目が腐ったボーダー隊員 ー改稿版ー   作:職業病

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今回初登場の人物

那須玲
八幡の弟子で攻撃方法が派手な多分頭のいい弾バカ。八幡がランク戦してるとこを見て弟子入りに志願。八幡の性格上渋られていたが二宮師匠の「受けてやれよ」の一言により弟子入りを果たした。原作通り病弱だがランク戦の時は八幡の影響か原作以上にいろんなとこを蝶のように飛び回り、鳥籠で相手をなぶるというなかなかサディスティックな戦い方をするようになってしまい、加えて美形であることよりファンが増加したが那須さん本人は気づいてない。八幡のフラグ乱立スキルの被害者だが無自覚の可能性がある。No.2ヒロイン。

熊谷友子
女子高生でありながら日本刀を携える剛の者。迅からのセクハラ被害者No.2。そのはらいせに時々健康的ないいパンチに八幡が犠牲になる。そろそろ本気で起訴しようかとかそんな物騒なことを考えているらしいが、No.1被害者の沢村さんが起訴してないからギリギリ踏み止まっている。でもそのうち本気で起訴する気ではいるとか。時々琲世に孤月の手ほどきをうけてるらしい。

日浦茜
泣き方が特徴的な小町の親友。八幡は一度ガチ泣きしてるとこを見て以来「こいつは泣かせたらおれの社会的地位が終わる」と謎の危機感を抱かせた伝説の持ち主。猫好きだがその愛で方は雪ノ下のようにガチ過ぎるものではなく微笑ましい愛で方をする。帽子集めとかいうよくわからない趣味をもち、なおかつ指ぬきグローブ装備だし泣き方もアレというどこかズレてる女子中学生。

志岐小夜子
引きこもり。なぜくまがこいつをスカウトしたのか、というか引きこもりの志岐をどうやって発見したのか作者は未だに疑問を持っている。塩昆布と水だけで生活してるらしいが実際そんなことしたら栄養失調で死ぬと思われる、多分。琲世の作った手作り塩昆布及び「佐々木メシ」が好物であり琲世を尊敬しているが、実は琲世と面と向かって話したことはない。塩昆布及び「佐々木メシ」はくまを通して渡されてる。八幡は同じ引きこもりの雰囲気がするという謎の理由で面と向かって話せる。


4話 意外にも、彼はちゃんと師匠している。

チャイムが鳴り響き、教師が例のごとく授業終了の挨拶をし、その日の授業が全て終了する。机に広げられたノートとペンをしまい、帰り仕度をとっとと済ませる。今日は本来非番だが作戦室でダラダラしながら勉強でもするかなと考えているところで平塚先生が入ってくる。

ホームルームを適当に聞き流し帰りの挨拶が終わり次第足早に教室を出て行こうとしたとこで平塚先生に呼び止められる。

 

「どこにいくのかね比企谷。君はもう奉仕部の部員なのだから当然部室に向かうのだろう?」

 

「え、なに言ってんですか?誰も入るなんて一言も言ってませんよ。しかもあんな性悪女が部長の部活なんて嫌です。それにおれがあの部活で得ることはデメリットしかないのではいりません。」

 

「そうはいかないな。君の人格矯正のために奉仕部への入部は決定事項だ。それに君は昨日なんでも相手の言うことを聞かせる、というとこに反応していたではないか。」

 

「あれはあのアホみたいにプライドの高い雪ノ下に超くだらない一発芸とかやらせたら楽しそうだと思っただけです。そんなことよりおれの給料の方が大事なんで」

 

「私は君の心配をしていっているのだ。君の人格は社会にでて困るレベルだぞ?」

 

「余計なお世話です。別にボーダーでは特別不自由はしていないので問題ありません。最悪、ボーダーで一生食ってくことだってできるのですから。」

 

そうだ、別にボーダーでもそこらへんの社畜よりまともな給料がおれは貰えている。だから別に心配される筋合いはない。生活できればなんでもいいのだから。

 

「私は君の将来が心配でたまらいよ…」

 

「先生はおれより自分の心配した方がいいのでは?主に婚活的な意味で。」

 

呼び止められ、少しイラついていたのか盛大に嫌味を込めて言ってしまった。だがここでおれの本能がすぐに逃げろと警告している。そう、おれのサイトエフェクトがそう言ってる。迅さんのセリフ丸パクリだな。

ギギギ、と錆び付いた機械みたいに振り返ると

そこには般若がいた。

 

はちまん は にげだした!

しかし えりくび を つかまれて しまった!

 

「歯ぁ食い縛れ…」

 

あ、やばい

 

「衝撃のファーストブリットォ!」

 

凄まじい衝撃と共におれの意識は暗転した。ここで嘔吐しなかったおれを誰か褒めて欲しいくらいだ。

 

 

床に叩きつけられる衝撃で意識が戻る。そこは氷の女王がいる奉仕部の部室だった。

どうやらおれはファーストブリットをくらったあと気絶し、そのまま部室へ拉致されたらしい。

 

「あら、比企谷くん。起きたのね。もう二度と起きなくてよかったのだけれど。」

 

「そうだな、おれも意識が戻ってすぐにお前みたいな性悪女に会いたくなかった。」

 

いきなり罵倒してくるとは、おれよりこいつの人格矯正した方がいいんじゃないの?

さっきの衝撃は恐らく平塚先生がおれを床に投げた時のものだろう。生徒を床に投げ捨てるとはとんだ暴力教師だ。

しかしここまでつれてこられてしまった手前、帰るわけにもいかない。ここで帰ったら恐らく明日三倍返しにされる。次に平塚先生に会う時は場合によってはトリオン体で行くことも検討する必要があるかもしれない。

 

「来るとは思わなかったわ。もしかしてマゾなの?」

 

こいつ現状みてた?おれは好きでここに来たわけではないのだが…

 

「違う」

 

「じゃあストーカー?」

 

「なんでおれがお前に好意を抱いてる前提で話進めんだよ…」

 

「違うの?」

 

「ちげーよ。その自身過剰ぶりにはさすがのおれもドン引きだぞ。もしかしてお前バカなの?」

 

「あなたにバカと言われる筋合いはないわ」

 

いや、おれがここに来た現状と今までの態度を見てもこいつに好意を抱いてる要素は一欠片もない。その状況でおれが好意を抱いてる前提で話を進めるこいつをバカだと思わないやつはいない。というかこんな女こちらから願い下げだ。ボーダーの女性陣の方が明らかにいい人達だし。

 

「お前、友達いんの?」

 

「…そうね、まずどこからどこまでが友達なのか定義してもらえるかしら?」

 

「それは友達いないやつのセリフだ。ソースはおれ。お前人から好かれそうなくせにぼっちとか、おれのこと孤独で憐れむべきやつとか言う前にお前も孤独じゃねぇか」

 

「あなたほどの孤独体質ではないわ」

 

残念だったな、おれは友達いるし。学校にはいないがボーダーには少ないながらいる。

 

「あなたにはわからないでしょうけど、私ってむかしから可愛かったから近づいてくる男子は大抵好意を抱いていたわ」

 

「むしろ自分の意思でかたっぱしから男子を落としていくほうがよっぽど問題だと思うけどな」

 

「そうね、その通りだわ。でも、本当に誰からも好かれるならそれも良かったのだけれどね」

 

「あ?」

 

「小学校のころ、60回ほど上履きを隠されたのだけれど、うち50回は女子によるものだったわ」

 

「どーでもいいことやけに鮮明に覚えてんな…」

 

なんで回数まで覚えてんだよ…どんだけ根に持ってんだよ…。

というかそのうちの10回の男子は何が目的だったんだ。アレか?好きな女子いじめちゃうアレか?

 

「おかげで私は毎日上履きとリコーダーを持って帰るはめになったわ」

 

「大変だったのな」

 

ぶっちゃけどうでもいい。

 

「ええそうよ、私可愛いから。…でもそれも仕方ないことなのかもしれない。人は皆完璧ではないから。弱くて醜くて、すぐ嫉妬し蹴落とそうとする。不思議なことに優秀な人間ほど生きづらいのよ。そんなのおかしいじゃない。

 

だから変えるのよ。人ごとこの世界を」

 

凛とした言葉からは決意の表れがみてとれた。普通ならこの言葉に尊敬やら畏敬やらの感情を抱くだろう。

が、おれは尊敬とは全く逆の感情が頭に渦巻いていた。

 

「変える、ねぇ…」

 

あまりに滑稽だったからか、口にするつもりは全くなかったのだが口に出てしまった。やっちまったと言ってから思ったがもう遅い。おれのサイドエフェクトがそういっている…

 

「なにか?」

 

冷凍ビーム並みの冷気を放つ視線をダイレクトに受ける。

怖い怖い…。そんな睨むなよ、結構ガチで怖いから…

 

「いや、別に…」

 

あ、ダメだこれ。完全に火つけちまった。

 

「なにか言いたいことがあるなら言って構わないわよ?身の安全は保障しないけど」

 

さりげなく死刑宣告されたよ?なにするつもり?トリガーオンしちゃうよ?

 

「じゃあ…。いや、変えるつったってさ人間一人でなにができんだ?

さっきの口調と友達がいないお前の現状から考えて、その世界改革はお前一人でやるってことなんだろ?人間一人の力なんてたかが知れてる。お前がどんなに優秀であっても一人では世界は変えられないぞ。

この世で最も愚かで強い力は『数』の力だからな」

 

「私ならできるわよ」

 

「どうやって?世界うんぬんどころかおれにはお前が人助けをすることすらできないと思うがな」

 

「…どういう意味かしら?」

 

「言葉通りだ。お前ができることなんてたかが知れてるって話だ。少なくとも今のお前には何もできない。おれはそう思っただけ」

 

雪ノ下の視線がさっきの5倍くらい鋭くなる。

ふぇぇ、凍傷になっちゃうよぉ…

 

「なら、あなたには世界が変えられるの?」

 

「そもそもおれは世界を変えるなんていうご大層なこと考えない。自分と自分の周囲のことだけで手一杯だ。人助けに関しても、まぁ内容とかその相手にもよるが興味ないね」

 

「人助けにおいて相手を選ぶなんて人として最低だと思うのだけれど?」

 

「じゃあお前は誰彼構わず助けんのかよ。さっき世界を変えると言ったが、助ける相手も選ばないと世界は変わんないとおれは思うが?」

 

そこまで言うとマジで人を殺すような視線でおれを見てくる。いや、だってそっちが言いたいこと言えつったんじゃん…

そのまま部室の空気の最悪さとイライラに耐えかねたのか、部活は直ぐに終わった。正直嬉しい。

このまま本部に直行しようかと思ったところで自販機が目につく。ちょうど喉乾いたし飲み物でも買っていこうと自販機に近寄る。

買うものなんて一択だ。マイソウルドリンク、マッカンだ。

マッカンを買い、そのままカンを開き口に流し込む。うむ、この甘さはもはや芸術だ。芸術は爆発ではない。芸術はマッカンだ!

 

「おや、比企谷じゃないか」

 

ついさっきおれの鳩尾に鉄拳を突き刺した張本人がいた。どうやら平塚先生も飲み物を買いに来たらしい。平塚先生は紅茶を購入した。

 

「雪ノ下が部活を早く切り上げたのだが、なにかあったのか?」

 

「ええ、まぁ」

 

「…。あえて聞かないでおこう」

 

聞かれちゃマズイものはなにもないけどな。まぁ話すのも面倒だしいいか。

 

「僅かな時間、雪ノ下と会話して君は雪ノ下をどう思った?」

 

「はぁ、嫌な奴かと」

 

すぐ人のこと罵倒するし

 

「…それ以外にはなにかないのかね…」

 

「そうですね…。愚直で正しい。だけど現実をよくわかってない箱入り娘かと」

 

「箱入り娘?彼女はかなり現実主義のように見えるが」

 

「全然違いますよ?だってたった一人で世界を変えるとかほざいてるやつが現実をよくわかっているとは思わないでしょ?それにそもそもあいつに人助けはできないと思いますよ」

 

「どういうことかね?」

 

「いずれわかると思いますよ。まぁおれは自発的にあそこに行く気はありませんけどね。というかおれよりあいつの性格直した方がいいっすよ」

 

「全く君は…。しかし、そうか。君は彼女をそう見たか。本当はとても優しい子だ。優しくて往々にして正しい。ただ世界が優しくなくて正しくないから、さぞ生きづらいだろうな」

 

「おれから言わせりゃ世の中はこのマッカンみたいに甘くないだけっすよ。現実は思い通りにならない。そんなことも許容できないただの我儘娘ですよあいつは。世の中正けりゃいいってもんでもないでしょう。それすらわからないなら人助けだってままならないと思います」

 

「…随分辛辣な事をいうが、そういうものなのかもしれないな」

 

「じゃ、おれは本部行くんで。それとあの部活にはもう行きません。面倒なんで」

 

「そういうわけにはいかないがな。私はなんとしても君をあの部活にいれるぞ」

 

「精々がんばってくださいー」

 

気だるげに返しそのままその場を後にした。

残された平塚先生はどんな顔をしていたのだろう。

 

 

本部につき作戦室へと向かう。

 

「あ、比企谷くん」

 

「ん、おお那須か」

 

那須玲。那須隊隊長だ。結構美形でボーダーにも隠れファンが多い。ちなみにおれの弟子。

 

「よ、防衛任務上がりか?」

 

「うん、それでさっき報告書だして来たの。あ、そうだ比企谷くんこれから時間ある?」

 

「時間?まぁある。今日非番だし」

 

「ほんと?じゃあちょっとお願いがあるんだけど」

 

お願い?なんだ?バイパーの指導とかか?

 

「昨日のランク戦で負けちゃったからその反省会をこれからするの。それでそこに比企谷くんも同席してくれないかなって」

 

あ、なるほどそういうことか。

 

「まぁそれくらいならいいぞ。あ、でも荷物だけ置かせてくれ」

 

「うん、じゃあ先行ってるね」

 

「おお」

 

 

那須隊作戦室に入ると、すでに全員いて反省会の準備は整ってるようだった。

 

「お、比企谷じゃん。玲から話は聞いてるよ。いろいろ悪いね」

 

「いや構わん。どうせ今日暇だし」

 

熊谷友子。那須隊アタッカー。ソロポイントはそんな高くないがガードとしての腕はかなりのもの。

 

「あ、比企谷先輩!こんにちは!」

 

「日浦か、よう」

 

日浦茜。小町の親友でありうちにもちょくちょく来てる。おれ以上にカマクラに懐かれてる。解せぬ、飼い主なのに。

 

「あ、どうも比企谷先輩」

 

「よう志岐」

 

志岐小夜子。引きこもり。年上男性が本気で苦手だがおれはなんか同じ引きこもりの雰囲気がするという理不尽な理由で普通に話せる。おかしい、おれそんな引きこもりっぽいかな……。

 

「みんな揃ったね。じゃあもう一回ムービー見よっか。比企谷くんは見てないだろうしね」

 

「まぁ見なきゃ始まんないか」

 

そういって全員でパソコンの画面を見る。しかし全員女子だからなんとなく居心地悪いな……。

 

 

最後に鋼さんに那須が落とされて終わった。

 

「まぁこんな感じ」

 

ふむ、言うべき点はそこそこあるかもな。

 

「やっぱり鋼さん強いよねー。入ってそんなにたってないのにランキングもう上位だよ。サイドエフェクトの効果もあるだろうけどさ」

 

「荒船さんも鋼さんにやられてるしね」

 

「じゃあせっかく来てもらったんだし、比企谷先輩になにかお言葉を頂きましょう!」

 

日浦、ハイテンションで話振らないで。

 

「まぁそうだな。まず言うべきことはやり方が悪い、かな」

 

「やり方…?」

 

「そ、やり方。今回、相手は荒船隊と鈴鳴第一。荒船隊はアタッカー1人スナイパー2人。鈴鳴第一はアタッカー1人ガンナー1人スナイパー1人の編成だ。そしてその相手の二つの隊の共通点はエースがアタッカーであることだ。熊谷、お前孤月のポイントいくつだ?」

 

「え?6700くらい」

 

「だろ?だが荒船さんに鋼さん、どっちもマスターかその近くとってんだ。ポイントだけみたら明らかに分が悪い。今回のお前らのやり方は熊谷が前衛でエースを抑え日浦がそれを援護。そんで那須が点を他でとるといったとこだろ。別に悪手ってわけじゃないけど本来のやり方でやった方がお前らはいいぞ」

 

こいつらの本来のやり方は熊谷がガード、那須が攻撃、日浦が援護といった感じだ。新しいやり方を試すというにしてもこの相手にこの戦法はあまりいい手とは言えない。

 

「んーやっぱりそうなのかな」

 

「まぁ新しいやり方を試すにしても相手を選んだ方がいい。んで次にこの場面だが…

 

ーー

 

といったところか」

 

気づけば30分くらい喋ってた。別にダメ出しばっかしてたわけではない。いいとこは褒めるべきだし。

 

「やっぱ改善点はまだまだあるようねー」

 

「そうですねー」

 

「まぁあとは個々の能力を伸ばすことだな」

 

ぶっちゃけ地力がないとどんなに連携しても勝てないし。

 

「個々の能力、か。どうすればいい?」

 

「ん、ああ。那須なら、メテオラとか使ってみたらどうだ?」

 

「メテオラ?」

 

「そう。メテオラは爆撃だけでなくて目くらましにも使える。加えて地形条件を変えることも可能だから、まぁ慣れがいるけど結構使い勝手いいぞ」

 

「そっか、メテオラか。じゃあ比企谷くん練習付き合ってね」

 

「構わん」

 

「比企谷、あたしはどうするべき?」

 

「熊谷はもっとソロランク戦やれ。ガードに回るのもいいがせっかくアタッカーなんだし攻撃もできるようになればいいんじゃね?」

 

「そっか、じゃあやって見ようかな」

 

「比企谷先輩!私は⁈」

 

「スナイパーは知らん。奈良坂に聞け」

 

「えー!私だけ扱いわるいですー!」

 

いやだって本当にスナイパーはわかんないもん。うちスナイパーいないし。

 

「じゃあ比企谷くん、今からできる?」

 

「ん、ああ。いいぞ、ブース行くか」

 

そしてそのままランク戦しながらメテオラの指導をした。

 

 

目的は指導のため、本数は少ないがそれなりに時間をくった。気づけば6時過ぎになってる。そろそろ帰らなければならない。マイエンジェルの小町に飯つくらねば。とりあえずブースを出る。

 

「まぁ今日はこんなもんだ」

 

「うん、大体分かってきたわ。ありがとう」

 

「大事なのは使い所だ。そこは間違えんなよ。ただ爆撃してりゃいいってもんでもねぇから」

 

「うん、わかってる」

 

「じゃーおれはそろそろ帰るわ。メシつくんねーと」

 

そういって歩き出すと

 

「比企谷くん」

 

「ん?」

 

「ありがとうね」

 

そう言って笑う那須。やっぱ美形だなーこいつ。綾辻派と那須派で分かれるのも分かる気がする。そして周囲からの嫉妬の視線が痛い。胃が溶ける。

 

「じゃ、じゃあおれ帰るわ。またな」

 

「うん、またね」

 

若干きょどったのは許してくれ。というかボーダーって美人の人しか女子いないな。

 

***

 

おまけ

 

比企谷と那須が練習のために去った後の那須隊作戦室にて。

 

「那須先輩と比企谷先輩ってどうなんですかねー」

 

日浦の言葉に疑問符を浮かべる熊谷。

 

「どうって?」

 

「いやーあの二人付き合ってるのかなーって」

 

「いやそれはないでしょうさすがに」

 

「ただの師弟関係って感じがしますけどねー」

 

「でも那須先輩、比企谷先輩といる時すごい楽しそうじゃないですかー。男の人といてあんな顔してるの比企谷先輩だけですよ」

 

「んーそうだけど、玲が比企谷と付き合ってるってなんか想像つかないなー」

 

「え、なんでですか?」

 

「ほら茜、比企谷先輩には綾辻さんがいるから」

 

「あー……(察し)」

 

「でもそこそこお似合いだと思うけどね、あの二人」

 

「やっぱそうですよね!」

 

「仲はいいですからねー」

 

「というか玲は比企谷のこと好きなのかな?」

 

「好きなんじゃないですか?無自覚の可能性ありますけど」

 

「アレですか!知らぬ間に恋に落ちてるっていう!」

 

「どこのドラマよ」

 

そんな他愛ないガールズトークをしている那須隊だが、この会話は意外にも的を得ていたりするのだった。

 

そのころ那須は

 

「あーあ、もう少し一緒にいたかったなー…」

 

完全に恋する乙女になっていた。

 

 

 

 

やはり彼のフラグ乱立スキルは本物だった。

 




この頃まだ荒船さんアタッカーなんですよね。しかもまだ鋼さんに抜かされてないという。一話の設定にあったサッサンのランキングの話はワールドトリガー原作開始時点でそうなるという風に解釈して下さい。ではまた次回。

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