今回初登場の人物
風間蒼也
小型かつ高性能の代名詞。アタッカー2位でありながらソロランクも3位というかなりの実力者だが、それにそぐわず身長はまさかの158センチという小柄。だが当の本人は全く気にしておらず、むしろ持てる手札で勝負をする熱い男。修造とどちらが熱いのか作者は気になる。隊長としてもかなりの腕前。太刀川さんのレポート関連で苦労させられてる人の一人である。多分、太刀川さんがもっと真面目だったら彼の大学生活はもっと楽になる。琲世の師匠。
歌川遼
苦労人。チームメイトの菊地原が一部除いて毎度会うたびに毒舌を発揮するので常にそのフォローに回る。原作では菊地原が風刃に首ちょんぱされ、なおかつサイドエフェクト持ちのせいで目立つ所を失ったが実はなんだかんだで結構の実力者。設定だとオールラウンダーらしいがそれらしいところを全く見せない。ハンドガンを持ってる描写がないのでスコーピオンとシューターを併用しているのだろうか、と作者は勝手に推測している。
菊地原士郎
毒キノコ。常に偉そうで隊長の風間さんにもたびたび偉そうにする。キャラステータスのとこでこいつだけ「嫌いなもの」が紹介されてる。好きなものは仲間と友人らしいが、こいつの性格で友人がいるのか甚だ疑問である。チームランク戦で八幡の足止め役を過去にやらされたが、なめてかかり瞬殺された。それ以来八幡をライバル視するようになったが八幡にはあまり相手にされてない。それでも風間隊にいるだけのことはありそれなりの実力者。
諏訪洸太郎
自由人。作戦室に麻雀持ち込んだりしてる。原作初登場ではやたらモブキャラ感が出ていたが、思いの外活躍しまさかの11巻の表紙になるという快挙をあげる。作中、唯一と思われるショットガントリガーを使用しており、多分パワーバカ。エネドラを「プルプルスライム野郎」と命名したとこをみるとネーミングセンスは意外といいのかもしれない。
堤大地
第二の苦労人。諏訪隊作戦室はこの人がいなければ腐海に飲み込まれていたらしい。諏訪さんはともかく笹森まで片付け下手ってのは意外。この人は生粋のギャンブラーなのか、加古さんチャーハンを二度も食べ死んでるらしい。ギャンブラーと勇者は紙一重であるということをこの人は教えてくれた。ただこのギャンブルはあまりにも無謀すぎると八幡は内心でつっこんでいたり。
東春秋
ローテーションロングレンジロン毛。初代スナイパーでありなおかつかつてA級1位の部隊を率いた人。二宮さんを「戦術って、すげぇ……!」と薫陶させたという伝説の持ち主。ぶっちゃけ二宮さんがちょろいだけかもしれないけど。何かあるとありとあらゆることを佐鳥のせいにしてその場を和ませなおかつ自分は責任を逃れるという荒技をやってのける。それでも尊敬される人格者。院生でありながらボーダーでの仕事もこなすという凄まじい胆力を持つ人でもあるが多分現実でそんなことはできないと思われる。
残りは後書きか次話で書きます。
早朝トレーニングを終え、シャワーで汗を流し、朝食を作りいただく。今日は休みかつ防衛任務もない。なのですることは一つ。
二度寝。
二度寝最高。日頃から溜まった疲れを癒すためにここでたっぷり寝貯めておくぜ。トレーニングを普段より少しきつめにしたからか、それとも朝食後の満腹によるものか布団に再び入るとすぐに眠りに落ちた。
*
起きるとすでに10時半になっていた。伸びをしてダイニングに出ると一つの書き置きがあった。
お兄ちゃんへ
朝ごはんありがとね!おいしくいただいたよ!今日は小町茜ちゃんのとこで勉強して、そのまま茜ちゃんちに泊まるからごはんは適当に済ませてね!
なるほど、日浦のとこに泊まり込みで勉強か。熱心でよろしい。さて、じゃあここいてもなんもないし電気代節約のために本部行くかな。遅くなるかもしれないし一応エサを皿に出しとこう。腹減ったら勝手に食うだろ。
するとソファーにいたカマクラと目が合う。ふんす、と鼻を鳴らし丸くなり寝る体制になった。
今の鼻はなんの意味があったんだろう。
*
作戦室でダラダラしながら勉強もする。横山は宇佐美のとこ行ってて佐々木さんは知らない。つまり今おれはぼっちである。え?いつもぼっちだろって?ほっとけ。
そろそろ昼飯時かな。食堂でも行くか。
ーー
昼飯時だからか、食堂は結構賑わってた。ラーメンの食券を購入し、ラーメンを確保する。どこか席空いてないかなーとブラブラしてると風間隊にあう。
「比企谷か」
「あ、どうも比企谷先輩」
「うわ、比企谷先輩だ」
「こんにちは比企谷くん」
菊地原以外は普通の反応だった。というか菊地原、お前おれのことライバル視しすぎだから。
「比企谷はこれから昼飯か?」
「ええ、まあ。風間さんは?」
「おれたちはこれから防衛任務だ」
「比企谷先輩と違って暇じゃないんですよ」
「おい、まるでおれが常に暇を持て余してるみたいな言い方するな。おれだって任務でてるわ」
「でも今は暇なんでしょ?」
「そんな毎日毎日任務いれるわけねーだろ。人間休養も大事なんだよ。それと菊地原、お前おれに暴言吐くのはいいが、そういうのはおれに勝ってから言え」
「次やるときは瞬殺してあげますよ」
「やれるもんならやってみやがれ」
「菊地原、その辺りにしとけ。すいません比企谷先輩、いつもいつもこんなんで」
歌川、お前本当に苦労人だな。いつもこんな毒舌キノコのフォローして。というかこいつこんな性格なのだが友達いるの?あ、でもおれが言える立場じゃないか。
「じゃあそろそろいく。またな比企谷」
「逃げないで下さいよ」
「おい菊地原。すいません、じゃあまた」
「またね比企谷くん」
「おお」
さて、そろそろラーメンをいただかなければのびる。
適当な席を見つけて座りいただく。ふむ、普通だ。結局誰も居らず昼飯もぼっちだった。学校では普通だけど。
*
ラーメンを食べ、作戦室へ戻ろうとしたその時
「おお比企谷!いいところにいた!」
たぬきに捕まった。
「誰がたぬきだ!」
チョップされた。
おうふ。なんでわかんだよ。読心術でももってんの?
「どうも鬼怒田さん。なんか用すか?」
鬼怒田開発室長。デキるたぬきの代名詞。
「今開発中のトリガーがあってな。その試作品をためしてほしい。お前くらいトリオンコントロールがうまいやつでないと話にならん」
ほう、よくわからんがとりあえず褒められたっぽい。
「ギャラは?」
「早速金か……」
いやだっておれの生活そこまで楽じゃないし。お金、ほしい。
「そこはちゃんと払う。だがそこまで高額はだせんぞ」
「いや、最悪千円でもいいっすよ。もらえるなら」
「まぁいい。行くぞ」
*
開発室はいつも騒がしい。いろんな人が行ったり来たり。そして資料が山のようにある。資料の山に埋まってる人もいる。多分冬島さんだ。
「試してほしいのはこれだ」
渡されたのは普通のトリガー。起動すると入っていたのはアステロイドだけ。
「アステロイド、すか?」
「シューター用のな。トリオンキューブを圧縮して貫通力を高められるように調整してみた。だがまだ試作品だ、実用には程遠い。だが現段階でのデータが欲しくてな」
なるほど、シールドは圧縮すると防御力が上がる。それと同じ考えでトリオンキューブを圧縮すれば貫通力があがるのでは?といったところか。
「だがこれをそこらへんにいたC級にやらせたら全くできんかったのでな。トリオンコントロールうまい貴様に頼んだとういことだ」
なんでわざわざC級に頼むんだよ。無理だろ普通に。
まぁ、頼まれたんだしやるか。
アステロイドを起動。普通のトリオンキューブに見えるが、これを圧縮だったか?やり方はぼんやりと鬼怒田さんが教えてくれた。あとはサイドエフェクト頼りだ。
圧縮するイメージを膨らませると、トリオンキューブが徐々に小さくなっていき、やがて一辺3センチくらいのキューブになった。
「おお、さすがだな。ここまでできるとは」
「んで、これどうするんすか?」
「今的を出す。それに向かって打ってくれ」
すると目の前に的と圧縮されたシールドが展開される。まぁ貫通力チェックだしシールド圧縮も当たり前か。
普通に打ってみる。だがここで違和感。本来シューターは威力、弾速、射程を設定してから打つのだが、それがなかった。
弾丸そのものは分割されずそのまま丸ごと飛んでった。圧縮シールドをやすやすと貫き的を貫通するが、射程が短い。まぁ試作品だしこんなもんか。
「ふむ、やはり弾速調整等ができんか」
「圧縮前のやつがそのまま反映されるみたいっすね。でもこれ圧縮に結構時間食うからあんま実用的ではありませんよ。ぶっちゃけ合成弾の方がいいです」
「そうだな、まだまだ調整がいる。だが現段階でのデータはとれた。礼を言うぞ比企谷」
「はぁ」
「ギャラは後日払う。その時また試してもらうぞ」
「了解っす」
*
開発室を出て作戦室へ戻り、勉強をする。そこそこの時間になったのでソロランク戦でもしてこようかと作戦室を出たとこで出水にあった。
「お、比企谷」
「出水」
出水公平。同じシューターポジション。天才型。あだ名は弾バカ。
「ちょうどお前探してたんだよ」
「あ?なんで?ソロランク戦?」
「いやいや。実はな、これから佐々木さんの大学合格祝いかつ誕生日パーティーやるらしくてな、それに呼ぼうと思ってお前探してたんだよ」
あれ?おれそんなのなんも聞いてないよ?もしかしてハブられてた?
「ちなみに今日決まったことだからハブられてたとかではないからな」
「おい、さりげなく心読むな。…まぁそういう話なら断る理由はないな。ちなみに誰が立案したんだ?」
「えーと、太刀川さんとかだな」
やっぱり。というかあの人騒ぎたいだけじゃね?
「んで、来る人はおれと米屋と緑川と太刀川さんと諏訪さんと堤さんと東さんと…」
ふむ、東さんが少し意外だが別段おかしな人はいないな。
「あと風間さんと二宮さん」
…………?
「すまん、最後二人もう一回」
「ん?風間さんと二宮さん」
「……」
3バカ←わかる
諏訪さん←わかる
堤さん←わかる
太刀川さん←わかる
東さん←まぁ、わかる
風間さん←……まぁ、わかる?
二宮さん←ファ⁈
「二宮さん、来るってマジ?」
「多分な。太刀川さんが無理やり連れてくるってさ」
なんでだよ!無理やり連れてくるようなイベントでもないだろ⁈
「本当は嵐山さんのも一緒に祝う予定だったんだけど、あいにく広報任務が入っちゃったらしくてな。嵐山さんの方は後日またやるらしい」
「はぁ…。しかし二宮さん来るか?」
あの人がこんなとこにくるイメージが全くわかない。
「ああ、太刀川さんの話だとジンジャエールと焼肉を条件にだされたってさ」
それでいいのかおれの師匠……。
「まぁそんな感じ。とりあえず行こうぜ」
「どこでやんだ?」
「佐々木さんち」
*
佐々木さんちに移動する間に3バカの残りに会い、ともに目的地へ向かう。どうやら大学生組は買い出しに行ってるらしい。3バカはおれを探してたとか。メールしろよと言ったら、したけど返事がなかったとかなんとか。スマホをみると確かにメール来てた。不覚。
そんなこんなでササキハウス到着。
インターホンを押すと、佐々木さんが出てきた。
「あ、比企谷くん。いらっしゃい。米屋くんも緑川くんも出水くんもあがってあがって」
「うす」
「「「お邪魔しまーす!」」」
中に入ると、太刀川さんと諏訪さんがゲームしてて、東さんと二宮さんがソファーに腰掛け談笑していた。ちなみにやってるゲームはスマブラ。どっから持ってきた。
「おお、比企谷来たか!」
太刀川慶。戦闘ではピカイチなのに他のとこはてんでダメ。単位はやばいし講義はサボるし居眠りする。大学生組はこの人がいなければかなり楽になるだろう。
「お、遅いぞ比企谷!」
諏訪洸太郎。諏訪隊隊長だ。この人の作戦室は麻雀とかあるからよくいろんな人が入り浸ってる。
「よお比企谷」
東春秋。東隊隊長。最初のスナイパーでありながらかつてA級1位の部隊を率いた人だ。
「ども。珍しいっすね東さんがこういうの来るなんて」
「そうか?そうかもな。だが佐々木はおれが一部勉強みてやったからな。おれも参加したかったんだ」
「そすか。それより二宮さんの方が珍しいっすけどね」
「太刀川に呼ばれただけだ」
呼ばれてもあなたが来るイメージは全くないんですけどね…。
「比企谷くん、こっち手伝えるー?」
佐々木さんが台所から顔を出し聞いてくる。
「ああ、はい」
そう言って台所に行くと堤さんがいた。3バカは太刀川さんと諏訪さんと混ざってスマブラやってる。お前ら手伝えよ。
「やあ比企谷くん」
「ども」
堤大地。諏訪隊ガンナーでショットガントリガーを使用してる。加古さんチャーハンの犠牲者の一人。
「ごめんね、比企谷くん。人が多いから作る量も多くてね」
「いや大丈夫っすよ。で、おれ何やればいいっすか?」
「そこのから揚げとかポテトとかその他諸々をそっちにある大皿に適当に盛り付けてくれない?盛り付け終わったら向こうに持ってっちゃっていいから」
「了解っす」
言われた通りにするが、量多すぎね?この大皿だけに入りきるか?から揚げ、チキン、フライドポテト、エビフライ、たこ焼きetc…。若いやつらが好きそうなのばっかだな。居酒屋かよ。それに加えて堤さんは肉焼いてるし佐々木さんは焼きそば作ってるし…。完全に宴会だろ。いや宴会なのか。しかも足元の袋にはペットボトルのジュースやら缶チューハイやら。てか酒飲むのかよ。というかこれ佐々木さんへのお祝いなのになぜ佐々木さんがメシつくってるし。
「比企谷くん、盛り付け終わった?」
「ええまぁ。というか風間さんもくるって聞いたんすけど」
「ああ、風間さんは防衛任務あるから少し遅れるって」
なるほど。
「じゃあ運んじゃって」
「うす」
運ぶとダイニングでバカ共がスマブラで盛り上がってる。東さん二宮さんは相変わらず。
「うおお死ぬ死ぬ!」
「うお!おい槍バカ!嫌なやつやってくんな!」
「くらえ!旋空孤月!」
「ねぇよ旋空孤月!」
盛り上がってるなー……。というか手伝ってくれません?
「お、つまみが来たか」
つまみにしてはやたら重い気がする。
「比企谷、ジンジャエール」
おれはウエイターじゃないんですけどね。でも師匠の申しつけだから断ると後で蜂の巣にされる。
「はーい焼肉あがったよー」
「おおー肉だー!っておい弾バカ!余所見を狙うなんて卑怯だぞ!」
「余所見してるおめーがわりーんだよ!」
米屋はマルス使ってて出水はリュカ使ってる。ちなみにおれはネス派。あとスネークもいいよな。
「お待たせみんな、焼きそばもできたよー」
「おお、どうやらメシは揃ったみてーだな!」
「じゃあ早速乾杯するか?」
「風間さん待ちません?あと五分くらいでつくみたいですし」
「おおじゃあ風間さん待とうか。しっかしあの佐々木もとうとう大学生か」
「そうですね、時が経つのは早いものです」
「堤さんおっさん臭いよー」
「えー僕そんな子供っぽいですか?」
「そういうとこもあるかもなー。去年のハロウィンの仮装大会で女装してきたのはガチで驚いた」
「あーあれな。やたら様になってたし」
「本で勉強したんですよー。比企谷くんもやればよかったのに」
「嫌だ、無理だ」
おれの女装とか誰得だよ。しかも横山も男装してたからおれも女装しろとか言ってきたし。あの時の佐々木さんのノリはやばかった。だって横山と女装男装完備して『『比企谷くん(ハッチ)!いつまでだべってるつもり⁈』』とか言ってきたんだぜ?仕事早すぎだろ。二人ともジョジョ立ちで。しかも佐々木さんの女装地味に可愛かったし。この時ほどこいつらとチーム組んだことを後悔した日はない。
ちなみにおれはボロい服着て頭に包帯巻いただけ。それだけでゾンビに見えるからおれの目の腐り具合はやばい。
「まぁ、佐々木も大学生になったんだし、おれのレポートをもっと手伝ってくれるようにな…」
「いい度胸だな、太刀川」
底冷えするような声。太刀川さんの笑顔が固まり血の気が引いていく
。いたのは到着を待ちわびていた風間さん。
「あ、どうも風間さん」
「比企谷か、昼以来だな。すまんな佐々木、少し遅れた」
「いえいえ」
「それと少し時間をくれ。このバカ(太刀川)を説教する」
「い、いやー風間さん、これから佐々木へのお祝いなんだし、説教は勘弁……」
「黙れ、昨年度あれだけおれたちを苦労させておいて今年度もまた同じことを繰り返すつもりか。それに、佐々木は今年大学に入ったばかりだというのにさっきのお前の『もっと』という発言から推測するに高校生の佐々木にもてつだわせてたということだろう。お前は少し恥を知れ」
それから太刀川さんは正座させられ10分間お説教をくらいました。
ーー
「よし、太刀川への説教もすんだことだしそろそろ乾杯といこうぜ」
「じゃあここは最年長の東さんに音頭を取っていただきましょう!」
「お、おれか?よし分かった。お前ら、飲み物は持ったな?
じゃあ、佐々木の大学合格祝いと19歳の誕生日を祝してかんぱーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
「乾杯…」
「……乾杯」
「ありがとうございます!」
テンションの差がやべぇな。二宮さんとかどんだけ間をあけてんだよ。そういうおれもバカ共ほどテンションはあげられないけどね。
そして全員一斉に料理に手をつけ始める。これだけ量あってもこの人数ならすぐに平らげるだろうな。
というわけでおれも適当に料理をもさもさする。ふむ、買ったものだから普通だ。
太刀川さん、諏訪さん、堤さんは缶チューハイ。二宮さんはジンジャエール。他は適当にとったジュースを飲んでいる。おれは料理とともにジュースを飲む気にはなれないのでウーロン茶。
ウーロン茶を飲んでいると東さんが隣にくる。
「どうだ比企谷、楽しんでるか?」
「ええ、まぁそれなりに」
過去のおれなら「こんなリア充イベントでおれが楽しむと思います?」くらい言ってたかもしれないが、今はそこそこ楽しい。
「そうか、お前も変わったな」
「え、そうすか?」
「ああ、入隊してきた頃のお前なら「こんなリア充イベントでおれが楽しむと思います?」くらい言いそうだったんだがな」
おれの予想ドンピシャ……。
「入隊時のお前は雰囲気ピリピリしてたからな。今は大分柔らかくなった」
「そうですかね…」
「まぁ、それでも二宮への土下座弟子入りは衝撃だったがな!」
「グフッ……」
ああああ!おれの黒歴史がァァァァァァ!やめて!それ以上おれの黒歴史を引っ張り出さないで!死にたくなるから!というか本人目の前にいるからやめて!
「あの二宮に弟子入りしようとするだけでもかなり衝撃なのに加えて全力の土下座だからな」
「やめてください……。おれも若かったんですよ……」
「あの時の二宮の顔がまたすごかったなぁ!あの二宮が絶句してしかもドン引きした顔してたんだからな!今や伝説になってるくらいだからな!」
「……」
東さん、上機嫌におれの黒歴史暴露すんのやめて。おれのライフはとっくに0よ……。というか伝説なの?おれの全力スライディング土下座弟子入り。
「まぁそれはともかくとして、比企谷はいつチームランク戦復帰するんだ?」
「……次のシーズンからです。今シーズンはもうほとんど終わってますから次のシーズンの方がいいだろうって本部長が」
「そうか。休隊前は、何位だったっけか?」
「確か4位です」
おれの隊は昨年の10月くらいからチームランク戦だけ休隊している。理由は佐々木さんの受験のためだ。現在のA級ランクが最下位なのはそのためである。防衛任務はおれはでてた。佐々木さんは時々。嵐山さんも昨年は広報任務減らしてた。月見さんは学力的に余裕だったし、オペレーターだから防衛任務も毎回出てたけど。
「そうか、4位か。お前も強くなったなぁ。未だにお前の入隊最初の戦闘訓練の記録塗り替えたやついないしな」
「あ、そうなんすか?」
「ああ、お前の2秒が最高だ」
ほう、まだ抜かされてないとは意外だ。そろそろ逸材が入ってきてとっくに塗り替えられてるかと思ってた。今やったら1秒切るだろうけどな。
「そういえば比企谷、お前進路はどうするんだ?」
「まぁ国立文系ですかね。落ちたら最悪ボーダーに就職も考えてます」
「いや今から落ちたこと考えなくても…」
そうもいかない。おれは常に家計を支える必要がある大黒柱なのだ。親父と母ちゃんが残してくれた金はほとんど手をつけてない。あれはいざという時にとっておきたいし。そのためにもおれが今どれだけ稼げるかはかなり重要なのだ。
「学部はどうするんだ?」
「社学か文学ですかね。他に興味あるのありませんし」
「二宮のいる法学部とかは?」
「おれに法学部は無理っすよ……」
法学部はやたら偏差値高い。文系科目だけならともかくセンターの数学がある時点でおれは選択肢から外した。
「おおいそこ二人!なーに真面目な話してんだよ!」
諏訪さん?もう酔い始めてるんすか?早いよさすがに。最後は堤さんが肩かしながら連れて帰るビジョンがすでに見えてるよ。
「サッサン、焼きそばとってー」
「槍バカ、そこのから揚げとってくれ」
「おおちょい待ち」
「太刀川、お前は対して強くないくせに飲み過ぎるな。後でどうなっても知らんぞ」
「比企谷、焼肉をとれ。あとジンジャエール」
「あの、おれウエイターじゃないんすけど……いやすいません」
「あ、東さん。イカ刺しどうですか?」
「お、佐々木気がきくな」
そんなこんなで祝賀会は行われてった。そしてそれを素直に楽しいと思えるようになったおれは、やはり東さんの言う通り変わったのかもしれない。
*
気づけば夜になっていた。あれだけあった料理も食い尽くされ、飲み物もほとんどなくなってる。まさに宴の後だ。
諏訪さんは予想通り酔い潰れて堤さんに連れて帰られた。太刀川さんも半分潰れてて風間さんと二宮さんに連れて帰られた。多分後でお説教プラス報復があるんだろうな。まぁ自業自得だ。
現在は後片付け中。おれと佐々木さんは皿洗い。東さんと3バカはゴミ処理。
「いやー今日は楽しかったよ。ありがとうね比企谷くん」
「いや、おれは特になにもしてないっすよ」
「こういうのは来てくれるだけでもありがたいものなんだよ」
「……そういうもんですかね」
「そういうもんだよ」
佐々木さんはすごく上機嫌だ。今も鼻歌歌いながら皿洗いしてるし。
「佐々木さんは、こういうの好きなんすか?」
「ん?こういうのって?」
「その、こうやってみんなでワイワイやってるのとか」
この人は基本おとなしいからあまりそういうイメージがない。だからちょっと意外だったのだ。
「まぁ、みんなでいることは好きかな。僕、基本家だと一人だし。一緒にいてくれるだけで僕にとってはすごく嬉しい。こうやってみんなでワイワイやってるのもすごく楽しい。だから、好きなんじゃないかな?」
「なんで疑問系なんすか?」
「あはは、なんでだろうね」
「サッサン!片付け終わったよ!」
「お、ありがとう緑川くん」
「なぁサッサン、今日泊まっていっていいか?」
お前らまだ遊ぶ気か。体力モンスターかよ。
「いいけど、着替えとかはどうするの?」
「一旦とりに帰りますよ」
なら普通に帰れよ……。
「じゃあ佐々木、おれはそろそろ帰るよ」
「あ、東さん。今日はありがとうございました!」
「いや、おれも楽しかった。じゃあまたなお前ら」
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
そうして東さんは帰っていった。
「比企谷くんはどうする?」
「おれは帰りますよ。明日は防衛任務もありますしね」
「そっか。じゃあまた明日ね」
「あれ、比企谷は泊まんないのか?」
「疲れた」
「八幡先輩体力ないなー」
やかましい。逆にあんだけ騒いでたお前らがなんでまだ動けるんだよ。
「んじゃ帰ります。また明日」
「うんまた明日ね」
「じゃあなー比企谷!」
「またランク戦やろーぜ!」
「またね八幡先輩!」
そういって佐々木さんちを後にした。
もともとボーダーは金稼ぎのために入ったが、ここでの生活は思いの外充実している。少なくともおれが今まで過ごしてきた時の中では一番充実しているだろう。これからも続くといい。
空には、星が見えた。
***
現在のA級部隊ランク
1位太刀川隊
2位冬島隊
3位風間隊
4位草壁隊
5位嵐山隊
6位二宮隊
7位加古隊
8位三輪隊
9位比企谷隊
初登場続き
出水公平
弾バカ。3バカの中で一番成績がいい。好きなものがエビフライとコロッケという揚げ物系ばかりだから烏丸同様トンカツも好きなのだろうと作者は勝手に予想してる。八幡同様シューターでありバイパーの弾道をリアルタイムで引ける数少ない人間の一人。そして八幡同様面倒になったらとりあえず爆撃という豪快な一面ももつ。キャッチコピーは「千発百中」。葦原先生曰く、私服がたまに残念らしい。
米屋陽介
槍バカ。恐らく高校生組の中で最も成績が悪い。由比ヶ浜とどっちがアホか比べてみたくなる。でも最低限の常識はあるから多分由比ヶ浜よりマシ。将来的に第二の太刀川さんになる可能性があるのでそのことを三輪や奈良坂は危惧している。戦闘狂で八幡であれ、琲世であれ見つけたらソロランク戦をやろうと誘う。恐らくこいつの頭の中はバトルのことしかない。
緑川駿
迅バカ。3バカの中で最年少。ボーダーに入った理由が迅に助けられたからという理由らしい。筋金入りの迅さんファン。いずれストーカーになる可能性が危惧される。若さ故か修に嫉妬したり覚えたての技を見せびらかそうとしたりと原作に登場して間も無い頃は雪ノ下ばりのかませ感があったが、大規模侵攻において役立つことが証明された。14歳でありながらA級隊員という天才型。昔は黒江と共に野生児だったらしい。
今回はただボーダーメンバーがワイワイするのを書きたかっただけです。