、顔が見たかった、この温もりを感じたかった。

 

「櫻子、あなたは本当に困った子ですわね。」グスン

 

涙がこみ上げてきて、抑えられない。

 

「向日葵だって…クッキー焼いてきてくれるって…言ってたじゃんかぁ~!」グスン

 

「本当、私もとても馬鹿でしたわ。櫻子、あなたに伝えたいことがあるのです。」グスン

 

「ひ、向日葵…?」

 

「櫻子、あなたのことが好きです。大好きです。愛していますわ。もうこれからひと時も離れたくない。ずっとあなたの隣で笑っていたい。今回のことでよく分かりましたわ。櫻子、私にはあなたがいないとダメみたいですわ。」

 

小刻みに震えていた櫻子の肩が止まる。

 

櫻子は泣き顔でありつつも、暖かい目で、どこかとても晴れた、太陽のような笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、向日葵。私も向日葵のこと大好きだ。これからもずっと向日葵の隣にいたい。向日葵と一緒に助け合いながら生きていきたい。こんな私でよければ、お嫁さんにもらってよ。」

 

「なに、馬鹿なことを。お嫁さんは私ですわ。」

 

「いいじゃん、どっちも嫁でさ。」

 

「ふふっ。」

 

「な、何さ?」

 

「いいえ、お互いにお嫁さんとして一緒に生きていきましょう。」

 

「へへ、ありがとう。」

 

 

 

 

 

「先程は騒ぎ立ててしまって申し訳ございませんでしたわ。」

 

「でした!」

 

「こら、ちゃんと謝りなさい?」

 

「えへへ~。」

 

「何よ、不気味ですわね。」

 

院内を走り回ったこと、泣き喚いたこと、他にも、患者さんや看護師さんに迷惑をかけてしまった。

 

「もともと走り回ったのは向日葵だけじゃん、私はこんな足だから走れないし。」

 

「そういう櫻子こそ、さっきまで泣き喚いていたではありませんか。」

 

「な、向日葵だって泣いてたじゃん!」

 

「っ!…そ、それは………」

 

 

皆は笑って許してくれた。

 

どうやら、さっきの仲直りが見られていたようで、恥ずかしい……………。

 

 

 

「向日葵、お腹空いた~!」

 

「はいはい、クッキーを焼いてきますわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

〔 完〕




読んでくださり、ありがとうございました。
圧倒的語彙不足と、文章を書くのが苦手なもので、内容が伝わりづらい話になっていたと思います。
ですが、こうして無事、完結することができました。
ネタが思いついたらふらっと書こうと思いますので、これからもよろしくお願いします!
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