憑依の軌跡:新起動《ジェネシス》   作:雪風冬人 弐式

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 お久しぶりです。
 閃Ⅲもクリアし、閃Ⅳが待ち遠しくなってようやく火が着きました。
 前半は以前書いたものを修正したものになります。



プロローグⅡ「決められた運命」

『ザクロ!』『フルーツバスケット!』

 

「…変身」

 

『ハッ!ブラッドザクロ・アームズ!極・アームズ!狂い咲きサクリファイス!大・大・大将軍!』

 

「これこそが、真の救世主の姿だ。私がこの世界を正す救い手であるセイヴァーだ!!」

 

 どこかの遺跡の中。地面に刻まれた文様が怪しく発光する中、その中心に立つ異形、セイヴァーが両腕を広げながら自分に酔い痴れるかのように宣言する。

 

「いいや、違うな。お前は救世主じゃない」

「ほう、まだ生きていたのか。私は、〈禁断の果実〉の真の力を求めぬ者共に興味はない。せっかく見逃した命だ。ここで終わらせる気か?」

 

 そこにボロボロでありながらも、互いに支え合い何とか力強く立ちはだかる五人の姿があった。

 彼等彼女等は、息も絶え絶えながらも言葉を紡ぐ。

 

「この世界に、救いは必要ないさ。誰もが皆、与えられた幸福だけの世界では生きていけない」

「そうよ。苦しみがあるからこそ、幸せの価値を知り、それを求めるからこそ人は、生きている幸福を実感できるのですわ!」

「だから私達は、一人で背負うんじゃない。一緒に背負う道を選んだんだ!」

 

 だが、そんな懸命の訴えも異形は吐き捨てるように頭を振りかぶる。

 

「下らん。誰も私の邪魔はさせん!私の手でしか出来ない!この私が、世界を救うのだ!!」

 

 鮮血のような真紅に染まったオレンジの断面を模した刀身の刀を構え、セイヴァーは五人に斬り掛かる。

 

「柄じゃないけど、この世界を壊されるわけにはいかないな」

「私もまだ、追い求める美があるのでね。抵抗させてもらうよ」

「私をさんざんコケにしてくれた礼は、倍返しにしてさしあげますわ」

「私は、ただ貴方に付いて行きますわ。愛、故に」

「ここからが、俺達のステージだ!いくぞ皆!!」

 

「「「「応ッ!!」」」」

 

 セイヴァーが振るう剣を、満身創痍である筈なのに不敵な笑みを浮かべながら五人はそれぞれベルトを巻く。

 

 

『カチドキ!』『リンゴ!』『JOKER!』『A LUPAN!』『シャチ!ウナギ!タコ!』

 

「「「「変身!!」」」」

 

『カチドキ・アームズ!いざ出陣!エイエイ・オー!!』『リンゴ・アームズ!desire forbidden fruit!!』『JOKER!!』『チューン!A LUPAN!』『シャッシャッシャウタ!シャッシャッシャウタ!』

 

 五人はセイヴァーと似た姿へと変身すると、各々の武器を手にセイヴァーが行う儀式を止めるために動き出す。

 

「無駄だ」

 

 しかし、セイヴァーが一言発して右手をかざすと、遺跡の床や壁、天井の隙間から蔦状の植物が生えて鞭のように五人に攻撃を加え、遂には拘束してしまう。

 

「所詮はその程度か。一時でも、お前達に世界の救済を協力してもらおうとした、私が愚かだったよ」

「ふん。ようやく、自分がお馬鹿さんだと気づいたんですの?」

「それにまだ、戦いは終わっちゃいないさ」

「その通です!」

 

———BUOOOOOOOOOOOOOOOONNN!!

 

 五人が入ってきた遺跡の入口から、黒い車体に空色の流れる線が走る一台の車が重厚なエンジン音を響かせながら乱入してきた。

 

「お前は!?」

 

『タイヤフエール!!』

 

「オールタイヤアタック…です!」

 

 セイヴァーが驚愕している隙に黒い車から飛び出した無数のタイヤが植物を引きちぎり、五人を拘束から解放する。

 

「何故だ!《運命の巫女》、何故お前が生きている!?」

「センパイ達のおかげですよ。もう私は、考えるの止めてフルスロットルで走り抜く!《クラウ=ソラス》!!」

 

『OK!Start our misson!!』

 

 少女の背後に出現した案山子のような宙に浮く漆黒の傀儡が、ベルトとミニカーへと姿を変化させる。

 

「変身!!」

 

『ドライブ!タイプ・ネクスト!!』

 

 車に乗って乱入してきた銀髪の少女も変身すると、五人の列の加わる。

 

「お待たせしました、センパイ。皆で、未来を掴みましょう!」

「ああ。ミックスジュースにしてやるぜ!」

 

『ロック・オン!カチドキ・チャージ!!』『リンゴ・オーレ!!』『JOKER!Maximum Drive!!』『A LUPAN!Full Break!!』『スキャニングチャージ!!』『ヒッサーツ!フルスロットル・ネクスト!!』

 

「来るなら来い。全て、打ち砕いてやろう!」

 

『ブラッドザクロ・スカッシュ!極・スカッシュ!』

 

 かくして、世界の危機に立ち向かう六人の仮面の戦士の戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 そして、世界には平穏が訪れた———

 

 

 

 

 

 

 

 ———筈だった。

 

 

「フフ。因果なものだな。嘗てお前達が世界を救った場所で、もう一度世界の為に戦う事になるとはな」

 

 一人の人影があり、その傍らには大破した人型のロボットのような鉄クズが転がっていた。

 

【何を言ってやがる。負け惜しみか?】

【気を抜くな、小僧。本命が来るぞ】

【その通りです。彼にはまだ、アレが残っている】

 

 その人影を取り囲むように、蒼、紫、銀の三つの騎士のような巨影があった。

 

「よく分かっているじゃないか」

 

 ユラリ、と立ち上がったその男は、ソレを起動した。

 

『UTOPIA!』

 

【な、にぃッ!?】

 

 電子音が鳴ると同時に、三つの巨影は上から押さえつけられたように地に伏せってしまう。

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!』

 

【グウ!ここまでとは!?】

 

 さらに足元や関節の部分が凍てつき、動きを阻害される。

 

『3・2・1!!』

 

「しばらく、退場してもらおう」

 

【ワープドライブのゲート!?迂闊ッ!!】

 

 動きが取れない三つの巨影の足元に光り輝く穴が出来ると、その巨体を呑み込んで遺跡の中から退場させた。

 

「さあ、始めようか」

 

『エクリプス・ナウ』

 

 遺跡の外だけでなく、世界各地において太陽が黒く染まり暗雲が空を覆う。

 

「おっと、ギャラリーの皆さんには静粛にしてもらわないとな」

 

『ゴールデン・アームズ!黄金の果実!』

 

 地面や壁の隙間から生えてきた、機械で出来た蔦が男の隙を伺っていた者達を拘束する。

 

「クソッ!ここまで複数のアーティファクトを扱えるとは!!」

「残念だが、まだまだあるぞ?」

 

『ブレイク・アップ!』

 

 男が銃口がついた手甲のような銀色の武器を取り出して鉄クズに向けると、新たな鎧が召喚されて鉄クズを取り込んで実体化する。

 

「儀式を始めるまで、少し時間がある。その間、余興とでもいこうか」

 

 男が指示を出すと、実体化した鎧が拘束した少年少女達に向かって歩き出した。

 

「そうはさせぬわ!」

「貴女が一番、ハチャメチャじゃないですの!!」

「…私はもう慣れた」

「皆さん、お待たせしました!」

「主役は遅れて登場するってね!」

 

 誰もが己の無力さに嘆いたその時、天井が崩れて五つの人影が降り立つと同時に鎧を粉砕した。

 

「ふむ、ようやく来たか。これで、審判の刻を始めれる」

 

『カイガン!』『仮面ライダークロニクル!』

 

 まるで五人が登場することを待ち望んでいたかのように、男は嗤うと懐から巨大な銅色の目玉のようなベルトとゲームカセットのようなユニットを取り出す。

 

———BUNG!

 

 そこに一発の銃声が響き、男の手からゲームカセット型のユニットを弾く。

 

———BUNG!BUNG!BUNG!BUNG!

 

 次いで、何発もユニットに当てることで狙撃手の手元にそのユニットが届いた。

 

「申し訳ありませんお義父様。私も参加させてもらいますわ」

「まさか、〈指し手〉たる君が自ら出てくるとはな」

「お言葉ですが、〈指し手〉である前に私も女です。惚れた殿方の助けになりたい、と願うのは当然でしょう?」

 

 どこか容姿にそぐわぬ雰囲気を醸し出す少女に対し、男は愉快気に方を揺らす。

 その間、天井から降り立った黒髪の少年の隣にいた、栗色の髪の少女が脛を蹴った。

 

「イタッ!」

「この浮気者」

「……ジー」

「あらあら」

「英雄、色を好むと言うからのう」

 

 半眼になって少年を睨む銀髪の少女、困った顔で微笑む金髪の修道服の少女、したい顔で何度も頷いている長い金髪の少女と、魔道騎銃をもったミント色の髪の少女の言葉に各々が違った反応を見せる。

 

「ああもう!行くぞ皆!!」『カチドキ!』

「全く。しょうがないですわね」『シルバー!』

「詳しい話は、後で聞くから」『シグナルバイク!』

「今度こそ、私も共に戦います」『シャバドゥビタッチヘンシーン!』

「妾はもう、後悔したくない。往くぞ、キバットバットⅡ世!」『喜べ、絶滅タイムだ』

「私達の運命をジャッジするのは、私達です」『『仮面ライダークロニクル!』』

 

「「「「「「変身!!」」」」」」

 

『カチドキ・アームズ!いざ出陣・エイエイオー!!』『シルバー・アームズ!白銀・ニューステージ!!』『ライダー!チェイサー!!』『チェンジ・ナウ!』『ガブリッ!!』『ライダークロニクル!アガッチャ!天を掴め、ライダー!刻め、クロニクル!今こそ時は、極まれり!!』

 

「御伽噺だとか決められた筋書きだとか、関係ない!ここからは、俺達のステージだ!!」

 

 強大な悪へと立ち向かう六人の勇者。

 絶望的な状況で数奇な運命が数多に結び付き、奇跡のような演出が施される現実。

 しかしそれは、既に定められていた物語だとしたら。

 

 始まりはそう、あの人があの《学院》に入学した時だったのだろうか……




 本編はこれからです。
 気長にお待ちください。
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