憑依の軌跡:新起動《ジェネシス》   作:雪風冬人 弐式

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 遅れてしまって大変、申し訳ない。
 リアルが忙しかったんだよ。


第三話「禁断の果実の行方」

「クッ!どうしてこんなことを!?」

「言った筈だ。戦いに理由を求めるなと。どうする?戦わないなら、死ぬぞ」

 

『カチドキ!』『フルーツバスケット!』

 

「……ッ!変身ッ!!」

 

『ロック・オープン!極・アームズ!大・大・大・大・大将軍!!』

 

 迷わず、普段は使わない切り札としている極アームズを身にまとい、その強さを嫌と言う程自分がよく知る目の前の人物の動向に警戒する。

 その人物とは、八葉一刀流といった身に着けた力を振りかざすだけだった、未熟な自分を完膚無きまでに打ちのめして、本当の強さに気付かせて貰った今は亡き恩人にして師匠。

 

「クソッタレ!!」

 

『ブドウ龍砲!ウォーターメロンガトリング!』

 

 遠距離用の武器を召喚し、向かってくるオレンジのような橙色の片刃の日本刀と柄が銃身になっている刀を振るう、オレンジの鎧をまとった紺色の武者に変身した、《剣帝》とも呼ばれた師匠を迎え撃つ。

 

「相手の得意な間合いを取るな。覚えていたようで、嬉しいよ」

「だったら、大人しくやられて下さい、レーヴェ(・・・・)さん!」

 

 なぜ、俺一人だけが死んだ筈の師匠と相見えて戦う事となったのか。時は、酒乱もとい、サラから《Ⅶ組》のオリエンテーリングの説明を受けた時まで遡る。

 

 

 

 

 

 檀上に上がったサラに、自称《Ⅶ組》の一員となる生徒全員の視線が集まる。

 

「さあ、《Ⅶ組》の特別オリエンテーリングを開始するわ」

 

 皆の注目を集める中、パチン、とサラが指を鳴らすと、立っている床が大きく傾き落とし穴へと変わった。

 

「クッ!前のようには!! 」

「ならない!!」

 

 他の面々が反応できずに落ちて行く中、同じような経験をしたフィーはワイヤーを使ってぶら下がり、リィは拳を床に突き刺して体を固定した。

 ちなみに、俺は普通に床板の隙間を掴んで留まっています。

 

「アンタ達、落ちてくれないとオリエンテーリングが始めれないでしょ!」

「嫌だ!あの地獄に可愛い生徒を落とすなんて、アンタは鬼か!?」

「そうよ!パワハラ反対!!」

「…訴訟も辞さない!」

 

 俺だけでなく二人共、あの地獄、《蛇》の執行者並みの魔物っぽいナニカが闊歩していた空間を思い出したのか、必死で抗議する。フィーなんか、無表情でありながら若干涙目になるという器用な芸を披露していた。

 

「何がアンタ達を駆り立ててるのか知らないけど、さっさと落ちなさい!」

 

 フィーにはナイフを投げてワイヤーを切り、俺とリィにはゴム弾を撃ち込んで穴底に落とすサラ。

 

「鬼ぃ!」

「悪魔ぁ!」

「無駄乳寄越せぇ!!」

「フィー!!アンタ、そんなキャラだったぁあ!?」

 

 フィーの捨て台詞にツッコミを入れる、サラの言葉を尻目に俺達は暗闇の中に落ちた。

 やっぱサラ、疫病神じゃね?《紫電(エクレール)》じゃなくて、エクレア呼びは続行だな。

 そんな決意を固めながら、暗闇の中を落下する途中に風圧から一瞬だけ目を閉じた。

 そして、目を開けたら森の中でした。しかも、変な植物が生えているし、空間も極彩色だし、すごくヘルヘイムの森です。

 

「おーい!誰かいないのかぁー!!リィー!フィー!」

 

 辺りを見渡しながら、取り敢えず巻き込まれてそうな御仁の名前も呼びかけてみるが反応がない。それどころか、風も吹いておらず生えている木々や草もどこか張りぼてのように感じる。

 

 

「―――やれやれ、こんな事で君にまた会えるとはね」

 

 不意に、木陰から緑のコートを羽織る灰色の髪の青年が現れた。その妙に見覚えがあり、二度と会える筈のない青年は、懐からオレンジが描かれた錠前を取り出した。

 

「貴方は!?どうして、死んだ筈じゃ……」

「その通りだ。今の私は、君の記憶から再現された偽物だ。だが、悠長に語っている時間は無さそうだ」

 

『オレンジ!』

 

「故に、これより試練を始めよう。変身」

 

『ロック・オン!オレンジ・アームズ!花道・オンステージ!』

 

 オレンジの鎧を纏った紺の鎧武者、アーマードライダー鎧武へと変身した。

 

 そして、話は冒頭の部分へと戻る。

 銃撃によって土煙を蔓延させると、素早く手に持っている武装を破棄して新しい武器を召喚する。

 

『バナナスピアー!』『極・スカッシュ!』

 

 バナナを模した刃先を地面に突き刺して、相手を拘束する技を発動すると息つく暇もなく、また新しい武器を召喚する。

 

『ソニックアロー!』『レモンエナジー!』

 

 腰のホルダーからレモンが描かれた水色のクリアパーツの錠前を取り出して、召喚したソニックアローに装填する。

 

『ロック・オン!』『極・スカッシュ!』

 

「ハアッ!!」

 

『レモンエナジー!』

 

 ベルトのカッティングブレードを一回倒し、ソニックアローの弦を目一杯引き絞ると射線上にレモンやオレンジ、メロンといった果物の断面を模したエネルギーが出現する。

 その中心に一本のエネルギーが凝縮された矢が貫いて、目標を粉砕せんと飛来する。

 

『オレンジ・スカッシュ!』

 

 だが、その策も煙幕の中から響いた電子音声によって、恐らく手にしていた刀で斬り落とされて失敗したことを悟る。

 成功すればいいなぁ、という程度の策であったが、破られたことに若干のショックを受ける。しかし、相手は反省するような時間を与えてくれる筈はない。

 何せ、あの師匠である。

 感に従って、頭上にソニックアローの刀身を掲げて頭部を守る体勢を取る。

 

―――ガキィィンッ!!

 

 一拍置いて、視界が陰ると同時に衝撃が伝わるが何とか押し返す。

 あの場所から、跳躍だけで接近するとか、師匠の化け物っぷりに改めて感服するわ。

 

「流石だね。でも、打ち合うだけでは勝てないぞ」

「だったら、手を抜いて下さい。こちらとら、生きた心地がしないんですよッ!」

 

『イチゴクナイ!マンゴーバニッシャー!ドンカチ!蒼銀杖!マロンボンバー!』

 

 幾合も剣戟を重ねながら、隙を見て極ロックシードを操作してイチゴクナイを放つことで距離を取らせ、ソニックアローから栗のような突起がある攻守一体として使える手甲を装着する。

 

「やるね。で、この後はどうする?」

「こうしますよっ‼」

 

『極・スカッシュ!』

 

 構えた手甲のトゲが発射され、師匠に向かって飛んでいく。

 

「そんなもの、…何ッ!?」

 

 トゲが飛ぶのと同時に、先程降り注いだイチゴクナイも爆発させることで、トゲの軌道が無秩序なものとなった。

 師匠がその対応に、一瞬だけ気を取られた隙にダメ押しとばかりに焼き栗のようなコンパクトな手甲となったクルミボンバーを発射する。

 

「セイ、ハァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」

『極・スカッシュ!』

 

 さらに、虹彩を放つ右足を突き出し、白煙を抜け出して師匠に飛び蹴りを放つ―――

 

「甘いぞ、リィン」

「そうですか?」

 

『ドラゴンフルーツ・エナジー!』

 

 ―――ように見せかけて、実際は再び手に持ったソニックアローから龍を模した必殺の一撃を放つ。

 師匠を離れさせる為に投擲した武器に交えて召喚した蒼銀杖を使って、ライダーキックを放つ幻影を映していたのだった。

 それでも反応できるのが、師匠の化け物足る所だが、咄嗟に切り払った幻影の龍に続いた矢は落とせず腹部を貫いた。

 

「クッ!まさか、幻影だったとはな」

 

 矢が貫通した腹部から、普通の人間ではあり得ない光の粒子を散らしながら、師匠は膝を着いた。

 それに伴い、辺りの空間に揺らぎが生じ始めた。

 

「強くなったな、リィン」

「ッ!?……お手合わせ、ありがとうございました!」

 

 存在が薄れゆく中、発せれた師匠の言葉に感無量となりながらも頭を下げる。

 

「気を付けろ。お前を試す、巨いなる試練は始まったばかりだ。ムンッ!」

 

 片膝を着きながらも師匠が腕を翳すと、何もない空間に注連縄が現れて裂け目を作るとクラックが開く。

 

「これを通れば戻れる。行け、リィン」

「しかし…」

「お前は、まだ生きている。振り返らず、走れ!」

 

 正直、試練とは何か、なぜ師匠が現れたか等々、疑問は尽きないが、惜しみつつもクラックを潜り抜ける。

 視界が一瞬だけ真っ白になって倒れ込むが、直ぐに慣れ親しんだ温もりに体が包まれるのを感じる。

 

「……おかえり、リィン」

 

 我知らず、つい倒れ込んだ先の温もりの背に手を回して抱き着くような形になってしまう。

 だが、相手は一瞬驚いた様子を見せたが、直ぐに柔らかい声が聴こえた。

 

「ああ。ただいま、リィ」

 

 デュバリィの腕の中にいる事に今更ながら気が付くが、暫らくご無沙汰だったこの感触をもう少し味わっていたいという欲望が鎌首をもたげる。

 視界の隅に、何か変な物が映ったのもきっと疲れからくる幻覚だろう。

 

「もう、ゴールしてもいいよね……」

「無理」

 

 即答かいな、と怠ける事を諦めて、これから級友になるであろう少年少女達が対峙している魔獣に目を向ける。

 山羊のような捻じれた二本角に蝙蝠のような羽根、鋭利な牙と四肢の爪、さながら岩石のような体表を持った魔獣。……こいつって、ガーゴイルじゃね?あの暗黒時代製の遺跡とかで、よく出てくる奴だよな。

 

「えっ?何、こいつ。明らかに学生レベルで相手しちゃ不味い魔獣じゃん」

 

 やはり、俺の学院生活は一筋縄ではいかないらしい。

 

「ま、ここは私に任せて」

「そうですわね。偶には、運動をしませんとね」

 

 いつの間にか、学生服の上からバイクのマフラーのようなベルトを巻いたフィーが紫色のバイクの形をしたミニカーを構えて隣にいた。

 

『シグナルバイク!』

『リンゴ!』

 

「「変身!」」

 

『ライダー!チェイサー!』

『desire forbidden fruit!!』

 

 フィーとリィの姿が変わり、古代の遺物、アーティファクトを受け継ぐ戦士、自分とはまた違う仮面ライダーとなって、ガーゴイルに向かって疾走していった。




 続きは、未定!早ければ、来月に投稿できるかも
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