青年の異世界道中~fatezero編~ 作:クロイツヴァルト
「さて、俺が召喚されたと言う事はまだ他の参加者には知られていないのだな?」
「あぁ、そもそもサーヴァントの召喚は秘密裏に行われる上に魔術師は秘密主義な所があるからな。 だが他の所も同じように召喚しているとみて間違いないと思う。 早くに召喚して周囲の環境を整えているだろうな。」
アギトに桜の相手をしてもらう中で、戒翔は雁夜と今後の話をしていた。
「ってことはだ。 判別がつくのは御三家の中だと間桐は俺で残りはアインツベルンと遠坂の二家か。 そっちは何を召喚するか分かるか?」
「いや、遠坂は考古学関係で蛇の抜け殻を手に入れたのは辛うじてわかったが、アインツベルンは何重にも隠蔽に偽装情報まで流していて確定情報は何も見つからなかったな。」
「・・・蛇の抜け殻? それだけでは分からんな。 他に分かっている事は?」
「後は今回の監査役の聖堂教会の一人が参加者と言う事だ。」
「ふーん、教会ねぇ?」
「どうした?」
雁夜の教会という言葉に戒翔が疑問の声を上げる。
「いや、教会関係って俺が知っている物だと結構腐っているのが多いからな。 自身の利益の為なら平気で自身の法すら変えるからな。」
「そんな事は」
「無いとは言い切れるか? なら過去の他の教会の歴史を振り返れば分かると思うが?」
「・・・」
戒翔の言葉に雁夜は反論できずに押し黙るしかなかった。
「・・・まぁいい。 マスターはこのまま情報収集しつつその増えた魔力を確実に操れるように鍛錬していてくれ。 アギトは残して行くから桜ちゃんの相手をさせていてくれ。」
「お前はどうするんだ?」
「・・・この街の散策ついでに既に現場入りしている敵の視察だ。」
「・・・・・・は?」
戒翔の言葉に雁夜は間抜けな声を出すのであった。
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「・・・至って普通の街並みだな。」
『周囲に監視用のサーチャーを配置中。 ついでに使い魔らしきものを複数確認。』
「既に情報戦が始まっているな。 俺がサーヴァントだと気付けるかな?」
『隠蔽に偽装、ついでに魔力に関してはリミッターを付けて一般人に扮していますからね』
「だとしてもだ。 どこから正体が分かってしまうか分からんからな。 念には念を入れる。」
街中を歩く戒翔の格好は革製のズボンにジャケットを羽織り首元に小さな剣がモチーフの待機状態のアルを下げている。
『マスター、前方から魔術師らしき反応とサーヴァントクラスの魔力反応を確認』
「・・・あれか」
アルの言葉に戒翔は前方を注視すると黒の礼装に身を包んだ金の長髪をポニーテールにした男装の麗人にロシア人らしき女性が連れ添って歩いていた。
『此方に気付いた様子はありませんが、どうしますか?』
「向こうが気付いていないのなら都合がいい。 で、どっちがサーヴァントだ?」
『男装の麗人の方ですね。 隣の女性はホムンクルスの様です。』
「ふーん・・・ちょっと手合せするかな?」
『・・・はい?』
「封絶」
アルの間の抜けた返事と同時に戒翔は位相空間を生成する。
「やぁ、こんにちわ。 魔術師さんにサーヴァント」
「何者だ!」
「何者って言われて答える奴は馬鹿だ。」
「だけど、私達事を知っているってことは関係者なの?」
「そうだとしたら?」
「まだ戦いは始まっていないのになぜ」
戒翔の言葉に女性は疑問の声を上げる。
「キミ達魔術師はどうか知らないけどね・・・情報戦は既に始まっている。 俺はそれに加えて敢えて姿を見せたのはキミ達と一度は戦っておきたいんだよ・・・ね!」
そう告げるのと同時に戒翔は二人に目掛けて駆けだす。
「アイリスフィール、下がって下さい!」
「セイバー!」
「シッ!」
セイバーと呼ばれた女性はアイリスフィールと呼んだ女性を自身の背後に隠しながら戒翔に相対し
「ハァッ!」
裂帛の声と共にタキシード姿から西洋の騎士甲冑の姿に変わり手には見えないナニかを握り迎撃に移る。
「それが君の戦装束か! ますます気に入った!」
「貴様に気に入られる筋合いは無い!」
戒翔は拳で、セイバーは見えないナニかを持って切り結ぶ。
「そんな、セイバーと渡り合えるなんて・・・貴方は本当に何者なの?」
「これだけの事をしているにも関わらず俺に質問とは・・・今代のセイバーのマスターは阿呆なのか?」
「阿呆って・・・まさかサーヴァント!?」
「クラスは教えんが・・・な!」
拳と思わせて横腹にミドルキックを放つ戒翔だが、セイバーの保有スキルの御蔭か直前で後ろに飛び退き躱した・・・が
「鎧が」
「ただの蹴りだと思っていたのか?」
セイバーの鎧が僅かに斬り裂かれたが皮一枚ギリギリ躱す事で傷こそないがその事にセイバーは
「貴様・・・わざとだな?」
「なんの事かな?」
「ふざけるな! 先程の攻撃が本気なら私の鎧だけを斬るだけに留まるものか!」
「え、どういう事」
戒翔の行動に激昂する。 戦人として目の前の人間に手加減されたと考えれば当然の反応である。
「何を言うかと思えば・・・本番前のデモンストレーションだ。 それなのにムキになるなよ」
「戦いは正々堂々の真剣勝負なんだぞ!」
「面白い事を言うな。 戦力分析の為なのに本気を出すのか?」
セイバーの言葉に戒翔は肩を竦めて告げる。
「貴様ッ!」
「おいおい、こんな所で本気でやるのか? そっちの紛い物のマスターと」
「ッ!?」
戒翔の告げた言葉にアイリスフィールは息を呑む
「気が付かないとでも思ったのか? 俺のステータスを見るそぶりも無し、魔力ラインも通っていない・・・これだけでも十分だが、そこの女は戦闘する者の纏う空気と言う物を感じさせない・・・感じ無さ過ぎる。 何か言い訳があるのなら令呪を見せてみろ」
「それは」
戒翔の言葉にアイリスフィールは思わず後ずさる。
「・・・まぁいいか。 今回のは挨拶代りの所だしな。」
「待て!」
「歪んだ聖杯では何を望んだ所で歪められる。 そんな物を求めるのは狂人か殺戮者だな。」
「それはどういう」
「ではな、また会い見える事を願っているよ。」
『クラール・ゲホイル』
「きゃッ!」
「くッ!」
二人の目の前に現れた結晶体が砕けるのと同時に眩い光が辺りを白く染める。 そして
「ここは」
「冬木の街の高層ビルの屋上の様です。 あの男、結界を解除するのと同時に私達をこの様な所に飛ばすとは・・・まさかキャスターのサーヴァントなのか? いや、あの近接戦闘の高さでキャスターのクラスの筈が」
「イレギュラークラスなのかしら?」
「分かりません。 しかしこれは一度切継に聞いた方が良いのかも知れません。」
そう告げるセイバーの表情は険しい物であった。 その頃、戒翔はと言うと
「ん~、聖杯の事を口が滑って告げちゃったけど、あの腹ペコ王なら大丈夫だろ?」
『さぁ、それは分かりかねますが桜嬢に遅くなった良い訳とか考えておいた方がよろしいかと』
「何故に?」
『それはご自身で考えた方がよろしいでしょう』
デバイスに冷たくされながら帰宅していたのであった。