「なんで生きているのよ!!!」
アサレアは絶叫を上げる。
「貴方は私が殺した。首を折った。霊圧も消えた。
なのになんで。
しかも貴方なんでヴァストローデの霊圧をしているのよ!!!貴方はギリアンのはずでしょ!」
アサレアは俺の事をギリアンだと思っているのには訳がある。
単純に俺は自身の霊圧を零まで消せるだけだ。
その過程で徐々に減っていくようにする事も出来るし、元から少なめにしておく事もできる。
これで勝手に相手は俺をギリアン級だと誤解してくれる。
網による霊力の吸引や粘着性だが、どこまでいってもあれは物理ではなく鬼道に分類される。
ならば躱す事は簡単だ。
身体にアサレアの霊力より強い力で身体を覆えばいい。
そして俺の力で霊圧を零にする。因みにこの零というのは量ではない。気配だ。
だから一見霊圧が零に見えるが実際霊力による重装備をしているという事だ。
繭に閉じ込められた時俺は出る事が出来た。
が、繭になったときアサレアはどうやって俺の生死を確認するのか疑問があった。
霊力の気配を消す能力を持つのは俺しかいないが、霊圧を消す能力は俺以外にも持っているはずだ。
だから繭の中にいる俺を確認する必要があると踏んだのだった。
だが、まさか繭を自分で開いて確認するとは思わなかったが。
驚いたがここで出ても更なる手があるかもしれないため、ここは一芝居させてもらった。
首の骨を折られるとは思わなかったが…
後は後ろを向いた瞬間右手の口で腹を骨ごと一口で食べた。
人間の腕の長さより長く伸ばせるのがなかなかにいい。
それをわざわざ説明する必要も無いしな。
アサレアは疑問を呟き続けている。
そろそろ腹も減ったし食べるか…
ザッ
「ヒッ!」
アサレアは恐怖した。
ザッ
「待って!お願い、助けて」
アサレアはこの後の自分を幻視した。
ザッ
「止まって!こっちに来ないで!」
弱者と強者が並んだ時に起こる一つの事。
ザッ
「藍染様に叱られるわよ!」
ピタッ
俺は足を止めた。
だが、これは情ではない。
もう近づく必要がないからだ。
「これからは仲良くしましょう。
藍染様には最初に私が言った能力の確認で出ていたことにして帰りましょうよ。」
どっちにしろもう生きていられないのだ。
それなら俺の中で有効活用出来ればいいだろう。
「何かいいなさいよ」
「…イ……マス…」
「はぁ?もう少し大きな声でいいなさ、
バクンッ!!!
そこには1人の破面がいる。
血の跡はあるものの、血を出したものがおらず、1人の破面が血を出したわけでもない。
そこにはもう一人破面がいた。
言葉を聞き返すという何の変哲もない言葉が最後の言葉だった。
その破面は跡形も残っていない。
その破面が聞き逃したのはこれまた何の変哲もない日常会話でも使われる言葉だった。
「イタダキマス」
そして残った1人の破面が一言呟いた。
「ご馳走さま」