青年の異世界道中~fatezero編~   作:クロイツヴァルト

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会合×戦闘×異端者

 

 

 「おー、やってるねぇ」

 

 「マイスター、こんな所で見学してても良いのかよ?」

 

 とある倉庫街にある倉庫の上に陣取る黒衣の男とその方に座る妖精の様な体の少女がある方向を見ながらマイスターと呼びながら呆れた表情で見るが、男は嬉々としてある場所を見ていた。

 

 「いや、騎士王とフィオナ騎士団の一番槍の戦いは見物だと思ったんだがな?」

 

 「マイスター、今は」

 

 「分かってるって。 しっかりと敵の情報は集めているし今も分析は続けている。」

 

 そう言って男は遙か先を見据えながら肩に乗る少女に語りかける。

 

 「先に言っておくが、ここから先は本当の殺し合いになる。 俺達のというかアギト達とは縁遠いモノでもないがな。」

 

 そう告げるのと同時に稲光が頭上を過ぎる。

 

 「あれは」

 

 男は稲光を伴った二頭の巨大な馬が牽く戦戦車を見送り

 

 「行くぞアギト。 漸くサーヴァントが揃う。 キャスターはまだの様だが、アレを呼ばれる前に何とか出来るかもしれんが・・・まぁ、何とかするか。」

 

 男は隠蔽用の魔法を解きながら立ち上がりながら気軽に告げ、散歩でもするかのようにその場から飛ぶ。そして、目的の場所に降り立つのと同時に五人のサーヴァントと六人(・・)の人間に見られる

 

 「お主も我が軍門に降らぬか?」

 

 「征服になど興味は無い。」

 

 「ではお主は何の願いがあって此度の聖杯戦争に臨むのだ?」

 

 「それを貴様に話すつもりは無い。」

 

 戦戦車に乗った巨躯の男の言葉に黒衣の男はそっけなく答える。

 

 「それよりもその黒衣に隠した素顔を見せてはくれんかの?」

 

 巨躯の男の言葉に黒衣の男は

 

 「・・・まぁ、顔見せの意味もあるだろうし良いだろう。」

 

 そう言ってフードを下ろした男の顔を見てセイバーとそのマスターは驚きの表情で男の顔を見る。

 

 「お前はあの時の!?」

 

 「数日ぶりだな。 騎士王」

 

 驚愕の声を上げるセイバーに男は軽く答える。

 

 「して、お主のクラスは何なのだ?」

 

 「・・・バーサーカーだが?」

 

 男の言葉に一同は絶句する。

 

 「バーサーカーだと!? 理性を保っていられる筈が」

 

 巨躯の男の傍らにいる少年が驚愕の声を上げる。

 

 「・・・何を驚く必要がある? あの程度の狂気など俺が生きてきた中では優しい位だ。 そもそもあの程度の狂気に捕らわれるのは並の者ってことだろう?」

 

 少年の言葉に男は皮肉気に笑いながらそう答える。

 

 「さて、んでそこで高みの見物決め込んでる英雄王は俺に殺気飛ばして何か質問でもあるのかな?」

 

 「・・・貴様、どこの英霊だ? 雑種にしてはその魂異質極まりない。 本当に元は人間なのか?」

 

 「ふふっ、流石は半人半神であり裁定者である者だな。 俺の魂を見てその奥まで見ようとするとは」

 

 「我の質問に答えよ!」

 

 「そう急かすな。 勿論答えはイエスでありノーだ。 正体を明かすのは簡単だが、些かそれでは面白くは無い。 が、それでも面白みに欠けるから一言だけヒントを上げるなら輪廻転生の輪から外れた存在って事だ」

 

 「・・・つまり我の敵と言う訳だな?」

 

 直後にギルガメッシュの背後の空間が歪み始める

 

 「待て待て、早とちりするな。 お前さんの想像通りなのは変わり無いがアレの介入は無いし、この世界のアレとは関係無いよ。」

 

 「それを証明する事は出来ないのにそれを物申すのか?」

 

 歪みが落ち着くのと同時に赤い波紋が現れそれは広がりながら様々な刀剣が刃の切っ先をバーサーカーに向ける。

 

 「証明は難しいな・・・。 が、実力ならある程度は見せる事は出来るぞ? なんなら今その後ろに展開している武器を全て防ぎきって見せようか?」

 

 「吠えたな? ならその大言壮語にならん様に防いでみよ!」

 

 ギルガメッシュはそう告げるのと同時に背後に浮かぶ無数の刀剣類が音速でバーサーカーに迫る。

 

 「・・・それでは御見せしようか。 神の御使いにして時の御子の実力の一端を」

 

 迫る刀剣を見ながらバーサーカーは身構える訳も無く徒手空拳の構えを取り

 

 「ベルカの王達の御業をこの手に」

 

 次の瞬間、バーサーカーの身は淡い虹色に包まれていた。

 

 「空覇弾!」

 

 突き出した掌から放たれた球が剣に触れるのと同時に爆発を引き起こす。

 

 「その程度で我の攻撃を防げるものか!」

 

 「まだまだ! 断空波!」

 

 突き出した手とは反対の手に集めた魔力を開放しながら放った風とは思えない威力を孕んだ一撃が刀剣の軍勢に衝突するが、その直後に丁度真ん中に空洞が出来るようにバーサーカーは技を放っていた。

 

 「なに!?」

 

 しかし、バーサーカーはそれをそのままやり過ごすのではなく自ら飛び込むと

 

 「この程度で驚いては困るな?」

 

 「小癪な!」

 

 一息でギルガメッシュの眼前に潜り込むが、ギルガメッシュは手前の空間から長剣の様な物を取り出し斬り掛かる。

 

 「我に手を使わせるとは不敬だぞ!」

 

 「そんな事で不敬になるならまだまだ行くぞ?」

 

 そう告げるバーサーカーは振り下ろされる長剣の腹を殴り軌道をずらしギルガメッシュを街灯から叩き落とす。

 

 「ぐぅッ! 王たる我を地に下ろすとは万死に値する! 疾くと死」

 

 背後の波紋が無数に現れようとした所でギルガメッシュの動きが止まる。

 

 「・・・時臣め臣下でありながら我に進言するか。 ふん、命拾いしたな。 次に見える時までに有象無象を間引いて置け。 アレを巡る戦いには真の英雄のみで十分だからな」

 

 そう言い捨ててギルガメッシュは金色の粒子を振り撒きがら霊体化しながらその場から消え失せる。

 

 「・・・それでそこのセイバーとランサーにライダーと・・・盗み見してるアサシンは俺と戦うか?」

 

 その一言でその場にいる者達は各々の反応を見せる。

 

 「・・・もし戦うと言ったなら?」

 

 ランサーが代表として問うと

 

 「是非も無し! ・・・と言いたい所だが、些か騒ぎ過ぎたようだからな」

 

 遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

 

 「はずれの倉庫街といってもあれだけの戦闘をしたのだから付近の住民が通報をしていても可笑しくは無いな。」

 

 そう言って軽い跳躍で屋根に飛び移るバーサーカーは未だに下にいる三騎を見下ろし

 

 「貴様達の目的は知らんが俺の目的だけは教えて置いてやる。 俺の目的は・・・聖杯戦争の永久凍結及び聖杯の完全消滅だ。」

 

 彼の落とした最大級の爆弾に英霊たる彼等に魔術師達に衝撃を与える。

 

 「待て! その様な事をしたら」

 

 「既に確定事項だ。 貴様達が何を言おうとこれは覆らん。 俺は此度の聖杯戦争を破壊する」

 

 「待ちなさい!」

 

 そう言い捨ててバーサーカーは制止の声を聞かずにその場から掻き消えた。

 


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